2025.7.3マンション売却の注意点は?流れや税金・費用、失敗事例についてもご紹介

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大切な資産であるマンションを上手に売るには、最初に売却の全体の流れを知ることが重要です。初めてマンションを売るにあたり、なにから手をつければ良いか分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、初めてマンションを売る方に向けて、マンション売却の流れや注意点について解説します。

初めてのマンション売却で知っておくべきこと

マンションを売却する前に、まずは売却するまでにどのくらいの期間がかかり、またどのような税金や費用がかかるのか確認しておくことが大切です。

ここでは、売却にかかる期間や、売却時にかかる税金・費用、売却と賃貸どちらにすべきか判断する方法も含めて解説します。買取による売却方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

マンション売却にかかる期間は?

マンションを売り出して売買契約を締結し、引き渡して現金化できるまでに4〜6ヵ月かかるのが一般的です。
その為マンションを売却して住み替えをする場合、売却期間を十分確保する必要があります。

売り急いでしまうと、値下げせざるを得なくなる恐れがあります。余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

マンション売却ではどのような費用や税金がかかる?

マンションを売却する為に不動産会社に仲介を依頼する場合は、仲介手数料がかかります。

そして、マンションを売却して利益が発生した場合は、その利益(譲渡所得)に対して税金がかかります。ただし、利益が出たときでも、居住用財産で一定の要件を満たす場合は特例による控除ができる可能性があります。

また、売買契約時に必要な売買契約書には印紙税が課税されます。なお、売買契約の金額によって課税額は異なります。
その他、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する場合は、金融機関の事務手数料や抵当権を抹消する為の登記費用がかかります。抵当権とは、債務者のローン返済が滞ってしまった際に、債権者(銀行のこと)がその担保物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことです。

住まないマンションは売却する?賃貸に出す?

住まないマンションを処分する場合、売却以外の選択肢として賃貸物件として貸し出す方法があります。
貸し出すことで定期的に家賃収入を得られる可能性があり、またマンションの所有者自体は変わらない為、将来再び住むこともできます。子どもや親族が住む可能性があれば、賃貸も視野に入れておくと良いでしょう。

ただし、貸し出す為にはリフォームや修理を必要とするケースが多く、その場合は経費がかかります。また、入居者が見つかるまでは家賃を得ることはできない為、空室によるリスクも想定しておきましょう。

マンションは仲介と買取のどちらが良い?

マンションは不動産会社による仲介で売却するのが一般的ですが、状況によっては買取による売却も検討してみましょう。
買取とは不動産会社に直接売却する方法で、内覧に対応する必要がなく、最短1週間で現金化が可能です。不動産会社と直接取引すれば、仲介手数料がかからないのもメリットです。

ただし、マンションの条件によっては売却価格が相場の7割程度になることもあります。また、買取の場合でも査定時には不動産会社による現地調査が必要です。

仲介と買取どちらを選択するか、よく検討したうえで決めましょう。

マンション売却の流れとは?

マンション売却は、準備から引き渡しまでに一般的に半年程度かかります。おおまかな流れを把握し、スケジュールに余裕を持って計画を立てましょう。
マンション売却の流れをまとめると以下の通りです。

マンション売却の流れ画像
フェーズ 流れ 概要
事前準備 査定の依頼 マンションがいくらで売れそうか把握する為に、不動産会社に査定を依頼します。
媒介契約の締結 不動産会社と仲介の契約(媒介契約)を締結し、売却を依頼します。
売り出し価格の決定 査定価格をもとに売り出し価格を決めます。
売却活動 売却活動の開始 売りに出してから買い手が決まるまで1〜3ヵ月程度を要します。
条件交渉 購入希望者から購入申込書を受領し、条件交渉を行います。
売買契約の締結 書面で売買契約書を締結します。買主様より手付金を受領します。規定額の印紙の購入と仲介手数料(半金)の支払いが必要です。
売買契約後 住宅ローンの一括返済手続き 売買代金で住宅ローンを一括返済する場合は、金融機関へ一括返済の申し込みをします。
引っ越し 引き渡しの前に引っ越しを行い、空き家の状態とします。
引き渡し 残代金の支払いを受け、鍵および必要書類を引き渡します。また、残りの仲介手数料(半金)を支払います。抵当権抹消が必要な場合は、抵当権抹消関連費用が生じます。
売却後 確定申告 確定申告が必要な場合は売却した翌年の2/16~3/15の間に行います。

それぞれの流れを詳しく見ていきましょう。

不動産会社に査定を依頼する

まず、不動産会社へマンションの売却査定を依頼します。

査定価格とは、不動産会社がおおむね3ヵ月で売却できるであろう価格を提示するもので、売却を約束するものではありません。マンションを売り出す際は、査定価格を参考にして売り出し価格を設定するのが一般的ですが、必ずしも査定価格で売り出す必要はありません。

査定には、主に机上査定・訪問査定・AI査定の3つがあります。それぞれにメリットとデメリットがある為、自身の状況に合った査定方法を選びましょう。

机上査定

机上査定とは、実際にマンションを見ずに行う査定方法です。

机上査定では、不動産会社が類似マンションの成約価格や売り出し価格、立地条件、不動産市場などをもとに査定します。ただし室内の状況やリフォームの履歴などは加味しない為、訪問査定に比べて精度が低いことがあります。

ただし、インターネット上で必要な項目を入力するだけで簡単に依頼でき、早ければ数分ほどで完了します。遅くとも数日以内には査定価格が分かることが多く、その手軽さから「簡易査定」とも呼ばれています。

机上査定については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

机上査定とは?訪問査定との違いや査定のポイント、メリット・デメリットを解説

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社が実際にマンションの室内を調査して査定価格を算出する方法です。リフォームの履歴や室内の状況、採光・通風なども加味して査定する為、机上査定よりも精度が高くなるのがメリットです。

ただし、訪問査定は現地調査に1〜2時間、査定報告書を受け取るまでに1〜2週間程度かかることが多く、机上査定に比べて時間がかかります。

机上査定をしてからそのうちの2〜3社に訪問査定を依頼する方法もありますが、実際にマンションを売却する場合は、基本的に訪問査定が必要になる為、急いでいる場合は訪問査定から依頼することをお勧めします。

マンションの売却査定については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説

長谷工の仲介では、無料査定を承っています。ぜひお気軽にご相談ください。

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AI査定

AI査定とは、不動産会社が保有する取引データや過去の成約価格をもとにして、AI(人工知能)が査定価格を算出する方法です。

インターネット上に必要項目を入力すると、その場で査定価格が分かるケースがほとんどです。すぐに査定価格が判明するのがメリットですが、不動産市場や細かい条件が反映されない為、机上査定や訪問査定に比べて精度は低くなります。

不動産会社と媒介契約を締結する

マンションの売却を依頼する場合、不動産会社との間で締結する媒介契約(仲介を依頼する契約のこと)の種類を決めます。

媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。複数社に依頼できるのが一般媒介、1社のみに限定されるのが専任媒介・専属専任媒介です。
それぞれの特徴をまとめると以下の通りです。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約期間 法律上の制限なし
一般的には3ヵ月
3ヵ月以内 3ヵ月以内
複数の不動産会社と契約できるか 可能 不可 不可
依頼主への活動報告義務 なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
自分で買主様を発見し直接取引できるか 可能 可能 不可
レインズの登録義務 なし 7日以内に登録 5日以内に登録

出典:公益財団法人全日本不動産協会「一般媒介契約について」

どの媒介契約を選ぶかは、仲介会社の販売戦略・手法を含めて検討するのが望ましいです。ちなみに2024年度におけるレインズ登録物件(売り出し物件)の約4割が(専属)専任媒介契約となっており、一般媒介契約(約2割)に比べて多く選ばれていることが分かります。

どの媒介契約を締結するかを決めたら依頼先の不動産会社と相談してマンションの売り出し価格を確定させます。売り出し価格は査定価格を参考にするのが一般的ですが、資金計画に無理がないように設定するようにしましょう。
売り出し価格が決まれば媒介契約を締結して実際に売却活動をはじめていきます。

媒介契約については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

一般媒介契約とは?契約のメリットや注意点を解説

専任媒介契約とは?他の媒介契約との違いやメリット・注意点を分かりやすく解説

専任媒介契約期間で家が売れない!原因と対処法、契約解除の可否について解説

売却活動をはじめる

売却活動をはじめると、不動産会社はホームページや広告、物件情報サイトへ物件情報を掲載して購入希望者を募ります。

売却活動自体は不動産会社が主に行いますが、売主様もこまめに不動産会社と連絡を取り、活動状況を把握しておくことをお勧めします。特に一般媒介契約の場合は、不動産会社に報告義務がない為、任せきりにしないことが大切です。

購入希望者が見つかると、内覧の希望が届くことがあります。内覧とは、購入希望者に家の中を見せることです。内覧日は比較的土日に集中する為、日程調整が必要な場合は早めに不動産会社に相談しましょう。

そして、内覧日が決まればマンションに興味を持った購入希望者を連れて内覧を行います。内覧の基本的な対応は不動産会社に任せることができますが、質問が出た際は快く回答するようにします。

また内覧の前には念入りに清掃し、必要に応じて水回りのハウスクリーニングを施しておくと購入希望者に好印象を与えられるでしょう。
不動産会社によっては、専任媒介または専属専任媒介で契約すると水回りのクリーニングや床・壁の修復、荷物の一時預かりといったサービスを提供している会社もあります。売却をサポートするサービスの有無も、不動産会社選びの参考にしてみてください。

マンション売却の内覧やハウスクリーニングについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介

マンションのハウスクリーニングの相場は?売却時に実施するメリットやポイントを解説

長谷工の仲介では、水回りのクリーニングやプロのカメラマンによる撮影など、売主様がご安心してお取引していただく為のサポートをご用意しています。
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契約条件の交渉を行う

物件購入を決断した購入希望者からは、購入申込書が提示されます。購入申込書には、購入希望価格などの希望条件が記載されています。

売却する側としては、契約条件の交渉を行います。条件が整理できたら売渡承諾書を作成し、購入希望者に対して条件を明記することもあります。

売買契約を結ぶ

契約条件が整ったら、書面で売買契約を締結します。売買契約書にはマンションを特定する事項のほか売買価格や引き渡し条件、契約解除に関する事項が記載されています。
また、売買契約時には「重要事項説明書」の読み合わせも行います。重要事項説明書には、マンションの所在地や専有面積のほかに、法令上の制限などが記載されています。

さらに売買契約締結時には、買主様から手付金を受領します。手付金は売買代金の10%前後が一般的です。
なお売買契約締結後に売主様の都合で契約を解除する場合、手付解除期日までは受領済みの手付金を買主様に返還し、かつ同額を買主様へ支払って手付解除することになります。
ただし、買主様が契約履行(売買代金の支払いや引っ越し会社との契約など)に着手している場合は、損害賠償請求される恐れがある為、売買契約を締結するかどうかの判断は慎重に行うようにしましょう。

そして、売買契約が成立したタイミングで、売主様は不動産会社に仲介手数料の50%を支払います(残りの50%は残代金決済時に支払うのが一般的)。

売買契約書や手付金、仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションの不動産売買契約書とは?記載内容や流れを解説

不動産売却で発生する手付金とは?相場や手付解除時の対応方法について解説

不動産売却の仲介手数料とは?計算方法や支払い時期についてご紹介

マンションの引き渡し準備を行う

売買契約から1〜2ヵ月で引き渡しになることが多いですが、2週間程度で決済が可能な場合もあります。その為、住宅ローンの残債がある場合は、事前に金融機関に連絡を取り住宅ローンの一括返済の手続きにかかる時間などを確認し迅速に手続きを進めていきましょう。

住宅ローンの一括返済は、金融機関によって手続きの期間が異なります。その為、不動産会社へ借り入れをしている金融機関や支店を伝えることも大事です。

登記されている内容によっては、残代金決済時に所有権移転登記手続き以外にも「抵当権抹消登記」や「住所変更登記」などが必要になる場合もあります。
登記は不動産会社に紹介された司法書士に依頼することが一般的です。必要書類の案内はありますが、戸籍の附票などは本籍地の役所に書類の作成を依頼することもあります。なるべく余裕を持って準備しておきましょう。

また、公共料金などの移転手続きなども忘れないようにしましょう。合わせて、マンション管理組合から「区分所有者変更届」の提出を求められることもあります。その場合は、残代金の決済時に買主様と一緒に書類を作成し、後日提出するのが一般的です。

引き渡し作業や諸費用の支払いを行う

引き渡しの場所は、買主様が住宅ローンを組む銀行で行うのが一般的です。引き渡しでは買主様から手付金を除く残代金が支払われます。また、固定資産税や管理費および修繕積立金も清算します。

そして、売主様は不動産会社に仲介手数料の残りの50%を支払います。

引き渡しでは、以下の書類が必要です。

用途 書類名
買主様へ引き渡す資料
(必須ではありませんが、お渡しすると喜ばれます)
  • 分譲時のパンフレット・管理規約および使用細則
  • 最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し
  • 管理費・修繕積立金額の確認書など
登記に必要な資料
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
  • 印鑑登録証明書(3ヵ月以内に発行されたもの)
  • 固定資産税評価証明書(委任状を作成し、不動産会社が取得することもあります)
  • 本人確認書類(司法書士用)
  • 住民票や戸籍の附票など、司法書士から案内があった書類
  • 抵当権の抹消に必要な書類(住宅ローンが残っている場合)

住宅ローンが残っている場合、売主様の金融機関担当者に抵当権抹消に必要な書類の持参を依頼したり、金融機関へ取りに行ったりする必要があります。
また、抵当権抹消など登記関係の手続きがあるときは、司法書士とのやり取りが必要になります。司法書士から案内のあった書類や登記の委任状を作成し、司法書士に渡します。

売却にともなう登記手続き(主なもの)
抵当権抹消登記 残代金で住宅ローンを一括返済する際、抵当権の抹消登記をおこないます。
住所変更登記 すでに引っ越しが済んでおり、登記上の住所に住んでいない際には変更登記をおこないます。
氏名変更登記 結婚などにより登記上の氏名と現状が異なっているときには変更登記をおこないます。

抵当権抹消登記の流れや必要な書類については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説

確定申告を行う

マンション売却で譲渡所得が出て税金を納める場合や、税金の特例や控除を利用する場合は、確定申告が必要です。

確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に行います。必要があるにもかかわらず確定申告を怠った場合は、無申告加算税などのペナルティが課される為注意しましょう。

確定申告の具体的な手順などは、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説

マンション売却の確定申告書の書き方は?手続きの流れも併せて解説

マンション売却は、複雑な手続きや大きなお金が動く取引であることから、不安や疑問を感じる方も多くいらっしゃいます。特に初めての売却となると、「何からはじめれば良いの?」「このまま進めて大丈夫?」といった質問をいただくことも少なくありません。

そこで、長谷工の仲介では皆さまの疑問や不安を少しでも解消できるよう、無料相談も受け付けております。ぜひお気軽にご相談ください。

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初めてのマンション売却、何からはじめる?

マンションを売却する場合、何からはじめたら良いのでしょうか。マンション売却前に必要な準備について具体的に解説します。

売却時期の決定

マンションを売却したい時期を定めて、そこから逆算して売却活動をはじめられるように準備しましょう。

マンションの売却は通常4〜6ヵ月ほどかかるため、例えばまずは仲介で売り出し、5ヵ月経っても売れなかったら「買取で売却する」といった方針を事前に決めておくと安心です。

必要な書類の準備

マンション売却では様々な書類が必要になります。実際に売却がはじまると内覧の対応などでバタつくこともある為、早めに必要な書類を準備しましょう。
売却までに必要な主な書類は以下の通りです。

用途 書類名 入手方法
査定時・媒介契約時に必要な書類 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書 売主様が保有
固定資産税・都市計画税の納付通知書 売主様が保有
住宅ローンの返済表 売主様が保有
分譲時のパンフレット 売主様が保有
売買契約締結時に必要な書類 付帯設備表・物件状況説明書 不動産会社のフォーマットを利用(売主様が記入)
印鑑証明書 市町村役場
買主様へ引き渡す資料(※1)(引き渡し時) 分譲時のパンフレット 売主様が保有
管理規約および使用細則 売主様が保有
最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し 売主様が保有
管理費・修繕積立金額の確認書 売主様が保有
登記に必要な資料(引き渡し時) 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書 売主様が保有
印鑑登録証明書(3ヵ月以内に発行のもの) 市町村役場
固定資産評価証明書(土地・建物) 市町村役場
住民票などの登記関連書類(司法書士より要請があったときに取得します) 市町村役場
確定申告に必要な書類(確定申告時) 売却したマンションの謄本 法務局(窓口申請:600円)
住民票の除票(※2) 市町村役場(※3)
売却物件の購入時・売却時の売買契約書 売主様が保有
費用を証明する領収書など 売主様が保有
その他 利用する特例によって異なる

※1必ず必要なわけではありませんが、お渡しすると喜んでいただけます。
※2契約日前日までに住民票の住所と譲渡資産の所在地が異なる場合は必要になります。
※3各種手続きにかかる費用は市区町村によって異なる場合がございます。

マンション売却に必要な書類については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却に必要な書類は?段階ごとの必要書類と入手方法を解説

売却相場の調査

不動産会社に査定を依頼する前に、自分で相場を知っておくことも大切です。ホームページやチラシなどの広告で、自分のマンションや周辺の売り出し物件の価格を把握しておくと良いでしょう。

売り出し物件の面積や価格帯を知ることで、相場を把握できます。自分のマンションと売り出し物件の広さや階数を比較すれば、おおよその売り出し価格も想定できるでしょう。

公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表しているマンションの成約状況を以下の表にまとめてみました。

エリア 売却価格相場 前年同月比
北海道 2,196万円 -8.8%
宮城県 2,406万円 -6.3%
東京都 6,514万円 4.1%
神奈川県 3,783万円 -4.9%
愛知県 2,383万円 -1.8%
大阪府 3,355万円 0.5%
広島県 2,482万円 -9.3%
福岡県 2,862万円 17.1%

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「月例マーケットウォッチ2025(令和7)年4月度」

売却相場については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【2023年】マンション売却の相場を知るには?調査の仕方や確認すべきポイントについて

マンションの資産価値を調べる方法は?ケース別に活用できる評価額を解説

路線価から実勢価格は求められる?それぞれの違いや調べ方を紹介

住宅ローン完済が可能な最低売却価格を確認

住宅ローンが残っている場合は、最新の住宅ローン残債や住宅ローンを完済できる最低売却価格を確認しておきましょう。売却価格で住宅ローンを一括返済する予定であれば、売却価格が住宅ローン残債を上回る必要があります。
売却希望価格にも影響する恐れがあるので、正確な額を把握しておきましょう。

売却価格で完済できない場合は、預貯金などで充当する必要があります。決済日までに現金を用意するか、口座から引き出せるように準備しておきましょう。
預貯金などの手元資金で充当できない場合は、「住み替えローン」を利用する方法もありますが、今の住宅ローン残債と新居のローンを一緒に借り入れる為、借入金額も大きくなりやすく、審査が厳しい為承認までに時間がかかります。早めに金融機関に相談しておきましょう。

マンション売却時に住宅ローン残債がある場合の対処法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

ローン残債があってもマンション売却できる?ケース別に対処方法を解説

住み替えローンとは?メリット・注意点や利用の流れ、ローン返済中の住み替え可否も解説

ローン返済中の家は売却できる?売却方法や注意点を解説

売却までにかかる費用・税金の確認

マンション売却で手元に残る金額は、「売却価格から住宅ローン残債と諸費用を差し引いた金額」です。その為、売却でどのような諸費用がかかるのか把握し、シミュレーションしておきましょう。

マンション売却でかかる主な費用や税金は以下の通りです。

項目 内容
仲介手数料 仲介を依頼した不動産会社へ支払う手数料
印紙税 課税文書である売買契約書を作成する際にかかる税金
登録免許税 抵当権抹消登記や住所変更登記にかかる税金
譲渡所得税 土地や建物などの資産を譲渡することによって生じた所得に対してかかる、所得税と住民税、復興所得税(令和19年まで)の総称
司法書士手数料 抵当権抹消登記や住所変更登記を依頼する司法書士への報酬
繰り上げ返済手数料 住宅ローンを繰り上げ返済する際に金融機関へ支払う手数料
引っ越し代 引っ越し会社へ支払う費用

マンション売却にかかる税金や費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却にかかる費用や手数料は?費用を抑える方法も紹介

マンション売却にかかる税金はいくら?計算方法や知っておきたい控除について徹底解説

仲介手数料

仲介手数料とは不動産会社へ支払う手数料です。
仲介手数料は、法律によって不動産会社が受領できる上限額が定められており、取引額(売買価格)に応じて決まります。
具体的な算出方法は以下の表の通りです。

売買価格 仲介手数料の上限
200万円以下 売買価格×5%+消費税
200万円超400万円以下 売買価格×4%+2万円+消費税
400万円超 売買価格×3%+6万円+消費税

「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」により、800万円以下の宅地や建物については、不動産会社は上記の上限額を超えて33万円(税込)まで請求できます。また、この特例は売主様側にのみ適用されます。

仲介手数料の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

不動産売却の仲介手数料とは?計算方法や支払い時期についてご紹介

出典:国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」

印紙税

売買契約書は印紙税法上の課税文書の為、作成時には収入印紙を貼って印紙税を納める必要があります。
なお、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される売買契約書については、印紙税の税額が軽減されます。本則と軽減後の税率は、それぞれ以下の通りです。

売買代金 本則税率 軽減税率
100万円を超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円を超え1億円以下 6万円 3万円

出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

譲渡所得税(住民税・所得税)

譲渡所得税とは、土地や建物などの資産を譲渡することによって生じた所得に対してかかる所得税や住民税などの税金の総称です。なお、令和19年までは復興特別所得税として、基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて納付します。

課税対象となる譲渡所得は、売却価格と購入時の価格の単なる差額ではありません。取得や譲渡にかかった経費も差し引いたうえで算出されます。

そして、所有期間に応じた税率を譲渡所得に乗じることで、譲渡所得税を計算できます。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 復興特別所得税 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 0.315% 20.315%

譲渡所得については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

譲渡所得とは?不動産売却時の税金の計算から確定申告手続きまで詳しく解説

長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説

出典:国税庁「土地や建物を売ったとき」

税金や費用に関しては、必ず税理士に確認することをお勧めします。
長谷工の仲介では、税金の疑問や不安について無料で相談できる税務相談サービスを提供しておりますので、不安な方はお気軽にご利用ください。

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抵当権抹消登記費用

住宅ローンが残っていて抵当権が設定されている不動産を売却する場合は、売主様の費用負担で抵当権抹消登記の手続きを行わなければなりません。その場合、司法書士への報酬(1万〜3万円)と登録免許税がかかります。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は不動産1戸につき1,000円で、マンションは土地と建物のそれぞれに抵当権が設定されている為、登録免許税は2,000円となります。

司法書士への報酬支払い時に登録免許税を預け、司法書士に代理で納税してもらうのが一般的です。

抵当権抹消手続きにかかる費用ついては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説

抵当権抹消登記申請書の書き方とは?流れや費用まで徹底解説

出典:日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」

出典:津地方法務局「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」

繰り上げ返済手数料

ローンを繰り上げ返済する際に、金融機関の手数料がかかります。金融機関や返済方法によって異なりますが、無料のケースや数十万円程度かかるケースもあります。事前にどのような返済方法があり、いくらかかるのか金融機関に確認しておきましょう。

売却先行と購入先行の選択

住み替えには、売却を先に行う「売却先行」と購入を先に行う「購入先行」の2種類があります。

売却先行は、売却してから新居を購入する方法になります。住宅ローンを支払っている場合はこの方法で住み替えを行うのが一般的です。
ただし売却先行は、引き渡しの際に新居の場所が決まっていなかった場合、仮住まいを用意しなければならず、賃料や引っ越し費用が発生します。

購入先行は、新居を購入してから売却する住み替え方法です。住宅ローンを二重に組める場合や現金の用意ができる場合は、こちらの方法を選択しても良いでしょう。

購入先行では、仮住まいの必要がなくなる為、引っ越しが1回で済みます。

ただし、売却が完了するまでの間、売却予定の物件と購入した物件の両方で固定資産税や管理費などの維持費が二重に発生します。さらに、購入物件で住宅ローンを利用する場合は、ローンの返済も一時的に二重になる恐れがあります。

マンションの住み替えについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

住みながら家を売ることはできる?メリットやポイントも併せて紹介

マンションを売却して住み替える方法とは?流れや費用、利用できる特例を紹介

マンション売却前の注意点

マンション売却前には、どのような点に注意したら良いのでしょうか。特に大切なポイントを5つご紹介します。

スケジュールや書類の準備には余裕を持つ

マンション売却は、売り出しから引き渡しまでに数ヵ月かかることが多い為、余裕を持ったスケジュールを立てることをお勧めします。

前述した通り、査定時や売買契約時には様々な書類が必要になります。焦ることがないように、書類は早めに準備しておきましょう。
例えば、査定の際には「登記済証(権利証)または登記識別情報通知書」を不動産会社に提示し、確認されることが一般的です。他にも、固定資産税・都市計画税の納付通知書や住宅ローンの返済表、マンションであれば新築時のパンフレットやオプションの注文書などがあると、査定がスムーズに進みます。

ただし、書類によっては「○ヵ月以内に発行されたもの」といった取得期限が設けられている場合があります。
特に、所有権移転登記に必要な印鑑登録証明書は「引き渡し時から3ヵ月以内に発行のもの」という条件がありますので、必要なタイミングに合わせて取得するようにします。

売却のタイミングを見極める

マンションは、基本的にはどのタイミングでも売却可能です。ただし、不動産には売れやすい時期と売れにくい時期がある為、できれば売れやすい時期に焦点を合わせて売却準備を進めましょう。

例えば、1〜3月は新年度の4月に向けて引っ越しが増える為、売却に適した時期といえるでしょう。もし1〜3月が難しい場合は、転勤などの人事異動で比較的需要が高まる9〜10月の売却をお勧めします。

家の売却のタイミングについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

家を売るタイミングはいつ?判断基準や売却に向いていない時期を解説

マンション売却に適した時期は?売却にお勧めの時期やポイントを解説

複数の不動産会社に査定を依頼し、査定金額の根拠を確認する

査定は売り出し価格を決定する際の、参考価格を知る為に行うものです。
周辺の成約事例や売り出し中の物件を参考に算出するケースが多いですが、査定金額の根拠はしっかりと確認するようにしましょう。基本的には複数の不動産会社に依頼し、比較するようにします。

高額の査定金額を提示した不動産会社に売却を依頼したくなるかもしれません。しかし、査定価格はあくまでも売却予想価格です。不動産会社が買い取ってくれるわけではありませんので注意しましょう。

売り出し価格が高すぎるとなかなか売れなかったり、売却が長引くことによって値下げせざるをえなくなったりすることもある為、注意しましょう。

売却したい物件のアピールポイントをまとめる

物件のアピールポイントをまとめておくことも大切です。
実際に住んでいるからこそ分かるメリットや物件の気に入っている点を箇条書きにして、査定を依頼する際に不動産会社の担当者へ伝えておきましょう。広告などで表現してもらえたり、内覧前後に購入希望者にアピールポイントとしてうまく伝えてもらえます。

「アピールポイントが分からない・見つからない」といった場合は、不動産会社に相談してみましょう。

また、査定を依頼する際は、床や壁にキズはないか、設備は故障していないかなど部屋の状態を確認することも重要です。

仲介以外の売却方法を視野に入れる

マンションを売却する場合、不動産会社へ仲介を依頼して買主様を探すのが一般的ですが、不動産会社に直接買取を依頼して売却する方法もあります。

仲介だけでなく買取による売却方法を視野に入れておくことで、例えば一定期間は仲介による売却を目指し、その期間内で売却できなかった場合は事前に不動産会社と取り決めた価格で買い取ってもらう買取保証(売却保証)を利用するなど、状況に応じた柔軟な売却が可能になります。

複数の売却方法を選択しておくことで、売れ残るリスクを軽減できるうえ、売却時期や引っ越しのタイミングが決まっている場合も安心して売却を進められます。

仲介と売却の違いは以下の表の通りです。

比較項目 仲介 買取
売却価格 相場に近い価格で売却できる 相場価格の7割程度になることもある
売却までの期間 4~6ヵ月かかることが多い 早ければ1週間程度で売却可能
仲介手数料の有無 仲介手数料がかかる 仲介手数料は不要
契約不適合責任の有無 基本的には契約不適合責任有り 契約不適合責任を無しにすることもできる

マンションの買取については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説

買取保証付き仲介とは?仲介との違いやメリット・注意点、売却の流れを解説

長谷工の仲介では、仲介はもちろん売却保証・直接買取も承っています。売却したい時期が決まっている方はぜひお気軽にご相談ください。

長谷工の仲介の売却保証・直接買取はこちら

リフォームは慎重に行う

マンションを売却する際は、基本的にはリフォームする必要はありません。

買主様の趣味に合わないリフォームをしてしまうと、避けられる恐れがある為です。
また、必ずしもリフォームをしても査定価格が高くなるわけではなく、リフォームにかかった費用を売却価格に上乗せできない場合もあります。

もし、室内の劣化が気になる、修繕したい箇所がある場合は不動産会社にリフォームについて相談のうえ、慎重に検討しましょう。

マンション売却時のリフォームについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションリフォームの費用相場は?費用を抑えるポイントや実施する際の注意点を解説

マンション売却でリフォームは不要?売却価格などの面からその理由を徹底解説

マンション売却活動中の注意点

次に、マンション売却中における注意点を2つご紹介します。

設備表と物件状況等報告書を正しく記載する

売買契約に際して、売主様は付帯設備表と物件状況報告書を作成します。付帯設備表とは、設備の有無や不具合を買主様に伝える為の書面です。物件状況等報告書とは、雨漏りや給排水管の故障などの履歴を買主様に伝える為の書面となります。

引き渡し後に傷や不具合があることが分かり、それが契約内容とは異なるものであるときは、補修や契約解除、損害賠償などの責任(契約不適合責任)を問われる恐れがあります。
契約不適合責任を問われないようにする為にも、傷や不具合は正しく告知し、売買契約書や重要事項説明書、付帯設備表、物件状況報告書にも記載して、買主様の了解を得ることが必要です。

マンションの築年数が古い場合など、引き渡し後の不具合が心配な場合は、インスペクションを検討しても良いでしょう。インスペクションとは、建築士など建築に精通した者が第三者的な立場で、建物の状態を確認して劣化具合を調査することです。建物状況調査と呼ばれることもあります。

契約不適合責任やインスペクションについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却における瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは?対策方法を解説

インスペクションのメリットは?流れや費用相場、検査項目などを解説

売買契約の特約を確認する

売買契約には「特約」という条件が付くことがあります。例えば、買主様が住宅ローンを使う場合は「ローン特約」がつけられることが一般的です。

買主様が行う住宅ローンの本審査には売買契約書が必要である為、買主様は売買契約締結後に住宅ローンの本審査を行います。
場合によっては買主様が住宅ローンの本審査に通らず、「ローン特約」によって契約が解除されてしまうこともある為、注意が必要です。ローン特約による解除の場合、手付金を返還することになります。

買主様の状況については不動産会社を通して確認しておき、ローン審査に通りそうな買主様か、そうでない方かは理解したうえで契約に臨むようにしましょう。

マンション売却後の注意点

マンション売却後の注意点を2つご紹介します。

引き渡し期日を守る

マンションの売買契約後、すみやかに引っ越し準備を進めましょう。引き渡し日にマンションを引き渡しできないと、契約不適合責任を問われることになります。

仮に引き渡し日が遅延することで買主様に損害が発生した場合、損害賠償請求される恐れがあり、場合によっては契約解除を求められるケースもあります。

管理組合へ報告する

前述した通り、マンションの引き渡し後は、すみやかに管理組合(管理会社)へ区分所有者変更届を提出しましょう。管理組合への報告を怠ると、引き渡し後も管理費や修繕積立金が引き落とされてしまいます。

マンション売却で知っておくべき税金特例

マンション売却で知っておきたい税金の特例を、5つご紹介します。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは、マイホームを売って譲渡所得(利益)が発生した場合、一定の条件を満たすことで譲渡所得から最高で3,000万円まで控除できる特例です。
この特例を利用した場合の譲渡所得は以下のように計算できます。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額3,000万円

この特例を利用するには、以下のような適用条件を満たす必要があります。

  • 自分が住んでいる住宅であること
  • 3年以内に「マイホームの買換え特例」や「マイホームの交換の特例」の適用を受けていないこと
  • 親子や夫婦間売買ではないこと

3,000万円の特別控除については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

3000万円特別控除とは?適用条件や計算方法について解説

出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

所有期間による軽減税率

所有期間が10年を超えるマイホームを売る場合は、「所有期間による軽減税率」という特例を利用できる可能性があります。
具体的には、譲渡所得のうち6,000万円以下については、長期譲渡所得の税率(20.315%)よりもさらに低い税率(14.21%)が適用されます。

この特例を利用するには、以下のような適用条件を満たす必要があります。

  • 売却した年の1月1日に所有期間が10年を超えている
  • 3年以内にこの特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦間売買ではないこと

出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

特定の居住用財産の買換え特例

2025年12月31日までにマイホームを売って新居を購入した場合、一定の要件を満たすことで「特定の居住用財産の買換え特例」を利用できます。この特例を利用することで、譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができます。

ただし、「税金がゼロ円になる」というわけではなく、あくまでも課税のタイミングが先に延びるだけの為、注意しましょう。

この特例を利用するには、以下のような適用条件を満たす必要があります。

  • マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年間にマイホームを買い換えること
  • 3,000万円控除を利用していないこと
  • 売買代金が1億円以下であること

出典:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

2025年12月31日までにマイホームを売って新居を買い替えた場合で、売却で譲渡損失が発生するときは、「居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用できます。この特例を利用することで、その年の給与所得など他の所得と損益通算できます。
また、その年で控除しきれなかった場合は、翌年以降3年間繰り越しできます。

この特例を利用するには、「譲渡資産」(旧居宅)の要件と「買換資産」(新居宅)の要件をそれぞれ満たなければなりません。具体的な要件には以下のようなものがあります。

  • (譲渡資産の要件例)売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えている
  • (買換資産の要件例)新居を購入した年の12月31日時点で借入期間が10年以上の住宅ローンがある
  • 親子や夫婦間売買ではないこと

出典:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

出典:国税庁「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合の確定申告書等の書き方(措法41の5)」

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」とは、相続や遺贈によって取得した土地や建物を一定期間内に売却した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡所得の取得費として加算できます。

この特例を利用するには、売却する不動産を取得した方に相続税が課税されていることが前提となります。また、売却するタイミングにも条件があり、相続が発生した日の翌日から相続税の申告期限(相続税発生から10ヵ月)の翌日以後3年を経過する日までに譲渡する必要があります。

本特例や相続税については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

相続した不動産の売却にかかる税金は?税金の種類から税金負担を減らす方法まで徹底解説

出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

マンション売却時の不動産会社選びのポイント

実際にマンションを売却するにあたって、どのような不動産会社に依頼すれば良いのでしょうか。ここでは、不動産会社選びのポイントを解説します。

豊富なマンション売却実績がある

特定のマンションを指定して、購入を検討されている買主様は多くいらっしゃいます。不動産会社は買主様の購入希望を管理している為、ご所有のマンションの売却実績が豊富な不動産会社を選ぶようにしましょう。

また、設計・施工・管理などのマンション全般にわたるノウハウが豊富な会社を選ぶのもお勧めです。

サポートや保証が充実している

サポートや保証が充実しているかどうかも、不動産会社を選ぶ際に重視したいポイントです。特に、買主様に対して建物保証や設備保証を行っている会社であれば、売主様も安心して売却できます。

長谷工の仲介では仲介バリューアップサポートとして、水回りのクリーニングやプロのカメラマンによる撮影などのサポートをご用意しています。また、売主様も買主様もご安心していただける長期間の建物保証もあり、お引き渡し後のサポートも充実しています。

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多彩なメディア戦略を持っている

最近は物件紹介で360°VR内覧など、自宅で物件を確認できる会社が多いです。
ポータルサイトへの広告物件掲載のほか、自社のWEBサイトや提携企業との連携など、多様な販売チャネルを持っている会社を媒介契約先として考えれば良いでしょう。

アピールポイントや販売戦略を熟知している

マンションの分譲や施工なども行っている、グループ会社の不動産会社を選ぶのも一つの手です。新築マンションの販売や施工など幅広くサービスを展開している為、販売戦略はもちろんのこと、買主様にアピールポイントを的確に伝えることができます。

多くの不動産会社とのつながりを持っている

会社間のネットワークによる買主様の紹介なども見逃せないポイントです。長谷工グループは地場の不動産会社をはじめ、デベロッパー、大手販売会社、金融機関などの様々なネットワークを形成しています。

マンション売却でよくある質問

最後に、マンション売却に関するよくある質問をご紹介します。

マンション売却でよくある失敗例は?

例えば媒介契約後、すぐに内覧希望者が現れることがあります。清掃や整理整頓が間に合わず、そのままの状態で内覧に応じたことで、内覧希望者の印象が下がってしまい成約に至らなかったという失敗例があります。
なるべく綺麗な状態で見てもらう為にも、清掃や整理整頓は事前に行うことが大切です。

また複数社に売却を依頼していると、内覧日時が重なってしまうことがあります。内覧は時間を設定していても状況によって早まったり、逆に遅くなったりするケースがある為、重ならないようにスケジュールを調整しましょう。

マンション売却でよくある失敗例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却で失敗したくない!よくある17の失敗例と後悔しない為の対策

エリアごとに相場は違う?

マンションはエリアによって相場が異なります。また同じエリアでも、築年数や物件の状況、立地によっても相場は異なってきます。
各エリアの売却相場については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

東京都のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

大阪府のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

横浜市のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

名古屋市のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

福岡県のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

築年数は売却価格に影響する?

マンションの築年数は、売却価格に影響します。もちろんマンションの売却価格は築年数だけでなく、立地や広さ、間取り、室内の状態など、様々な要因が影響するものです。

特に、建物は築年数とともにその資産価値が減少する為、年数を重ねるごとに価格は下落する傾向があります。なおマンションの耐用年数は47年ですが、築50年のマンションの資産価値がゼロになるということではありません。築古マンションであっても築古物件ならではのポイントを押さえておけば売却できます。

マンションの築年数と売却価格の関係や築古物件を売却する際のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却に築年数は影響する?築年数別に売却のポイントを解説

築30年のマンションは何年住める?売却のコツや売れない理由と対処法を解説

築50年のマンションでも売却できる?旧耐震物件の資産価値や特徴、買主様のメリットを解説

離婚のときはどうすれば良い?

離婚後のマンションの利用方法として売却する、どちらかが住み続ける、賃貸として貸し出す方法があります。
しかし住宅ローンを借り入れている場合、夫または妻が連帯保証人になっていることが多く、マンションを保有し続けていると相手側のローン返済の債務を自分も負うことになります。

その為、基本的にはマンションは売却して住宅ローンを完済するようにしましょう。
住宅ローンを完済することで連帯保証人から外れることができ、万が一相手側が返済を怠ったとしても、自分が代わりに返済する義務がなくなる為安心です。

また、仮に一方の名義で購入したマンションだとしても、離婚時には財産分与する必要があります。マンションを売却して現金化すれば、財産分与もスムーズにすることができます。

離婚時のマンション売却や財産分与については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

離婚時にマンションを売却すべき?財産分与やローンがある場合の注意点を解説

熟年離婚の財産分与でマンションはどう分ける?具体的な分割方法を解説

相続のときはどうすれば良い?

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
相続が発生したら相続人で早い段階で遺産分割について協議し、なるべく早めに相続登記をするようにしてください。そして、不動産を売り出す前には必ず相続登記を完了しておきましょう。

相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告する必要があり、期限までに税金を納付しないと延滞税がかかります。

相続の手続きや売却する手順については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション相続の手続きとは?流れや相続税の計算、利用できる控除を解説

親が亡くなったら何をする?手続きや家の相続についても解説

実家を売却する手順は?かかる税金や後悔しない為のポイントを解説

参考:法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」

転勤のときはどうすれば良い?

転勤の期間が長い、もしくは将来的に住み替えを検討している場合は、売却を検討しましょう。売却することで住宅ローンを完済できれば、月々の負担を軽減できます。

しかし転勤のタイミングによっては、売却の為の時間が十分に確保できないケースも考えられます。その場合は、買取による売却も視野に入れて検討しましょう。

転勤の場合は、売却のほかにも賃貸として貸し出すという選択肢もあります。
その際、もし賃貸物件として無断で貸し出すと、ローン契約(金銭消費貸借契約)違反となり、住宅ローンの一括返済を求められる恐れがあり注意が必要です。まずは金融機関へ相談し、住宅ローンをフリーローンなどへ切り替えましょう。

転勤時のマンション売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

転勤時にマンションは売却する?賃貸?売却のタイミングやコツを解説

まとめ

マンションを売却したいと考えたとき、まずは全体の流れを把握することが重要です。またマンション売却にかかる費用を把握しておくことで、資金計画が立てやすくなります。

さらに、売却方法も複数の選択肢を持っておくと安心です。
状況に応じて、仲介での売却だけでなく買取による売却も視野に入れましょう。仲介と買取の両方を視野に入れる場合は、買取保証(売却保証)がある不動産会社を選択することで、万が一仲介で売れなかった場合でも、スムーズに売却を進められます。

長谷工の仲介は無料査定を行っています。今のマンションがいくらで売却できるのか知りたい方は査定してみてはいかがでしょうか。

※本記事の内容は2025年7月3日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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