2022.11.02マンション売却に必要な書類は?段階ごとの必要書類と入手方法を解説

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はじめてマンションを売却する方は、どのような書類が必要なのか分からない方も多いと思います。
この記事では「マンション売却の必要書類」について解説します。どのような書類が必要なのか確認し、スムーズに売却を進めていきましょう。

まずはマンション売却の流れを確認

マンション売却の流れは、大きく分けると「査定」と「売買契約」、「引き渡し」、「確定申告」の4つの段階に分かれます。各段階で必要な書類が異なってくる為、まずは流れを確認しておきましょう。

最初に行う「査定」では、不動産会社に物件の状況を見てもらい、売却価格を出してもらいます。
査定後は不動産会社と媒介契約を結び、売買活動を行います。購入希望者と売主様で条件が合えば、売買契約を締結します。
そして売買契約後に引き渡しを行い、買主様へ渡す書類をまとめたり登記手続きをします。場合によっては売却後に確定申告を行う必要があります。

マンション売却の流れは以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

マンション売却の流れを詳しく解説-必要な手続きやポイントについても紹介

マンション売却で必要な書類一覧

マンション売却で必要な書類は下表の通りです。

売却の手順 書類名 必要性 保有者
媒介契約時 身分証明書 売主様
登記済証(権利証)または登記識別情報 売主様
固定資産税・都市計画税納税通知書や固定資産税評価証明書 売主様
分譲時のパンフレット 売主様
住宅ローンの返済予定表または残高証明書 売主様
建物状況調査書(インスペクション報告書) 売主様
既存住宅売買瑕疵保険の証明書 売主様
リフォーム箇所が分かる資料 売主様
耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書 売主様

売買契約時
身分証明書 売主様
実印 売主様
印鑑証明書 売主様
付帯設備表 不動産会社
建築設計図書・工事記録書 売主様
売買契約書 不動産会社
物件状況確認書(告知書) 不動産会社
登記済証 売主様
引き渡し時 登記済証(権利証)または登記識別情報 売主様
実印 売主様
印鑑証明書(3ヵ月以内に発行のもの) 売主様
固定資産税評価証明書 売主様
住民票(住所移転している場合) 売主様
身分証明書 売主様
固定資産税納税通知書の写し 売主様
管理費および修繕積立金の額の確認書 売主様
分譲時のパンフレット 売主様
抵当権の抹消に必要な書類 銀行
管理規約・理事会の会計報告書や議事録 売主様
設備取扱説明書・保証書 売主様
確定申告時 売却したマンションの謄本 売主様
住民票の除票 売主様
売却物件の購入時売買契約書など 売主様
売却物件の売却時売買契約書など 売主様
費用を証明する領収書など 売主様
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) 売主様
各種特例を利用するのに必要な書類 売主様

「〇」:必ず必要な書類、「△」準備したほうが良い書類、

マンション売却の媒介契約時に必要な書類

売却の手順 書類名 必要性 保有者
媒介契約時 身分証明書 売主様
登記済証(権利証)または登記識別情報 売主様
固定資産税・都市計画税納税通知書や固定資産税評価証明書 売主様
分譲時のパンフレット 売主様
住宅ローンの返済予定表または残高証明書 売主様
建物状況調査書(インスペクション報告書) 売主様
既存住宅売買瑕疵保険の証明書 売主様
リフォーム箇所が分かる資料 売主様
耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書 売主様

どの不動産会社と媒介契約を結ぶかを決める際には査定を受けます。
査定では、立地条件や耐震性、マンションの管理状況などが確認されます。希望の売却額で売却する為にも、マンションの状況を適切に伝えられる書類を集めておくと安心です。
マンション売却の査定は以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説

身分証明書

身分証明書は査定時には原則不要です。
ただし、不動産会社によっては権利証などと照合する為に運転免許証などの提示を求めてくることもあります。

登記済証(権利証)または登記識別情報

登記済証(権利証)または登記識別情報通知書は、売主様が保有している書類です。
査定時は、依頼者が本当に所有者なのかを確認(真の所有者)をする為に、不動産会社から提示を求められることがあります。

固定資産税・都市計画税納税通知書や固定資産税評価証明書

固定資産税・都市計画税納税通知書は毎年売主様のもとに届きます。
査定時には、マンション・戸建ともに固定資産税と都市計画税の金額を確認する為、固定資産税・都市計画税納税通知書の提示が求められます。
加えて戸建の場合は、未登記建物の面積や築年数を確認する際に提示が必要となることもあります。
固定資産評価証明書は、登記時や買主様へ登記費用を見積もる際に必要となる書類ですが、実際には不動産会社に委任して取得してもらう売主様も多いようです。
なお、個人で取得する場合は市町村役場で一般的に300円〜400円程度で入手できます。

分譲時のパンフレット

分譲時のパンフレットは、チラシやインターネット広告に掲載する間取り図を作成する為に必要です。

住宅ローンの返済予定表または残高証明書

住宅ローン残債がある方は、査定の前に住宅ローンの返済予定表または残高証明書によって正確な住宅ローン残債を把握しておくことが必要です。
ローン残債がある場合の対処方法についてはこちらの記事で解説しています。

ローン残債があってもマンション売却できる?ケース別に対処方法を解説

建物状況調査書(インスペクション報告書)

建物状況調査(インスペクション) とは、専門家による建物の雨漏りや外壁のひび割れといった劣化状況の調査です。マンション売却で必ず行う必要はありませんが、物件の不具合を事前に確認できる為、売却後に起こりうる買主様とのトラブルを防ぐことができます。その為、調査を実施している方は査定時に建物状況調査書を用意しておくと良いでしょう。

既存住宅売買瑕疵保険の証明書

既存住宅売買瑕疵保険とは、万が一売却後に物件の不具合が見つかった場合でも補修費用を保険料によって補ってもらえるという保険です。売却にあたり既存住宅売買瑕疵保険に加入した場合は、理想の売却価格で売却できる可能性が高まる為、査定時に証明書を用意しておくことをお勧めします。

リフォーム箇所が分かる資料

リフォームを行っている場合は、どこをリフォームしたか示せる資料を用意しておくと役立つかもしれません。必ず査定額が上がるとは限らないものの、参考になります。
特に決まった書式はありませんが、リフォームした箇所や金額、時期をまとめておくと良いでしょう。

耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書

耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書を持っている場合は、売却時のポイントとなる為、査定時に不動産会社の担当者に伝えておくと良いでしょう。

マンション売却の売買契約時に必要な書類

売却の手順 書類名 必要性 保有者
売買契約時 身分証明書 売主様
実印 売主様
印鑑証明書 売主様
付帯設備表 不動産会社
建築設計図書・工事記録書 売主様
売買契約書 不動産会社
物件状況確認書(告知書) 不動産会社
登記済証 売主様

印鑑証明書・実印

実印は売買契約書に押印する為に必要です。

印鑑証明書は、売買契約時に加えて、引き渡し時の所有権移転登記でも必要となりますので事前に準備しておくと安心です。
印鑑証明書は引き渡し時から3ヵ月以内に発行されたものが必要であり、取得先は市町村役場、取得費用は一般的に300円程度です。

付帯設備表

付帯設備表とは設備の有無や不具合について売主様が記載する書面です。
書式は不動産会社から受領します。

建築設計図書・工事記録書

区分マンションの場合、通常売主様は建築設計図書・工事記録書を保有していない為不要です。

売買契約書

売買契約書は不動産会社が作成します。
売買契約書は売買代金や手付金の額、目的物の表示、引き渡し日および引き渡し日までの解除に関する条項、売買に関する詳細な条件などを定めた書類のことです。
特約条項には、物件の不具合に関する買主様の容認事項なども記載します。

物件状況確認書(告知書)

物件状況報告書は、物件自体や周辺環境などの不具合について売主様が記載する書面です。
書式は不動産会社から受領します。

マンション売却の引き渡し時に必要な書類

売却の手順 書類名 必要性 保有者
引き渡し時 登記済証(権利証)または登記識別情報 売主様
実印 売主様
印鑑証明書(3ヵ月以内に発行のもの) 売主様
固定資産税評価証明書 売主様
住民票 売主様
身分証明書 売主様
固定資産税納税通知書の写し 売主様
管理費および修繕積立金の額の確認書 売主様
分譲時のパンフレット 売主様
抵当権の抹消に必要な書類 銀行
管理規約・理事会の会計報告書や議事録 売主様
設備取扱説明書・保証書 売主様

住民票

住民票は、引き渡し時に行う所有権移転登記の為に必要となります。
取得費用は一般的に300円です。

管理費の確認書

管理費および修繕積立金の額の確認書は、引き渡し時に買主様へ渡す書類です。
売買対象となる部屋における管理費や修繕積立金の額および滞納額が記載されており、管理組合もしくは管理組合が委託している管理会社より入手します。

抵当権の抹消に必要な書類

抵当権の抹消に必要な書類は銀行が保有しています。
主には抵当権に関する登記済証または登記識別情報通知書のことです。
売主様側の銀行または保証会社が保有しており、引き渡し日に金融機関の担当者に持参してもらいます。

管理規約・理事会の会計報告書や議事録

売主様が保有している管理規約は買主様へ引き渡す書類となります。
最新の理事会の会計報告書や議事録が残っていれば、買主様に引き渡すと親切です。

設備取扱説明書・保証書

売主様が保有している設備取扱説明書や保証書は、買主様へ引き渡す書類です。
浴室乾燥機やビルトイン食洗機などの備え付けの設備に関する説明書や保証書のことを指します。
新築で購入した物件であれば、販売会社のディベロッパーから受領している書類です。

マンション売却の確定申告時に必要な書類

売却の手順 書類名 必要性 所有者
確定申告時 売却したマンションの謄本 売主様
住民票の除票 売主様
売却物件の購入時売買契約書など 売主様
売却物件の売却時売買契約書など 売主様
費用を証明する領収書など 売主様
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) 売主様
各種特例を利用するのに必要な書類 売主様

マンション売却の確定申告は以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説

売却したマンションの謄本

所有期間を証明する為の資料として、売却したマンションの謄本が必要となります。
謄本は法務局で取得でき、書面請求の場合は1通600円です。

住民票の除票

住民票の除票は売却前に住んでいた市町村役場で取得でき、取得費用は一般的に300円~400円です。
譲渡契約日の前日において、住民票に記載されていた住所と譲渡資産の所在地が異なる場合には、戸籍の附票(市町村役場、主に一通300円)などの居住していた事実を明らかにする書類が必要となります。
なお、各種手続きにかかる費用は市区町村によって異なる場合があります。

売却物件の購入時売買契約書など

取得費用の根拠を示す為に、売却物件の購入時売買契約書などの写しが必要です。
購入時の売買契約書より、土地価格と建物価格を分類し、建物価格に減価償却計算を行うことで取得費を計算します。

売却物件の売却時売買契約書など

譲渡価額の根拠を示す為に、売却物件の売却時売買契約書などの写しが必要です。
売却時の売買契約書に記載された売買代金に、固定資産税清算金を加算したものが譲渡価額となります。

費用を証明する領収書など

譲渡費用の根拠を示す為に、仲介手数料などの領収書の写しが必要となります。
譲渡費用になるものは、仲介手数料や印紙税があります。
抵当権抹消に要した登録免許税や司法書士手数料は譲渡費用にはなりません。

譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

譲渡所得の内訳書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。
必要事項を記載し、確定申告時に提出します。

各種特例を利用するのに必要な書類

最後に、マンション売却時に活用できる特例に必要な書類について解説します。

3,000万円の特別控除

「3,000万円の特別控除」を利用する場合は下記の書類が必要になります。

  • 売却したマンションの謄本
  • 住民票の除票
  • 売却物件の購入時売買契約書など
  • 売却物件の売却時売買契約書など
  • 費用を証明する領収書など
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を利用する場合は以下の書類が必要になります。

  • 売却したマンションの謄本
  • 住民票の除票
  • 売却物件の購入時売買契約書など
  • 売却物件の売却時売買契約書など
  • 費用を証明する領収書など
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

特定の居住用財産の買換え特例

「特定の居住用財産の買換え特例」を利用する場合は、以下の書類が必要になります。

  • 売却したマンションの謄本
  • 住民票の除票
  • 売却物件の購入時売買契約書など
  • 売却物件の売却時売買契約書など
  • 費用を証明する領収書など
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 購入物件の謄本
  • 購入物件が築年数要件を満たさない場合は耐震基準適合証明書など

「購入物件の謄本」は引き渡し後2週間程度で反映されます。
法務局で入手でき、書面請求の場合1通につき600円かかります。

また、購入物件が築年数要件を満たさない場合は耐震基準適合証明書などが必要です。
具体的には、以下のような書類が耐震基準を証明できる書類に該当します。

  • 耐震診断結果報告書
  • 既存住宅に係る建設住宅性能評価書
  • 瑕疵保険の保険付保証明書
  • 耐震基準適合証明書
  • 住宅耐震改修証明書

居住用財産の買換えなどの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

「居住用財産の買換えなどの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用する場合は、以下の書類が必要になります。

  • 売却したマンションの謄本
  • 住民票の除票
  • 売却物件の購入時売買契約書など
  • 売却物件の売却時売買契約書など
  • 費用を証明する領収書など
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 購入物件の謄本
  • 購入物件の住宅借り入れ金残高証明書

「購入物件の住宅借り入れ金残高証明書」は購入物件で住宅ローンを組んだ銀行から入手する書類です。購入時点のものとなります。

居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用する場合は、下記の書類が必要になります。

  • 売却したマンションの謄本
  • 住民票の除票
  • 売却物件の購入時売買契約書など
  • 売却物件の売却時売買契約書など
  • 費用を証明する領収書など
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 売却物件の住宅借り入れ金残高証明書

まとめ

ここまで、マンション売却の必要書類について解説してきました。
マンション売却では、必ず必要となる書類と用意しておくと良い書類があります。マンション売却の各フェーズで必要書類を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
長谷工の仲介では、売主様のマンション売却サポートのみならず、引越し後の不安も解消するアフターサポートも行っています。売却に関する無料相談もございますので、まずはご連絡ください。

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※本記事の内容は2022年11月2日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)
不動産鑑定および宅建業の代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士、住宅ローンアドバイザー。大阪大学出身。
写真:竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)

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