不動産の売却方法の一つに「買取」があります。マンション売却といえば仲介を想定する方もいるかと思いますが、仲介ではなく買取のほうが向いている場合もあります。この記事ではマンション売却で買取を選択するメリットや仲介との違いなどについて解説します。
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そもそもマンション買取とは?
マンション買取とは、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう売却方法です。買い取られたマンションはリフォームやリノベーションをされたうえで再度販売されます。
また、不動産会社によっては「買取保証(売却保証)」という方法も選択できます。
買取保証とは、一定期間仲介で売却を進めていき、期間内に売却できなかった場合にあらかじめ決めていた額で不動産会社が買取する方法です。
仲介で売却できれば市場価格での売却が期待でき、仮に売れなくても一定期間で買取になるので売却時期を予測しやすいというメリットがあります。
マンション買取と仲介の違い
マンションの買取と仲介の違いを示すと下表の通りです。
比較項目 | 買取 | 仲介 |
---|---|---|
買主様 | 不動産会社 | 主に個人などの最終消費者 |
売却までの期間※1 | 1週間~1ヵ月 | 3~4ヵ月程度 |
成約価格 | 市場価格の7割程度 | 市場価格での成約を目指せる |
売却までにかかる費用 | ・印紙代 ・抵当権抹消関連費用 |
・仲介手数料 ・印紙代 ・抵当権抹消関連費用 |
手間や責任 | ほとんどかからない | 内覧対応が生じる※2 契約不適合責任を負う※3 |
※1:買取の手続き期間は業者によって異なります。仲介の売却期間は引き渡しまでを含めるとさらに1〜2ヵ月が加わります。
※2:内覧とは、購入希望者に家の中を見せることです。
※3:契約不適合責任とは、契約内容とは異なるものを売ったときに売主様が負う責任のことです。契約内容と異なるものを売ると、売却後に修補請求や契約解除、損害賠償請求を負う可能性があります。
マンション買取の流れ
マンション買取は仲介での売却と流れが異なるので、全体の流れを押さえておくことが大切です。
大まかな流れは以下の図の通りです。
以下でそれぞれの流れを詳しく解説します。
①買取価格の査定を依頼する
マンション買取では、最初に買取を行っている不動産会社に査定を依頼します。
仲介を行っていても買取は行っていない場合がある為、買取サービスを行っている不動産会社を探しましょう。査定は1社ではなく複数社に依頼し、比較検討するのも良いでしょう。
査定方法には、「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。
簡易査定とは、築年数や所在地といったデータのみで査定する方法です。
オンラインで完結できるものも多く、査定結果が数日で分かるというメリットがあります。ただし、データのみで査定する為、マンションの周辺環境・内部の状況は査定額に反映されません。
本格的に売却を進める場合は、訪問査定が適しています。
訪問査定とは、不動産会社の担当者が現地を訪れて査定する方法です。
内部の状況や周辺環境まで加味して価格を算出するので、より精度の高い査定が可能です。
まずは、簡易査定で不動産会社を比較して、その中から2~3社に絞り訪問査定を受けると効率よく査定できるでしょう。
マンション売却の査定については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説
②買取業者を選択する
査定額が出揃ったら、買取業者を選択します。
買取業者を選ぶ際は、理想的な買取価格を提示してきた会社を優先しつつ、付随するサービスや実績も踏まえて選択することが望ましいです。
③買取業者と契約する
買取業者を選んだら、契約内容のすり合わせを行い、買取業者と売買契約を締結します。
売買契約時には、契約内容の最終確認を行い問題なければ契約書に署名捺印して契約を締結します。
契約書に署名捺印した後は、基本的に契約内容の変更はできず、変更する場合は違約金が発生する恐れもあるので内容をしっかり確認することが大切です。
特に、以下の内容はしっかり確認するようにしましょう。
- 売却金額
- 支払条件
- 手数料
- 契約解除の条件や違約金
- 引き渡しスケジュール
また、売買契約時には手付金を受け取ります。
不動産取引における手付金は、通常、解約手付の性質を持ちます。
手付解除期日までであれば、買主様は手付金の放棄、売主様は手付金の倍額を支払うことで契約解除ができます。
ただし、手付金で解除できる期間は契約書に定められており、期間を超えて解除をする場合は違約金が発生する恐れがあります。
手付金は売買金額の5~10%程が目安となりますが、実際の有無や額については条件をすり合わせるときに話し合って決めます。
手付金を受け取る際には、事前の条件と相違ないか確認するようにしましょう。
手付金については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
不動産売却で発生する手付金とは?相場や手付解除時の対応方法について解説
④決済と物件の引き渡しを行う
売買契約後、約1週間~1か月程度に所有権の移転が行われる為、登記に必要な書類を早めに準備しておくと良いでしょう。
また、売却にともない抵当権抹消を行う場合は、所有権を移転する際に抵当権抹消登記の手続きも行うので書類の準備も必要です。
所有権を移転する際に必要な書類(売主様側) |
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※住民票に記載の現住所と登記上の住所が異なる場合には住所変更登記が必要となります。
引き渡し日には、決済と物件の引き渡しを同時に行い、売却代金は決済日に振り込まれます。
入金を確認したら、「所有権移転登記に必要な資料」を司法書士に渡し、「鍵」や「分譲時のパンフレットや取扱説明書」などの書類を買主様に引き渡します。
引き渡しの際に用意しておく書類や抵当権抹消に関してはこちらの記事をご覧ください。
マンション売却に必要な書類は?段階ごとの必要書類と入手方法を解説
抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説
⑤確定申告をする
マンション売却で利益が出た場合、利益に対して所得税・住民税が課せられる為、確定申告が必要になります。
確定申告時期は、売却した年の翌年2月16日~3月15日となるので、忘れずに準備しておくようにしましょう。
また、売却時に各種税金控除の特例を適用する場合も確定申告が必要です。
たとえ、特例を使えば税金が発生しない場合でも、確定申告をしなければ特例が適用できない為注意しましょう。
マンション売却の確定申告や税金・控除の特例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説
マンション売却にかかる税金はいくら?計算方法や知っておきたい控除について徹底解説
マンション買取のメリット
マンション買取は、不動産会社が直接買い取ってくれるので短期間で売却できるなどのメリットがあります。
以下では、マンション買取のメリットを詳しく解説します。
売却後の資金計画を立てやすい
買取は、基本的に査定価格がそのまま売却価格になることが多い為、売却後の資金計画を立てやすいという点がメリットです。
また買取ではいつ、いくらで売れるかが明確である為、見通しを立てやすいといえます。
仲介手数料がかからない
買取の場合、仲介手数料がかからない点もメリットといえます。
買取業者は売却時に売却益を確保しますので、売主様は不動産会社に手数料を支払う必要がありません。
なお、仲介で依頼した場合にかかる仲介手数料は、広告・チラシによる宣伝、内覧の日程調整、契約条件の交渉、融資手続きのサポートといった業務に対する対価です。
また、物件価格が400万円超の場合は、「物件価格×3%+6万円」が上限額となります。
仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却の仲介手数料とは?計算方法や支払いのタイミングを解説
都合に合わせて売却できる
買取は都合に合わせて売却できる点も魅力的です。
仲介の場合、買主様との引き渡し日の調整も含めて、一般的に3ヵ月〜半年程度の期間が必要になる為、売主様の都合に全て合わせることはできません。
そもそも買主様が見つからなければ、希望する時期に売却することも難しいでしょう。
一方、買取は不動産会社との条件に合意できればすぐに売却が可能です。
不動産会社によっては最短1週間〜1ヵ月程度で買い取ってもらえる場合もあり、都合に応じて売却時期を決定できます。
住み替えにともなう売却の場合、スケジュール調整が重要になります。
住み替え方法には、今のマンションを売却してから新居を購入する「売り先行」と新居を購入してから売却する「買い先行」の2つの方法があります。
どちらを選ぶにしても、売却スケジュールが当初の予定と大きく変わると住み替えスケジュールだけでなく資金計画にも影響が出る恐れがあります。
買取であれば、売却できる時期が明確になる為、より計画的に住み替えを進めやすくなるでしょう。
住み替えについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
住みながら家を売ることはできる?メリットやポイントも併せて紹介
マンションを売却して住み替える方法とは?流れや費用、利用できる特例を紹介
売却にかかる手間が少ない
買取は売却にかかる手間が少ない点も特徴です。
買取は、買取業者や不動産会社がそのまま買主となる為、内覧対応の必要がありません。
仲介の場合、住みながら売るケースでは内覧対応が必要となります。
内覧前は、家の掃除を行ったり、内覧日によってはスケジュール調整が必要になったりする場合もあります。しかし、内覧は物件の良さを直接伝えられるだけでなく、当日の対応によっては買主様の購買欲や印象を高めることができるので、買主様を気持ちよくお迎えできるように入念な準備が必要です。
その点、買取であれば内覧準備や対応が不要となるので、余計な手間がかかりません。
また、買取の場合、不動産会社は買取後にリフォームなどを施して再販する為、事前のリフォームやハウスクリーニングなどは不要です。売却の費用を抑えられるので、手元に残るお金としては仲介での売却と大きく変わらないケースもあるでしょう。
売却時のトラブルを抑えられる
買取では、売主様の契約不適合責任が免責されることが多いです。
また、買取では契約解除のリスクが仲介よりも低いというメリットもあります。
仲介の場合、買主様が住宅ローンを組んで購入するケースではローン特約が付加されているのが一般的です。
しかし、ローン特約があると買主様がローン審査に通らない場合、無条件で契約が解除されてしまい、売主様にとってはリスクとなりかねません。
その点、買取であればローン特約での解除の心配はありません。
このように売却後に契約解除や損害賠償請求などを要求される可能性がないことから、安心して売ることができます。
瑕疵担保責任(契約不適合責任)については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却における瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは?対策方法を解説
周囲に知られずに売却できる
買取は、周囲に知られずに売却できる点もメリットです。
仲介の場合、希望の価格で売却する為にチラシやインターネット広告によってより多くの買主様を募る為、必然的に物件の情報を外部に発信することになります。
しかし、買取の場合は個人の買主様に、売却の理由を伝えなければならないような場面はありません。例えばご近所トラブルが原因でマンションを売る場合など、周囲に売っていることを知られたくない方には買取が向いています。
相続や離婚にともなう売却にも対応している
買取は、相続や離婚にともなう売却にも適しているといえます。
相続税の納税の為にマンションを売る方は、納税までの期間がある為、納税期日までに確実に現金を得たい場合には、買取が適しています。
また離婚による売却を検討している方のなかには、パートナーと早く離れたいと考える方もいます。
そういった方の場合も買取であれば、都合に合わせて最短1週間から1ヵ月で売却することができます。
離婚や相続によるマンション売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
離婚時にマンションを売却すべき?財産分与やローンがある場合の注意点を解説
マンション相続の手続きとは?流れや相続税の計算、利用できる控除を解説
マンション買取の注意点
マンション買取を検討する場合は、以下のような注意点を押さえたうえで検討することが重要です。
条件によっては売却できない物件もある
マンション買取の場合、条件によっては売却できない物件もあるという点に注意しましょう。
例えば、「旧耐震基準の物件」や「登記簿の面積が50平米未満」の物件は買い取らないといった条件を設定している会社もあります。なお旧耐震基準とは、1981年5月31日以前に建築確認申請を通しているマンションのことです。買取可否の条件は、買取会社によって異なりますので、査定依頼時に条件を確認するようにしましょう。
売却価格が仲介の7割程度になる
買取での売却価格は、一般的に仲介の7割程度になる点には注意しましょう。
買取の場合、不動産会社は買い取った不動産をリフォームし再販することで利益を得ます。
リフォーム費用など加味して再販で利益が出るように価格を設定する為、買取額は必然と低くなってしまうのです。
ただし、買取の場合、前述した通りリフォーム費用や仲介手数料が不要というメリットもあるので、トータルで検討することが大切です。
築年数が古く修繕費が高額になるようなケースでは、買取のほうが有利になる可能性もあるでしょう。
物件の状態が査定額に反映されにくい
買取では、リフォームやクリーニングすることを前提としているので状態を考慮されないのが一般的です。
その為、どれほど状態が良い物件でも、それが査定額にプラスに反映されない可能性が高い点は覚えておきましょう。
マンション売却は仲介?買取?
ここまでご紹介した買取のポイントを踏まえて、自身のマンションは買取と仲介どちらが適しているか判断に悩んでいる方もいるでしょう。
ここでは、判断のヒントとして「買取に向いているケース」と「仲介に向いているケース」をご紹介します。
買取に向いているケース
買取に向いているケースとしては、以下のようなケースが挙げられます。
- 買主様を探すのに時間がかかる物件
- 仲介での売却が長引いている物件
- 転勤や相続など売却までの期限が決まっている
- 相続や離婚にともなう売却
現代のライフスタイルに合っていない間取りの物件や、最寄り駅から遠い物件など、条件が悪く買主様を見つけるのに時間がかかる物件は買取に適しているといえます。
すでに仲介での売却が長引いている物件も買取を視野に入れることをお勧めします。
また、前述した通り転勤や相続のようにいつまでに売却しなければならないという期限がある場合も、都合に合わせやすい買取が向いているでしょう。
さらに、相続の場合、売却金を相続人で分けたり財産分与したりすると利害関係が発生します。
売却額が売れるまで確定できない仲介よりも短期間ですぐに売却できる買取のほうが、スムーズにそれぞれの手続きを進められる可能性があります。
離婚をきっかけに売却を検討する場合は、パートナーとの関係を早く切りたいという理由から短期間で売却を終える為に買取を選択する方もいます。
仲介に向いているケース
仲介に向いているケースは、以下の通りです。
- すぐに買主様が見つかるような条件の良い物件
- 時間がかかっても高く売却したい
- 売却時期に余裕がある
築浅や駅近のように比較的条件が良く、仲介で売却してもすぐに買主様が見つかる物件であれば仲介が適しています。
また、買取は仲介よりも売却額が低くなる為、時間をかけてでも高く売りたいという方も仲介が良いでしょう。
買主様を見つけるのが難しそうだと思っても、実際は仲介でも十分に売れる場合もある為、売却までに時間的な余裕のある方は仲介での売却を試してみても良いかもしれません。
買取が良いか仲介が良いか悩む場合は、不動産会社に相談してから決めることをお勧めします。
「駅近マンションなのになかなか売れない」「どのようなマンションが売れやすいのか知りたい」という方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
売れやすい家と売れにくい家の特徴とは?売却のコツや流れもわかりやすく紹介
マンション買取業者の選び方
マンション買取を検討している場合、複数の買取業者を比較したうえで自身の売却に適した買取業者を選ぶことが重要です。
しかし、買取業者にも様々な特徴があるので、なにを基準に選べば良いのか悩む方も少なくありません。
以下では、マンション買取業者の選び方をご紹介します。
売却エリアで選ぶ
不動産会社によって対応エリアは異なります。
事前に、自身のマンションのエリアに対応しているかはホームページなどで確認するようにしましょう。
例えば、長谷工の仲介では、首都圏エリア(東京・神奈川・埼玉・千葉)、名古屋エリア、関西エリア(大阪・兵庫・京都・北摂)、福岡エリアに対応しています。
該当エリアで売却を検討している方は、ぜひ近隣の店舗にご相談ください。
業者の形態で選ぶ
買取専門業者なのか、仲介も行っているのか確認しましょう。
仲介も行っている会社であれば、冒頭でご説明した「買取保証(売却保証)」を選択できることもあります。
買取保証とは、最初は一定期間仲介での売却を試し、仮に仲介で売れなかった場合には最後に買い取ってもらえるという売却方法です。
また、買取のなかでも短期間で買い取るものは、一般的に「即時買取」と呼ばれています。
「買取保証」や「即時買取」を希望する場合には、それらのサービスを行っているかも確認するようにしましょう。
サービスを見て選ぶ
リースバックや不用品処分のサービスなどが対応できるかも選ぶポイントの一つです。
リースバックとは、売却した後も家賃を払うことで引き続き今の家に住み続けられるサービスのことを指します。
売却後、今の家にそのまま住み続けたい場合には、リースバックも行っている買取業者を選ぶと良いでしょう。
長谷工の仲介ではリースバックのサービスを提供していますので参考にしてみてください。
実績で選ぶ
実績豊富な会社であることも買取業者を選ぶポイントの一つです。実績がある買取業者であれば、安心・信頼して売買契約ができます。
長谷工の仲介は、お客様から98.7%※の満足度をいただいている実績のある会社ですので、買取にするか仲介にするか迷っている方は一度ご相談ください。
※集計期間:2023/10/1~2024/3/31
まとめ
ここまで、マンション売却の買取について解説してきました。
不動産会社に直接買い取ってもらう買取であれば、手間や費用をかけずに短期間での売却が可能です。
ただし、仲介よりも売却額が低くなることも多く、買取できないマンションもあるので注意しましょう。
買取を検討している場合でも、まずは、自身のマンションの状態や売却の希望などを踏まえて、仲介・買取のどちらが適しているかを判断することが大切です。
長谷工の仲介では、仲介だけでなく直接買取にも対応しており、買取では、室内状況に関わらず買い取ることができる点が特徴です。
仲介であっても、買取であっても、まずは査定を受けることが第一歩となります。
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※本記事の内容は2024年8月19日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。