2023.08.23老後の住み替えで失敗しない為のポイントは?住まいの選択肢やタイミングについて解説

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老後の住み替えは失敗したくないと思うものの、何に気をつけたら良いのか分からないと悩んでいる方もいるでしょう。

この記事では老後の住まいとして考えられる選択肢や、住まい選びで重視すべきポイントを解説します。失敗しない為の注意点も紹介しますので、老後の住まい選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

老後の住み替えを検討するタイミング

最初に、多くの方がどのようなタイミングで住み替えを検討しているのか、物件取得年齢と年収の観点で見ていきましょう。

国土交通省住宅局がまとめた「令和4年住宅市場動向調査報告書」によると、住宅ごとの一次取得者(初めて物件を購入する方)の平均年齢は以下の通りです。

住宅の種類 平均年齢
注文住宅 39.5歳
分譲戸建住宅 37.5歳
分譲集合住宅 39.9歳
既存(中古)戸建住宅 43.6歳
既存(中古)集合住宅 43.7歳

※注文住宅のみ全国を対象に調査、その他は三大都市圏での調査

一次取得を考えた場合、新築物件は30代後半の方が購入する傾向があり、一方で中古物件は40代前半の方が購入する傾向があることが分かります。

一方で、二次取得者(買い替えをする方)の平均年齢は以下の通りです。

住宅の種類 平均年齢
注文住宅 59.9歳
分譲戸建住宅 48.3歳
分譲集合住宅 58.1歳
既存(中古)戸建住宅 52.5歳
既存(中古)集合住宅 53.6歳

一次取得と二次取得の平均年齢を踏まえると、住宅ローンを完済、もしくは完済が見えてきた時期に住み替えを行っているケースが多く、ライフスタイルや家族構成の変化などに合わせて、住宅を買い換えていることが分かります。

次に、年収との関係を見てみましょう。
一次取得の場合、分譲集合住宅(新築マンション)を購入している世帯の平均年収が一番高く923万円、次に高いのが注文住宅の購入世帯で784万円でした。一方で中古物件を購入している世帯の平均年収は、600万円台となっています。

住宅の種類 世帯の平均年収
注文住宅 784万円
分譲戸建住宅 722万円
分譲集合住宅 923万円
既存(中古)戸建住宅 682万円
既存(中古)集合住宅 609万円

二次取得者の場合、一番世帯年収が高かったのは注文住宅の1,270万円で、次に分譲集合住宅(新築マンション)を購入している世帯の1,085万円となっています。中古物件を購入している世帯の平均年収は800〜900万円台となっています。

住宅の種類 世帯の平均年収
注文住宅 1,270万円
分譲戸建住宅 880万円
分譲集合住宅 1,085万円
既存(中古)戸建住宅 975万円
既存(中古)集合住宅 830万円

ここまでの二次取得者の平均年齢と平均年収を踏まえると、ある程度年齢を重ねて金銭的にも余裕が出てくる60歳前後のタイミングで住み替えを検討しているということが推測できます。

データ引用元:国土交通省 住宅局「令和4年 住宅市場動向調査報告書」

老後の住まいの選択肢は?

老後の住まいの選択肢は、シニア向けの住宅や二世帯住宅など、いろいろと考えられます。ここでは、それぞれメリットや注意すべき点を解説していきます。

シニア向け住宅への住み替え

シニア住宅は要支援の高齢者だけでなく、自立した高齢者も入居可能です。食事や掃除の支援があり、施設スタッフもいる為安心して暮らせるのがメリットです。

食事代や各種サービス料などの月額費用の相場は、入居人数にもよりますが10〜30万円といわれています。分譲マンションの管理費に比べてかなり高額になる為、老後資金を蓄えておく必要があります。

マンションや戸建への住み替え

マンションから戸建、もしくは戸建からマンションへ住み替える場合、住環境が変わりますのであらかじめ暮らし方を想定しておく必要があります。
「こんなはずではなかった」と後悔しない為にも、それぞれのメリットだけでなく注意点も確認しておきましょう。

マンションに住み替える場合

マンションは駅の近くに所在しているケースが多い為、利便性が高いのが魅力です。またオートロックや管理人が日中に巡回しているマンションを選択すれば、防犯面も安心できるでしょう。
戸建に比べてコンパクトな間取りでの生活になる為、洗濯や家事の動線が短いのもメリットです。その他、共用部の清掃をする必要がなく、なかには24時間ゴミ出しできるマンションもあります。

一方、マンションは隣家との距離が近い為、生活音が気になる恐れがあります。また月々の管理費や修繕積立金、駐車場代がかかる為、事前に試算しておく必要があるでしょう。
その他、マンションは集合住宅の為、自由にリフォームできないなどある程度ルールが定められています。戸建に住んでいる方にとっては、制限が厳しいと感じるかもしれません。

その為、マンションに住み替える場合は、あらかじめ月々かかる費用を把握し、管理規約を事前に確認しておくことをお勧めします。

戸建に住み替える場合

戸建は、マンションと比べて隣家との距離がある為、プライバシーを配慮しやすいのが特徴です。生活音が気になることもほとんどないでしょう。
また、マンションのような制限がない為、リフォームや改装が自由にでき、ペットも制限なく飼育できます。こうした生活の自由度の高さが魅力です。

ただし、戸建は駅からの立地によっては、車やバスなどを利用する必要があります。また窓などの開口部が多い為、セキュリティ面の配慮もしなければなりません。
管理費や修繕積立金がないのはメリットですが、外部改修などをした場合には全額自己負担になる為、修繕費用は計画的に積み立てておく必要があるでしょう。

このように戸建に住み替える場合は、駅やスーパーなど生活面の利便性を確認し、実際に生活するイメージをしておくことが重要です。

二世帯住宅へのリフォーム

既存の住宅の大きさや子世帯の希望によっては、二世帯住宅へのリフォームも視野に入れると良いでしょう。

二世帯住宅といっても完全分離タイプや、水回りを共用するタイプなどがあり、間取りプランはいろいろ考えられます。子世帯が近くに住んでいる安心感は得られますが、生活スタイルが異なる場合はお互い負担に感じてしまう場合もあります。

その為、二世帯住宅にする場合は間取りや生活スタイルの違いなどを慎重に検討し、よく子世帯とも話し合ってから決定するようにしましょう。

バリアフリーリフォーム

老後の住み替えを検討している方のなかには「できれば今の住宅の住環境を変えたくない」と考えている方もいると思います。
この場合、今の自宅をバリアフリー仕様にリフォームすることを検討しても良いでしょう。
例えば、家のなかでも事故が起きやすい浴室に手すりを新設したり、転倒事故を防ぐ為に洗面所との段差や、洗い場と浴槽との段差を極力なくしたりするリフォームが考えられます。

バリアフリーリフォームは補助金の対象になるケースもあります。リフォーム会社や工務店に相談してみましょう。
マンションのリフォームの相場や補助金については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションリフォームの費用相場は?費用を抑えるポイントや実施する際の注意点を解説

老後の住み替えにおける物件選びのポイント

老後の住み替え先を検討する場合、何を基準に選択したら良いのでしょうか。
国土交通省住宅局がまとめた「平成30年住生活総合調査結果」の高齢者(単身・夫婦)が考える住宅および居住環境に関して重要と思う項目を参考に、チェックポイントを紹介します。

単身、夫婦世帯に関わらず上位に挙げられた項目は以下の通りです。住宅の性能面だけでなく、環境面も重視する必要があることが分かります。

【周辺環境面】

  • 日常の買い物などの利便性
  • 治安
  • 医療・福祉・文化施設などの利便
  • 災害時の避難しやすさ
  • 福祉・介護の生活支援サービス
  • 道路歩行時の安全性

【住宅面】

  • 地震時の安全性
  • 日当たり
  • 防犯性
  • 高齢者への配慮(段差がない等)
  • 台風時の安全性
  • 火災に対する安全性

出典:平成 30 年 住生活総合調査結果 国土交通省住宅局

それぞれ詳しく見ていきましょう。

周辺環境について

周辺環境は自分では変えられません。購入時には物件そのものだけでなく、周辺環境もチェックするようにしましょう。
老後の生活を考えると駅や商業施設だけでなく、医療や福祉、介護サービス施設などが近隣にあるのかも重要です。
例えば病院まで徒歩で行ける立地と、バスに乗らなければならない立地ではかなり利便性が異なります。今は車を運転できるかもしれませんが、将来免許を返納する可能性もあります。老後の住み替えは、あらゆる状況を想定して周辺環境を確認しましょう。

住宅について

住宅はリフォームなどによって改善できます。
しかし日当たりや台風時の安全性など、自分では改善できない点もあります。
老後の住み替えは居住性だけでなく、安全性の面も重視して住宅を選ぶようにしましょう。
地震や台風など自然災害については、自治体がハザードマップを公表している為、事前に必ず確認するようにしましょう。
台風による洪水や浸水などのほかに、液状化しやすさや崖崩れについても自治体のホームページで調査できます。ぜひ参考にしてください。

新築か中古かについて

シニア世代が住宅を購入する場合、新築と中古で迷う方もいるでしょう。

新築マンションは売主である不動産会社から直接購入する為、仲介手数料がかかりません。またリフォームをする必要がない為、購入時の経費を抑えることができます。
しかし新築マンションは中古マンションに比べて、購入価格が高い傾向があります。
その為、月々の返済や管理費、修繕積立金など支払いに無理がないようにしましょう。

中古マンションは仲介手数料がかかりますが、築年数によって価格帯に幅があり、予算に応じた物件を見つけやすいのが魅力です。
中古マンションの築年数によっては、2回目の大規模修繕や建て替えするタイミングに修繕積立金が足りず、追加で一時金の支払いが発生する恐れもあります。
中古マンション購入時には、すでに積み立てられている修繕積立金の総額や、大規模修繕の予定の有無などを確認するようにしましょう。

賃貸か持ち家かについて

コスト面で考えてみると、賃貸の場合は月々の家賃や更新料などがかかりますが、退去時には原状回復費用を差し引いた敷金しか戻ってきません。

一方で持ち家は住宅ローンの支払いをしながら、資金形成することができます。資産価値を考慮すれば、持ち家の方がお得です。
ただしシニア世代の場合、年齢の関係から35年ローンなど長期間のローンを組めないこともあります。

その他、注意すべきポイントとしては、住宅ローンの返済が難しくなったときの対応です。
仮に返済が厳しくなった場合は、まずは金融機関に返済計画の見直しを相談してみましょう。また、健康状態の悪化など条件次第では保険金や補助金などを受け取れる場合もあります。
住宅ローンの返済が難しい場合の対処法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションの住宅ローンが払えない!滞納するリスクや対処法を紹介

老後の住み替えで失敗しない為のポイント

最後に、老後の住み替えで失敗しない為のポイントを3つ紹介します。住み替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

住み替えのスケジュールを把握しておく

住み替えをする場合、自宅の売却を先に売却する売り先行と、新居を先に購入する買い先行があります。

・売り先行
売買代金が決まってから新居を購入する為、資金計画を立てやすいメリットがあります。ただし自宅を引き渡してから新居を購入する為、仮住まいが必要になる場合があります。また、引越しが2回になる為、その分費用と労力がかかります。

・買い先行
先に新居を購入する為仮住まいが不要になり、引越しは1回になります。自宅の住宅ローンを完済している場合は、新居購入に住宅ローンを借入できますが、残債がある場合は自己資金で完済しなければなりません。
また、残債が残っている場合は住み替えローンを利用する方法もありますが、借入金額が高くなる為審査が難しく、収入に対する返済比率によっては借り入れは難しいでしょう。

住み替えの流れや注意点については、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却して住み替える方法とは?流れや費用、利用できる特例を紹介

家族に間取りを相談する

住み替え先の間取りは、かならず家族に相談するようにしましょう。特に戸建からマンションなど異なるタイプの住宅に引越しする場合は、生活動線が変化します。
生活動線が負担にならないかなどを家族と一緒に内覧しながら検討することをお勧めします。

現実的な資金計画を立てる

住み替えは、売却と購入時で予想以上に諸経費がかかります。税金や仲介手数料のほかにも、家財を購入することも想定しなければなりません。なるべく余裕をもって、現実的な資金計画を立てましょう。

査定を受けて自宅の価格を知る

まず不動産会社へ査定を依頼し、自宅の査定額を確認しましょう。自宅がいくらで売却できるかによって、今後の資金計画が左右されます。

残債が売買代金で完済できるのか、また購入に自己資金がいくら使えるのかを把握する為にも、まずは自宅の査定から始めましょう。
長谷工の仲介では、無料査定を実施しています。お気軽にご相談ください。

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退職金や年金、貯金を使い過ぎない

なるべく退職金や年金、貯金など資産は温存しておきましょう。自宅の査定額はあくまでも査定です。売却を保証する金額ではありません。
競合物件によっては、思い通りの金額で売却できない場合もあります。資金はなるべく残しておき、余裕をもった資金計画を立てましょう。

無理のないローンを組む

残債が売買代金を上回る場合、住み替えローンを組むことによって完済することができますが、前述の通り、残債分と新居の住宅ローンを一緒に借り入れる為月々の返済が厳しくなる恐れがあります。

また金融機関は80歳までの完済を条件にしているケースが多く、年齢によっては短期間での返済になります。結果として無理な資金計画にならないように、家族や金融機関の担当者とも相談しながら慎重に決定するようにしましょう。
住み替えローンについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

住み替えローンの利用はあり?メリットや金利・審査面から注意点を解説

リバースモーゲージを活用する

リバースモーゲージとは、自宅に住みながら家を担保に老後資金を借りることができる金融商品です。毎月の支払いは利息のみで、借り入れ人が死亡したときに担保提供していた自宅を売却することで借入金を返済します。

自宅に住み続けられることがメリットですが、借り入れ人が長生きした場合は、借り入した資金を使い切ってしまう恐れがあります。
他にも金利変動や、担保評価の下落などのリスクもあります。詳しくは金融機関にご相談ください。

まとめ

「老後には資金を残しておきたいし、住み替えを失敗したくない」という気持ちがある一方で、希望する住まいへの買い換えを計画している方は多いのではないでしょうか。
まずは自宅の資産価値を把握し、無理のない資金計画を立てましょう。

住み替えを成功させる為には、実績が豊富でアフターサービスが充実した不動産会社を選ぶことが重要です。長谷工の仲介では売主様のマンション売却サポートのみならず、引越し後の不安を解消するアフターサービスも充実しています。
売却に関する相談は「無料相談」で受け付けていますのでお気軽にご利用ください。

※本記事の内容は2023年8月23日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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