土地の売却活動を続けているにもかかわらず、なかなか売却できずに悩んでいる方もいるでしょう。売却に時間がかかっている場合は、何かしらの原因があるものです。
この記事では、売れない土地によくある原因やその対処法、土地を放置することで発生するリスクなどを分かりやすく解説します。
不動産の売却のお問い合わせやご相談は「長谷工の仲介」へ
土地の売却にかかる平均期間は?
前提として、土地の売却にはある程度時間がかかります。
実際、公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると、土地の売り出しから成約までの平均日数は、2023年で79日という結果でした。また、ここ10年間の平均期間は80日~100日前後で推移しています。土地の売却にかかる平均期間は約3ヵ月であると理解しておくと良いでしょう。
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」
しかし、なかには平均期間を大幅に超えても土地が売れないケースもあります。
その場合は、原因をしっかりと探ることが大切です。ここからは、土地が売れない主な原因や具体的な対策をご紹介します。
土地が売れないのはなぜ?よくある原因
ここでは、土地の売却に時間がかかっている場合に考えられる6つの原因をご紹介します。
価格が相場より高い
1つ目に考えられる原因は、土地価格が相場より高いことです。周辺で似たような土地が売り出されている場合、価格面で他と比較されてしまい売れないことがあります。
土地には定価がなく、売主様が自由に価格を設定できます。しかし、周辺相場と比較して高くなりすぎないよう、一般的には周辺相場の平米単価(坪単価)に面積をかけて価格を求めることが多いとされています。
公益財団法人東日本不動産流通機構のデータによると、2023年に成約した土地(100㎡~200㎡)の平米単価は以下の通りです。
| 都県 | 平米単価 |
|---|---|
| 東京都 | 41.22万円 |
| 埼玉県 | 17.14万円 |
| 千葉県 | 14.33万円 |
| 神奈川県 | 21.62万円 |
| 首都圏 | 24.37万円 |
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」
上記はあくまで平均単価であり、土地の形状や立地などで価格は増減します。ただし、土地の状況を考慮しても売り出し価格が高いと感じた場合は、価格の見直しを検討してみるのも良いでしょう。
周囲の利便性が良くない
土地の利便性が良くない為に売れ残ることも考えられます。
主な例は以下の通りです。
- 最寄り駅やバス停までの距離が遠く、通勤・通学に不便である
- ゴミ処理場や火葬場など敬遠されやすい施設が近くにある
- 学校や病院、商業施設が遠く生活しにくい
- 高台に位置している
これらの条件が重なると需要が低くなり、土地の形状や広さに恵まれていても売れにくい場合があります。
土地の形状や接道状況が良くない
立地や広さが良くても、土地の形状や接道状況が悪い為に売れないケースもあります。
例えば、狭い通路部分の奥に建物を建てるスペースが広がっている旗竿地は、間口が狭く日当たりが悪くなりやすい為、利用しにくい形状といわれています。また、三角形の土地は建物配置の自由度が下がることが多く、売れにくい傾向にあります。
さらに、敷地に道路が接していない土地(無道路地)には建物を建てることができません。その為、土地の利用価値が低くなりやすく、需要も限られてしまいます。
このように、建物を新たに建てることができないことを「再建築不可」といいます。建築基準法では、原則として建物を建てる為の土地は幅が4m以上の道路(建築基準法上の道路)に2m以上接している必要があります。しかし、接道要件を満たさない土地に建物が建っている場合、その建物を取り壊した後に新しく建物を建てることができません。
旗竿地や再建築不可物件を売却する際のコツについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
再建築不可物件とは?購入時の注意点や売却のポイント、活用方法を解説
境界が確定していない
住宅地の場合、隣地との境界線が明確でないと購入を避けられやすい傾向にあります。
土地の正確な面積が不明な場合、計画している家を建てられない恐れがある為です。また、隣地所有者が誤って境界線を越えてフェンスや建物を建てたり、境界線付近に物を置く際に「その部分は私の土地だ」と隣人から抗議されたりするリスクがあります。
このようなトラブルに巻き込まれたくないという心理から、境界線が確定していない土地は売れにくくなってしまうのです。
土地自体に問題がある
土地そのものの状態に問題がある場合も売れにくい要因となります。
例えば土壌汚染がある場合、健康に悪影響を与えるリスクがあります。また、ハザードマップに指定されている土地や地盤の弱い土地は災害リスクが高く、敬遠されやすいでしょう。
さらに、土地に地中埋蔵物があると家を建築する際に除去費用や廃棄費用が余分にかかり、予算オーバーになる恐れがあります。こうした土地自体の問題も、売れない原因として考えられます。
不動産会社側に問題がある
売却を依頼している不動産会社に問題がある為に売却が難航することもあります。
例えば、そのエリアが得意ではない不動産会社に売却を依頼してしまった場合が考えられます。
エリアによって住んでいる方の層や環境は異なる為、不動産会社はそれに合わせて販売戦略を考えなければいけません。しかし、不動産会社がそのエリアに精通していないと、適切な販売戦略を立てることができません。
また、不動産会社の担当者との相性が良くないことも売れにくい原因となります。いくらまでなら価格に妥協できるか、いつまでに売りたいのか、などの意思疎通がうまくできないと、売却のチャンスを逃してしまうかもしれません。
売れない土地を売る為の対処法
ここからは、土地を売る為の対処法について、基本的な対処法とどうしても売れない場合の対処法の2つに分けて解説します。
まず実践したい基本的な対処法
土地の売却に時間がかかっているという場合は、まずここでご紹介する対処法を実践してみましょう。
売り出し価格を見直す
1つ目の対処法は、土地の売り出し価格を見直すことです。
価格を下げることで、「この価格であれば購入したい」という買主様が現れるかもしれません。また、価格が見直されることで、駐車場や倉庫など住宅以外で土地を探している方の目に留まる可能性もあります。あらためて周辺相場を確認し、価格のズレがないかを見直してみましょう。
不動産会社との契約内容を見直す
不動産会社と締結している媒介契約を見直すことも対処法の一つです。
一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼できるのが特徴で、売主様自身が見つけた買主様とも直接取引できる自由度の高い契約です。しかし、不動産会社側には売主様への報告義務や不動産流通機構への登録義務がない為、不動産会社の売却活動の状況を把握しづらいかもしれません。
一般媒介契約を締結している場合は、媒介契約を専任媒介契約か専属専任媒介契約に変更することで売却の優先順位が上がり、買い手が見つかる可能性が高まります。
一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社の不動産会社にのみ依頼できる契約方法です。不動産会社から売主様への報告義務や不動産流通機構への登録義務がある為、手厚い売却サポートを受けることができます。専任媒介契約の報告義務は2週間に1回以上、専属専任媒介契約の報告義務は1週間に1回以上です。また、不動産流通機構(レインズ)への登録義務は、専任媒介契約は7日以内、専属専任媒介契約は5日以内と定められています。
メリットが多い専任媒介契約と専属専任媒介契約ですが、依頼した不動産会社の力量次第では売却が滞ってしまうリスクがあります。
その場合は、一般媒介契約に切り替えることで他の不動産会社にも売却を依頼できるようになる為、複数の不動産会社のサポートを受けながら幅広い売却活動が可能になるでしょう。
各媒介契約の特徴やメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
媒介契約とは?3種類の違いやメリット、後悔しない為の選び方をご紹介
一般媒介契約とは?契約のメリットやデメリット、お勧めの方を解説
専任媒介契約とは?他の媒介契約との違いやメリット・注意点を分かりやすく解説
媒介とは?不動産取引における仲介との違いや媒介契約の種類について解説
土地の境界を確定する
土地の境界線がはっきりしていない場合は、境界を確定する手続きを行いましょう。
境界を確定する為には、土地家屋調査士に調査を依頼し、隣地所有者の立ち会いのもと境界を確認する確定測量が必要です。地権者の数にもよりますが、一般的に確定測量には45万円程度の費用がかかります。また、測量をした結果、境界線上に越境物がある場合は越境物の所有権や是正方法などの取り決めを交わした越境の覚書を締結しておくと安心です。
確定測量の流れや費用、注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
土地を整備する
買主様の多くは土地を購入してすぐに家を建てる為、土地が抱える問題は事前にクリアしておくことが重要です。
例えば、地中埋設物や土壌汚染が気になる場合は、古い地図や登記簿謄本を参照し、土地が過去にどのような使われ方をしていたのかを調べてみましょう。ガソリンスタンドやクリーニング店のように溶剤を扱う店舗が建てられていた場合は、地中に化学物質が残留し、土壌汚染が起きている恐れがあります。専門会社に調査・除去を依頼しましょう。
ただし、土地の調査や整備には多額の費用がかかる恐れがあります。売却を依頼している不動産会社と十分に相談することをお勧めします。
近隣住民に売却を打診してみる
土地がなかなか売れない場合は、隣地の所有者など近隣住民に売却を打診してみるのも有効な方法です。
隣地が不整形地や無接道地だった場合、隣接地所有者がその土地を購入することで整形地、または道路に接した土地となり、土地の価値が上昇する可能性があります。
ただし、隣地所有者と直接交渉を行うと境界や価格の面でトラブルになる恐れがあります。隣地所有者との関係が良好な場合でも、不動産会社を介して交渉するのが望ましいでしょう。
不動産会社に現地調査費用を支払う
売却価格が800万円以下の場合は、不動産会社に現地調査費を支払うことも一つの方法となります。現地調査費とは、仲介手数料とは別に支払うお金のことです。
仲介手数料の上限額は売買価格によって異なり、それぞれ以下の通りです。
| 売買価格 | 仲介手数料の上限額を求める速算式 |
|---|---|
| 400万円超 | 売買価格✕3%+6万円+消費税 |
| 200万円超〜400万円以下 | 売買価格✕4%+2万円+消費税 |
| 200万円以下 | 売買価格✕5%+消費税 |
売却価格が低い物件の場合、不動産会社が受け取る仲介手数料が少ない為、売却活動の為の広告費がかけづらいという弊害がありました。
しかし、令和6年6月21日に国土交通省が策定した「不動産業による空き家対策推進プログラム」の一環として、800万円以下の物件を売却する場合、不動産会社は現地調査費を受け取れるようになりました。これは、低廉な空き家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)を取引する場合、売主様から仲介手数料の上限を超えて金銭を受領できるようになるというものです(ただし、その上限額は「30万円✕1.1倍の金額」以内)。
参考:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」
現地調査費を支払うことで不動産会社は受け取る報酬額が増え、売却活動に十分な広告費をかけられるようになる為、積極的な売却活動が期待できるでしょう。
どうしても売れないときの対処法
ここまでご紹介したような対処法を試しても売れない場合は、これからご紹介する対処法をぜひ実践してみましょう。
買取で売却する
不動産会社に売却を依頼する仲介での売却が難しい場合は買取を検討してみましょう。買取とは、不動産会社に直接土地を買い取ってもらうことです。
買取のメリットは、売主様と不動産会社との間で金額の折り合いがつけば確実に現金化できる点です。一般の買主様では活用が難しい土地でも、専門知識や豊富な経験を持つ不動産会社であれば独自のアイデアで活用できるかもしれません。
ただし、一般的に買取は仲介と比べて売却価格が相場より低くなる点には注意しましょう。
不動産会社を変更する
土地が売れない場合は不動産会社の変更も視野に入れましょう。
不動産会社には得意分野や得意エリアがあります。土地売却が得意な不動産会社に変更することで、独自の人脈や営業スタイルを活かした売却活動により状況が好転するかもしれません。
不動産会社の変更を検討する際は、依頼する不動産会社の売却実績や得意分野を確認しましょう。土地の売却実績が豊富であれば、効果の高い広告方法や狙うべきターゲット層を把握している可能性があります。
また、不動産会社を変更する際は、媒介契約の契約期間に注意しましょう。
特に、専属専任媒介契約や専任媒介契約の契約期間は3ヵ月以内とされており、契約期間中は他の不動産会社に依頼できないことになっています。もし、契約期間中に解約すると違約金の支払いを求められる恐れがある為、不動産会社を変更する場合は契約満了のタイミングに合わせると良いでしょう。
空き家バンクに登録する
空き家バンクを利用することも土地の売却に有効な方法です。
空き家バンクとは、自治体が独自で行っている不動産情報サービスです。他の不動産情報サイトにはない物件が掲載されていることがある為、買主様側から掘り出し物感を感じてもらいやすくなります。また、空き家バンクはまだ利用者が少ないことから、買主様の目に留まりやすいメリットもあります。
ただし、空き家バンクの認知度はまだ高くない為、利用者が少ないのが実情です。売却の可能性を少しでも広げたいときの手段として利用することをお勧めします。
自治体や国に引き渡す
どうしても土地を手放したい場合は、自治体や国に引き渡すことも考えてみましょう。あくまで寄付となり、お金は手に入りませんが、土地を引き取ってもらうことで維持費の負担から解放されるメリットがあります。
また、相続した土地を処分したい場合は、「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討しましょう。相続土地国庫帰属制度とは、相続で取得した土地を国に引き渡せる制度です。ただし、引き渡せる土地には様々な要件があり、20万円の負担金も必要となります。利用を検討する際は制度について十分に調べましょう。
さらに、「公有地の拡大の推進に関する法律」を利用して土地を国へ引き渡すこともできます。土地所有者からの届出が必要な土地面積は以下の通りです。
- 市街化区域:5,000㎡以上
- 市街化区域以外の都市計画区域内の土地:10,000㎡以上
売れない土地を放置しているとどうなる?
最後に、売れない土地を処分せず放置しておくことで発生するリスクを4つご紹介します。
固定資産税がかかり続ける
土地は所有しているだけで毎年固定資産税が発生します。
また、土地を住宅用地として使用する場合は以下の軽減措置が受けられますが、更地として放置する場合は軽減措置が受けられません。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):固定資産税の課税標準を1/6に減額
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分):固定資産税の課税標準を1/3に減額
このように、売れない土地を所有していると固定資産税がかかり続けるばかりか、軽減措置が受けられない為、固定資産税が上がってしまいます。
固定資産税の計算方法や減税措置については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
固定資産税の計算は自分でもできる?計算方法や減税措置、シミュレーション例をご紹介
土地の管理や維持にコストがかかる
土地の維持管理コストがかかることも土地を放置することで生じるリスクの一つです。
使わない土地だからといって管理が不要になるというわけではありません。土地の管理を怠ると、雑草が伸び続けて害虫が発生したり、ゴミを不法投棄されたり、放火されたりする危険性が高まります。
こうしたリスクを避ける為には、定期的に訪問して雑草を除去するなど維持管理が必要になり、多くの時間とコストが発生してしまいます。
状態によっては損害賠償請求をされる
使わない土地を放置していた為に管理不全でトラブルが発生し、損害賠償請求を受けてしまうケースも考えられます。
例えば、崖地に土地がある場合、管理を怠ることで崖が崩れて通行人にケガを負わせてしまう恐れがあります。また、土地に老朽化した建物が建っている場合は、少しの災害で崩壊して隣家を損傷してしまうことも考えられます。
土地の価値が下落する恐れがある
売れないからといっていつまでも土地を放置していると、土地の価値が下落していくことが考えられます。
例えば、地方都市で人口減少が進み、ニーズが下がることで価格の下落につながるようなケースです。土地の価値が下がると、買主様が購入後の生活や活用のイメージを持てなくなり、さらに売れにくくなってしまいます。
まとめ
土地が売れない場合には、何らかの原因があります。この記事でご紹介した内容を今一度確認し、なぜ土地が売れないのかを深堀りしてみることが重要です。そして、原因に応じた適切な対処法を実施しましょう。
仮にどうしても土地が売れないという場合は、不動産会社の切り替えや媒介契約の変更を検討してみることをお勧めします。長谷工の仲介では、不動産売却に関するお問い合わせやご相談を受け付けています。売却にお困りの際は、お気軽にぜひ一度ご相談ください。
※本記事の内容は2025年2月14日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。



