2023.09.01住みながら家を売ることはできる?メリットやポイントも併せて紹介

住みながら家を売ることはできる?メリットやポイントも併せて紹介画像

住み替えをする場合、現在の自宅を売却してから新居を購入したいと考える方が多く、住みながら売却するケースは多く見られます。

この記事では家に住みながら売却する場合の流れやメリット、注意すべきポイントを解説します。
また家の売却方法について悩んでいる方向けに、新居を先に購入するケースとの違いや、自宅を売却した後も住み続けられるリースバックやリバースモーゲージも紹介します。自分に合った売却方法を選び、上手に売却を進めましょう。

住みながらでも家を売ることはできる?

住みながら売却するのは難しいイメージがありますが、多くの方が自宅に住みながら売却しています。
一般的に、先に自宅を売ってから新居を購入する方法を売り先行といい、逆に新居を先に購入してから自宅を売却する住み替え方法を買い先行といいます。

売り先行は、必然的に居住中の状態を内覧してもらうことになります。注意すべきポイントはありますが、空き家の状態にしてから売る場合と比べて、大きく不利になるということはありませんのでご安心ください。

住みながら家を売却・新居に引越すまでの流れ

最初に、売り先行の流れを把握しておきましょう。

具体的には、以下の10ステップで住み替えを進めます。

  1. 不動産会社に自宅を査定してもらい、販売価格を設定する
  2. 不動産会社と媒介契約を締結する
  3. 購入希望者の内覧に対応する
  4. 購入希望者からの購入申込書を不動産会社経由で受取り、価格や条件を調整する
  5. 自宅の売買契約締結・手付金を受領する
  6. 仮住まい先を探し、自宅を引き渡す日の前日までに引越しする
  7. 自宅の残代金決済(住宅ローン完済)・自宅の引き渡し
  8. 新居を選定し、不動産会社経由で購入申込書を提出する
  9. 新居の売買契約締結・引き渡し(新居の住宅ローン返済開始)
  10. 新居への引越し

売り先行の場合、自宅の売却代金で住宅ローンを完済してから、新たな住宅ローンを組むことになります。もし受領した代金で足りない場合は、自己資金などを充当しなければなりません。

また、自宅の住宅ローンを完済してから新居を購入することになる為、仮住まいが必要になる場合もあります。つまり、住み替えまでに2回の引越しが必要になります。
新居の売買締結と引き渡しの時期が早ければ早い程、仮住まいの費用を抑えることができる為、売却活動と新居探しは並行して行うのが望ましいでしょう。

住みながら家を売却するメリット

住みながら家を売却する場合、いくつかのメリットが考えられます。ここでは、住みながら家を売却するケース(売り先行)の代表的なメリットを5つ紹介します。

ダブルローンを避けられる

ダブルローンは二重ローンと表現されることもあります。その名の通り自宅の住宅ローンの残債がまだある状態で、新居を購入する為にあらたな住宅ローンを組み、2つのローンを借入れることをいいます。

買い先行の場合、2つの住宅ローンを返済しなければならない為、負担が大きくなると考えられます。また契約者の年齢や返済能力、住宅の担保評価によっては審査が厳しくなり、ダブルローンを組むのが難しいケースもあります。

一方で、売り先行では自宅を売却して今の住宅ローンを完済してから新しく住宅ローンを借り入れる為、ダブルローンを避けられます。
しかし、住宅ローンの残債が販売価格を上回る場合は、先述の通り自己資金を充当しなければなりません。事前に売却できる価格を想定し、住み替えの資金計画を立てましょう。

希望する価格で売りやすい

買い先行の場合は2つの住宅に対して維持費がかかり、二重ローンとなる恐れもある為、焦って元々の住宅を売却したいと考えて売り急いでしまうケースもあります。

一方で、売り先行は焦って売る必要がない為、希望する価格で売却しやすいメリットがあります。しかし新居が見つかるまでの時間がかかり過ぎてしまうと、その分仮住まいの費用負担が大きくなりますので注意しましょう。

売却代金を新居の購入費用に充てることができる

自宅を売却してから新居を購入する場合、売却代金を新居の購入費用に充てることができます。売却代金によっては、新居を現金で購入することもできるでしょう。

売却代金が確定してから新居を購入する為、資金計画を立てやすいことも売り先行のメリットです。しっかり資金計画を立ててから、住み替えたいと考える方に適した方法でしょう。

購入検討者が内覧時に生活をイメージしやすい

住みながら売却する場合は、家財道具がある状態で内覧に対応することになります。購入希望者は家具の配置や住まい方を見ることができる為、引越し後の生活をイメージしやすいといったメリットがあります。

また購入希望者は、売主様から住んでいるからこそ分かるメリットや生活情報を内覧時に聞くことができる為、物件をより魅力的に感じるという側面もあります。

部屋の劣化を抑えた状態で売却ができる

住んでいると自然と換気することになり、家の劣化を抑えることができます。しかし空き家の場合、締め切りの状態が続き、空気が循環しない為、湿気やホコリが溜まりやすく、カビが繁殖するなどのリスクがあります。
特に湿気が多い時期はあっという間にカビが繁殖してしまい、カビを取り除く処理が必要になります。

また、空き家の場合は住んでいれば気付くことができる不具合や故障にも気付けない恐れがあります。例えば、雨漏りに気付かず放置してしまうと家の劣化につながります。しかし、住みながら売却する場合は、日常生活のなかで雨漏りしている箇所に気付けるでしょう。早めに気付くことができれば売却までに修理をすることも可能です。

住みながら家を売却する際の注意点やポイント

住みながら家を売却するメリットはあるものの、注意点や押さえるべきポイントがあります。ここでは4つのポイントを紹介します。

家の掃除を行い綺麗な状態にしておく

内覧希望者は急に現れることがあります。過度に生活感を感じる室内は、購入希望者に良くない印象を与えてしまいます。

いつでも内覧に応じられるように常に室内は清掃しておき、なるべく清潔な状態を保つようにしましょう。物が多すぎると室内が狭く感じられる為、家財道具は整理整頓して、不要なものはなるべく処分しておきます。
特に水回りは注目されることが多い為、念入りに清掃しておきましょう。清掃が難しい箇所は、プロにクリーニングを依頼するのもお勧めです。

また室内の印象を良くする方法として、ホームステージングがあります。ホームステージャーといわれるプロのコーディネーターに、室内の整理整頓やインテリアの配置を依頼することによって、モデルルームのような空間にすることが可能です。

早期売却を目指す為に、実践していただきたいポイントは以下の通りです。

  • 室内の家財道具を整理整頓する
  • 水回りなどの汚れは特に目立つ為、内覧前は念入りに清掃する
  • 内覧前は換気をしておき、必要に応じて消臭スプレーを利用する
  • 清掃が難しい箇所はハウスクリーニングを検討する
  • モデルルームのような演出をしたい場合は、プロにホームステージングを依頼する
  • プロの清掃でも綺麗にならない場合は、リフォームの実施も検討する

ハウスクリーニングやホームステージングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

マンションのハウスクリーニングの相場は?売却時に実施するメリットやポイントを解説

長谷工の仲介では、ハウスクリーニングやホームステージングなど様々な売却サポートを行っております。詳しくはこちらをご覧ください。

ハウスクリーニング

ホームステージング

内覧しやすい雰囲気をつくる

購入希望者の方が、内覧しやすい雰囲気を作りましょう。例えば、夏など外気温が高い場合は冷房によって涼しくし、快適に内覧できるようにします。荷物やコートが邪魔になる場合は置き場所を提供し、ゆっくり見てもらいましょう。

基本的には不動産会社の担当者が対応しますが、質問があった際は丁寧に回答し、住んでいるからこそ分かる生活情報や家の魅力なども合わせて伝えましょう。
内覧の流れや事前準備、チェックすべきポイントについては、以下の記事でも紹介しています。

マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介

内覧予定に合わせて日中のスケジュールを調整する

土日や祝日などは内覧の予定が入ることがあります。チャンスを逃さない為にも、休日の予定は柔軟に対応できるようにしておくことをお勧めします。

例えば土曜日は予定があったとしても、日曜日は内覧に対応できるなど、不動産会社の担当者ともスケジュールを共有しておきましょう。数多く内覧をしてもらうことで、成約率もアップします。

新居探しも同時に進める

自宅の売却が成立したらなるべく早く引越しできるように、新居探しも同時進行で進めましょう。

先述の通り、売り先行の場合、自宅の引き渡し日の前日から新居の引き渡し日までの期間は仮住まいが必要になります。その場合、長期になればなるほど費用がかさんでしまいます。仮住まいでの生活がなるべく短期間で済むように、計画的に新居探しをしましょう。

住みながら売却する場合と空き家にして売却する場合の違い

ここまでの内容を踏まえて、住みながら売却する場合(売り先行)と、空き家にして売却する場合(買い先行)の違いを紹介します。
どちらが正解ということはなく、自分に合った売却手順を選ぶようにしましょう。

住みながら売却する(売り先行) 空き家にして売却する(買い先行)
内覧対応 基本的には売主様も内覧に対応する為、常に室内を整理整頓しておく必要がある。生活情報や家のメリットを紹介しながら、家の良さをアピールできる。 不動産会社に鍵を渡しておけば、内覧に立ち会う必要がない。内覧希望者はいつでも内覧できる為、チャンスを逃さないで済む。
新居の決め方 売却と同時進行で新居を探しておき、自宅の引き渡し後に売買代金を受領してから新居の売買契約を締結する。 先に新居を購入し、引越しを終えてから、自宅の売却をはじめる。
資金計画 売却資金が確定してから新居を購入できる為、資金計画が立てやすい。 自宅の売却価格を想定して新居を購入することになる為、ある程度余裕をもって計画を立てる必要がある。
住宅ローンの借入れ 自宅の住宅ローンを完済してから、新居の住宅ローンを組むことになり、返済に無理がない。 自宅の住宅ローンに残債がある場合、新居のローンとダブルローンになることがあり、返済が大きな負担になる恐れがある。
家の状態 住んでいる為、劣化の速度は大きく変わらない。 空き家なので定期的に換気をしないと、カビの繁殖などのリスクがある。
購入希望者の内覧 家財がある為、実際の暮らしをイメージしやすい。売主様が居住中の為、遠慮して隅々まで見られないケースもある。 基本的には不動産会社の担当者が対応する為、気にせず隅々まで見ることができる。空き家なので、家具の配置をイメージしづらい面がある。
仮住まいの有無 自宅の売却と新居の購入を同時にしない限り、仮住まいが必要になる。 仮住まいの必要がない。

家に住みながらの売却が向いている方は?

家に住みながら売却することが向いている方はどのような方なのでしょうか。ここでは代表的な3パターンを紹介します。

室内を人に見られても問題ない方

居住中の室内は、いくら整理整頓を心がけていても生活感が出てしまいます。内覧のたびに他人に室内を見られることを負担だと思う方は、ストレスに感じるかもしれません。
一方で室内を見られても問題ない方は、家に住みながら売却することに向いているといえます。

住宅ローンが残っている方

住宅ローンの残債が比較的多く残っている方は、売り先行をお勧めします。
残債額によっては全体の返済比率が高くなる為、新居購入の際にあらたな住宅ローンを組むことが難しくなります。またダブルローンを借入できたとしても、返済額が大きくなり、家計への負担も大きくなります。

その為、資金計画の立てやすさという面から住宅ローンが残っている場合は、売却代金で完済してしまうほうが良いでしょう。
今の住宅ローンと新居の住宅ローンをまとめて借り入れる住み替えローンもありますが、借入額が多くなる為審査も厳しくなっています。住み替えローンについては、以下の記事で詳しく解説しています。

住み替えローンの利用はあり?メリットや金利・審査面から注意点を解説

売却を急いでいない方

売却を急いでいない方は、売り先行をお勧めします。売り先行であれば、納得がいく金額で売れるまで、住み替えを急ぐ必要はありません。また、一度売却を取り下げてタイミングを見直すことも可能です。

これからマンション売却を検討しているという方は、売却の流れや注意点について下記の記事を参考に確認しておきましょう。

マンション売却の流れは?注意点やかかる税金・費用、失敗事例についても紹介

今の家に今後も住み続けられる売却方法

住み慣れた自宅に住み続けたいけれど、まとまった資金が必要な方に2つの売却方法を紹介します。それぞれメリットと注意点がありますので、慎重に検討することをお勧めします。

リースバック

リースバックとは、自宅をリースバック事業者に売却してまとまった資金を得た後も、賃貸契約を結んで月々家賃を支払うことによって、住み慣れた自宅に住み続けることができるサービスです。
住宅ローンを完済したい方や、まとまった資金が必要な方にお勧めです。家賃を支払う必要はありますが、物件を所有しているわけではないので固定資産税などの支払いは不要になります。

注意すべきポイントは、契約の内容によっては希望する期間住み続けられないケースがあることです。例えば定期借家契約などで期間を定めていた場合、期間満了後は居住できません。再契約が可能な場合もありますが、事業者が拒否した場合は住むことはできず、注意が必要です。
また自分の所有物ではない為、自由にリフォームや改造をすることはできません。

リースバックに関するよくあるトラブル例や利用時のポイントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

よくあるリースバックのトラブル事例とは?失敗しないためのコツを紹介

リースバックとは?メリットや利用する場合の注意点を解説

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして資金を借入れ、借入れ人が死亡したときに担保としていた自宅を処分することで借入を返済するという高齢者向けの貸付制度です。
取り扱っている金融機関によって契約内容が多少異なりますが、毎月利息分の支払いのみで住み慣れた家に継続して住み続けられるメリットがあります。

しかし長生きした場合は、融資限度額を使い切ってしまうリスクがあります。また土地や建物の価値が想定よりも下落した場合は、融資限度額が見直されることもあります。

まとめ

現在の家に住みながら売却することは可能です。しかし、この記事でお伝えしたようにメリットや注意すべき点があります。売り先行と買い先行のどちらが向いているのかを検討し、ご自身にあった売却方法を選びましょう。

マンションの住み替えを検討する場合、正しく資産価値を知り、事前に資金計画を立てることが重要です。長谷工の仲介では、無料相談を実施しています。まずは無料査定からご相談ください。

また長谷工の仲介はマンションの売却実績が豊富で、引き渡し後のサポートやサービスも充実しています。住み替えに関するご相談は「売却何でも相談」より承ります。お気軽にご利用ください。

※本記事の内容は2023年9月1日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

満足度の高い売却は「長谷工の仲介」で。

「知人・親族にすすめたい」そんなお客さまが90.8%!満足度の高い売却は「長谷工の仲介」で。

売却の流れをチェック!

この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

関連のおすすめ記事