
相続でマンションを引き継いだ方は、なにから手を付ければ良いか分からないことも多いと思います。マンションを相続したら、まずは手続きや税金の仕組みについて知ることが大切です。
この記事では、マンションを相続した際の手続きの流れや、相続税の仕組み・計算方法などを解説します。
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マンションを相続する際の基本的な流れ
マンションを相続する際の基本的な流れについて解説します。
遺言書の有無を確認する
相続が発生したら、まずは遺言書の有無を確認します。
遺言書には下記の3種類があります。
- 公正証書遺言書
- 自筆証書遺言書
- 秘密証書遺言書
遺言書のなかには、開封に際して家庭裁判所での検認、相続人などの立会いが必要な場合もある為注意しましょう。
公正証書遺言書
公正証書遺言書とは、公証人が法律で定められた方式で作成する遺言書です。
開封にあたっては、家庭裁判所の検認は不要となります。
自筆証書遺言書
自筆証書遺言書とは、遺言者が遺言の内容を自筆で書面にし、署名および押印をすることで作成する遺言書のことです。自筆証書遺言は遺言者が自分で作成する為、法律で定められている要件を欠いていれば無効となってしまうリスクがあります。
開封には家庭裁判所での検認が必要となります。検認を受けずに開封してしまうと、5万円以下の過料を科される場合がある為注意しましょう。
秘密証書遺言書
秘密証書遺言書とは、遺言の内容を秘密にしたまま存在を証明する形式の遺言書です。公証人と証人2人以上から遺言書の存在を証明してもらいつつ、内容の機密性を保持できます。開封には家庭裁判所での検認が必要となります。
遺産整理をする
遺言書の有無を確認したら、次に相続資産を整理します。
相続税はプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた財産に対して課税される為、全ての財産を整理する必要があります。
プラスとなる相続財産 | マイナスとなる相続財産 |
---|---|
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|
相続人を決定する
相続する遺産の整理が完了したら、相続人を優先順位に従って決定します。
具体的には以下のように優先順位が決められています。

相続の優先順位 | 相続人 |
---|---|
常に相続人となる | 配偶者 |
第1順位 | 実子、養子 |
第2順位 | 直系尊属(父母・祖父母など目上の直系の血縁者) |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
相続人となるのは、配偶者と血縁関係が近い方です。
優先順位上位者が相続人になった場合、下位の方は相続人にはなれません。
例えば、配偶者と子・親がいる場合、配偶者と子が相続人となり、親は相続人にはなれないのです。
また、相続できる財産の割合についても「法定相続分」として定められています。
法定相続分とは、相続人が複数存在する場合の各法定相続への相続財産の割合のことです。
民法では以下のように決められています。
相続人 | 法定相続分 |
---|---|
配偶者と子が相続人の場合 | 配偶者:2分の1、子:2分の1 |
配偶者と直系尊属が相続人の場合 | 配偶者:3分の2、直系尊属:3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 | 配偶者:4分の3、兄弟姉妹:4分の1 |
上記のように、法定相続分は相続人によって割合が異なります。
ただし、遺言がある場合は遺言が優先され、法定相続人以外の相続や法定相続分を超えて相続できます。
遺産分割協議で相続方法を決定する
遺言書がない場合、法定相続分以外の割合で遺産を分割する場合には、遺産分割協議書が必要となります。遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要です。
遺産分割の方法には以下の4種類があります。


遺産分割の方法 | 説明 |
---|---|
現物分割 | 家は母、現金は長男、車は次男のように遺産をそのままの形で分ける分割方法のこと。 |
代償分割 | 財産を多く相続した相続人が他の相続人に代償金を支払うことで調整する分割方法のこと。 |
換価分割 | 遺産を売却して現金で分ける分割方法のこと。 |
共有分割 | 相続人同士で持分を決めて共有する分割方法のこと。 |
相続税を申告して納税する
相続税が発生する場合には、相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に申告と納付が必要です。
ただし、「税額が10万円を超えること」、「納期限までに金銭で納付することが困難であること」、「担保を提供すること」などの要件を満たせば延納申請書を提出することで延納できる場合があります。
自分で申告する場合は相続税申告書の作成が必要です。
必要書類については、以下の国税庁のサイトをご覧ください。
出典:国税庁「相続税の申告書などの様式一覧(令和4年分用)」
相続税の納税期限は10ヵ月となっており余裕があるように思えますが、被相続人の死亡後には様々な手続きが発生する為慌ただしく時間が過ぎます。
特に、相続人同士で揉めている場合は相続税の納税期限に間に合わない場合もあるでしょう。
期限内の納税が間に合わない場合には、延納税が発生します。
延納税とは、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される利子税のことです。延納税の利子率は下表のようになります。
期間 | 原則税率 |
---|---|
納期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで | 7.3% |
納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後 | 14.6% |
出典:国税庁「No.9205延滞税について 令和3年1月1日以後の割合」
相続登記に必要な書類を集める
遺産分割協議による相続と遺言書による相続では、相続登記に必要な書類が異なります。それぞれ必要な書類は以下の通りです。
名義変更方法 | 必要書類 | 入手場所 | 費用 |
---|---|---|---|
遺産分割協議 |
登記申請書 | 法務局または司法書士が作成 | |
遺産分割協議書 | - | ||
被相続人の10歳前後から死亡に至るまでの継続した全ての戸籍謄本 | 市町村役場 | 450円程度 | |
被相続人の除住民票または戸籍の附票 | 300円程度 | ||
相続人全員の戸籍謄本 | 450円程度 | ||
相続人全員の住民票または戸籍の附票 | 300円程度 | ||
固定資産税・都市計画税納税通知書や固定資産税評価証明書 | 300円程度 | ||
遺言書 |
登記申請書 | 法務局司法書士が作成 | |
遺言書 | - | ||
遺言者の死亡事項の記載のある除籍謄本 | 市町村役場 | 750円程度 | |
相続人または受遺者の戸籍謄本 | 450円程度 | ||
遺言により相続または受贈する相続人・受遺者の住民票または戸籍の附票 | 300円程度 | ||
固定資産税・都市計画税納税通知書や固定資産税評価証明書 | 300円程度 |
相続登記(名義変更)を行う
相続登記は法務局で行います。
なお2024年4月1日以降は、相続登記が義務化され、相続から3年以内に名義変更を行わない場合、10万円以下の罰金が課せられる為注意しましょう。
また、相続登記に必要な書類は名義変更方法によって異なる点も注意です。名義変更の手続きの流れや、必要な書類については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンションの名義変更はいつ行う?手続きの流れや費用、注意点を解説
マンションの相続にかかる税金や費用
マンションの相続にかかる税金や費用について解説します。
登録免許税
相続時の名義変更を行う際には、法務局に登録免許税を支払います。
相続登記の登録免許税の計算式は以下の通りです。
また、以下の2つの場合には登録免許税は免税されます。
- 相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合
- 不動産の価額が100万円以下の土地の場合
司法書士手数料
相続手続きを司法書士に依頼する場合は司法書士手数料がかかります。
司法書士手数料の相場は、5~10万円程度ですが地域や不動産の数などによっても異なる為、確認しておきましょう。
相続税
相続税はマンションや現金といったそれぞれの資産にかかるのではなく、被相続人の全ての財産の合計額(マイナスの財産はマイナスされる)に対して課税されます。
プラスの財産とマイナスの財産を合計したものを「課税価格」と呼びます。
相続税の計算式は以下の通りです。
各相続人の取得金額 = 課税遺産総額 × 法定相続分
算出税額 = 各取得金額 × 税率 - 控除額
相続税の総額 = 算出税額の合計
納付税額 = 相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 - 各控除※
※配偶者控除など
相続税評価額(マンション評価額)
マンションを相続した場合は、相続評価額を見積もったうえで相続額や相続税が決まります。マンションの相続税評価額を求める際は、建物と土地の評価額をそれぞれ算出し、最後に合算します。
建物部分
建物部分の相続税評価額は、原則として建物の固定資産税評価額となります。
建物の固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書に記載された評価額(または価格)のことです。
土地部分
土地部分の相続税評価額は、原則として相続税路線価を用いて計算したものです。
相続税路線価は国税庁のサイトや一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」などから調べることができます。
参考:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ」
概算額を求める計算式は、以下のようになります。
実際には、マンションの土地の相続税評価額は敷地形状や接面状況によって「奥行価格補正」や「側方影響加算」などの補正が行われて求められます。
マンションの資産価値の調べ方については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンションの資産価値を調べる方法は?ケース別に活用できる評価額を解説
基礎控除
相続税は、被相続人の財産が基礎控除額を超える場合に発生します。
基礎控除額の計算式は以下の通りです。
例えば、相続税の課税価格が1億円で、法定相続人が配偶者と子ども1人の場合は以下のように計算できます。
= 1億円 - (3,000万円 + 600万円 × 2人)
= 1億円 ― 4,200万円
= 5,800万円
この場合は、基礎控除額よりも相続税の課税価格が大きい為、相続税が発生することになります。
相続税の税率
相続税の税率は相続によって取得した金額に応じて下記の速算表で把握することができます。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | なし |
1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
マンションを相続する場合の税金シミュレーション
実際にマンションを相続するとなった場合、どのような計算になるのでしょうか。以下の条件で税金のシミュレーションをしてみましょう。
- 相続人:配偶者と子供2人
- 相続財産総額:8,000万円
- 法定相続割合に準じて相続
相続税の計算方法は大まかに次の順番で行います。
- 基礎控除の計算
- 課税対象相続財産の計算
- 相続人ごとの相続税を計算
- 相続人ごとの相続税を合算
- 遺産の取得割合に応じて相続税の按分
まずは、基礎控除額を計算します。
法定相続人は、配偶者と子供2人の合計3人なので基礎控除額は以下の通りです。
基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円
遺産総額から基礎控除額を差し引き、課税対象の相続財産を計算します。
課税対象相続財産=8,000万円-4,800万円=3,200万円
この場合、3,200万円が相続税の対象となります。
課税対象額が分かれば、次の相続人ごとの相続税を計算します。
今回は法定相続割合で相続する為、課税相続財産は次のように按分されます。
- 配偶者:3,200万円×1/2=1,600万円
- 子A:3,200万円×1/2×1/2=800万円
- 子B:3,200万円×1/2×1/2=800万円
相続税の速算表でそれぞれの相続税を計算すると次の通りです。
配偶者:1,600万円×15%-50万円=190万円
子A:800万円×10%=80万円
子B:800万円×10%=80万円
それぞれの相続税を算出したら合算して、遺産取得割合に応じて按分します。
今回は法定相続通りに分ける為、遺産8,000万円は配偶者4,000万円、子A2,000万円、子B2,000万円の割合で相続税も按分します。
相続税合計:190万円+80万円+80万円=350万円
配偶者の相続税:350万円×0.5=175万円
子A:350万円×0.25=87.5万円
子B:350万円×0.25=87.5万円
上記のような相続税がそれぞれに課せられます。
ただし、配偶者の場合は配偶者控除が適用できるので相続税がかかることはほとんどありません。
また、相続するマンション自体も各種控除を適用することで、相続税評価額を軽減でき相続税の軽減につながるでしょう。
次項では、マンション相続時に使える控除や制度について詳しく解説していきます。
マンション相続時に利用できる控除や制度
マンション相続時には控除や制度を活用することで相続税などの負担を減らすことができます。具体的に見ていきましょう。
小規模宅地等の控除
小規模宅地等の特例とは、例えば330平米までの被相続人の自宅の土地は相続税の評価額の80%まで減額できるという制度です。
その他にも、事業用に供されていた不動産の土地についても一定の要件を満たすと80%もしくは50%の減額ができます。
参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
配偶者控除
配偶者控除とは、配偶者が相続した財産のうち、法定相続分相当額(1憶6,000万円に満たない場合には1憶6,000万円)までは非課税になるという制度です。
「配偶者に対する相続税額の軽減」とも呼ばれています。
配偶者居住権
配偶者居住権とは、夫婦のどちらかが亡くなった場合に自宅に居住していた配偶者は、一定期間無償で使用・収益できる権利のことです。
配偶者居住権を設定する場合、建物所有者になる方は配偶者に対し配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います。
詳しくは、下記の法務局のパンフレットをご覧ください。
相続したマンションはどうする?
相続したとはいえマンションを所有している以上、毎年固定資産税などの税金や維持費が発生してしまう為、使い道がなければマイナスの財産にもなりかねません。
相続したマンションの使い道としては次の3つがあります。
- 相続人が住む
- 貸しに出す
- 売却する
相続したマンションをどうするかはコストやメリット・注意点を比較して慎重に検討する必要があります。
ここでは、それぞれのメリット・注意点についてみていきましょう。
相続人が住む
相続人がマンションに居住できるのであれば、居住用として活用できます。
相続時点では住んでいない場合でも、立地など条件がよければ相続を機に引っ越すのも良いでしょう。
相続人が住む場合のメリットと注意点は以下の通りです。
メリット | 注意点 |
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実家など愛着のあるマンションの場合、そのまま相続人が住むことで手放さずに済む住む為精神的なダメージを負いにくいでしょう。
ただし、マンションを所有する場合固定資産税など毎年コストが発生する点には注意しましょう。
また、マンションの状態によっては、将来的に売却しにくくなる恐れもある点にも注意が必要です。
貸しに出す
すでにマイホームがある、マンションが遠方にあるなどで相続人が住む予定がない場合、第三者に貸し出すことも検討できます。
メリット | 注意点 |
---|---|
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賃貸として貸し出す場合、マンションは所有したまま、家賃収入を得ることが可能です。
家賃収入で固定資産税などを賄えられればマンション所有のコストはほとんどかかりません。
収入次第では、生活費の足しにすることもできるでしょう。
現時点では住む予定がなくても、賃貸として所有しておけば将来的に自分が住むという選択もしやすくなります。
ただし、賃貸に出す場合、マンションの修繕費用や管理の手間がかかってきます。
管理などは外部に委託できますが、その場合は委託料がかかってくるでしょう。物件の状態にもよりますが、事前にハウスクリーニングのみならずリフォームが必要になる場合もあります。
ハウスクリーニングやリフォームにかかる費用については、こちらの記事でも詳しく解説しているのでご覧ください。
マンションのハウスクリーニングの相場は?売却時に実施するメリットやポイントを解説
マンションリフォームの費用相場は?費用を抑えるポイントや実施する際の注意点を解説
また、賃貸に出したからといって必ずしも入居者が現れるわけではありません。
立地などの条件によっては入居者が付かず、空室が続く場合があります。
空室になってしまうと、家賃収入を得られないのにも関わらず、維持費などがかかってきてしまう点には注意しましょう。
入居者が付いたとしても、使用状態が悪い・クレームが多いなどトラブルに発展する恐れもある為、入居者選びは慎重に行う必要があります。
売却する
セカンドハウスとして住むことも賃貸に出すことも予定していない場合、売却するのも一つの手でしょう。
メリット | 注意点 |
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売却することで、まとまったお金が手に入る為相続税に対応しやすくなります。
特に相続財産が不動産だけで現金がない場合、相続税の対応が難しくなるので売却して納税に対応するのがお勧めです。
また、売却後は維持管理や固定資産税などのコストもかからないので、経済的な負担や管理の手間からも解放されます。
売却することで資金を得られますが、マンションを手放すことになる為、将来住むことも自分の子供に相続させることもできなくなります。
また、売却額が予想よりも高値になった場合、売却額によっては利益が出て譲渡所得税もかかる点には注意しましょう。
マンション売却額で相続税の支払いを考えている場合は、売却の期間にも注意が必要です。
相続税の納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月とされている為、それまでに売却が必要となります。
しかし、マンションの条件によっては売却に時間がかかり間に合わない場合もあります。
相続税の支払いを検討している場合は、不動産会社にその旨を伝えておくと良いでしょう。
マンションを売却するか賃貸に出すかそれぞれのメリットや注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
住まないマンションは売却する?賃貸に出す?それぞれのメリットや注意点を解説
相続したマンションを売却するときのポイント
最後に、相続したマンションを売却するときのポイントについて解説します。
売却の流れを把握しておく
相続したマンションを売却するには、第三者に対して所有者を明確にする為に相続登記が必要です。相続したマンションの売却の流れの全体像は以下の通りです。
- 相続登記による名義変更
- 売却物件の価格査定
- 媒介契約の締結
- 売却活動の開始
- 購入申込書の受領
- 売買契約の締結
- 引き渡し
マンション売却の流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却の流れを詳しく解説-必要な手続きやポイントについても紹介
売却益が生じるかどうかシミュレーションしておく
マンション売却での利益は譲渡所得と呼ばれ、譲渡所得には税金がかかります。
高額な取引になるマンション売却では、かかる税金も高額になる恐れもあるので事前にどれくらいの税金が発生するのか把握しておくと良いでしょう。
税金は、課税譲渡所得額に譲渡所得の税率を乗じることで算出できます。
課税対象譲渡所得額は、売却額から購入にかかった費用(取得費)と売却にかかった費用(譲渡費用)を差し引いた額です。
ただし、相続したマンションの場合、購入にかかった費用が明確でない場合が多いでしょう。その場合は、概算取得費として売却額の5%を取得費に計上することになります。
概算取得費での計上は、本来の取得費よりも計上できる額が少ないのが一般的であり、その分利益が出て税額が増える点には注意が必要です。
また、譲渡所得額は各種特別控除を差し引くことで抑えられます。
相続したマンションを売却する際に利用できる特別控除については、「特例を利用して税金負担を減らす」で説明するので参考にしてください。
課税譲渡所得が算出できれば、譲渡所得の税率を乗じます。
譲渡所得の税率は、不動産の所有期間に応じて次の2つに分かれます。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税 | 合計税率 |
---|---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
相続の場合、所有期間は相続してからではなく被相続人の所有期間で計算します。
マンション売却の税金については、こちらの記事でも詳しく解説しているのでご覧ください。
マンション売却にかかる税金はいくら?計算方法や知っておきたい控除について徹底解説
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説
特例を利用して税金負担を減らす
相続したマンションを売却する場合、一定の要件を満たすと「取得費加算の特例」と呼ばれる節税特例を利用することができます。
取得費加算の特例を利用する為の主な要件は以下の通りです。
- 売主様が相続や遺贈により財産を取得した方であること
- 売却物件を取得した方に相続税が課税されていること
- 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ること
出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
また、相続した不動産の売却時には「被相続人の居住用財産(空家)を売ったときの3,000万円特別控除」を利用することもできます。しかし、この特例はマンションには適用できず、一定の要件を満たす戸建のみが対象ですので注意しましょう。
3000万円特別控除については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
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不動産会社に売却を依頼する場合には、実績だけでなくサービスが充実している会社を選ぶことが望ましいです。
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まとめ
ここまで、マンションを相続したときの手続きの流れやかかる税金・費用について解説してきました。
相続税はマンション単体の評価額で決まるものではなく、被相続人の全体の資産によって計算されることを理解しておきましょう。また、相続税の納税を期限内に行わないと罰則を課せられてしまう為、早めに必要書類の収集や作成を進めておくと安心です。
相続税の計算は複雑ですので、必ず税理士に相談しましょう。
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※本記事の内容は2023年9月27日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。