2025.1.8住み替えローンとは?メリット・注意点や利用の流れ、ローン返済中の住み替え可否も解説

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住宅ローンを組んだ家を売却する場合、売却時には住宅ローンを完済する必要があります。
なかには、家の査定額が住宅ローンの残債よりも低く、手持ちの資金もないことから売却を諦めているという方もいるのではないでしょうか。
しかし、こうした方でも、住み替えローンを利用することで売却できる可能性があります。

この記事では、住み替えローンとはどのようなローンなのか、その概要やメリット、注意点について解説します。
住宅ローンの返済中に住宅を売却したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

住み替えローンとは?

住み替えローンのイメージ画像

住み替えローンとは、オーバーローン部分を買い替える物件の住宅ローンに上乗せして借りることができるローンです。

一般的に、家を売却する場合、売却前に住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。
住宅ローンの完済と抵当権の抹消は、売却と同時に行っても問題ない為、家の売却代金で住宅ローンを完済できるのであれば問題ありません。
このように、売却代金が住宅ローンの残債額を上回っている状態のことを、アンダーローンと呼びます。

一方、売却代金で住宅ローンを完済できない状態のことをオーバーローンと呼びます。オーバーローンの場合、手持ちの資金で不足分を充当する必要があり、資金を用意できない場合にはそもそも売却ができません。
しかし、このような状況であっても、住み替えローンを利用することで、新居の住宅ローンに加えて、不足分の資金も借りることが可能になるのです。

抵当権や抵当権抹消については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

抵当権とは?設定や抹消手続きの流れ、行使された場合の対処法についても解説

抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説

住み替えローンを利用するメリット

ここでは、住み替えローンを利用するメリットをご紹介します。

住宅ローンの残債があっても住み替えができる

住み替えローンを利用することで、住宅ローンの残債があっても住み替えができるようになります。

前述した通り、住宅ローン残債が残っている物件を売却する場合、引き渡し時に残債を一括返済する必要があります。しかし、転勤などで住み替えが必要になり、住宅ローンを完済する為の資金を調達するのが難しいという場合もあります。

そのような場合は、住み替えローンを利用することで、売却時にオーバーローン部分も含めて住宅ローン残債を一括返済できることから、まとまった自己資金がなくとも売却をすることができます。

ダブルローンを組む必要がない

住み替えの際、新居の購入を先に進めると、一時的に新居の住宅ローンと元の家の住宅ローンとでダブルローンになることがあります。
ダブルローンになると返済額が大きくなってしまい、返済できなくなってしまうリスクもあるでしょう。

一方、住み替えローンを利用すればローン実行時に元の家の住宅ローンを完済することから、ダブルローンになる心配はありません。

住み替えローンを利用する際の注意点

次に、住み替えローンを利用する際の注意点を見ていきましょう。

住み替え後の返済が高額になる

住み替えローンは、新居の住宅ローンと売却する家の住宅ローン残債額を併せて借り入れる為、借入額が大きくなりやすい点に注意が必要です。
その為、住み替えローンを利用する場合には、事前に返済額がいくらになるのかをシミュレーションしたうえで、余裕のある資金計画となっているかを確認しておくようにしましょう。

審査が厳しい場合がある

住み替えローンは、通常の住宅ローンよりも融資審査が厳しい傾向があります。
理由としては、銀行は購入物件の融資に加え、売却物件の残債を完済する為の資金を融資するからです。融資額が多い場合、返済が滞った場合に銀行が物件を任意売却や競売にかけても残債を回収できなくなる場合もあります。

その為、できるだけ借り入れ金の返済に余裕のある方に融資したいと銀行は考えています。
よって、住み替えローンの審査は一般的な住宅ローンの審査よりも厳しい傾向があるのです。
なお、物件を購入する前に住み替えローンの仮審査を受けておくことが適切といえます。仮審査に通っておけば、本審査で否認される可能性は低くなります。

売却日と購入日を調整する必要がある

住み替えローンの融資実行日は、購入物件の引き渡し日になります。その為、住み替えローンを利用するには、売却物件の引き渡し日と購入物件の引き渡し日を「同日」に調整する必要があります。つまり、住み替えローンを利用する際は売却と購入を並行して行うことが基本となります。

また、中古物件を購入する場合は、購入物件の売買契約時に買い替え特約を利用することが多いです。
買い替え特約とは、購入物件の売買契約において売却物件が期限までに売れなかったときに、購入物件の売買契約を解除できる特約のことを指します。

通常の住宅ローンよりも金利が高い傾向がある

住み替えローンは通常の住宅ローンよりも金利が高い傾向にあります。
理由としては、前述した通り融資をする銀行の立場からすると担保価値以上の金額を貸し出して仮に返済が滞ってしまった場合、銀行が残債を回収できなくなる恐れがあるからです。

また、住み替えローンは必ずしも全ての銀行が取り扱っているローンではありません。
一部銀行のみの取り扱いであり、銀行間同士の金利競争も少ないことから、住み替えローンは金利が高くなりやすい傾向があります。

住み替えローンを利用した住み替えの流れ

住み替えローンを利用した住み替えは、以下の流れで進めます。
それぞれ見ていきましょう。

住み替えローンを利用した住み替えの流れ画像

STEP1:住宅ローンの残債を確認する

家を売却するには、住宅ローンを完済する必要があります。住宅ローンの残債によって、住み替えローンで必要になる借入額が変わるため、まずは住宅ローンの残債を確認するようにしましょう。

STEP2:不動産会社に売却査定を依頼する

次に、不動産査定を依頼しましょう。

住み替えローンは審査が厳しくなる為、審査の承認を得られるだけの情報(収入に関する情報など)を用意しておくと、不動産会社側も安心して取り組みやすくなります。
住み替えでは売却と購入の両方を進めていくことになりますが、例えば、売却物件の買主様が決まり、購入したい物件も決まった後に、住み替えローンの審査の承認が得られないとなると、ローンを組めず契約を進められないリスクがあるからです。

不動産の売却査定については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説

一戸建て売却の査定価格はどう決まる?見られるポイントや査定のコツとは

長谷工の仲介では、無料で査定を受け付けています。
住み替えの対応は通常の不動産売却と比べて、やや特殊な対応が必要になりますが、長谷工の仲介では豊富な実績を持つ経験豊富な担当者が対応します。
まずはお気軽にご相談くださいませ。

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STEP3:住み替えの資金計画を立てる

住み替えの際には、手続きを進める前にしっかりとした資金計画を立てることが大切です。
住宅ローンの残債額や査定価格を踏まえて、住み替えローンの借り入れ額および返済計画、新居の購入費用を検討していきましょう。

そして、住み替えローンを申し込む金融機関に相談し、自分に合った住み替えローンのプランを選択しましょう。なお、前述した通り、住み替えローンは取り扱っていない金融機関もある為注意が必要です。

STEP4:売却を依頼する不動産会社を決める

資金計画が立てられたら、査定を依頼した不動産会社のなかから、売却を依頼する不動産会社を決めます。

不動産会社を選ぶ際には、以下のような点を押さえておきましょう。

  • 売却する不動産のあるエリアでの売却実績が豊富か
  • 売却する不動産の種類(マンションや一戸建て)の売却実績が豊富か
  • 購入を検討しているエリアでの不動産取引実績が豊富か

住み替えを前提とする不動産売却の場合、住み替えの対応が可能かどうか、売却日と購入日の調整ができるかどうかなども確認しておくのがお勧めです。

STEP5:自宅の売却と新居探しを並行して進める

住み替えをサポートしてもらう不動産会社が決まったら、実際に自宅の売却と新居探しを進めましょう。
以下で、自宅を売却する流れと新居探しの流れをご紹介します。

自宅を売却する流れ

自宅を売却する際の一般的な流れは以下の通りです。

  • 媒介契約の締結
  • 売却活動の開始
  • 購入申込書の受領
  • 売買契約の締結

不動産売却を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。
媒介契約締結後、不動産会社が売却活動を開始し、購入希望者が現れたら内覧を行います。

現在の家に住みながら売却する場合は、内覧の日程を不動産会社と綿密に打ち合わせする必要があります。一方で、売却前に賃貸物件や実家などに一時的に引っ越し、空き家の状態で売却を進める方法もあります。この場合、内覧の日程調整は不要になりますが、新居が見つかるまで家賃などの費用が発生する点には注意しましょう。

そして、購入希望者が現れたら、購入申込書を受け取ります。
購入申込書には購入希望価格の記載があり、値引き交渉を持ち掛けられることもある為、慎重に判断しましょう。

価格や引き渡し条件に問題がなければ承諾し、売買契約を締結します。

媒介契約や内覧の流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介

新居探しの流れ

新居探しの一般的な流れは以下の通りです。

  • 情報収集、物件見学
  • 購入申込書の提示
  • 売買契約書の締結(買い替え特約を付けると調整しやすい)

まずは、新居に関する情報収集や、物件の見学を行いましょう。
エリアごとにおおよその相場がある為、まずはエリアをある程度絞っておくことをお勧めします。
全ての条件を満たす物件を見つけることは難しい為、最初の段階で「立地を重視する」や「建物の広さは〇〇㎡以上」など優先順位を決めておくと良いでしょう。

物件を見学し、気に入った物件が見つかったら、購入申込書を提出します。

購入申込書では、値引き交渉することも可能ですが、値引き交渉することで気に入った物件が購入できなくなる可能性がある点には注意しなければなりません。

例えば、3,000万円で売りに出ている物件に対して、2,800万円で購入申込書を出したところ、同じタイミングで他の方が3,000万円の購入申込書を出していた場合、基本的にはより高値で購入申込書を出している方が選ばれることになるでしょう。

また、この段階で買い替え特約をお願いしたい旨を伝えておくと良いでしょう。

買い替え特約とは、元の住宅があらかじめ決めた金額で売れない場合には新居の売買契約を白紙解約するというものです。
売主様からすると「売買が成立しない可能性がある」というのはリスクとなる為、ある程度売却の見込みが立つことを伝えられると良いでしょう。

売却中の物件に購入希望者がいれば良いですが、そうでない場合には不動産会社が査定価格を記載した査定書を提示したり、内覧件数などを共有したりする方法もあります。

購入の流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却して住み替える方法とは?流れや費用、利用できる特例を紹介

STEP6:住み替えローンの事前審査を受ける

購入希望の物件が確定したら、住み替えローンの事前審査を受けましょう。
事前審査を受ける際には、源泉徴収票など収入を証明する書類や本人確認書類、物件に関する登記簿謄本、元の住宅ローンの残高証明書が必要になります。また、住宅ローン以外にも借り入れているローンがある場合は、その残債が分かる書類なども必要です。

その他、個別に書類が必要なケースがある為、あらかじめ金融機関に確認しておくようにしましょう。

STEP7:住み替えローンの本審査と新居の購入を進める

事前審査の承認を得られたら、住み替えローンの本審査を行い、ローンの承認を得られたら、新居の購入を進めましょう。

本審査時には、事前審査のときと同様の書類に加えて売買契約書や重要事項説明書が必要になります。
他に借り入れがある場合は、事前審査時には残債があることがわかればよく、書類は不要としているケースもありますが、本審査までには必要になるため、早めに資料を準備するようにしましょう。

STEP8:自宅の引き渡しと新居の引き渡しを同日に行う

新居の購入と家の売却がそれぞれ完了したら、自宅の引き渡しと新居の引っ越しを同日に行います。
住み替えは通常の不動産売買よりさらに関係者が多くなる為、日程調整が大変になります。余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。

住み替えローンを利用する場合のシミュレーション

住み替えローンを利用する場合のシミュレーションについて解説します。

【前提条件】

  • 年齢:40歳
  • 新居を購入する為の自己資金額:100万円
  • 年収:800万円
  • ローン残債額:3,000万円
  • 自宅の売却予定額:2,500万円
  • 新居の購入額:3,500万円
  • 借り入れ期間:35年
  • 店頭金利:2.21%

【シミュレーション】
オーバーローンの額:500万円(=ローン残債額3,000万円-売却予定額2,500万円)
売却費用:100万円(売却価格の4%で想定)
購入費用:175万円(購入価格の5%で想定)

借り入れ予定額=新居の購入額―自己資金+オーバーローンの額+売却費用+購入費用
=3,500万円―100万円+500万円+100万円+175万円
=4,175万円

借り入れ金額4,175万円、金利2.21%、借り入れ期間35年、ボーナス返済なし、元利均等返済とした場合の返済額は以下の通りです。

毎月返済額:142,844円
総返済額:59,994,211円

※金融機関によっても金利や仕組みが異なる為、シミュレーション結果と実際の返済額が異なる場合があります。

住み替え時には他にも様々な費用がかかる

住み替え時には以下のような費用が発生します。

場面 費用項目 費用の相場
売却時 仲介手数料
  • 売却価格が400万円超:売却価格×3%+6万円
  • 売却価格が200万円超400万円以下:売却金額×4%+2万円
  • 売却価格が200万円以下:売却価格×5%
印紙税
  • 売却価格が1,000万円超5,000万円以下:1万円
  • 売却価格が5,000万円超1億円以下:3万円
抵当権抹消費用
  • 抵当権抹消の登録免許税:不動産1個につき1,000円
  • 司法書士手数料:1万円~3.5万円程度
一括返済手数料 都市銀行の窓口申し込み:0円~3万円程度
譲渡所得税 売却した年の1月1日における所有期間
  • 保有期間5年以下:譲渡所得の39.63%
  • 保有期間5年超:譲渡所得の20.315%
引っ越し時 引っ越し代 3人家族で500km未満の引っ越し:20万~40万円程度
購入時 仲介手数料(中古住宅を買う場合)
  • 購入金額が400万円超:購入金額×3%+6万円
  • 購入金額が200万円超400万円以下:購入金額×4%+2万円
  • 購入金額が200万円以下:購入金額×5%
印紙税
  • 購入金額が1,000万円超5,000万円以下:1万円
  • 購入金額が5,000万円超1億円以下:3万円
不動産登記費用
  • 登録免許税:固定資産税評価額×税率(軽減措置有り)
  • 司法書士手数料:所有権移転登記と抵当権設定登記を合わせて5~15万円程度
不動産取得税 固定資産税評価額×税率3%(軽減措置有り)
火災保険 5年一括契約で2万円~3万円程度
住宅ローン事務手数料 3~5万円程度、または借り入れ額の2.2%
住宅ローン保証料
  • 金利上乗せタイプ:金利+0.2%程度
  • 現金一括払いタイプ:数十万~100万程度

住み替えにかかる費用の詳細については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

住宅の住み替えにかかる税金とは?発生する税金や利用できる特例を紹介

住み替えローンはどこで借りられる?

前述した通り、住み替えローンは全ての金融機関で扱われているわけではありません。ここでは、住み替えローンが借りられる銀行の一例をご紹介します。

金融機関名 ローン名称 ローンの特徴
三井住友銀行 住み替えローン
  • 完済時満80歳の誕生日までの方、前年度税込年収が500万円以上であることなどが要件
  • 融資額は100万円以上1億円以内
みずほ銀行 みずほ買い替えローン
  • 完済時の年齢が満81歳未満の方などが要件
  • 融資額は50万円以上3億円以内
りそな銀行 りそな住みかえローン
  • 完済時の年齢が満80歳未満の方、前年度税込年収が100万円以上であることなどが要件
  • 融資額は50万円以上3億円以内(その他上限要件あり)
横浜銀行 住宅ローン(お住み替え)
  • 完済時の年齢が満82歳未満の方、前年度税込年収が400万円以上であることなどが要件
  • 融資額は1億円以内
千葉銀行 住み替えコース
  • 原則として借り入れ残高と売却価格との差額が対象
  • 融資額は3億円以内(借り入れ時の年齢が満51歳以上の方は2億円以内)
福岡銀行 住み替えローン
  • 完済時の年齢が満82歳未満の方、前年度税込年収が250万円以上であることなどが要件
  • 融資額は50万円以上1億円以内

※詳しくは各金融機関のホームページ等でご確認ください。

住み替え時に利用できる特別控除​

最後に、住み替え時に利用できる特別控除について解説します。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

住み替えにおいて、マイホームの売却で利益が生じた場合は原則として税金が生じます。
利益は譲渡所得と呼ばれ、譲渡所得は以下の式で計算されます。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

税金は譲渡所得に対して税率を乗じて計算されます。
基本的な税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 復興特別所得税 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 0.315% 20.315%

参考:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」

参考:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」

ただし、一定の要件を満たすマイホームを売却した場合、3000万円特別控除を利用でき、3000万円特別控除を利用した場合の譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円

また、所有期間が10年超となるマイホームを売却した場合は、「3000万円特別控除」に加えて「10年超所有軽減税率の特例」も利用できます。
軽減税率を適用した場合の税率は下表の通りです。

課税譲渡所得金額 所得税 住民税
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円以下の部分 10% 4%
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円超の部分 15% 5%

なお、購入物件で住宅ローン控除を利用する場合は、「3000万円特別控除」や「10年超所有軽減税率の特例」を利用できないことになっています。

3000万円特別控除の適用要件や他の特例との併用については、こちらの記事で詳しく記載していますのでご覧ください。

3000万円特別控除とは?適用条件や計算方法について解説

出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

特定の居住用財産の買換えの特例

「特定の居住用財産の買換えの特例」とは、売却物件の「譲渡価額」と購入物件の「取得価額」との大小により、売却時の税金を繰り延べ(先送り)できるという特例です。

大小関係 課税の関係
譲渡価額>取得価額 一部課税される
譲渡価額≦取得価額 繰り延べされる

参考:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

ただし、本特例を利用するには、マイホーム(旧居宅)を令和7年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入していることが要件となります。
また、「特定の居住用財産の買換えの特例」は、前述した「住宅ローン控除」や「3000万円特別控除」、「10年超所有軽減税率の特例」とは併用できません。

居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

譲渡所得がマイナスとなる場合には、その譲渡所得は「譲渡損失」と呼ばれます。
譲渡損失が発生した場合には、一定の要件を満たすマイホームであれば以下のいずれかの特例を利用できます。

  • 居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
  • 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

上記はマイナスの譲渡所得とプラスの他の所得を合算(損益通算)することで税金の還付を受けることができる特例です。両者の主な違いは、「居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が買い替えを要件としているのに対し、「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は買い替えを要件としていないという点になります。

本特例についても、適用を受ける場合には「マイホーム(旧居宅)を令和7年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入」する必要があります。

譲渡損失が発生した場合でも、特例を利用する場合は確定申告が必要です。
確定申告については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説

出典:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

出典:国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

住宅ローン控除

住み替え後の新居で住宅ローンを組む場合、一定の要件を満たすことで住宅ローン控除の適用を受けることが可能です。

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から13年間控除するというもので、例えば住宅ローン年末残高が3,000万円であれば3,000万円✕0.7%✕13年間=273万円もの控除を受けることが可能です。

ただし、前述した通り、住宅ローン控除は3,000万円特別控除など他の控除との併用ができません。
また、住宅ローン控除は毎年の所得税や住民税の一部を控除するものである為、そもそも所得税や住民税を納めていなければ控除を受けることはできません。
参考までに、一般的な家庭における年収400万円の方の平均的な所得税の額は8万円、住民税の額は18万円です。

住宅ローン控除の適用を受けることで、どの程度の控除を受けられるのか、3,000万円特別控除など他の控除と比べてどちらがお得になるかを比較することが大切です。

【2024年】住宅ローン控除はいつまで受けられる?税制改正による変更点や要件、申請方法について解説

出典:国土交通省「住宅ローン減税」

まとめ

ここまで、住み替えローンについて解説してきました。
住み替えローンを利用することで、住宅ローンの残債が売却価格を上回っている状態であっても買い替えが可能になります。ただし、売却日と購入日を同日にする必要があるなどの注意点もある為、ローンを利用する際は売却と購入のスケジュールを調整すると良いでしょう。

長谷工の仲介では、住み替えにおけるマンション売却から新居購入までサポート可能です。買い替えを検討しているものの、具体的にどのように進めれば良いかわからないなど住み替えに関する相談も承っていますので、まずは「売却何でも相談」からお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2025年1月8日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

逆瀬川 勇造(合同会社7pockets 代表社員)
明治学院大学卒。銀行、不動産会社勤務を経て独立。宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー。

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