2022.11.02離婚時にマンションを売却すべき?財産分与やローンがある場合の注意点を解説

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離婚して二人で住まなくなったマンションについて、どのように対処したら良いか分からず悩んでいる方もいらっしゃるのではないかと思います。基本的には売却がお勧めですが、住環境を変えたくない方やお子様の為に引越ししないという方も一定数存在します。

ここでは、マンションの対処方法や売却のタイミング、財産分与の方法を解説します。
さらに、実際にトラブルが発生した場合の対処法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

離婚する場合マンションはどうするべき?

離婚により二人で住まなくなった場合、マンションの対処法として代表的なパターンを4つ紹介します。
それぞれメリットや注意点も含めて解説します。

売却をする

基本的にはマンションを売却することをお勧めします。
ローンを借り入れる際、夫または妻が連帯保証人になっていることが多い為、マンションを保有し続けていると相手側のローン返済の債務を自分も負うことになります。もし相手側がローンを払い続けると約束していても、収入減や勤務状況により返済が難しくなって月々の返済が滞ると、差押えや競売となる可能性があります。こうしたトラブルを避ける為にも売却が有効です。

婚姻期間に購入したマンションは、たとえ一方の名義で購入したものだとしても財産分与する必要がありますが、マンションを売却して財産を現金化できれば、売却益を分けて財産分与ができます。

なお、財産分与には期間制限があり、離婚から2年が経過すると請求できなくなります。
マンションの価値を確認し、正しく財産分与する為にも、離婚の際にマンションを売却することをお勧めします。

ただし、財産分与の期間があるからといって売却を急ぐことで、希望額で売却できないという可能性もあります。マンション売却に関する注意点についてはこちらの記事をご覧ください。

マンション売却で失敗したくない!よくある10の失敗と対策を解説

どちらかが住み続ける

お子様の学区を変えたくないなど事情がある場合は、どちらかが住み続けるという選択も存在します。

マンションに住み続けることができれば離婚後も日々の通学や通勤、生活する環境を変える必要がない為、精神的にゆとりが生まれるというメリットがあるかもしれません。

しかし財産分与を現金ではなくマンションを譲るかたちで行った場合、分与した方は譲渡所得として課税されますので注意が必要です。
財産分与のルールで考えると、住み続ける方は相手側に対し、マンションの資産価値の価値の半額を支払わなければなりません。いわゆる「2分の1ルール」と呼ばれる決まりです。

例えば、マンションの価値が3,000万円、ローンが1,000万円残っている場合は、資産額は2,000万円となります。
したがって住み続ける方は相手側に1,000万円を支払わなければなりません。もちろん相手側がマンションを放棄した場合は不要です。

賃貸物件にする

自分は住まないけれど手放したくない場合や、売却想定額よりもローンの残債額が大きく売却が難しい場合などは、賃貸物件として貸し出す方法があります。
月々の家賃収入をローン返済に充てることができ、借入がない場合でも養育費などに充てることができます。

デメリットは、入居者が見つかるまで家賃収入を得ることができないことです。また、滞納などにより家賃収入が得られなかったり、マンションのメンテナンス費用や退去の際にリフォーム費用が発生する可能性もあります。
さらに物件を所有している以上、管理費や修繕積立金や固定資産税は引き続き発生し、不動産会社に管理を依頼する場合には別途費用も発生します。
加えて、家賃収入は給与以外の収入になる為、確定申告が必要です。

レンタルスペースにする

レンタルスペースとは、一般的に時間貸しする部屋のことを指します。
貸し会議室や貸しスタジオなどもこれにあたり、テレワークやオンラインセミナーなどの増加により需要も増加傾向にあります。

価格設定によっては、通常の賃貸物件よりも増収となる可能性があります。
しかし個人で運用することは難しい為、一般的には運営代行業者へ依頼するケースが多く、運営の為の手数料が発生します。

レンタルスペースは利用目的にもよりますが、住環境よりも交通の利便性が重要になるケースもあります。また、マンションの条件によっては、運用が難しい場合や、不特定多数の方の出入りを禁止している場合もあります。
詳しくは管理規約をご確認ください。

さらに、賃貸物件と同様に閑散期には収入が減る可能性があることや、給与以外の収入として確定申告が必要となります。

離婚によるマンション売却のタイミングはいつ?

離婚をきっかけにマンションを売却する場合、手続きを行うのは離婚前と離婚後どちらが良いのでしょうか?それぞれメリットとデメリットをご紹介します。

離婚前に売却する場合

離婚後に相手と連絡を取りたくないという方は、あらかじめ財産分与の金額をきっちりと決めておき、離婚前に売却することをお勧めします。
ローンを完済できれば連帯保証人の債務もなくなるので、トラブルを未然に防ぐことができます。しかし、購入希望者が見つからないなどでマンションが売れるまでに時間がかかった場合、離婚までの時間も長引く可能性があります。

離婚後に売却する場合

一方マンションを売却するまでには数ヵ月かかる可能性がある為、離婚後に売却するというケースもあります。

ただしその場合は、離婚後に相手側と連絡を取る必要がある為、あらかじめ、話し合いのスケジュールや時間を決めておき、離婚後もスムーズな話し合いができるようにしておくと良いでしょう。

離婚する場合、マンションの財産分与はどうなる?

マンション売却時の財産分与を考える場合は、まずマンションの評価額を調べる必要があります。その場合、購入時の金額ではなく原則として離婚時の評価額を基準とし、分割方法は原則、金銭給付となります。
しかし現物の分与が望ましいと判断された場合は、例外的にマンションを現物給付により行なわれることもあります。

またマンションに住み続ける場合は、通常相手側にマンションの評価額の半額を支払うことになります。代償金を払う能力がない場合や、双方がマンションの取得を希望しない場合は、マンションを共有する方法が取られることもあります。

売却で得た現金を財産分与する

マンション売却によって得た売却益を相手側に分ける場合、財産分与や離婚後の生活保障の為の給付とみなされ、通常は贈与税は発生しません。
しかしその給付額が事情を考慮しても多すぎると判断された場合や、贈与税や相続税を免れる為だと判断された場合は贈与税がかかります。

マンションの評価額をもとに財産分与する

マンションの評価(売買価格)を調べる場合、不動産会社へ無料査定を依頼、もしくは不動産鑑定士に査定を依頼する方法があります。

不動産会社へ査定を依頼する場合は無料で実施できるケースが多いようです。不動産会社によっては、インターネットでも簡単に依頼できるサービスがあります。まず参考価格としてリサーチの為に利用し、マンションの査定を依頼することをお勧めします。
一方で不動産鑑定士に依頼する場合は、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて、収益還元法や取引事例比較法などにより鑑定する為、安心感はありますが、数十万の費用がかかるケースもあります。

後のトラブルを防ぐ為にも、二人でよく検討したうえでどちらに依頼するか決定することをお勧めします。
具体的なマンション売却査定の流れについてはこちらの記事をご覧ください。

マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説

離婚時にローンが残っているマンションを売却する方法

住宅ローンが残っているマンションを売却する場合、借入の返済が必要になります。
離婚を契機として売却を行う場合も、同様です。
ここでは、住宅ローンが残っているマンションを売却する方法をご紹介します。

売却代金で住宅ローンを完済する

マンションの売買代金よりも住宅ローンの残債が少ない場合(アンダーローン)は、マンションの残代金決済時に受領した売買代金で、ローンを完済できます。
また同時に抵当権の抹消もできるので、決済日当日に所有権移転まで全て完了できます。

買主様がローンを組む場合、通常金融機関で決済を行います。その場に司法書士や不動産会社の担当者が立会い、売買代金の支払いや抵当権抹消、所有権移転などの手続きを一度に行います。

売却代金と自己資金で住宅ローンを完済する

マンションの売買代金よりも住宅ローンが多い時(オーバーローン)は、足りない分を自己資金で充当することで、借入を完済できます。残代金決済時に抵当権を抹消できるので、アンダーローンの場合と同様、所有権移転まで完了できます。

任意売却を行う

任意売却とは、住宅ローンを滞納・延納したなどの理由で住宅ローンを返済できない場合、金融機関と合意のもと売却する方法です。ただし、金融機関から同意が得られないことで、売却が進まないといったケースもあるため、任意売却を利用する場合は、不動産会社と相談しておくと良いでしょう。

ローン残債のあるマンションの売却についての詳細はこちらの記事をご覧ください。

ローン残債があってもマンション売却できる?ケース別に対処方法を解説

離婚時にローンが完済されたマンションを売却する方法

マンションを売却したい場合、不動産会社へ仲介を依頼し売却するケースが多いと思います。しかし早期に売却したい場合などは、買い取りを依頼するという方法もあります。それぞれの方法については以下の通りです。

仲介で売却する

仲介では不動産会社に査定を依頼し、希望額に応じた売り出し価格を設定でき、売却に必要な手続きを手厚くサポートしてもらえます。

ただし、物件の条件や市場の動向にもよりますが、売却までに時間がかかったり、広告活動などにより近隣に売却していることが知られてしまうかもしれません。買主様がなかなか見つからないというケースを想定して、余裕をもったスケジュールを組んでおくと良いでしょう。また、近隣住民に知られたくない場合は、不動産会社にその旨を相談しておくと安心です。

マンション売却の流れについてはこちらの記事をご覧ください。

マンション売却の流れを詳しく解説-必要な手続きやポイントについても紹介

買い取りで売却する

なるべく早く売却したい場合や近隣に売却について知られたくない場合は、買い取りをお勧めします。買い取りとは、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法です。
買い取りでは、不動産会社と直接売買を行う為、希望の日程に応じて売却ができたり、近隣の方に知られずに売却できるといった特徴があります。

買い取りの場合、仲介で売却するよりも買い取り金額が低い場合があります。その為、仲介で売却した場合の売却価格と比較検討し判断する必要があります。

買い取りのメリットや仲介との違いについてはこちらの記事をご覧ください。

マンション売却は買い取りがお勧め?仲介との違いや向いている物件の特徴を解説

マンション売却にかかる費用や税金

マンションを売却する場合の代表的な費用・税金は以下の通りです。

  • 印紙税:不動産売買契約書に貼る印紙代
  • 登録免許税:住宅ローンの抵当権抹消の際に必要な税金
  • 司法書士への報酬:住宅ローン抵当権抹消を依頼する場合の費用
  • 金融機関へ支払う事務手数料:住宅ローンを借り入れている場合の費用
  • 譲渡所得税:売却時に利益が発生した場合に課税
  • 仲介手数料:不動産会社へ支払う費用
  • 引越し代:ご自身が引越しする場合にかかる費用
  • ハウスクリーニング:マンション引き渡し前にクリーニングを業者へ依頼する場合の費用

マンション売却にかかる費用や税金について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

マンション売却にかかる税金はいくら?計算方法や知っておきたい控除について徹底解説

マンション売却にかかる費用や手数料は?費用を抑える方法も紹介

離婚後もマンションに住み続ける場合の注意点

離婚後もマンションに住み続ける場合、いくつか注意点があります。
事前に対処することによりトラブルを防ぐことができますので、ぜひ参考にしてください。

財産分与のトラブルが起きやすい

離婚時にマンションを売却して清算しないことにより正確に財産を折半できず、財産分与トラブルにつながる可能性があります。また住み続ける場合は、維持する為の費用やマンションの固定資産税などがかかる為、支出について考慮する必要があります。

マンションの名義人を確認しておく

マンションの名義人に売却の意思がない場合は売却することができない為、名義人が誰なのか確認しておく必要があります。
もし離婚後にマンションに住み続ける場合は、財産分与や贈与などのかたちを取り、単独名義にしておきましょう。

住宅ローンの名義変更には時間がかかる

例えば夫婦でペアローンを組んで購入したマンションの場合、離婚後に住み続ける側の単独名義のローンに変更するには時間がかかります。
なぜなら、金融機関は名義変更の希望があった場合、マンションの担保評価や名義変更を希望している方の返済能力をあらためて審査するからです。
その為、収入や勤務先、勤続年数などによっては名義変更が難しい場合があります。

住宅ローンの返済が滞るリスクがある

前述の通り、離婚時には住宅ローンを払い続ける約束をしていたとしても、名義人の勤務状況や心理的な変化により、住宅ローンの返済が滞る可能性があります。
また住宅ローンを組んだ本人が返済せず滞納となった場合、連帯保証人に一括返済が求められ、返済ができない場合は差押えや競売という事態に陥るリスクがあります。

離婚後に財産分与のトラブルが発生した場合の対処方法

では、離婚後に万が一財産分与によるトラブルが発生した場合、どうすれば良いのでしょうか?
ここでは、対処方法を3つ紹介します。

弁護士に相談する

離婚後に財産分与に関してトラブルが発生し、双方の話し合いで解決できない事態になった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
またその場合は離婚訴訟の実績があり、離婚を専門とする弁護士が望ましいです。

離婚協議書など公的書類を作成する

財産分与など協議により取り決めた内容を、離婚協議書により契約するのが一般的です。
手書きでも問題ありませんが、双方が保管する為にもデータで作成し、2枚プリントアウトしておくと便利です。

より信用性が高い公文書とするには、離婚給付契約公正証書にて契約する方法もあります。その場合は、お近くの公正役場に公正証書の作成を依頼してください。
離婚給付契約公正証書にするメリットは、財産分与の支払いが定められたように行われない場合、公正証書に基づいて強制執行をする効力が認められています。

裁判所に財産分与請求調停を申し立てる

双方だけの話し合いで解決できない場合は、裁判所へ財産分与請求調停を申し立てることができます。
まず婚姻関係中に夫婦で協力して得た財産がどれぐらいあり、またその財産を築く上での貢献度などを双方から聴き取ります。その上で解決案が提案され、助言などをもらい合意に向けた話し合いをします。
調停が不成立となった場合は自動的に審判手続きが開始され、裁判官が審理を行った上で審判となります。

しかし財産分与は期間制限があり、離婚から2年が経過すると請求できなくなりますので、前もって必要な手続きをしておくと安心です。

まとめ

後々のトラブルを防ぐ為にも離婚時には、マンションを売却しておくと安心です。離婚後も住み続ける場合は、ローンの名義人を変更したりして離婚後も問題なく住めるようにしておきましょう。
長谷工の仲介はマンションの売却実績が豊富で、仲介による売却だけでなく、買い取りによる売却にも対応しています。
査定や、売却に要する費用、税金に関する相談も行っている為、まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事の内容は2022年11月2日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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