2022.12.13媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

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不動産会社に依頼する仲介の契約のことを媒介契約(ばいかいけいやく)と呼びます。
媒介契約には、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれの特徴を知ったうえで契約することが望ましいです。
しかし実際、どの媒介契約を選べば良いか分からないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、各媒介契約のメリットや注意点、安心して媒介契約を結ぶ際のポイントを解説します。

媒介契約とは?

売主様と買主様との間に立ち、売買契約の成立に向けて尽力する行為を「仲介」といい、仲介の法律用語が「媒介」となります。「媒介」や「仲介」、「あっせん」という言葉は、基本的に同じ意味です。
つまり、媒介契約とは、仲介を依頼する不動産会社と締結する契約のことを指します。

媒介契約から売却完了までの流れ

まずは、媒介契約を締結してから売却完了までの流れを確認しておきましょう。
一般的にマンション売却では、売却完了までに6ヵ月~7ヵ月程度かかる為、余裕のある売却スケジュールを考えておくと安心です。
具体的な流れは以下の通りです。

  • 不動産会社と媒介契約の締結をする
  • 売り出し価格を確定する
  • 売却活動をはじめる
  • 契約条件の交渉を行う
  • 売買契約を結ぶ
  • 引越しなどの引き渡し準備を行う
  • 引き渡し作業や諸費用の支払いを行う
  • 利益がでたら確定申告の手続きを行う

マンション売却の流れについては、以下の記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

マンション売却の流れを詳しく解説-必要な手続きやポイントについても紹介

仲介手数料の金額や支払時期

媒介契約を締結した不動産会社に支払う媒介報酬のことを仲介手数料と呼びます。
仲介手数料は、上限額が定められており、下記の計算式で求められます。

取引額 仲介手数料(別途消費税)
200万円以下 取引額 × 5%
200万円超から400万円以下 取引額 × 4% + 2万円
400万円超 取引額 × 3% + 6万円

※別途消費税が発生します。
また、不動産会社は以下の3つの要件を満たさないと仲介手数料を受領できないことになっています。

【仲介手数料請求権の3要件】
  1. 依頼者と宅地建物取引業者との間で媒介契約が成立していること
  2. 媒介契約に基づき宅地建物取引業者が行う媒介行為が存在すること
  3. 媒介行為により売買契約等が有効に成立すること

仲介手数料請求権の最も大きな特徴は、「媒介行為により売買契約等が有効に成立すること」という点です。
売主様と買主様との間で売買契約が成立しない限り不動産会社は仲介手数料を請求できないこととなっており、仲介手数料は成功報酬であるといえます。その為、不動産会社と媒介契約を締結しただけでは仲介手数料は発生しません。
また、仮に媒介契約を締結した不動産会社が売買を成立させることができなかった場合も仲介手数料は発生しないことになります。

仲介手数料は成功報酬である為、支払い時期にも影響します。
不動産の売却では、売買契約時と引き渡し時が1~2ヵ月程度間が空くという特徴があります。仲介手数料請求権の1つである「媒介行為により売買契約等が有効に成立すること」というのは、売買契約時点のことを指します。その為、本来であれば不動産会社は仲介手数料の請求を売買契約時に100%とすることは可能です。
一方で、売主様にとっては、「引き渡しを終えることで売却活動も終了する」というのが一般的な感覚だと思われます。
したがって仲介手数料の支払い時期は、売買契約時に50%、引き渡し時に50%とするのが一般的となっています。
マンション売却の仲介手数料については、以下の記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

マンション売却の仲介手数料とは?計算方法や支払いのタイミングを解説

媒介契約の種類

媒介契約には、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
3種類の媒介契約の主な違いを示すと下表の通りです。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約期間 法律上の制限なし一般的には3ヵ月 3ヵ月以内 3ヵ月以内
複数の不動産会社と契約できるか 可能 不可 不可
依頼主への活動報告義務 なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
自分で買主様を発見し取引できるか 可能 可能 不可
レインズの登録義務 なし 7日以内に登録 5日以内に登録

参考:公益社団法人 全日本不動産協会 ウェブサイトより

媒介契約の大きな違いは、一般媒介契約が同時に複数社に仲介を依頼できる契約であるのに対し、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社にしか仲介を依頼できないという点です。

また、専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いは自己発見取引をできるか否かです。
自己発見取引とは、売主様が自ら買主様を見つけることを指します。
自己発見取引ができるのが専任媒介契約であり、自己発見取引はできないのが専属専任媒介契約です。なお、一般媒介契約は同時に複数社に依頼できる契約ですので、当然ながら自己発見取引も認められています。

レインズとは、宅地建物取引業者しか見ることのできない売買情報のネットワークシステムのことです。レインズに登録された物件は、全国の不動産会社が見ることができます。レインズで売り出し中の物件情報を見た不動産会社は、物件情報を登録した不動産会社に対して買主様をあっせんすることも可能です。

専任媒介契約や専属専任媒介契約は1社にしか売却を依頼できないことから、場合によっては売却を依頼した不動産会社に情報を囲い込まれてしまうリスクがあります。
しかしながら、レインズに物件が登録されれば、全国の不動産会社が売買に協力できる為、情報が囲い込まれるリスクを大きく減らすことができます。
よって、情報の囲い込みリスクのある専任媒介契約と専属専任媒介契約には、レインズへの登録義務があるのです。

一方で、一般媒介契約は同時に複数社に売却を依頼できることから、そもそも1社に情報を囲い込まれるリスクが低い傾向にあります。
つまり一般媒介契約にはレインズへの登録義務はないということになります。

一般媒介契約の特徴

一般媒介契約には、「明示型」と「非明示型」の2種類が存在します。
明示型とは、他に依頼した不動産会社を明らかにする契約方法です。それに対して、非明示型とは、他に依頼した不動産会社を明らかにしない契約方法になります。
一般媒介契約で使われることの多い標準一般媒介契約約款は、明示型となっている為、標準一般媒介契約約款を使って非明示型とするには、特約に非明示型とする旨を記載しておくことが必要です。

一般媒介契約のメリット

一般媒介契約のメリットには以下のようなものが挙げられます。

  • 複数社に依頼できる為、スムーズに売却できる可能性が高まる
  • 複数社に依頼できる為、理想の価格で売れる可能性が高まる

一般媒介契約では、複数の不動産会社と契約できる為、条件が合う買主様と出会える確率が上がりやすくなります。

一般媒介契約の注意点

一般媒介契約の注意点としては、以下の通りです。

  • 複数の不動産会社と連絡を取ることになる為、手間がかかる
  • 報告義務を受けられない
  • 専任媒介契約や専属専任媒介契約を前提とする不動産会社のサービスを受けられない

一般媒介契約では、複数の不動産会社と契約できる一方で、各不動産会社の担当者と連絡を取ることになるので、手間がかかる場合もあります。
加えて、活動報告義務がない為、物件の売却状況を把握しにくいです。その為、媒介契約を締結したら担当者と活動報告の頻度などを決めておくと安心です。
専任媒介契約や専属専任媒介契約を前提とするサービスとは、例えば「ハウスクリーニング」や「プロカメラマンによる撮影」、「壁や床の修復」、「荷物一時預かり」などが挙げられます。不動産会社によってサービスを受ける為の要件は様々ですので、確認しておきましょう。

専任媒介契約の特徴

専任媒介契約の特徴について解説します。

専任媒介契約のメリット

専任媒介契約のメリットには以下のようなものが挙げられます。

  • 依頼先が1社である為、連絡の手間が一般媒介契約よりも軽減される
  • 自己発見取引ができる為、自分でみつけた買主様と自由に媒介契約を結ぶことができる

専任媒介契約は依頼先が一社であることから、スケジュール調整や意思伝達などの全般的なコントロールがしやすいです。定期的に活動報告も受けられる為、売却状況も把握しやすいといえます。

さらに、自己発見取引が認められており、親戚や友人で購入希望者がいればその方と売買契約を結ぶこともできるので、不動産会社に買主様を探してもらいつつ自分でも買主様を探したい方にとってはお勧めの媒介契約となります。

専任媒介契約の注意点

専任媒介契約の注意点としては、以下の通りです。

  • 1社にしか依頼できない為、不動産会社を慎重に選ぶ必要がある
  • 売主様都合で契約を解除すると違約金が発生することがある

専任媒介契約や専属専任媒介契約では、1社としか媒介契約を結ぶことができません。
また、売主様都合で契約を解除すると、違約金(費用償還請求)を請求される場合もあります。

参考:国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」

その為、不動産会社を選ぶ際は査定額だけでなく、売却活動中のサービスが充実しているか、などから総合的に選ぶのが適切です。
適切な不動産会社の選び方については、以下の記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

参考:マンション売却業者の選び方は?売却の手段や確認すべきポイントを解説

また、専任媒介契約や専属専任媒介契約の契約期間は最長で3ヵ月と定められています。その為、売主様の都合によって媒介契約を解除する場合は違約金が発生するケースもあります。万が一、不動産会社選びに失敗したと感じたら、契約期間終了後に不動産会社を切り替えると良いでしょう。

専属専任媒介契約の特徴

専属専任媒介契約の特徴について解説します。

専属専任媒介契約のメリット

専属専任媒介契約のメリットには以下のようなものが挙げられます。

  • 販売状況報告の頻度が最も高い為、販売状況を把握しやすい
  • レインズに登録するまでの期間も短く、他の不動産会社の協力をいち早く得やすい

専属専任媒介契約のメリットは、基本的には専任媒介契約と同じです。
ただし、報告頻度やレインズに登録するまでの期間に関しては、専属専任媒介契約のほうに優位性があります。

専属専任媒介契約の注意点

専属専任媒介契約の注意点も基本的には専任媒介契約と同じです。
ただし、「自己発見取引ができない」という点に関しては専任媒介契約と比べると制限されています。

不動産会社と媒介契約を結ぶ際のポイント

媒介契約を結ぶ際のポイントについて解説します。

売却実績やサポートがしっかりしているかどうか

媒介契約を締結するときには、その不動産会社の売却実績が豊富か否か、サポートが充実しているかを確認することが重要です。
長谷工の仲介では、97.2%とお客様から高い満足度をいただいており、実績も豊富です。
さらに、専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結し、一定の要件を満たすことで「水まわりクリーニング」や「壁・床のリペア」などのサービスもご用意しています。ぜひ、不動産会社を検討する際の参考にしてみてください。

仲介バリューアップサポート

売却価格の根拠を説明してくれるかどうか

売却価格の根拠をわかりやすく説明してくれるかどうかも重要な点です。
不動産会社は、宅地建物取引業法第34条2項により価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないとされている為、ほとんどの不動産会社が根拠を説明してくれるはずです。
ただし、説明の分かりやすさについては、不動産会社によって差が出てくるところになります。事例などが具体的でわかりやすく、納得感のある説明をしてくれた不動産会社を選ぶことが望ましいといえます。

媒介契約書が標準媒介契約約款に基づいているかどうか

標準媒介契約約款とは、依頼者の保護や紛争および不動産流通の円滑化を図る為に国土交通省が定めた標準的な媒介契約書のことで、一般媒介契約約款と専任媒介契約約款、専属専任媒介契約約款の3種類があります。

標準媒介契約約款は、あくまでも国が示す雛形のようなものですので、実際に使う媒介契約書は標準媒介契約約款と異なるものを使っても構いません。
ただし、媒介契約書が標準媒介契約約款とは異なる場合には、媒介契約書内に標準媒介契約約款と異なる旨を明示すべきとされています。

一般的な媒介契約書では、媒介契約書の右上に「標準媒介契約約款に基づく契約か否かの別」が記載されていますので、右上に「この媒介契約は、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく契約です。」と記載されていたら、標準媒介契約約款であるということです。
媒介契約書に不明な点がある場合には、都度、不動産会社に確認することも適切な対応となります。

まとめ

ここまで、媒介契約について解説してきました。
媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
媒介契約には、複数社に依頼できる一般媒介契約と、1社だけの依頼となる専任媒介契約または専属専任媒介契約があります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に適した媒介契約を選びましょう。

長谷工の仲介では、売主様のマンション売却サポートのみならず引越し後の不安も解消するアフターサポートも用意しておりますので、ご検討いただけると幸いです。
まずは無料相談をご利用ください。

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※本記事の内容は2022年12月13日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)
不動産鑑定および宅建業の代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士、住宅ローンアドバイザー。大阪大学出身。
写真:竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)

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