2025.12.24居住用財産の3,000万円特別控除とは?適用要件や必要書類を解説

居住用財産の3,000万円特別控除とは?適用要件や必要書類を解説画像
この記事で分かることを1分で解説
  • 3,000万円特別控除とは課税譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度
  • マイホームの売却であれば、居住期間や所有期間に関わらず基本的に適用できる
  • 3,000万円特別控除と併用できる特例、できない特例がある

マイホームの売却では、3,000万円特別控除の適用により譲渡所得税の大きな節税が可能です。
ただし、適用には細かい要件や併用できる特例、できない特例がある為、要件や適用できる具体例などを押さえておく必要があります。

この記事では、3,000万円特別控除の概要や適用要件などを解説していきます。

3,000万円特別控除とは?

3,000万円特別控除とは、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
正式名称を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

不動産を売却した際の利益は譲渡所得と呼ばれ、所得税、住民税、さらに2037年までは復興特別所得税が課税されます。しかし、3,000万円特別控除を適用することで、譲渡所得から3,000万円を差し引ける為、大幅な節税が可能です。

3,000万円特別控除は、マイホームの売却であれば所有期間に関わらず適用できる為、多くの売主様が活用しています。ただし、3,000万円特別控除には細かい適用要件が定められており、併用できない特例もあるので、概要を押さえたうえで適用を検討することが大切です。

3,000万円特別控除を適用したときの税額をシミュレーション

ここでは、3,000万円特別控除を適用したときの税額について見ていきましょう。
譲渡所得税を求める際は譲渡所得を求める必要があり、以下のように計算します。

譲渡所得=譲渡価額(譲渡収入金額)-(取得費+譲渡費用)

取得費とは、売却した不動産を購入した際にかかった費用のことで、譲渡費用は売却時にかかった費用を指します。
それぞれ、以下のような費用を計上できます。

取得費 譲渡費用
  • 売却した不動産の購入代金や建築代金
  • 仲介手数料
  • 整備費や改良費
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 立退料
  • 造成費用
  • 測量費 など
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 立退料
  • 土地を売却する為に建物を取り壊したときの解体費用や損失額
  • 借地権を売るときに地主の承諾を得る為に支払った名義書換料 など

参考:国税庁「No.3252 取得費となるもの」

参考:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」

なお、取得費のうち建物の購入代金からは所有期間中の減価償却費を差し引く必要がある為、購入代金をそのまま計上できない点には注意しましょう。
また、取得費、譲渡費用ともに売買に直接かかった費用が該当する為、抵当権抹消費用や一部のリフォーム費用など計上できない項目もあります。
計上できるかどうか判断に悩む場合は、税理士などに相談すると良いでしょう。

売却価格からこれらの費用を差し引いた額に、譲渡所得税の税率を乗ずることで税額が算出できます。税率は、所有期間により以下のように異なります。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 復興特別所得税 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 0.315% 20.315%

参考:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」

参考:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」

では実際に、3,000万円で取得した不動産を5,000万円で売却して、譲渡費用として300万円がかかった場合の譲渡所得税と、3,000万円特別控除を利用した場合をそれぞれ計算してみます。

【譲渡所得の計算方法】
譲渡所得 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用)
=   5,000万円 ー (3,000万円 + 300万円)
= 1,700万円(課税譲渡所得)

【納税額の計算方法】
所有期間が5年以下だった場合:
1,700万円 × 39.63% = 673.71万円

所有期間が5年超だった場合:
1,700万円 × 20.315% = 345.35万円

【3,000万円特別控除を適用した場合】
譲渡所得 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) ー 特別控除
= 1,700万円 - 3,000万円
= 0円(課税譲渡所得)

上記の通り、特別控除の適用を受けることで、短期譲渡所得の場合で約673万円、長期譲渡所得の場合で約345万円分の税金が控除されることが分かります。

譲渡所得税や減価償却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

譲渡所得とは?不動産売却時の税金の計算から確定申告手続きまで詳しく解説

長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説

マンション売却時の減価償却とは?計算方法や譲渡所得税との関係について解説

3,000万円特別控除の適用要件

3,000万円特別控除の適用を受ける為には、マイホームの売却であることなどいくつかの適用要件を満たす必要があります。
ここでは、国税局が明示している要件をまとめています。

  1. マイホームの売却であること
  2. マイホームを売った年の前年および前々年にこの特例や、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
  3. マイホームを売った年とその前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
  4. 売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  5. マイホームが地震や災害により家屋が滅失した場合は、その敷地に住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却すること
  6. 売主様と買主様が、親子や夫婦などの「特別の関係がある人」でないこと

参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

基本的に、所有期間や居住期間の定めはありません。
ただし、売却前にすでに転居している場合や売却にともない建物を解体する場合は売却に期限が生じるので注意しましょう。

以下では、主要な適用要件を詳しく解説していきます。

居住用財産である

居住用財産とは、実際に自分が生活の本拠地として住んでいた家とその敷地である不動産を指します。単に住民票を置いているだけでなく、実際に生活していた事実が必要になる点には注意しましょう。

以下のような不動産は居住用財産には該当しません。

  • 投資用のマンション・アパート
  • セカンドハウスや別荘
  • 親族に無償で貸し自分は住んでいない家
  • 一時的な仮住まいの家
  • 3,000万円特別控除の適用だけを目的として住んだ家

居住用財産には現在住んでいる家だけでなく、以前本拠地として住んでいた家も含まれます。その為、新居に引っ越してから旧居を売却する場合でも適用可能です。

なお、名義人が単身赴任しており、配偶者や子どもだけが居住していた家の場合でも、単身赴任をする理由がなくなり、名義人がその家に戻って生活すると認められる場合は、特例を適用できます。
ただし、売却時にマイホームを2つ以上所有している場合、実際に主として居住していたほうの住まいだけが特例の対象となります。

参考:国税庁「No.3317 配偶者等だけが住んでいるマイホームを売ったとき」

過去2年間で特定の特例控除を利用していない

短期間で税制控除を複数回適用するのを防ぐ為、過去2年以内に以下のいずれかの特例を適用している場合は、3,000万円特別控除は適用できません。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 特定の居住用財産の買換えの特例
  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 住宅ローン控除

上記の通り、住宅ローン控除と3,000万円特別控除の同時適用はできません。
住み替えで旧居を売却し、新居を住宅ローンで購入した場合、どちらか一方しか適用できない為、どちらを適用したほうがより有利になるか、シミュレーションして判断しましょう。

それぞれの詳しい特例の要件については、「3,000万円特別控除と併用できない控除制度・特例」の章で解説していますのでご覧ください。

親族間の売買ではない

3,000万円特別控除では、「特別な関係がある人」に対する売却は対象外です。
特別な関係のある人とは、次のような場合を指します。

  • 親子や兄弟姉妹
  • 夫婦
  • 生計を一にする親族
  • 売却後にその家で同居する親族
  • 内縁関係の相手
  • 特別な関係のある法人 など

例えば、親が自分の家を子どもに売却し、売却後に親子で同居するといったケースでは適用できないので注意しましょう。
親子間売買については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

不動産の親子間売買は可能?相続・贈与との比較や流れ、注意点を解説

【ケース別】 3,000万円特別控除の適用可否と条件

ここでは、3,000万円特別控除の適用可否や条件を具体的なケース別で見ていきましょう。

相続した物件を売却する場合

相続した物件の場合、相続人が相続後にマイホームとして居住していた、または被相続人(亡くなった方)と生前同居し相続後も住み続けていたのであれば、3,000万円特別控除の適用が可能です。

一方、相続はしたものの相続人が住まず、空き家のまま売却する場合は、居住用財産の3,000万円特別控除は適用できません。しかし、その代わりに「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」の要件を満たせば、最高3,000万円の控除が可能です。

なお、令和6年(2024年)1月1日以後に売却し、被相続人の居住用家屋およびその敷地を相続または遺贈によって取得した相続人が3人以上いる場合は、控除額の上限が2,000万円に引き下げられます。

この特例は、以下のような要件を満たすことで適用できます。

  • 相続人本人が売却すること
  • 対象のマイホームが昭和56年12月31日以前に建築されたこと
  • マンションなど区分所有登記された建物でないこと
  • 相続の開始直前において被相続人以外の方が居住していないこと
  • 平成28年(2016年)4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの間に売却すること
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 売却する家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 同じ被相続人から相続または遺贈により取得した、他の被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地で、この特例の適用を利用していないこと
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対しての売却でないこと

参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

相続手続きや相続した家の売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

家の相続手続きの流れは?費用や注意点についても分かりやすく解説

マンション相続の手続きとは?流れや相続税の計算、利用できる控除を解説

すでに転居している場合

転勤や介護、住み替えなどで転居し以前住んでいた家を売却する場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であれば特例を適用できます。

なお、マイホームの売買契約の前日において売主様の住民票に記載された住所と売却した不動産の住所が異なる場合、売った家をマイホームと証明できる書類が必要になります。
特例を適用するときに、戸籍附票の写しや住民票除票、公共料金の明細などの証明書類を提出できるように用意しておきましょう。

参考:国税庁「No.3314 過去に居住していたマイホームを売ったとき」

転勤による家の売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

転勤時にマンションは売却する?賃貸?売却のタイミングやコツを解説

転勤時、持ち家はどうする?各選択肢のメリット・デメリット、判断基準を解説

店舗兼住宅を売却する場合

店舗併用住宅を売却する場合、自宅として使用していた部分のみが3,000万円特別控除の適用要件を満たせば、控除を受けることが可能です。
なお、建物全体の90%以上を居住用として使っていた場合には、建物全体について3,000万円特別控除の適用を受けられます。

参考:国税庁「No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例」

賃貸に出していた物件を売却する場合

転勤などで新居に引っ越し、旧居を一時的に賃貸として貸し出した後に売却する場合は、自身が住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば適用可能です。

共有名義の物件を売却する場合

共有名義のマイホームを売却する場合、適用要件に合致する全員が3,000万円分の特別控除を受けることができます。
例えば、2名の共有者がそれぞれ持分2分の1ずつ所有している不動産を売却した場合、条件を満たせばそれぞれが3,000万円の特別控除を受けることが可能です。
なお、敷地のみを所有しており、家屋の所有権がない方は、控除の適用を受けることができません。

参考:国税庁「No.3308 共有のマイホームを売ったとき」

共有名義不動産の売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

共有名義とは?不動産における意味やメリット・注意点、解消方法を解説

共有名義のマンションを売却する方法は?売却までの流れや注意点を解説

マイホームを取り壊して敷地のみを売却する場合

マイホームを解体した後にその敷地だけ売却する場合、以下の要件を満たすことで3,000万円特別控除の適用を受けることが可能です。

  • 建物を解体してから1年以内に敷地を売る契約を結ぶこと
  • 住まなくなってから3年後の年の12月31日までに売却すること
  • 建物を解体してから売買契約締結の日までに駐車場など他の用途で第三者に貸し付けていないこと

参考:国税庁「No.3320 マイホームを取り壊した後に敷地を売ったとき」

建物を解体して更地の状態で売却する場合、売却までの間に一度でも土地を賃貸や駐車場として貸してしまうと特例が使えなくなります。また、特例適用には解体後1年以内の売買が必要な点にも注意しましょう

このように建物解体後の売却は適用要件のハードルが上がります。
また、古い家が付いたままの土地(古家付き土地)が欲しいという買主様もいるので、「建物が古いからとにかく解体」とすぐに考えるのはお勧めできません。

まずは、不動産会社に解体が必要か相談し、必要な場合は買主様が見つかってから解体するほうがスムーズに売却しやすくなるでしょう。

3,000万円特別控除を申請する方法と流れ

ここでは、3,000万円特別控除を申請する方法と流れを見ていきましょう。

必要書類

3,000万円特別控除の適用を受ける為には、確定申告する必要があります。
確定申告の際には、確定申告書の作成と、以下のような書類を準備しなければなりません。

書類 取得場所
売却した不動産の謄本 法務局で入手(不動産番号等の明細書への不動産番号の記載により添付の省略可)
住民票の除票※1 市町村役場
確定申告書 税務署(国税庁ホームページからDLも可能)
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) 税務署(国税庁ホームページからDLも可能)
売却時の売買契約書 売主様が保有(紛失時は売却を依頼した不動産会社に問い合わせ)
購入時の売買契約書 売主様が保有(紛失時は購入を依頼した不動産会社に問い合わせ)
費用を証明する領収書など 売主様が保有(紛失時は不動産会社や各業者に問い合わせ)

※1 契約日前日までに住民票の住所と譲渡資産の所在地が異なる場合は必要になります。

確定申告の流れや確定申告書の書き方については、以下の記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説

マンション売却の確定申告書の書き方は?手続きの流れも併せて解説

申請期間

3,000万円特別控除を申請する為には、不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告書を作成し、管轄の税務署に提出する必要があります。
なお、e-Taxを利用すれば自宅から申告を行うことも可能です。

申請期間中には、土日でも相談しながら手続きを進められる特設会場が設けられる場合もあります。締め切りが近くなるにつれて会場が混み合う傾向にある為、早めに準備・申告を進めておくことをお勧めします。

3,000万円特別控除と併用できる控除制度・特例

3,000万円特別控除には、他の特例と併用できる場合と、併用できない場合があります。
ここでは、まず併用できる特例について見ていきましょう。

10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例とは、売却したマイホームの所有期間が10年超だった場合、軽減税率の適用を受けられる特例です。
具体的には、所得のうち6,000万円以下の分について、14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%、住民税4%)の軽減税率の適用を受けることができます。

本特例の適用条件は、基本的には3,000万円特別控除の適用要件と同じと考えて良いでしょう。本特例の適用を受けることができれば、3,000万円特別控除の適用を受けたうえで、さらに6,000万円以下の部分について低い税率で税金を計算できます。

参考:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

例えば、物件の所有期間が10年を超えている場合で、売却価格が1億円、取得費が5,000万円、譲渡費用が1,000万円だった場合、以下のように特例の適用を受けられます。

(特例を受けた場合)
課税譲渡所得:1億円 ー 5,000万円 ー 1,000万円 ー 3,000万円(3,000万円特別控除) = 1,000万円

納税額 = 1,000万円 × 14.21% = 142.1万円

(特例を受けない場合)
納税額 = 1,000万円 × 20.315% = 203.15万円

10年超所有の軽減税率の適用を受けることで60万円程度納税額が安くなる計算です。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例は、相続または遺贈により取得した財産を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費として加算できる制度です。

すでに相続した財産について相続税を支払っている場合、その一部を取得費として加算できる為、譲渡所得税の負担を軽減できる可能性があります。
本特例の適用要件は以下の通りです。

  • 相続や遺贈により財産を取得していること
  • 相続税が課税されていること
  • 相続税の申告期限の翌日以降3年以内に譲渡していること

参考:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

3,000万円特別控除と併用できない控除制度・特例

次に、3,000万円特別控除と併用できない特例を見ていきましょう。

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、一定の要件を満たす住宅を、住宅ローンを組んで購入した際に、住宅ローンの年末残高の0.7%について13年間(既存住宅の場合は10年間)控除を受けられる制度です。

住宅の環境性能等 借入限度額(令和6・7年入居) 控除期間
新築住宅・増改築・買取再販
※業者が増改築等した一定の住宅
長期優良住宅・低炭素住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯:5,000万円その他の世帯:4,500万円 13年間
ZEH水準住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,500万円その他の世帯:3,500万円
省エネ基準適合住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,000万円その他の世帯:3,000万円
その他の住宅 0円 -
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅ZEH水準住宅・省エネ基準適合住宅 3,000万円 10年間
その他の住宅 2,000万円

参考:国土交通省「住宅ローン減税」

ただし、現在所有しているマイホームを売却して新しくマイホームを購入する場合、売却時に3,000万円特別控除の適用を受けていると、その年、翌年、翌々年に住宅ローン控除の適用を受けられない点に注意が必要です。
また、新居に入居した年の前年、前々年に3,000万円特別控除を利用した場合も、住宅ローン控除は適用できません。

3,000万円特別控除の適用を受ける場合と、住宅ローン控除の適用を受ける場合ではどちらが自身に適しているか、事前にしっかり計算しましょう。

住宅ローン控除については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【2024年】住宅ローン控除はいつまで受けられる?税制改正による変更点や要件、申請方法について解説

居住用財産の買換え等に係る特例

居住用財産の買換え等に係る特例とは、マイホームを売却して買い換えた場合にかかる税金を次回の売却まで繰り延べることができる制度です。
この特例の主な適用要件は以下の通りです。

  • 令和7年12月31日までにマイホームを売却すること
  • 売ったマイホームと買い換えたマイホームは日本国内にあるものであること
  • 売ったマイホームに合計10年以上住んでおり、かつ売った年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていること
  • 以前住んでいた家屋は住まなくなった日(引っ越した日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 親子や夫婦など「特別な関係のある人」への売却ではないこと
  • 売却代金が1億円以下であること

参考:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

買い換え特例は、将来的な売却を検討していないのであれば大きな節税につながる反面、再び売却する場合は税負担が大きくなる恐れがあります。
将来の売却予定まで考慮し、3,000万円特別控除とどちらを適用した方が良いかを検討しましょう。

売却時に損失が出た場合に利用できる控除特例

3,000万円特別控除はマイホームを売却して利益が出た場合に利用できる特例ですが、売却で損失(赤字)が出た場合に利用できる特例もあります。
ここでは、特にマンションを売却したときに損失が出た場合の特例について見ていきましょう。

居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例とは、マイホームを売却して新しくマイホームを購入した場合に生じた損益(譲渡損失)を給与所得や事業所得など他の所得と相殺(損益通算)することができる特例です。
さらに、損益通算してもなお損益が残る場合には、翌年以降3年間にわたって繰越控除が可能です。

例えば、給与所得が400万円の方が、マイホームを売却して2,000万円の損失が発生した場合、その年の所得を損益通算によってゼロにし、所得税や住民税の還付や減額を受けられます。

1年目(売却年) 2年目 3年目 4年目
給与所得 400万円 400万円 400万円 400万円
譲渡所得 -2,000万円 -1,600万円 -1,200万円 -800万円
合計所得 0円 0円 0円 0円

参考:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」

居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、住宅ローンが残っているマイホームを売却して損益が生じたときに適用を受けられる特例です。
基本的な考え方は「居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と同じで、生じた損益分を損益通算でき、また損益通算してもなお損益が残る場合には、3年まで繰越控除可能です。

いずれの特例についても、適用を受けるには確定申告が必要です。マイホームを売却して損失が出たときも税負担を軽減できる可能性がある為、確定申告を検討しましょう。

参考:国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」

3,000万円特別控除に関するよくある質問

最後に、3,000万円特別控除に関するよくある質問を見ていきましょう。

マイホームの所有期間・居住期間の制限はある?

3,000万円特別控除には、マイホームの所有期間や居住期間の制限はありません。
ただし、以下のケースでは売却までの時期に制限が生じるので注意しましょう。

  • すでに転居している場合(以前に住んでいた家屋を売却する場合)、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する
  • 建物を解体して売却する場合は、家屋を取り壊した日から1年以内に売買契約を結び、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する

本人以外の家族が住んでいれば居住用財産として見なされる?

3,000万円特別控除では、「現に自分が住んでいる家屋」または「自分が住んでいた家屋」が居住用財産として認められる為、本人が住んでいない家屋は居住用財産に該当しません。
なお、本人が転勤などやむを得ない事情で住んでいない場合でも、配偶者が引き続き住んでいる場合は、居住用財産と見なされて特例の対象となることがあります。

ただし「その事情が解消されれば、本人は配偶者と一緒にその家屋で生活する」と認められることが前提となります。
また、居住用の家屋を2つ以上所有している場合、本人が主として住まいに使っていた家屋だけがこの特例の対象となる点には注意しましょう。

まとめ

3,000万円特別控除は、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。適用により大きく節税できる可能性があるので、マイホームの売却を検討している方は利用を検討すると良いでしょう。

ただし、適用には細かい要件を満たす必要があるので、適用要件まで確認しておくことが大切です。そのうえで、他に併用できる特例がないか、3,000万円特別控除の適用を受けるより自身に適した特例がないかなど、この記事の内容を参考に比較検討することをお勧めします。

長谷工の仲介では、不動産売却にかかる税金や特例といったお金について税理士に相談できるサービスを提供しています。ぜひご利用ください。

税務相談サービスはこちら

※本記事の内容は2025年12月24日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

満足度の高い売却は「長谷工の仲介」で。

「知人・親族にすすめたい」そんなお客さまが90.8%!満足度の高い売却は「長谷工の仲介」で。

売却の流れをチェック!

この記事の著者

逆瀬川 勇造(合同会社7pockets 代表社員)
明治学院大学卒。銀行、不動産会社勤務を経て独立。宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー。

関連のおすすめ記事