2023.06.12築50年のマンションでも売却できる?旧耐震物件の資産価値や特徴、買主様のメリットを解説

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全体に占める割合は少ないものの築50年のマンションも少しずつ増えています。
築50年のマンションは買主様にとって購入価格を抑えられるメリットがあり、立地やアクセスなど条件が良い物件は築30年のマンションよりも高値で成約になっているケースもあります。

住宅ローンの借り入れが難しく、住宅ローン控除を受けるのが難しいなど注意点もありますが、築年数が古くても売却は可能です。ここでは築50年のマンションを売却する際に押さえておきたい、9つポイントを紹介します。

築50年のマンションは売却できる?

築50年のマンションは売却が難しいといわれることがありますが、売却は可能です。

実際、築50年のマンションは買主様にとって購入しやすい価格帯である場合が多く、全体に占める割合は少ないものの、一定数流通しており成約に至っています。また、築50年のマンションは都市開発の初期段階に建築されたものもあり、立地が良い物件が多い傾向にあります。好立地であれば、築年数に関わらず比較的高値で売却できる可能性もあります。

その為、築年数だけにとらわれず、管理の状況や日当たりなどマンションの特徴を把握し、アピールできるポイントを理解することが重要といえます。
マンション売却と築年数の関係については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却に築年数は影響する?築年数別に売却のポイントを解説|住まいのコラム

築50年のマンションの売却状況

まずは、国土交通省が公表しているデータをもとに、今後の築50年のマンションのストック数の予測や近年の成約物件に占める割合、成約価格を見ていきましょう。

築古マンションのストック

下記の棒グラフは、一般的に築古マンションと呼ばれる築30年以上のマンションのストック数について国土交通省が今後の予測を公表しているものです。

マンションのストック数の予測

出典:国土交通省「築後30、40、50年以上の分譲マンション数(2021年末現在/2022年6月28日更新)」

2021年末には築50年のマンションのストック数は21.1万戸であり、築30年のマンションの6分の1程度ですが、2041年末には約250万戸となり、築30年のマンションのストック数を大きく上回る予測です。
予測値ではありますが、今後築50年のマンションは増加傾向にあることが分かります。

成約物件における構成

次に国土交通省がまとめた、成約物件における築年数ごとの割合を見てみましょう。

【東京都の中古マンション築年帯別成約状況(件)】

項目 築0~築10年 築11~築20年 築21~築30年 築31~築40年 築41~築50年 築51年~
2020年 件数 2,383 4,831 2,762 1,855 1,125 469
構成比 17.8% 36.0% 20.6% 13.8% 8.4% 3.5%
2021年 件数 2,960 4,805 2,829 1,937 1,133 500
構成比 20.9% 33.9% 20.0% 13.7% 8.0% 3.5%
2022年 件数 2,349 3,538 2,139 1,625 904 358
構成比 21.5% 32.4% 19.6% 14.9% 8.3% 3.3%

出典:国土交通省 土地総合情報システム(不動産取引価格情報検索)

※2020年第1四半期〜2022年第4四半期のデータをもとに作成

築11〜20年のマンションが成約している割合が最も多く、全体の3分の1程度を占めています。一方築50年のマンションは全体の3%程となっており、成約件数が少ないことが分かります。築50年以上のマンションは売却が難しいという側面もありますが、ストック数が少ないことも大きく影響しているでしょう。

しかし、今後築50年のマンションのストック数が増加するにつれて、成約件数の割合も増えていくことが予想できます。

売却価格相場

下記の表は国土交通省が2020〜2022年における東京都の中古マンションの平均取引価格を、築年数ごとに集計したものです。
【東京都の中古マンションの平均取引価格(万円)】

築0~築10年 築11~築20年 築21~築30年 築31~築40年 築41~築50年 築51年~
2020年 4,977 3,880 3,763 2,462 2,511 2,524
2021年 5,050 4,179 4,078 2,577 2,697 2,803
2022年 5,116 4,448 4,246 2,531 2,811 2,745

中古マンション取引価格

出典:国土交通省 土地総合情報システム(不動産取引価格情報検索)

※2020年第1四半期〜2022年第4四半期のデータをもとに作成

まず2020年から2022年までの平均取引価格を築年数ごとに比較すると、上昇傾向にあり、中古マンションの需要があることが分かります。
また築30年までのマンションの取引価格は4,000万円前後であるのに対し、築31年以降は2,000万円中盤に下落しており、以降取引価格はほぼ横ばいとなっています。
これはマンションの建物としての価値がゼロに近くなる築30年頃に下落幅が緩やかになり、以降価格が下落しにくいことを裏付けています。

したがって建物の価値は築年数の経過とともに下落しますが、土地の資産価値はゼロにならない為、立地や情勢によっては築50年のマンションであっても価格が上昇する可能性さえあります。

築50年のマンションは買主様にメリットがある?

築50年のマンションは買主様にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは代表的なメリットを3つ紹介します。

立地条件が良い物件に出会える可能性がある

前述の通り、築50年のマンションは都市開発の初期段階に分譲されていることから、立地条件が良いところに建てられている傾向があります。
特に、2023年から50年前となる1970年には、民間分譲住宅への個人融資(現在の住宅ローン)が開始されたこともあり、1970年前半にマンションブームが起きました。
よって立地が良いマンションが見つからないときは、築年数の条件を広げてみると、立地条件の良い物件に出会える可能性があります。

購入価格を抑えられる

築50年のマンションは建物の評価が下がりきっている為、買主様にとって購入価格を抑えられることがメリットといえます。ほぼ土地値となっているケースもあり、値崩れしにくい価格で購入できます。
立地が良ければ、土地の資産価値の上昇とともに資産価値がアップする可能性もあります。

リフォームやリノベーションに費用をかけやすい

購入価格を抑えることができればリフォームやリノベーションに費用を充てることができる為、築年数にこだわらないという買主様も存在します。
また家族構成やライフスタイルに合わせてリノベーションしたいと考えている買主様は、あえて築年数の古いマンションを探しているケースもあります。

築50年のマンションの売却が難しいといわれる理由

築50年のマンションの売却が難しいといわれるのはなぜでしょうか。いくつかの理由が考えられますが、ここでは代表的な4つの理由について詳しく解説していきます。

旧耐震基準で建築されている

1981年6月1日以降に建築確認申請されたマンション(2023年段階で築42年)は新耐震基準となっており、震度6強〜7程度の地震でも建物が倒壊・崩壊しないことを基準としています。
つまり築50年のマンションは旧耐震基準(震度5強程度の揺れでも建物が倒壊・崩壊しない)である為、耐震性を重視する買主様からは敬遠される恐れがあります。

また法定耐用年数=建物の寿命ではありませんが、マンションの寿命について考えるときに鉄筋コンクリート造の法定耐用年数である47年が引き合いに出されることがあり、築50年のマンション不安視する方が一定数存在するのも事実です。

金融機関によっては住宅ローンの審査に通りにくい

金融機関は不動産の担保評価や本人の収入などをもとに融資額を審査します。築50年のマンションは耐用年数の47年を超えている為、建物の評価をゼロとするケースが多く、担保評価が低くなります。結果として希望額の住宅ローンを組めない恐れがあります。その為、住宅ローンを組む想定でマンションの購入を検討している買主様の物件条件からは外れてしまいます。

住宅ローン控除の要件を満たせない場合が多い

税制改正前は鉄筋コンクリート造(耐火住宅)の場合は、住宅ローン控除の対象は築25年以内でした。よって「築25年以内」が購入するマンションのひとつの基準となっていました。

2022年の税制改正により、1982年(昭和57年)以後に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)が住宅ローン控除の対象となりました。つまり築42年以内であれば、住宅ローン控除の対象になります。
残念ながら築50年のマンションは原則住宅ローン控除の要件を満たせない為、売却しにくい理由の一つとなるでしょう。

修繕積立金が高額になる可能性がある

国土交通省のデータによると、築年数とともに修繕積立金を段階的に上げていく長期修繕計画を採用しているマンションが多い傾向にあることが分かります。例えば平成27年以降のマンションの修繕積立金の平均額が6,654円であるのに対し、昭和44年以前のマンションの平均額は26,356円となっています。

修繕積立金は管理費とともに毎月支払うことになる為、住宅ローンを借り入れる場合は特に月々の支払いに無理がないか試算しておく必要があるでしょう。

参考:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドラインの概要」

参照:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果(管理組合向け調査の結果)」

築50年のマンションを売却する際のポイント

築50年のマンションを売却する際に気をつけたいポイントを「売却を検討しはじめたとき」と「売却活動を進めているとき」の2段階に分けて紹介していきます。

売却を検討しはじめたとき

売却を検討しはじめたときに心がけたいポイントは以下の5つです。

将来的に大規模修繕工事を予定しているか確認する

まずは将来的に大規模修繕を予定しているのか確認しましょう。大規模修繕工事は12年に一度の周期で行うのが一般的です。

3回目で通常全体的な大規模修繕を行うことになりますが、築50年であれば4回目の大規模修繕や建て替え、耐震診断などを検討するタイミングになります。管理組合で検討している場合は、買主様にその旨を伝えることでメリットに感じてもらえる可能性があります。

ただし、大規模修繕をする為に修繕積立一時金を支払わなければならないケースもあります。タイミングによっては買主様が負担する恐れもある為、その場合はマイナスポイントにもなりえます。いずれにしても決定事項だけでなく、議論されている内容についても伝えておく必要があります。

売却方法を不動産会社に相談する

築古マンションの購入を検討している買主様のニーズを確認し、不動産会社から適切な売却方法を提案してもらいましょう。

例えば、リフォームやクリーニングをしたほうが良いのか、もしくは何もせずなるべく安い金額を希望しているかなど不動産会社の担当者と相談することをお勧めします。

長谷工の仲介は、長谷工グループ内はもちろんですが、他社との連携も積極的に行っており、お客様の物件情報を幅広く公開することに注力しています。さらに最新技術のVRによる360度お部屋を見学できるサービスを活用し、より多くの方々にご覧いただけるよう努めています。

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相場に応じた売却価格を設定する

売却価格は近隣相場よりも高すぎると売りづらく、売却までに時間がかかることがあります。逆に安価な価格で売却してしまうと、売却後に売主様の手元に残る資金が想定よりも少なくなる恐れもあります。

したがって、適切な相場価格を把握する為にもまずは不動産会社の査定サービスを利用し、相場に応じた売却価格を設定しましょう。
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室内の劣化状況を把握しておく

実際住んでいる方は気にならないこともありますが、売却活動をはじめる前に室内の劣化状況を把握しておくことが大切です。
また事前に清掃し、購入希望者には綺麗な状態を見てもらえるようにしましょう。汚れが気になる場合は、必要に応じてハウスクリーニングを実施することをお勧めします。

長谷工の仲介では、通常価格から5〜8%オフの優待価格でハウスクリーニングを依頼することができます。詳しい料金は以下よりご確認ください。

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周辺環境について把握しておく

自宅周辺の環境についてあらためて確認し、立地や環境についてまとめておくことでマンションの良さをアピールすることができます。必要に応じてリストアップし、不動産会社の担当者へ伝えておきましょう。

売却活動を進めているとき

売却活動を進めているときに心がけたいポイントは4つです。それぞれ詳しく紹介していきます。

設備の不具合や劣化について正直に伝える

設備に不具合や劣化がある場合は、まず不動産会社の担当者に伝えましょう。内覧の際に購入希望者に上手に伝えてもらうことができます。

万が一不具合があることを伝えずに引き渡してしまうと、売主様が契約不適合責任を問われる恐れがあります。
契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約で定めた内容と適合しないと判断された場合に、売主様が買主様に負う責任のことです。程度や内容によっては損害賠償請求や代金減額請求される為、注意が必要です。

例えば以下のような不具合がないか事前に確認しておきましょう。

  • 結露などによる窓回りやフローリングの劣化
  • 給湯器やインターホンなど設備の不具合
  • ドアや建具の歪み

マンション売却における瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは?対策方法を解説

リフォームの実施可否は慎重に検討する

築50年のマンションであれば、買主様がリフォームやリノベーションを検討しているケースが多いでしょう。しかし、売却の為にリフォームしたとしても査定価格には影響しない場合や、買主様自身が購入後にリフォームを検討していたりする可能性もあるので、慎重に検討することをお勧めします。
マンション売却とリフォームの関係については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却でリフォームは不要?売却価格などの面からその理由を徹底解説

もちろんリフォームされていることで買主様の減点要素を減らせる効果もありますので、まずは不動産会社の担当者に相談しましょう。

長谷工の仲介では簡単な補修サービスとして「壁:床リペアサービス」を提供しています。
修繕したい箇所はあるが、リフォームを行う程でもない軽微な修繕についてはこうしたサービスを利用してみると良いでしょう。
詳しくはこちらのページをご覧ください。

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インスペクションを受ける

前述した通り、築50年のマンションは旧耐震基準です。耐震性に不安を感じる買主様も多い為、インスペクションを利用するなどしてその不安を払拭しても良いでしょう。

インスペクションとは、建築に精通した専門家が第三者的な立場で建物の雨漏りや外壁のひび割れといった劣化状況などを調査することです。
マンションの場合費用は4.5〜6.5万円程度が相場です。費用はかかりますが買主様にとっては安心材料になりますので、売りやすくなる可能性があります。
インスペクションのメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。

インスペクションのメリットは?流れや費用相場、検査項目などを解説

買い取りでの売却も視野に入れる

買い取りとは、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう売却方法です。 通常リフォームやリノベーションを施したうえで再販することを目的としていますので、相場価格の7割程度になることもあります。

しかし瑕疵担保責任を免責とできることが多い為、売主様にとっては安心して売却できるメリットがあります。また仲介手数料がかからないことや、売主様のスケジュールに合わせて買い取りを行う為現金化が早いことなども利点といえます。
買い取りと仲介の違いやメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却は買い取りがお勧め?仲介との違いや向いている物件の特徴を解説

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まとめ

築50年のマンションであっても、その立地や条件によっては比較的スムーズに売却できる可能性があります。まずは、マンションの特徴や資産価値を把握することが重要です。
築年数の経過とともに不具合は出てくるものです。不動産会社や買主様へ正直に伝えるようにし、心配な場合はインスペクションの実施や買い取りも視野に入れておくと良いでしょう。

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※本記事の内容は2023年6月12日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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