2025.2.14買い戻し特約とは?有効期間や抹消手続き、利用時の注意点を解説

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不動産売買時に買い戻し特約を付加していると、一定期間売主様は不動産の買い戻しが可能になります。

この記事では、買い戻し特約の仕組みや特約を利用して売却するまでの流れ、再売買予約との違いについて分かりやすく解説します。

買い戻し特約とは?

買い戻し特約とは、売却後一定期間であれば売主様が売却した不動産を買い戻せる特約です。
ここでは、買い戻し特約の仕組みや付加されるケースについて詳しく見ていきましょう。

買い戻し特約の仕組み

買戻しの仕組み画像

買い戻し特約は、民法で以下のように定められている契約解除の特約です。

不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額。第五百八十三条第一項において同じ。)及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。


出典:e-GOV法令検索「民法579条」

分かりやすく説明すると、一定期間であれば売主様が売買代金と契約費用または双方で合意した金額を支払うことで不動産を取り戻せる権利です。

なお、買い戻し特約は売買と同時に登記する必要があり、登記により第三者に権利を主張することができます。
そして、登記されると登記簿には「買い戻し特約」と記載され、買い戻し権者や売買代金などが記載されます。

特約を利用できるケース

買い戻し特約は、主に自治体などの公的機関の分譲地で利用されるケースが一般的です。
公的機関の分譲地は相場よりも安い価格で取引されるケースが多く、取引後の転売防止や定住を目的として買い戻し特約を利用する場合があります。

「購入した家に買主様自身が居住する」、「購入から一定期間以内は転売しない」といった条件を定め、その条件が守られなかった場合に買い戻し特約を利用できるようにするのです。

また、買い戻し特約では売主様が不動産の売却代金を得ることができ、後に代金を返還することで不動産を取り返すことができることから、不動産を担保に融資を受ける抵当権と似た使い方が可能なこともあり、抵当権の代わりに買い戻し特約が利用されるケースもあります。抵当権とは、住宅ローンなどのローンを組んだ不動産に対して設定され、万が一ローンの返済が滞った場合に不動産の売却代金から優先的に弁済を受けられる権利のことです。

ただし、個人の売買で買い戻し特約が付加されているケースはごく稀です。

買い戻し特約の有効期間

買い戻し特約の有効期間は以下のように決まっています。

  • 期間の定めがある場合:最長10年
  • 期間の定めがない場合:最長5年

出典:e-GOV法令検索「民法580条」

買い戻しできる期間は最長でも10年です。たとえ期間を15年と定めて契約した場合でも、10年に短縮されてしまいます。
一方で、有効期間を定めていない場合は最長で5年となります。

また、契約時に定めた有効期間の延長はできません。
仮に契約時に有効期間を6年と定めたら、それ以上は延長できないので気を付けましょう。

買い戻し特約を利用する際の具体的な手順

買い戻し特約を利用する大まかな手順は以下の3つのステップです。

  1. 売買契約時に特約内容を決める
  2. 所有権移転登記と同時に登記を行う
  3. 期間満了後に抹消手続きを行う

ここからは、それぞれの手順について具体的にご紹介していきます。

STEP1:売買契約時に特約内容を決める

買い戻し特約は契約後に後から付けることはできない為、契約時に内容を決めて手続きを進める必要があります。
具体的には、以下の内容を買主様と話し合って決めるようにしましょう。

  • 買い戻しできる期間
  • 買い戻し金額

買い戻しできる期間は前述した通り10年以内です。
定めがなければ5年となってしまうので、注意しましょう。
また、平成29年の民法改正前では買い戻し金額が売買金額+諸費用を超えてはいけない規定(強行規定)でしたが、法改正により当事者間で合意がある場合は任意に定めることができるようになりました(任意規定)。

買い戻し内容を決めたら契約書に反映し、売買契約を締結しましょう。

出典:e-GOV法令検索「民法579条」

STEP2:所有権移転登記と同時に登記を行う

売買後の所有権移転登記時に、買い戻し特約の登記を行います。
買い戻し特約の登記は同時に行う必要はありませんが、登記を忘れない為にも、同時に手続きするようにしましょう。
登記するには、申請書と特約が記載されている売買契約書が必要になります。

STEP3:期間満了後に抹消手続きを行う

買い戻し特約は期間満了にともない自動的に登記が抹消されるわけではなく、定めた期間が終了したら特約の抹消手続きが必要です。
ここからは、抹消手続きの流れやかかる費用について詳しく解説していきます。

抹消手続きの流れ

抹消手続きは、原則として売主様・買主様共同で行います。
売主様と買主様で登記原因証明情報などの書類を作成し、登記事項証明書などを準備のうえ法務局に提出しましょう。もし売主が公的機関の場合、買主様が必要書類を公的機関に提出すれば手続きしてくれるケースもあります。

なお、令和5年(2023年)4月の法改正により、売買契約から10年以上経過している買い戻し特約の抹消登記は買主様(現不動産所有者)単独で手続きできるようになっています。

抹消手続きは司法書士に代行してもらえる為、手続きが分からない場合や公的機関が売主(買主)で手続きが複雑な場合は相談することをお勧めします。

抹消手続きにかかる費用

買い戻し特約の抹消手続きを行う際は、登録免許税として不動産の数×1,000円がかかります。
例えば、建物と土地両方の抹消登記が必要な場合は2,000円かかります。
また、司法書士に依頼する場合は別途依頼料が必要な点も注意しましょう。

買い戻し特約付きの不動産が売れにくい理由

売却する際に買い戻し特約を付けて売りたいという方もいるでしょう。
しかし、買い戻し特約付きの不動産は売りにくい恐れがあるので注意が必要です。
ここでは、買い戻し特約付きの不動産が売れにくいといわれる2つの理由を買主様の視点で解説していきます。

売主様に買い戻されるリスクがあるから

買い戻し特約がある不動産は、いつ買い戻されるか分かりません。
そのような不安を抱えてまで不動産を購入したいという買主様は少ないでしょう。

仮に特約の有効期間が満了している場合でも、登記簿上抹消されていなければやはり買主様の不安材料になります。期間を超えた特約が残っている場合は、速やかに抹消手続きを行うようにしましょう。

物価変動によって買主様が損をする恐れがあるから

買い戻し特約の買い戻し金額は、一般的に売買時の金額です。

仮に買い戻し期間に不動産価格が上昇すると、本来の時価よりも安い価格で買い戻されることになる為、買主様が損する恐れがあります。
例えば、3,000万円で購入し買い戻し金額を3,000万円と定めているケースを見てみましょう。このとき、売主様が買い戻しを希望した時点で不動産価格が4,000万円まで上昇していても、売主様は3,000万円で買い戻すことになります。つまり、買主様は1,000万円損してしまうことになります。

反対に、売主様が買い戻しを希望した時点で不動産価格が下落していれば買主様にとってはお得になる可能性があります。
仮に不動産の買い戻し金額が3,000万円となっているのにもかかわらず、不動産価格が2,000万円に下がってしまっている場合、買主様は1,000万円得をすることになります。

とはいえ、将来の不動産価格を正確に予測するのは難しく、損失のリスクがある以上買主様から避けられやすくなってしまうのです。

再売買予約と買い戻し特約は何が違う?

買い戻し特約と似たような制度に、再売買予約があります。
再売買予約とは、将来売主様が不動産を買い戻すことを予約する特約です。
不動産を買い戻すという点では買い戻し特約と同じですが、再売買予約は買い戻し特約よりも自由度の高い特約です。

大まかな違いは以下の通りです。

項目 買い戻し特約 再売買予約
有効期間 最長10年
(期間の定めがない場合は5年)
制限なし
※時効10年
特約を付けるタイミング 売買契約時 制限なし
対抗要件の違い(登記) 買い戻し特約の付記登記 所有権移転請求権の仮登記
買い戻し金額 売買契約時に定めた金額
※金額に制限はなし
決まりなし
(再売買時に定めることが可能)
目的物 不動産 制限なし

再売買予約には、特約を付けるタイミングや契約期間に関する明確な規定がありません。買い戻し特約のように売買契約時に設定する必要はなく、売主様と買主様の合意があれば後から設定もできます。

また、再売買時に売買金額を決めることができる為、物価や不動産の状況に応じて適切な価格をつけることが可能です。
自由度が高い為、個別のケースに合わせて柔軟に対応できるのが再販売予約のメリットといえるでしょう。

まとめ

買い戻し特約とは、売主様が代金を支払うことで売買契約から10年以内であれば不動産を買い戻せる契約解除の特約です。
ただし、特約を付加する場合は売買契約書だけでなく登記簿にも記載される為、有効期間が満了したら抹消登記手続きが必要になります。

買い戻し特約があれば売主様は不動産を将来的に買い戻すことが可能になりますが、買主様からすると「いつ買い戻されるのか分からない」というリスクを抱えることになる為、売却がスムーズに進まないケースもあります。

買い戻し特約の抹消手続きがまだ済んでいない不動産を売却する場合は、複雑な手続きが必要になることもある為、不動産会社に相談することをお勧めします。
不動産売却にお困りの方は、ぜひ長谷工の仲介にお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2025年2月14日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

逆瀬川 勇造(合同会社7pockets 代表社員)
明治学院大学卒。銀行、不動産会社勤務を経て独立。宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー。

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