2023.10.27マンション売却の流れは?注意点やかかる税金・費用、失敗事例についても紹介

マンション売却の相場を知るには?画像

大切な資産であるマンションを上手に売るには、最初に売却の全体の流れを知ることが重要です。はじめてマンションを売るにあたり、なにから手をつければ良いかわからない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、はじめてマンションを売る方に向けて、マンション売却の流れや注意点について解説します。

初めてのマンション売却で知っておくべきこと

マンションを売却する前に、まずは売却するまでにどのくらいの期間がかかり、またどのような税金や諸費用がかかるのか確認しておくことが大切です。

一般的に売却までにかかる期間や、売却時にかかる税金や費用を紹介します。

マンション売却にかかる期間は?
マンションを売り出して売買契約を締結し、引き渡して現金化できるまでに4~6ヵ月かかるのが一般的です。
したがってマンションを売却して住み替えをする場合、売却期間を十分確保する必要があります。

売り急いでしまうと、値下げせざるをえなくなる恐れがあります。余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
マンション売却ではどのような費用や税金がかかる?
マンションを売却する為に不動産会社に仲介を依頼する場合は、仲介手数料がかかります。

マンションを売却して利益が発生した場合は、その利益(譲渡所得)に対して税金がかかります。ただし、利益が出たときでも、居住用財産で一定の要件を満たす場合は特例による控除ができる可能性があります。

また、売買契約時に必要な売買契約書は印紙税が課税される文書です。なお、売買契約の金額によって課税額は異なります。

その他、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する場合は、金融機関の事務手数料や抵当権を抹消する為の登記費用がかかります。

マンション売却の流れとは?

マンション売却は、準備から引き渡しまでに一般的に半年程度かかります。おおまかな流れを把握し、スケジュールに余裕を持って計画しましょう。
マンション売却の流れをまとめると以下の通りです。

マンション売却の流れ
フェーズ 流れ 概要
事前準備 査定の依頼 最初に査定を依頼します。
媒介契約の締結 不動産会社と仲介の契約(媒介契約)を締結し、売却を依頼します。
売り出し価格の決定 査定価格をもとに売り出し価格を決めます。
売却活動 売却活動の開始 売りに出してから買い手が決まるまで1~3ヵ月程度を要します。
条件交渉 購入希望者から購入申込書を受領し、条件交渉をおこないます。
売買契約の締結 書面で売買契約書を締結します。買主様より手付金を受領します。規定額の印紙の購入と仲介手数料(半金)の支払いが必要です。
売買契約後 住宅ローンの一括返済手続き 売買代金で住宅ローンを一括返済する場合は、金融機関へ一括返済の申し込みをします。
引っ越し 引き渡しの前に引っ越しをおこない、空き家の状態とします。
引き渡し 残代金の支払いを受け、鍵および必要書類を引き渡します。また、残りの仲介手数料(半金)を支払います。抵当権抹消が必要な場合は、抵当権抹消関連費用が生じます。
売却後 確定申告 確定申告が必要な場合は売却した翌年の2/16~3/15の間におこないます。

それぞれの流れを詳しく見ていきましょう。

不動産会社に査定を依頼する

査定は売り出し価格を決める際に、参考とする為に行うものです。査定には机上査定(簡易査定)と訪問査定があります。

机上査定は実際にマンションの現地調査をせずに、一定の情報や成約事例をもとに査定する方法です。査定額をすぐに知ることができるのがメリットですが、各室内の状態や設備の有無を加味しない為、実際の査定額と差が出てしまう可能性がある点に注意が必要です。
一方で、訪問査定は室内だけでなく、マンションの共用部や外観、周辺環境も加味して査定する方法です。

その為、まずは机上査定で依頼する不動産会社を選定し、そのうちの2〜3社に訪問査定を依頼すると良いでしょう。

マンション売却査定の流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説

不動産会社と媒介契約を締結する

マンションの売却を依頼する場合、不動産会社との間で締結する媒介契約(仲介を依頼する契約のこと)の種類を決めます。
媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。複数社に依頼できるのが一般媒介、1社のみに限定されるのが専任媒介・専属専任媒介です。
それぞれの特徴をまとめると以下の通りです。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約期間 法律上の制限なし一般的には3ヵ月 3ヵ月以内 3ヵ月以内
複数の不動産会社と契約できるか 可能 不可 不可
依頼主への活動報告義務 なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
自分で買主様を発見し取引できるか 可能 可能 不可
レインズの登録義務 なし 7日以内に登録 5日以内に登録

参考:公益社団法人 全日本不動産協会 WEBサイトより

どの媒介契約を選ぶかは、仲介会社の販売戦略・手法を含めて検討されるのが望ましいです。レインズ登録物件の全体の70〜80%が(専属)専任媒介契約となっており、専任媒介契約を前提にした売り出し提案が多いことが窺えます。

媒介契約については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

一般媒介契約とは?契約のメリットや注意点を解説

専任媒介契約とは?他の媒介契約との違いやメリット・注意点を分かりやすく解説

マンションの売り出し価格を確定する

不動産会社と媒介契約を締結したら、不動産会社と相談して売却に向けてマンションの売り出し価格を確定します。
なお、不動産を売却する時点で住宅ローンが残っている場合は、売却価格で残債を一括返済できるかどうかを確認しておく必要があります。
もし売却価格で住宅ローンを返済できない場合は、不足分を預貯金などの手元資金で充当するか、住み替えローンを利用する必要があります。
住み替えローンの利用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

住み替えローンの利用はあり?メリットや金利・審査面から注意点を解説

売却活動をはじめる

売却活動をはじめると、不動産会社はホームページや広告、物件情報サイトへ物件情報を掲載して内覧希望者を募ります。内覧とは、購入希望者に家の中を見せることです。

そして、マンションに興味を持った購入希望者を連れて、内覧を行います。内覧の基本的な対応は不動産会社に任せることができますが、質問が出た際は快く回答するようにします。

なお内覧の前には念入りに清掃し、必要に応じて水回りのハウスクリーニングを施しておくと購入希望者に好印象を与えられるでしょう。

不動産会社によっては、専任媒介または専属専任媒介で契約すると水回りのクリーニングや床・壁の修復、荷物の一時預かりといったサービスを提供している会社もあります。売却をサポートするサービスの有無も、不動産会社選びの参考にしてみてください。

マンション売却の内覧やハウスクリーニングについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介

マンションのハウスクリーニングの相場は?売却時に実施するメリットやポイントを解説

契約条件の交渉を行う

物件購入を決断した購入希望者からは、購入申込書が提示されます。購入申込書には、購入希望価格などの希望条件が記載されています。
売却する側として、契約条件の交渉を行います。条件が整理できたら売渡承諾書を作成し、購入検討者に対して、条件を明記することもあります。

売買契約を結ぶ

契約条件が整ったら書面で売買契約を締結します。
売買契約締結時には、買主様から手付金を受領します。手付金は売買代金の10%前後です。

また売買契約時のタイミングで、売主様は不動産会社に仲介手数料の50%を支払います(残りの50%は残代金決済時の支払いになります)。
売買契約や手付金については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションの不動産売買契約書とは?記載内容や流れを解説

不動産売却で発生する手付金とは?相場や手付解除時の対応方法について解説

マンションの引き渡し準備を行う

売買契約から1〜2ヵ月で引き渡しになることが多いですが、2週間程度で決済が可能な場合もあります。その為には、事前に金融機関に連絡を取り住宅ローンの一括返済の手続きにかかる時間などを確認し迅速に手続きを進めていきましょう。

ローン一括返済には、金融機関によって一括返済に関する手続きの期間が異なります。その為、仲介会社へ借り入れをしている金融機関や支店を伝えることも大事です。

登記されている内容によっては、残代金決済時に所有権移転登記手続き以外にも登記手続きをする必要が出てきます。例えば抵当権抹消や住所変更登記です。
登記は仲介会社より紹介された司法書士に依頼することが一般的です。必要書類の案内がありますが、戸籍の附票など、本籍地の役所に書類を依頼することもあります。なるべく余裕をもって準備しておきましょう。

また、公共料金などの移転手続きなども忘れないようにしましょう。マンション管理組合への「区分所有者変更届」提出を求められることもあります。その場合は、残代金決済時に買主様とともに書類を作成し、その後提出するのが一般的です。

引き渡し作業や諸費用の支払いを行う

引き渡しの場所は、買主様が住宅ローンを組む銀行で行うのが一般的です。引き渡しでは買主様から手付金を除く残代金が支払われます。また、固定資産税や管理費および修繕積立金も清算します。

そして、売主様は不動産会社に仲介手数料の残りの50%を支払います

引き渡しでは、以下の書類が必要です。

用途 書類名
買主様へ引き渡す資料(必須ではありませんが、お渡しすると喜ばれます) ・分譲時のパンフレット・管理規約および使用細則
・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写しなど
・管理費・修繕積立金の額の確認書など
登記に必要な資料 ・登記済証(権利証)または登記識別情報通知書・印鑑登録証明書(3ヵ月以内に発行されたもの)
・固定資産税評価証明書(委任状を作成し、仲介会社で取得することもあります)
・本人確認書類(司法書士用)
・住民票、戸籍の附票など、司法書士から案内があった書類
・抵当権の抹消に必要な書類(住宅ローンが残っている場合)

住宅ローンが残っている場合、売主様の金融機関担当者に抵当権抹消に必要な書類の持参を依頼したり、金融機関へ取りに伺ったりする必要があります。
また、抵当権抹消など、登記関係の手続きがあるときは、司法書士とのやり取りが必要になります。司法書士から案内のあった書類や登記の委任状を作成し、司法書士に渡します。

売却にともなう登記手続き(主なもの)
抵当権の抹消手続き 残代金で住宅ローンを一括返済する際、抵当権の抹消登記をおこないます。
住所変更登記 すでに引っ越しが済んでおり、登記上の住所に住んでいない際には変更登記をおこないます。
氏名変更登記 結婚などにより登記上の氏名と現状が異なっているときには変更登記をおこないます。

抵当権抹消やマンション相続時の手続きについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説

マンション相続の手続きとは?かかる税金や負担を減らすコツを解説

確定申告を行う

マンション売却で譲渡益が出て税金を納める場合や、税金の特例や控除を利用する場合は、確定申告が必要です。

確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に行います。必要があるにも関わらず確定申告を怠った場合は、無申告加算税などのペナルティが課される為注意しましょう。

確定申告の具体的な手順などは、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説

初めてのマンション売却、何からはじめる?

マンションを売却する場合、何からはじめたら良いのでしょうか。マンション売却前に必要な準備について具体的に解説します。

必要な書類の準備

まずは、マンションを売却するまでに必要な書類を準備しましょう。
売却までに必要な主な書類は以下の通りです。

用途 書類名 入手方法
査定時・媒介契約時に必要な書類 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書 売主様が保有
固定資産税・都市計画税の納付通知書 売主様が保有
住宅ローンの返済表 売主様が保有
分譲時のパンフレット 売主様が保有
買主様へ引き渡す資料(※1)(引き渡し時) 分譲時のパンフレット 売主様が保有
管理規約および使用細則 売主様が保有
最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写しなど 売主様が保有
管理費・修繕積立金の額の確認書など 売主様が所有
登記に必要な資料(引き渡し時) 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書 売主様が保有
印鑑登録証明書(3ヵ月以内に発行のもの) 市町村役場(300円)
固定資産評価証明書(土地・建物) 市町村役場(300~400円)
住民票などの登記関連書類(司法書士より要請があったときに取得します) 市町村役場(300円)
本人確認書類(司法書士用) 売主様が保有
抵当権の抹消に必要な書類(住宅ローンが残っている場合) 売主様が住宅ローンを借りている銀行
確定申告に必要な書類(確定申告時) 売却したマンションの謄本 法務局(窓口申請:600円)
住民票の除票(※2) 市町村役場(300~400円)(※3)
売却物件の購入時・売却時の売買契約書 売主様が保有
費用を証明する領収書など 売主様が保有
その他 利用する特例によって異なる

※1必ず必要なわけではありませんが、お渡しいただけると喜んでいただけます。
※2契約日前日までに住民票の住所と譲渡資産の所在地が異なる場合は必要になります。
※3各種手続きにかかる費用は市区町村によって異なる場合がございます。

マンション売却に必要な書類については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却に必要な書類は?段階ごとの必要書類と入手方法を解説

売却相場の調査

不動産会社に査定を依頼する前に、自分で相場を知っておくことも大切です。ホームページやチラシなどの広告で、自分のマンションや周辺の売り出し物件の価格を把握しておくと良いでしょう。売り出し物件の面積や価格帯を知ることで、相場感を養えます。自分のマンションと売り出し物件の広さや階数を比較すれば、おおよその売り出し価格も想定できることでしょう。

売却相場については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【2023年】マンション売却の相場を知るには?調査の仕方や確認すべきポイントについて

マンションの資産価値を調べる方法は?ケース別に活用できる評価額を解説

路線価から実勢価格は求められる?それぞれの違いや調べ方を紹介

住宅ローン完済が可能な最低売却価格を確認

住宅ローンが残っている場合は、最新の住宅ローン残債を確認しておきましょう。住宅ローン残債を売却額で一括返済する計画であれば、売却額は住宅ローン残債よりも上回る必要があります。

売却希望価格にも影響する恐れがあるので、正確な額を把握しておきましょう。売却代金で足りない場合は、預貯金などを充当する必要があります。決済日に現金で用意するか、口座から引き出せるように用意しておきましょう。

マンション売却時に残債がある場合の対処法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

ローン残債があってもマンション売却できる?ケース別に対処方法を解説

売却までにかかる費用・税金の確認

マンション売却で手元に残る金額は、「売却額から住宅ローン残債と諸費用を控除した金額」です。その為、売却後にどれくらい手元に残るのかを把握しておき、不足がないよう早めに準備しましょう。
マンション売却でかかる主な費用や税金は以下の通りです。

項目 内容
仲介手数料 400万円超なら「売買金額の3%+6万円(+消費税)」
低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例により、400万円以下部分の上限は18万円となる。
印紙税 売買契約書に貼る印紙で、売買代金によって異なる。1,000万円超5,000万円以下なら1万円。5,000万円超1億円以下なら3万円。
※ただし、軽減措置の対象となるのは平成26年4月1日から令和6年3月31日までに作成されたもの
登録免許税 住宅ローンを一括返済する場合は、抵当権抹消の登録免許税がかかる。不動産1個につき1,000円。通常、土地と建物に抵当権が設定されている為、2,000円となることが多い。
その他、住所・氏名の変更登記や相続などの登記を同時に行う場合は別途費用が発生する。
譲渡所得 譲渡所得とは、土地や建物などの資産を譲渡することによって生じた所得。その利益に対して所得税と住民税、復興所得税(2037年まで)がかかる。

かかる税金は、譲渡益から取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡所得金額に、所有期間に応じた税率を乗じて算出する。所有期間が5年以下の場合は39.63%、5年超の場合は20.315%の税率がかかる。
司法書士手数料 1万円~3.5万円程度だが、抵当権抹消登記の手数料は依頼先により異なる。
繰り上げ返済手数料 銀行に支払う手数料で、0円~数十万円と銀行により異なる。
引っ越し代 家族構成や引っ越し距離により異なる。

税金や費用に関しては、必ず税理士に確認することをお勧めします。
長谷工の仲介では、税務相談を受け付けておりますので、不安な方はお気軽にご利用ください。

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マンション売却にかかる税金や費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却にかかる費用や手数料は?費用を抑える方法も紹介

マンション売却にかかる税金はいくら?計算方法や知っておきたい控除について徹底解説

売却先行と購入先行の選択

買い替えには、売却を先に行う「売却先行」と購入を先に行う「購入先行」の2種類があります。

売却先行は、売却してから新居の購入をする買い替え方法になります。住宅ローンを支払っている場合はこの方法にて買い替えを行うのが一般的です。
ただし売却先行は、引き渡しの際に住み替えの場所が決まっていなかった場合、仮住まいを用意しなければならず、賃料や引っ越し費用が発生します。

購入先行は、新居を購入してから売却する買い替え方法です。住宅ローンを二重に組める場合や現金の用意ができる場合は、こちらの方法を選択しても良いでしょう。

購入先行では、仮住まいの必要がなくなる為、引っ越しが1回ですみます。ただし、購入先行は販売期間中に固定資産税・管理費などの維持費が売却物件と購入物件で二重に発生し、購入物件でも住宅ローンを組んだ場合、ローンの支払いも二重になる為、その点を認識したうえでどちらにするか選びましょう。

マンションの住み替えについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

住みながら家を売ることはできる?メリットやポイントも併せて紹介

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部屋の状態の確認

査定を依頼する前は、床や壁にキズはないか、設備は故障していないかなど部屋の状態を確認することも重要です。トラブルを避ける為にも、査定前に部屋の状態を認識しておくようにしましょう。

売却したい物件のアピールポイントをまとめる

物件のアピールポイントをまとめておくことも大切です。実際に住んでいるからこそ分かるメリットや物件の気に入っている点を箇条書きにして、不動産会社の担当者へ伝えておきましょう。広告などで表現してもらえたり、内覧前後に購入希望者にアピールポイントとしてうまく伝えてもらえたります。

アピールポイントがわからない、見つからないといった場合は、不動産会社に相談してみましょう。

マンション売却を進めるうえでの注意点

マンション売却を進めるにあたって気を付けておきたい注意点について解説します。

スケジュールや書類の準備には余裕を持つ

マンションの売却は、売り出しから引き渡しまでに数ヵ月かかることが多い為、余裕を持ったスケジュールを立てることをお勧めします。

マンション査定時や売買契約時に書類が各種必要になりますが、焦ることがないように、書類は早めに準備しておきましょう。
査定の際には「登記済証(権利証)または登記識別情報通知書」を不動産会社に提示し、確認されることが一般的です。他にも、固定資産税・都市計画税の納付通知書や住宅ローンの返済表、マンションであれば新築時のパンフレットやオプションの注文書などがあると、査定がスムーズに進みます。

ただし、所有権移転登記に必要な印鑑登録証明書は「引き渡し時から3ヵ月以内に発行のもの」という条件がありますので、必要になるタイミングで取得するようにします。

不動産会社に査定を依頼し、査定金額の根拠を確認する

前述の通り、査定は売り出し価格を決定する際の、参考価格を知る為に行うものです。周辺の成約事例や売り出し中の物件を参考に算出するケースが多いですが、査定金額の根拠はしっかりと確認するようにしましょう。基本的には複数の不動産会社に依頼し、比較するようにします。

高額の査定金額を提示した不動産会社に売却を依頼したくなるかもしれません。しかし、査定額はあくまでも売却予想価格です。不動産会社が買い取ってくれるわけではありませんので注意しましょう。

売り出し価格が高すぎるとなかなか売れなかったり、売却が長引くことによって値下げせざるをえなくなったりすることもあります。きちんと査定額の根拠を確認するようにしましょう。

相場をもとに適切な売り出し価格を設定する

適切な売り出し価格を設定することも非常に重要です。売り出しの事情や条件を踏まえた希望価格もありますが、どのような売り出し価格にするかは信頼できる不動産会社に相談することをお勧めします。

適切な売り出し価格を設定するには、まず売主様自身が相場を把握しておくことが大切です。相場調査の方法やコツについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【2023年】マンション売却の相場を知るには?調査の仕方や確認すべきポイントについて

【2023年度】マンション価格の推移を地域別・築年数別に解説!理想的な価格で売る為のコツも紹介

設備表と物件状況等報告書を正しく記載する

売買契約に際して、売主様は付帯設備表と物件状況報告書を作成します。付帯設備表とは、設備の有無や不具合を買主様に伝える為の書面です。物件状況等報告書とは、雨漏りや給排水管の故障などの履歴を、買主様に伝える為の書面となります。

引き渡し後に傷や不具合があることが分かり、それが契約内容とは異なるものであるときは、補修や契約解除、損害賠償などの責任(契約不適合責任)を問われる恐れがあります。

契約不適合責任を問われないようにする為にも、傷や不具合は正しく告知し、売買契約書や重要事項説明書、付帯設備表、物件状況報告書にも記載して、買主様の了解を得ることが必要です。

マンションの築年数が古い場合など、引き渡し後の不具合が心配な場合は、インスペクションを検討しても良いでしょう。インスペクションとは、建築士など建築に精通した者が第三者的な立場で、建物の状態を確認して劣化具合を調査することです。建物状況調査と呼ばれることもあります。
契約不適合責任やインスペクションについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却における瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは?対策方法を解説

インスペクションのメリットは?流れや費用相場、検査項目などを解説

売買契約の特約を確認する

売買契約には「特約」という条件が付くことがあります。例えば、買主様が住宅ローンを使う場合は「ローン特約」がつけられることが一般的です。

買主様が行う住宅ローンの本審査には売買契約書が必要である為、買主様は売買契約締結後に住宅ローンの本審査を行います。

売買契約後に買主様が住宅ローンの本審査に通らず、「ローン特約」によって契約が解除されてしまうこともある為、注意が必要です。ローン特約による解除の場合、手付金を返還することになります。

買主様の状況については不動産会社を通して確認しておき、ローン審査に通りそうな買主様か、そうでない方は理解したうえで契約に臨むようにしましょう。

マンション売却に強い不動産会社に依頼する

不動産会社ごとに特徴があり、強みも異なります。マンションの売却を検討するのであれば、「マンション売却」に強い会社に依頼するようにしましょう。

一般的に不動産の売買では、引き渡し後に設備の不具合が発覚すると、トラブルに発展する恐れがあります。その為、売却後に買主様に対する設備保証も行っている、不動産会社を選ぶのがお勧めです。
最近は物件紹介で360°VR内覧など、自宅で物件を確認できるようにしている不動産会社や
ポータルサイトへの物件掲載のほか、自社のWEBサイトや提携企業との連携など、多様な販売チャネルを持っている不動産会社もあります。

マンションの売却を依頼する際には、利用できるサービスも考慮したうえで決めましょう。

マンション売却業者の選び方については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却業者の選び方は?売却の手段や確認すべきポイントを解説

マンション売却で知っておくべき税金特例

マンション売却で利用できる可能性のある主な税金特例は、以下の5つです。

税金控除 概要
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 マイホームを売ったときに一定の要件を満たす場合は、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。
所有期間による軽減税率 所有期間10年超のマイホームを売って、一定の要件を満たす場合は、長期譲渡所得に対する税率よりも低い税率(軽減税率:10%)で計算することができます。
なお適用になるのは、長期譲渡所得金額の6,000万円までです。6,000万円を超える部分は長期譲渡所得税率の15%です。
特定の居住用財産の買換え特例(令和5年12月31日までの時限立法) 一定の要件を満たすマイホームを2023年12月31日までに売って、代わりのマイホームを購入したときは、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。しかし非課税になるわけではありません。
居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(令和5年12月31日までの時限立法) 個人が2023年12月31日までに所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡することによって生じた譲渡損失については、一定の期間内に買換資産を取得して居住するなど一定の要件を満たすことにより、その年の他の所得と損益通算することができます。

その年に損失を控除しきれなかった場合は、その年の翌年以後3年間繰り越して控除できます
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 相続または遺贈によって取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合で要件を満たす場合は、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費として加算できます。

マンションを売却する際に利用できる可能性がある税金の特例・控除については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

3000万円特別控除とは?適用条件や計算方法について解説

買い替え特例とは?適用要件や計算方法、注意点について解説

マンション売却時の不動産会社選びのポイント

実際にマンションを売却するにあたって、どのような不動産会社に依頼すれば良いのでしょうか。ここでは、不動産会社選びのポイントを解説します。

豊富なマンション売却実績がある

特定のマンションを指定して、購入を検討されている買主様は多くいらっしゃいます。仲介会社は買主様の購入希望を管理している為、ご所有マンションの売却実績が豊富な不動産会社を選ぶようにしましょう。

また、設計・施工・管理などのマンション全般にわたるノウハウが豊富な会社を選ぶのも良いでしょう。

サポートや保証が充実している

サポートや保証が充実しているかどうかも、会社を選ぶ際に重視したいポイントです。特に、買主様に対して建物保証や設備保証を行っている会社だと安心です。

多彩なメディア戦略を持っている

最近は物件紹介で360°VR内覧など、自宅で物件を確認できる会社が多いです。ポータルサイトへの広告物件掲載のほか、自社のWEBサイトや提携企業との連携など、多様な販売チャネルを持っている会社を媒介契約先として考えれば良いのではないでしょうか。

分譲会社・施工会社・販売会社などでアピールポイントや販売戦略を熟知している

マンションの分譲や施工なども行っている、グループ会社の不動産会社を選ぶのも一つの手です。新築マンションの販売や施工など幅広くサービスを展開している為、販売戦略はもちろんのこと、買主様にアピールポイントを的確に伝えることができます。

多くの不動産会社とのつながりを持っている

会社間のネットワークによる買主様の紹介なども見逃せないポイントです。長谷工グループは地場の不動産会社をはじめ、デベロッパー、大手販売会社、金融機関などの様々なネットワークを形成しています。

マンション売却でよくある質問

最後に、マンション売却に関するよくある質問を紹介します。

マンション売却でよくある失敗例は?

例えば媒介契約後、すぐに内覧希望者が現れることがあります。清掃や整理整頓が間に合わず、そのままの状態で内覧に応じたことで、内覧希望者の印象が下がってしまい成約に至らなかったという失敗例があります。
なるべく綺麗な状態で見てもらう為にも、清掃や整理整頓は事前に行うようにします。

また複数社に売却を依頼していると、内覧日時が重なってしまうことがあります。内覧は時間を設定していても状況によって早まったり、逆に遅くなったりするケースがある為、重ならないようにスケジュールを調整しましょう。

マンション売却でよくある失敗例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却で失敗したくない!よくある10の失敗と対策を解説

エリアごとに相場は違う?

マンションはエリアによって相場が異なります。また同じエリアでも、築年数や物件の状況、立地によっても相場は異なってきます。
各エリアの売却相場については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

東京都のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

大阪府のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

横浜市のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

福岡県のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

名古屋市のマンション売却価格相場は?各市区町村別・築年数別・間取り別に解説

築年数は売却価格に影響する?

マンションの築年数は、売却価格に影響します。もちろんマンションの売却価格は築年数だけでなく、立地や広さ、間取、室内の状態など、様々な要因が影響するものです。
特に、建物は築年数とともにその資産価値が減少する為、年数を重ねるごとに価格は下落傾向になります。なおマンションの耐用年数は47年ですが、築50年のマンションの資産価値がゼロになるということではありません。築古マンションであっても築古物件ならではのポイントを押さえておけば売却できます。

マンションの築年数と売却価格の関係や築古物件を売却する際のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却に築年数は影響する?築年数別に売却のポイントを解説

築30年の中古マンションを売却したい!資産価値や売却時のポイントを徹底解説

築50年のマンションでも売却できる?旧耐震物件の資産価値や特徴、買主様のメリットを解説

離婚や相続のときはどうすれば良い?

離婚後のマンションの利用方法として売却する、どちらかが住み続ける、賃貸する方法があります。
しかし住宅ローンを借り入れているケースでは、夫または妻が連帯保証人になっていることが多く、マンションを保有し続けていると相手側のローン返済の債務を自分も負うことになります。トラブルを避ける為にも、マンションは売却したほうが良いでしょう。

また結婚後に購入したマンションは、一方の名義で購入したものだとしても、財産分与する必要があります。マンションを売却して現金化すれば、財産分与もスムーズにすることができます。

離婚や相続の際のマンション売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

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まとめ

マンションを売却したいと考えたとき、まずは全体の流れを把握することが重要です。先んじて準備できるものは揃えておき、売却までのスケジュールを決めておくことで、マンション売却をスムーズに進めることができます。

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※本記事の内容は2023年10月27日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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