2026.09.10空き家の売却方法は?かかる税金・費用や利用できる控除・特例をわかりやすく解説

空き家の売却方法は?かかる税金・費用や利用できる控除・特例をわかりやすく解説画像
この記事で分かることを1分で解説
  • 空き家は所有するだけで税金や維持費がかかり、特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる可能性がある
  • 空き家売却は中古物件、古家付き土地、更地、買取、空き家バンクの5つの方法がある
  • 空き家を売却する際に特例や控除を活用すれば税金の負担を軽減できる

空き家は所有しているだけで固定資産税や維持費がかかります。また、そのまま放置していると特定空き家に指定され、税金が上がる恐れがあります。しかし、古い家や傷んだ家でも、状態に合った対策を取れば好条件での売却も可能です。

この記事では、空き家の売却方法やかかる費用、使える控除の特例や遠方からの売却手順などを解説します。相続したまま誰も住んでいない実家やその維持費が負担になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

住まない空き家は売却すべき?空き家を放置するデメリット

まずは、空き家をそのまま放置しているとどのようなデメリットが生じるのかを解説します。

固定資産税や都市計画税を支払い続けなければならない

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に課される税金です。住んでいなくても、家を所有しているだけで課税されます。

他にも、建物を維持するためには以下のような費用がかかります。

  • 電気や水道の基本料金
  • 火災保険料
  • 庭木の手入れや室内の点検費用

空き家を活用する予定がないのであれば、こうした負担が大きくなる前に売却を検討してみましょう。

固定資産税の軽減措置を受けられない

管理を怠って放置した空き家は、自治体から特定空き家や管理不全空き家に指定され、固定資産税の軽減措置から外される恐れがあります。

特定空き家とは、倒壊の危険があったり、周辺環境に衛生上の害を及ぼしたりする恐れがある空き家のことです。また、倒壊の危険はないものの外壁や窓の一部が腐食により落下する恐れがある、もしくは雑草が生い茂っているような空き家は、管理不全空き家に分類されます。

いずれかに指定され特例から外れると、翌年の固定資産税は最大6倍まで、都市計画税は3倍まで膨らむ恐れがあります。

空き家を放置するリスクについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

空き家を放置すると税金が高くなる?固定資産税の増額や対策について紹介

資産価値が下がり売却価格に影響する

空き家を放置すると建物の劣化が進み、いざ売ろうとしたときに価格が下がってしまう恐れがあります。人が住んでいない家は換気や掃除の頻度が下がるため、湿気やほこりがたまり、傷みやすくなります。雨漏りやシロアリの被害、水回りの故障などが起きると購入希望者から敬遠され、修繕しなければ売却できないケースも考えられるでしょう。

さらに、建物は築年数が古くなるほど評価額が下がるため、年数が経てば経つほど価値が目減りしていく傾向にあります。

近隣住民に迷惑がかかる

空き家の管理が不十分だと、近隣住民に迷惑をかけてしまうことも考えられます。具体的には次のような悪影響が周辺におよびます。

  • 伸びた庭木や雑草が隣家へはみ出る
  • 屋根や外壁が崩れて通行人に当たってしまう
  • ネズミや害虫、野良猫などの住処となる
  • 不法侵入や不法投棄、放火などの犯罪の温床となる

このような近隣トラブルを防ぐためにも、売却して手放す選択肢を前向きに検討しましょう。

空き家を売却する5つの方法

空き家は、物件の状態や売主様の状況によって向いている売却方法が異なります。代表的な5つの方法を以下にまとめました。

売却方法 メリット デメリット 向いているケース
そのまま売却
  • 解体・リフォーム費用がかからない
  • 建物価値を活かせば高く売れる可能性がある
  • 購入希望者が見つかるまで時間がかかる恐れがある
  • 契約不適合責任を問われる場合がある
  • 急がず高く売りたい
  • 立地や建物の状態が比較的良い
買取
  • 短期間で現金化できる
  • 仲介手数料がかからない
  • 建物の不具合の責任を免除できる場合が多い
  • 仲介より売却価格が低くなる傾向にある
  • 早く手放したい
  • 手間をかけたくない
リフォーム・リノベーション
  • 見栄えが整い購入希望者の目に留まる機会が増える
  • かけた費用を売却価格へ上乗せできるとは限らない
  • 軽い手直しで印象が変わる
  • 費用対効果が見込める
空き家バンク
  • 無料で登録でき価値の低い物件も掲載可能
  • 補助金を用意する自治体もある
  • 個人間取引でトラブルが起きる恐れがある
  • 購入希望者が現れるまで時間がかかる恐れがある
  • 地方・郊外で不動産会社が扱いにくい
  • 現金化まで急いでいない
解体して更地
  • 土地として売りやすく買い手がイメージしやすい
  • 管理の手間が減る
  • 解体費用がかかる
  • 住宅用地の特例が外れて翌年以降の税金が上がる恐れがある
  • 建物の傷みが激しい
  • 倒壊の恐れがある

この5つの売却方法はそれぞれどのようなケースでどう選ぶべきなのか、より具体的に解説します。

そのままの状態で売却する

空き家を売却する際にまず挙げられるのは、リフォームや解体をせず、今ある状態のまま売る方法があります。売却を急いでおらず、時間をかけてでも納得のいく価格で売りたい方にお勧めです。

なお、そのままの状態で売却する際には、建物の状態により中古物件もしくは古家付き土地のどちらかで売り出す形となります。

中古物件として売却する

建物の築年数が浅く不具合や劣化が少ない場合は、中古物件として売却することを検討しましょう。建物の価値を活かすことで好条件での売却が実現する可能性があります。

ただし、建物に不具合がある場合は買主様にその旨を説明する必要があります。もし売却後に不具合が見つかった場合、売主様は契約不適合責任を問われる恐れがあるため注意しましょう。契約不適合責任とは、契約で定めた内容と異なる状態の不動産を売買した場合に売主様が負う責任のことで、損害賠償請求や契約解除などを求められる恐れがあります。

契約不適合責任については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却における瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは?対策方法を解説

中古物件としての売却に向いているのは次のような方です。

  • 築年数が浅く建物が綺麗な状態の家を所有している方
  • 建物の価値を活かし、時間をかけてでもなるべく高く売りたい方
  • 大きな修繕をせず、今ある状態のまま売却を進めたい方

実際に空き家を中古物件として売却する場合は、以下の流れで進めていきます。

  1. 不動産会社に空き家の査定を依頼する
  2. 仲介依頼先を選び、不動産会社と媒介契約を締結する
  3. 売却活動を開始する
  4. 売買契約を締結する
  5. 空き家を引き渡す
  6. 翌年に確定申告を行う

まずは不動産会社に査定を依頼し、空き家がどれくらいの価格で売却できそうかを確認しましょう。

空き家の査定でチェックされるポイントと査定時に用意しておくと良い書類は以下の通りです。

空き家の査定でチェックされるポイント
  • 立地や日当たり
  • 周辺環境
  • 道路の幅員や種類
  • 交通や生活の利便性
  • 土地の面積
  • 建物の床面積や間取り
  • 建物の築年数や状態
  • 設備の有無や状態
  • インフラの引き込みの有無(水道・下水・ガス)
査定時に用意しておくと良い書類
  • 登記済権利証
  • 登記識別情報通知
  • 土地の測量図や確定測量図
  • 建物の平面図や間取り図
  • 固定資産税納税通知書
  • 購入時の売買契約書
  • 重要事項説明書

査定結果や空き家の状況を踏まえて仲介での売却を決めたら、不動産会社と媒介契約を締結し、売却活動が始まります。買主様が見つかり、売買価格や引き渡し条件で折り合いがついたら、売買契約を締結して、残代金決済後に空き家を引き渡します。

なお、売却で利益(譲渡所得)が発生した場合や税金控除の特例を利用する際は、翌年に確定申告をする必要があります。譲渡所得や税金控除の特例は後ほど詳しくご紹介します。

具体的な売却の流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

一戸建て売却の基礎知識!売却までの流れや費用、成功させるためのポイントを紹介

古家付き土地として売却する

中古物件ではなく、古家付き土地として売却することで、空き家を解体せずに売却できます。次のようなケースに向いています。

  • 築年数が古く建物にほとんど価値が残っていない
  • 解体費用をかけずにそのまま手放したい
  • 建物の契約不適合責任を負うのを避けたい

契約条件や告知内容によりますが、古家付き土地として売却すると、建物に関する契約不適合責任の範囲を軽減しやすく、事前に解体費用を用意せずに売り出せることがメリットです。建物の築年数が古い場合に有効な選択肢となります。ただし、買主様にとっては更地にするために解体費用がかかることから、売却価格が安くなる傾向にあります。

古家付き土地の売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

古家付き土地の売却方法は?解体して更地にする注意点やかかる税金・費用を解説

不動産会社に買い取ってもらう

不動産会社に直接買い取ってもらう方法(買取)もあります。買取で売却する場合、不動産会社は再販することを想定して購入するため、売却価格は仲介よりも低くなりますが、不動産会社が直接買取する場合は仲介手数料はかかりません。また、仲介による売却には時間がかかりますが、買取は売却価格に折り合いがつけばすぐに売却が可能です。

他にも、買い手が不動産会社のため、空き家の傷や不具合などの瑕疵を免責できる可能性が高い点もメリットでしょう。

以下に当てはまる方は、不動産会社の買取を利用するのがお勧めです。

  • 維持費や税金の負担を減らすためにできるだけ早く現金化したい方
  • 内覧対応や売却活動に手間や時間をかけたくない方
  • 相続した空き家を相続人の間で早く精算したい方

長谷工の仲介では、買取のご相談も可能です。無料査定や無料相談も行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

不動産の買取は長谷工にお任せください

買取については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説

リフォームやリノベーションをして売却する

空き家をリフォームやリノベーションし、建物の価値を高めてから売却する方法もあります。見栄えが良くなることで売りやすくなる可能性があります。

ただし、リフォームやリノベーションにかかった費用を売却価格に反映できるとは限りません。実際にリフォームやリノベーションをするのであれば、不動産会社の担当者と相談し、多くの方に好まれるようなデザインや仕様にすることをお勧めします。個性的なデザインにしてしまうと売りづらくなる恐れもあるので注意しましょう。

リフォームやリノベーション後に売却する方法は、以下の方に向いています。

  • 軽いリフォームで印象が良くなる空き家を所有している方
  • かけた費用に見合う売却価格が見込めるかを不動産会社と相談しながら進めたい方
  • 古さや傷みが気になり、そのままでは売れにくいと感じている方

空き家を売却する際のリフォームの有無や費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却でリフォームは不要?売却価格などの面からその理由を徹底解説

マンションリフォームの費用相場は?費用を抑えるポイントや実施する際の注意点を解説

「空き家バンク」を活用して売却する

空き家を売却する方法として、空き家バンクを活用する方法もあります。空き家バンクとは、空き家を売却したい方と購入したい方をつなぐ、各自治体が行うサービスです。次のような方は利用を検討してみましょう。

  • 立地が悪く不動産会社に買取を断られてしまった空き家を所有している方
  • 売却を急がず、購入希望者が現れるまでじっくり待てる方
  • DIYしたい方や移住を考えている方など、古い家を求める層に購入してもらいたい方

空き家バンクを利用する場合は、空き家が所在する自治体に申し込むことになります。自治体によって条件や必要な手続きは異なりますが、基本的には無料で利用できます。しかし、購入希望者から問い合わせがあった場合は直接やりとりすることになり、契約業務を不動産会社へ依頼する場合は仲介手数料がかかることになります。

空き家バンクには、各自治体が空き家の情報を集めて独自に開示しているものと、国土交通省がモデル事業として採択した全国版空き家・空き地バンクがあります。全国版空き家バンクは自治体を横断して閲覧できるのが魅力ですが、実際に問い合わせする窓口は各自治体となります。まずは空き家が所在する自治体に空き家バンクがあるか、下記のページから確認してみましょう。

国土交通省「建設産業・不動産業:空き家・空き地バンク総合情報ページ」

空き家バンクのメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

空き家バンクとは?メリット・デメリットや利用方法について解説

解体して更地の状態で売却する

空き家を解体して更地にし、土地として売却する選択肢もあります。空き家が古く建物の状態が悪い場合や倒壊する恐れがある場合は、リフォームや改修を施すよりも解体したほうが管理しやすくなります。また、土地を探している方にとっては家を建てたときのイメージがしやすく、解体費用もかからないため、早期の売却が期待できます。

ただし、再建築不可物件の場合、更地にすると建物を建てられない場所となり、売却が難航する恐れや価格が下がる恐れがあります。取り壊す前に役所で確認するか、不動産会社に相談しましょう。

住宅用地には、固定資産税や都市計画税が軽減される特例措置があります。しかし、更地にしてしまうと特例措置を利用できなくなり、結果として翌年以降の固定資産税などが上がってしまう恐れがあるので注意しましょう。

特例措置による住宅用地の固定資産税・都市計画税は、下記の式で算出できます。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平方メートルまで 課税標準額×1/6×1.4%(税率) 課税標準額×1/3×0.3%(税率)
一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地(200平方メートルを超える部分) 課税標準額×1/3×1.4%(税率) 課税標準額×2/3×0.3%(税率)

税率は標準税率であり、自治体によって異なる場合があります。また、都市計画税は市街化区域内の土地・建物にかかる税金で、そもそも課税していない自治体もあります。実際の税率は、物件がある市区町村の役所や公式サイトで確認しましょう。

建物を解体して売却する方法に向いている方は以下の通りです。

  • 老朽化や傾きなど、倒壊の恐れがあるほど建物が傷んでいる
  • 新築用地を探している購入希望者に早く見つけてもらいたい
  • 管理の手間や倒壊のリスクから解放されたい

再建築不可物件については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

再建築不可物件とは?購入時の注意点や売却のポイント、活用方法を解説

空き家の売却にかかる主な税金・費用

空き家の売却には、条件によっては税金や様々な費用がかかります。想定される主な税金・費用を解説します。

印紙税

売買契約時に作成する不動産売買契約書は課税文書であるため、契約書に印紙を貼って印紙税を納める必要があります。

なお、2027年3月31日までに作成する場合は印紙税の軽減措置が適用されます。例えば、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円が1万円に、契約金額が5,000万円超1億円以下の場合は6万円が3万円に軽減されます。

出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

譲渡所得税(住民税・所得税・復興特別所得税)

空き家を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税とは住民税と所得税を指しますが、2037年までは復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が上乗せされます。

課税譲渡所得を求める計算式は以下の通りです。

課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費、譲渡費用とは、主に以下の費用です。

取得費 売却した土地や建物の購入代金
購入時の仲介手数料
リフォーム費用 など
譲渡費用 測量費
解体費用
印紙代 など

上記の計算式で算出した課税譲渡所得金額に、空き家の所有期間に応じて税率を乗じます。税率は以下の通りです。

譲渡所得の分類 所有期間 税率
短期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下 39.63%
長期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超 20.315%

譲渡所得税については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説

譲渡所得とは?不動産売却時の税金の計算から確定申告手続きまで詳しく解説

なお、税金について不明な点は税理士に相談しましょう。長谷工の仲介では無料の税務相談サービスを提供しておりますので、ぜひご利用ください。

税務相談サービスはこちら

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社に仲介を依頼して成約に至った際に支払う手数料です。不動産会社が請求できる仲介手数料は、売買価格に応じてその上限が定められています。

仲介手数料の上限額を求める速算式は以下の通りです。

売買価格 速算式
売買価格が200万円以下の場合 売買価格×5%+消費税
売買価格が200万円超400万円以下 売買価格×4%+2万円+消費税
売買価格が400万円超 売買価格×3%+6万円+消費税

例えば、売却価格が3,000万円の場合の上限額は、3,000万円×3%+6万円+消費税=105万6,000円となります。

物件価格が800万円以下の空き家では、不動産会社が上記の計算式で求める額を超えて報酬(30万円×1.1倍が上限)を受領できる、低廉な空家等の媒介の特例があります。ただし、不動産会社はあらかじめ依頼者に報酬の説明をする必要があり、依頼者が合意した場合に限ります。

不動産仲介については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

不動産仲介業とは?仕組みや依頼するメリット、仲介会社の選び方を解説

解体費用(更地にする場合)

空き家の解体費用は、建物の構造や前面道路との高低差などによって異なりますが、構造別の一般的な相場は以下の通りです。

建物の構造 単価
木造の場合 3~5万円/坪
鉄骨造の場合 5~7万円/坪
鉄筋コンクリートの場合 6~8万円/坪

例えば30坪の木造の場合、30坪×3〜5万円=90〜150万円程度です。

解体費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

家の解体費用の相場は?安く抑えるポイントや解体する際の注意点を解説

清掃費用

空き家を売却する場合の清掃は必ずしもプロに依頼する必要はありませんが、空き家が遠方にあり自身で清掃できない場合は清掃会社に依頼できます。例えば3LDKの場合、空き家の清掃と不用品の処分であれば15~50万円程度、空き家の清掃のみであれば7~10万円程度の費用がかかります。

依頼先やプランによって具体的にかかる費用は異なります。複数社に見積もりを依頼し、比較したうえで決めるようにしましょう。

相続登記費用

空き家を相続登記する場合は、登録免許税と司法書士への報酬がかかります。報酬は依頼先によって異なりますが、それぞれ以下の通りです。

  • 登録免許税:不動産評価額×0.4%
  • 司法書士への報酬:5~10万円

なお、相続登記は2024年4月から義務化されました。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記しなければ、正当な理由がない場合は10万円以下の過料が科される恐れがあります。相続登記がまだできていない方は、不動産会社や司法書士などに相談して早めに手続きを行いましょう。

参考:法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」

空き家を売却する際に利用できる控除・特例

空き家を売却する際に利用できる控除や特例を5つご紹介します。それぞれの計算式や適用要件を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、空き家の3,000万円特別控除とも呼ばれます。相続や遺贈によって取得した家屋またはその家屋の敷地を2027年12月31日までに売却する場合、一定の要件に当てはまれば、譲渡所得(売却で得た利益)から3,000万円を限度に差し引ける制度です。

特例の対象(被相続人居住用家屋)となるのは、被相続人が亡くなる直前まで居住しており、以下の3つの要件に当てはまる場合です。

  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物
  • 区分所有建物(マンションなど)ではないこと
  • 被相続人が亡くなる直前に被相続人以外に居住する方がいなかったこと

計算方法と適用要件は以下の通りです。

課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円
適用要件
  • 1. 売却する方が、相続または遺贈によって被相続人居住用家屋およびその敷地を取得したこと
  • 2. 相続または遺贈によって取得した被相続人居住用家屋、もしくはその敷地も合わせて売却すること
  • 3. 相続したときから売却するまでに事業用、賃貸用として利用していないこと
  • 4. 譲渡時に、一定の耐震基準を満たしていること
  • 5. 相続開始から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること
  • 6. 売却代金が1億円以下であること
  • 7. 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例、もしくは収容等の場合の特別控除など、他の特例を受けていないこと
  • 8. 同じ被相続人から相続または遺贈によって取得した被相続人居住用家屋またはその敷地について同じ特例を受けていないこと
  • 9. 親子間や夫婦間の売買でないこと

出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

なお、2024年1月以降の売却では2つの点が変更されました。1つは、相続人が3人以上いる場合、控除の上限が2,000万円までに下がること。もう1つは、これまで売主様が引き渡し前に済ませる必要があった耐震改修や解体を買主様が引き渡し後(売却の翌年2月15日まで)に済ませても特例の対象となることです。これにより、現状のままでも売却しやすくなりましたが、要件が細かいため、利用を検討するのであれば早めに税理士や税務署に確認しておきましょう。

参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

参考:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続または遺贈によって取得した土地や建物、株式などの財産を一定期間内に売却した場合は、一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる特例です。

取得費に加算できる相続税額の計算方法と適用要件は以下の通りです。

取得費に加算する相続税額 =
その者の相続税額 × その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の相続税評価額 その者の取得財産の価額
その者の相続時精算課税適用財産の価額 +
その者の純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額
適用要件
  • 1. 相続や遺贈によって財産を取得した者であること
  • 2. 財産を取得した方に相続税が課税されていること
  • 3. 相続の開始があった翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までにその財産を譲渡していること

出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

居住用財産を売却して一定の要件に当てはまる場合、課税長期譲渡所得の6,000万円以下では、通常よりも低い税率である軽減税率が適用されます。

計算方法と適用要件は以下の通りです。

課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下:長期譲渡所得金額×10%
課税長期譲渡所得金額が6,000万円超:(長期譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円
適用要件
  • 1. 日本国内にあるマイホームを売却すること。もしくはその自宅と敷地を売ること
  • 2. 以前に住んでいた家屋の場合は、住まなくなってから3年後の12月31日までに売ること
  • 3. 売却した年の1月1日にその自宅と敷地の所有期間が10年を超えていること
  • 4. 売却した年の前年、もしくは前々年に同様の特例を受けていないこと
  • 5. 売却した家屋や敷地について、マイホームの買換え特例などの特例を受けていないこと(3,000万円控除と軽減税率は併用可能)
  • 6. 親子間や夫婦間の売買でないこと

出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

低未利用土地等の100万円特別控除

個人が都市計画区域内にある土地を500万円以下(一定の場合は800万円以下)で売却した場合、その土地が低未利用地であれば、譲渡収入金額から最大100万円を控除できる特例制度です。2020年7月1日から2028年12月31日までの譲渡が対象となります。

計算方法と適用要件は以下の通りです。

課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費)-100万円
適用要件
  • 1. 売却した土地が都市計画区域内にあり、低未利用土地等であること
  • 2. 売却した年の1月1日に、所有期間が5年を超えていること
  • 3. 親子間や夫婦間、生計を共にする親族間の売買でないこと
  • 4. 売買金額が低未利用土地とその上にある建物と合計しても、500万円以下(低未利用土地等が次に掲げる区域内にある場合には800万円以下)であること イ)市街化区域
    ロ)区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域のうち用途地域が定められている区域
    ハ)所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域(イおよびロに掲げる区域を除く)
  • 5. 売却後は低未利用土地が利用されること
  • 6. 他の譲渡所得の特例を受けていないこと(収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど)

出典:国税庁「No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」

地方自治体の空き家解体補助金

自治体によっては、空き家を解体する住民に対して費用を補助する事業を行っているケースがあります。空き家が所在する自治体の窓口やホームページで確認してください。

ここでは参考として以下の例をご紹介します。

地方自治体 補助額
文京区(空家等対策事業) 倒壊の危険性などがある空き家に対し、区が200万円を上限に解体費用を補助します。なお除去後は区が所有者から10年間無償で借り受け、行政目的で利用することになります
町田市(除去工事) 倒壊の恐れがある住宅の解体にかかる費用の1/2(上限は50万円)まで助成してもらえます
横浜市(住宅除却補助制度) 1981年5月末日以前に建てられた建物を対象に、市の耐震診断結果が一定以下だった場合、下記のいずれか少ない額が補助されます
  • 20万円(非課税世帯は40万円)
  • 延床面積×1万3,500円×1/3
  • 除去工事費用×1/3
長野市(老朽危険空き家解体事業補助) 以下の金額のうちいずれか少ない額が補助されます
  • 解体する建物の延べ面積に応じて、国が定める除去工事費の8/10
  • 補助対象経費の5/10
  • 限度額100万円
なお、申請日の前年度の所得金額が200万円以下の方には以下のいずれか低い額が補助されます
  • 解体する建物の延べ面積に応じて、国が定める除去工事費の8/10
  • 補助対象経費の6/10
  • 限度額120万円

出典:文京区「空家等対策事業」

出典:町田市「除去工事」

出典:横浜市「住宅除却補助制度」

出典:長野市「老朽危険空き家の解体工事補助金」

空き家を遠方から売却するには?

遠方にある空き家の売却に困っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、現地へ何度も足を運ばなくても売却は可能です。

ここでは、遠方の空き家を売却する際の具体的な方法や全体の流れ、気をつけるべき注意点をご紹介します。

遠方の空き家を売却する方法

遠方の空き家を売却する場合は、主に以下のような方法が考えられます。

  • 持ち回りで売買契約を締結する
  • 代理人を立てて売却する
  • 司法書士に売却を依頼する
  • オンライン売却を利用する

それぞれの概要やメリット・デメリットは次の表をご覧ください。

売却方法 概要 メリット デメリット
持ち回り契約 売主様と買主様が同席せず、郵送や担当者の個別訪問により別々に契約する 現地へ行かずに契約できる 郵送や訪問に日数がかかり、記入ミスがあると再送等の手間がかかる
代理人を立てて売却 親族や知人に委任状を渡し、契約手続きを任せる 信頼できる人がいれば安心して売却を進められる 代理人が契約手続きに慣れていないとミスやトラブルの恐れがある
司法書士に売却を依頼 登記に加え、売買契約の代理や決済の立ち会いを任せる 専門家が対応するため、安全性が高い 報酬や交通費などの費用がかかる
オンライン売却 ビデオ通話やIT重説(オンラインで行う重要事項説明)で売却を進める 自宅にいながら顔を見て売却を進められる 不動産会社のオンライン対応の質に左右される

状況によって向いている売却方法は異なるため、判断に迷う場合は不動産会社に相談してみましょう。

売却の手順

続いて、遠方の空き家を売る場合の流れを、順を追って解説します。

名義人の確認・変更

まず、空き家の名義が誰になっているのかを確認します。

実家を相続した場合、故人の名義のままでは売買契約を締結できないため、相続登記を行い相続人へと名義を変更する必要があります。共有名義の場合は売却に共有者全員の同意が必要な点も理解しておきましょう。

物件の修繕・清掃

次に、物件の状態を確認し、必要に応じて清掃や修繕を行います。

室内に汚れが溜まっていたり残置物がたくさん残っていたりすると、査定金額が下がるだけでなく、購入希望者の印象も悪くなります。スムーズに売却するためにも、気持ちよく内覧できる状態に整えておきましょう。

不動産会社の選定・物件の査定

室内の状況が整ったら、不動産会社に査定を依頼します。

不動産会社は1社に絞らず、複数社に依頼して査定金額や担当者の対応を比較するのがお勧めです。エリアに詳しい地元の不動産会社を候補に入れると、相場に見合った適切な査定が期待できます。

媒介契約の締結

査定金額や対応を比較し、依頼する1社を選んで媒介契約を締結します。媒介契約の手続きは郵送や電子契約で完了するため、来店は必要ありません。

媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。遠方の空き家の場合は、売却活動の窓口が一本化できて定期報告が受けられる専任媒介契約か専属専任媒介契約がお勧めです。

売買契約の締結

媒介契約を結んだ後の販売活動は、基本的に不動産会社が進めてくれます。購入希望者が現れ、価格や条件面で合意できたら、売買契約を締結しましょう。持ち回り契約やオンライン契約を活用すれば、現地へ行かずに売買契約を進められます。

物件の引き渡し

最後に、残代金の受け取りと物件の引き渡し(決済)を行います。

決済は売主様本人の立ち会いが原則ですが、司法書士に代理を依頼すれば現地へ足を運ぶ必要はありません。売却代金の着金を確認したら所有権の移転登記を進め、鍵を引き渡して売却完了です。

売却時の注意点

遠方から空き家を売却する際は、不動産会社とこまめに連絡を取り合いましょう。離れていると売却状況が把握しづらいですが、問い合わせの件数や内覧の反応を定期的に報告してもらえれば、価格や販売戦略を見直すこともできます。

併せて、売却が終わるまでは空き家の管理を続ける必要があります。管理不全により庭の草木が伸びたり建物の傷みが進んだりすると、購入希望者の印象が悪くなり、売却がスムーズに進まなくなるためです。

もし自分で管理しきれない場合は、不動産会社や空き家管理サービスに定期的な清掃・見回りを依頼し、物件の状態を維持しましょう。

空き家を売却する際のポイント

空き家を売却するときのポイントを6つご紹介します。

余裕を持った売却スケジュールを立てる

空き家を売却する際は、余裕を持った売却スケジュールを立てましょう。人が住まない期間が長いと、カビが生えやすくなったり、設備が故障しやすくなったりします。不動産の売却には一般的に3ヵ月程度かかりますが、建物の状態によってはそれ以上の期間がかかることも想定しておきましょう。

名義人を確認する

空き家を相続によって取得した場合は、相続登記をして登記名義人を現所有者に変更しなければなりません。被相続人の名義のままでは売却できないため注意しましょう。また、空き家を売却する場合は相続人全員の同意が必要になります。

相続登記については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションの名義変更(所有権移転登記)はいつ行う?手続きの流れや費用、注意点を解説

親が亡くなったら何をする?手続きや家の相続についても解説

空き家の状態を把握しておく

空き家を中古一戸建てとして売却するのか更地にして売却したほうが良いのか判断するためにも、一度は空き家の状態を把握する必要があります。また、再建築が可能かどうか役所に確認しておくと安心です。

不動産会社に査定を依頼する際は事前に自ら足を運び、建物の状態や設備に不具合がないかを確認しておくことをお勧めします。不具合や気になる傷がある場合は買主様に説明できるよう記録し、契約不適合責任を問われないように注意しましょう。

取り壊す場合はタイミングを見計らう

固定資産税は毎年1月1日の所有者に対して課税されます。その時点で更地の場合、その年の固定資産税は住宅用地の特例措置が適用されません。空き家を解体するのであれば、年内に土地を売却できるかは注意しましょう。

購入時の売買契約書を用意しておく

譲渡所得税がどれくらいかかるか試算するためにも、購入時の売買契約書を早めに探しておきましょう。もし購入価格や購入時にかかった費用などを証明できる書類がない場合は、売却価格の5%相当額を取得費と見なすことになります。

例えば、3,000万円で売却する空き家の取得費は、3,000万円×5%=150万円と計算できます。

出典:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」

特例を利用する場合は確定申告が必要になる

空き家を売却して利益が発生した場合、その売却益は確定申告する必要がありますが、税金が発生しない場合でも、税金の特例を利用する場合は確定申告が必要となります。

確定申告は、空き家を売却した翌年の2月16日から3月15日までに行わなければなりません。確定申告を忘れてしまうと無申告加算税を課される恐れもあるため、忘れずに申告しましょう。

確定申告については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説

マンション売却の確定申告書の書き方は?手続きの流れも併せて解説

空き家の売却で失敗しない!不動産会社選びのコツ

最後に、空き家の売却で失敗したくない方のために、不動産会社選びのコツをご紹介します。

複数の不動産会社を比較しているか

空き家の査定を依頼する際は複数の不動産会社に相談し、査定価格を比較するようにしましょう。不動産会社によって査定価格が異なるケースがあるためです。

また、売却プランは不動産会社によって異なり、仲介だけでなく買取にも対応している会社もあれば、買取は行っていない会社もあります。不動産会社を比較する際は、対応している売却方法も確認しておきましょう。

アフターフォローが充実しているか

空き家を中古住宅として売却する場合は、引き渡し後のフォローが充実している不動産会社へ依頼できると安心です。

長谷工の仲介では、売却後のアフターサービスとして『仲介アフターサポート』をご用意しており、対象設備に対して引き渡しから2年間の保証を提供しています。(※物件によってご利用条件が異なります)

詳しくはこちらをご覧ください。

仲介アフターサポートはこちら

売却エリアでの実績が豊富か

空き家がスムーズに売却できるかどうかは、不動産会社の力量に左右されます。売却エリアでの実績が豊富で空き家の売却が得意な不動産会社に依頼するようにしましょう。

長谷工の仲介は、首都圏と関西圏を中心に50店舗以上を展開しています。売却に関するお悩みやご相談は、ぜひお近くの店舗までお問い合わせください。

首都圏エリア店舗のご案内

関西圏エリア店舗のご案内

名古屋エリア店舗のご案内

福岡エリア店舗のご案内

まとめ

空き家は住まなくても所有しているだけで税金や維持費がかかり、特定空き家などに指定されれば固定資産税が上がる恐れもあります。

空き家の売り方は、中古物件や古家付き土地、更地での売却のほか、不動産会社へ直接買い取ってもらう方法もあります。ただし、物件の状態や売主様の状況によって向いている方法は変わります。どの売却方法が合うか迷う場合は不動産会社に相談してみましょう。

長谷工の仲介では、仲介だけでなく買取のご相談も承っています。無料査定や無料相談も行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2026年9月10日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

杉山明熙
元不動産営業のWEBライター。
不動産営業を12年間経験し店長、営業部長として、売買仲介、賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に精通。
個人ブログにて不動産営業への転職のお手伝い、不動産営業のノウハウ、不動産投資のハウツーなどを発信。
不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランナー保有。
写真:杉山明熙

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