2023.11.20一戸建て売却の査定価格はどう決まる?見られるポイントや査定のコツとは

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一戸建てを売却しようとしている方のなかには、最初の査定をどのように依頼すれば良いか気になっている方もいらっしゃると思います。

査定を依頼するときは、必要書類を用意し、できれば自分でも相場を調べておくことが望ましいといえます。物件によってはアピール材料となる資料を準備しておくことも、査定価格をアップさせるコツです。
また、査定後の不動産会社の選び方も知っておくと、満足した売却を行いやすくなります。

この記事では、一戸建て売却の査定の流れや見られるポイント、成功のコツなどについて解説します。

一戸建ての売却査定の流れは?

一戸建ての査定までの流れは以下の通りです。

  • 必要書類を用意する
  • 相場を調べておく
  • 査定を依頼する
  • 査定結果の説明を受ける
  • 売却を依頼する不動産会社と媒介契約(仲介の契約のこと)を締結する

査定には、机上査定と訪問査定の2種類があります。
いずれも不動産会社の担当者が行う査定ですが、机上査定は物件を見ずに行い、訪問査定は物件を見て行います。
価格精度は訪問査定のほうが高い為、売却することがすでに決まっている方であれば、最初から訪問査定を依頼する形で構いません。

一戸建て売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

一戸建て売却の基礎知識!売却までの流れや費用、成功させる為のポイントを紹介

一戸建て売却の査定価格を決める要素

一戸建ての査定価格は、建物価格と土地価格の合計額となります。
建物価格や土地価格は、不動産市況を踏まえて決定されます。

建物価格

建物は、築年数が古くなる程、不具合や修繕箇所が増えることが一般的です。
建物価格で築年数が重視される理由は、築年数が古くなると基本的には建物価値が下がると考えられているからです。

建物価格は、原価法と呼ばれる考え方に基づき査定されます。
まず対象建物を今新築したらいくらになるかを計算し、そこから築年数や損傷状態を加味した減価の修正をすることで現在の建物価格を求めます。

一戸建ての売却相場については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【2023年】一戸建ての売却相場はいくら?地域別・築年数別の相場や、調べる方法を解説

土地価格

土地の価格は、周辺の標準的な土地の価格(相場)に基づいて査定されます。

土地価格を求める手法は、取引事例比較法と呼ばれる計算方法です。
周辺の事例から標準的な土地の価格を求め、対象の土地の個性に応じて加減修正することで土地価格を決定していきます。
対象の土地の個性に応じた加減修正とは、例えば角地ならプラス、不整形地ならマイナスなどの調整を行うことを指します。

なお、あくまでも目安ですが、土地の相場は「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」で調べることができます。

国土交通省「土地総合情報システム」

一戸建て売却の査定でよく見られるポイント

一戸建て売却の査定でよく見られるポイントは以下の通りです。

カテゴリ ポイント
建物 ・日当たりや風通しは良いか・給排水設備の状態はどうか
・外観の状態はどうか
・維持管理がされているか
土地 ・境界が確定されているか
・土地の面積や形状、傾斜の有無はどうか
・地中障害物はないか
・接している道路の状態はどうか
・周辺環境は充実しているか
・騒音や臭気などはないか

その他として、査定では売主様と所有者が一致しているかという本人確認も行われます。
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

建物で見られるポイント

最初に、建物で見られるポイントについて紹介します。

日当たりや風通しは良いか

日照や通風、景観などが良いと査定価格が上がりやすいです。
特に、日当たりに影響する「方角」に関しては、南→東→西→北の順番で評価が高くなります。

給排水設備の状態はどうか

キッチンやバス、洗面所の水回りは評価のポイントです。
デザイン性が高いものは、査定価格が上がりやすくなります。一方で、水の勢いが弱かったり、お湯と冷水の切り替えに時間がかかったりする場合は評価が下がるケースもあります。

外観の状態はどうか

定期的に外壁塗装を実施していると評価が高くなります。
10~15年に1度のペースで外壁塗装を実施していれば、アピールすることをお勧めします。

維持管理がされているか

シロアリの防虫や壁や床の修繕などの維持管理は適切に行われているかといった点が確認されます。また、雨漏りや床の傾きはないかなどの不具合も確認されることが通常です。

さらに、過去にリフォームされている場合、直近5年以内に実施したものがあればアピール材料となりますので、実施箇所や実施時期、内容などをまとめておくことが望ましいです。
ただし、必ずしもリフォームにかけた費用がそのまま査定価格に反映されるとは限らない点は理解しておきましょう。

土地で見られるポイント

次に、土地に関するポイントを紹介します。

境界が確定されているか

売主様には土地の境界の明示義務がある為、境界が確定しているかどうかの確認が行われます。
具体的には、確定測量図の確認です。
確定測量図は買主様に渡すことが引き渡しの条件となることが一般的ですので、なければ早めに測量会社に依頼する必要があります。

土地の面積や形状、傾斜の有無はどうか

土地の面積や形状、傾斜の有無なども確認ポイントとなります。
対象地が平たんであっても、隣地が崖状になっている場合には、がけ条例にかかり有効敷地面積が減ることから、隣地の状況も確認されます。

地中障害物はないか

  • 売主様には地中障害物の有無についても確認が行われます。
  • また、土壌汚染の可能性を探る為に、土地の使用履歴の確認も行われます。
  • 知っている範囲で十分ですので、把握していることを回答します

接している道路の状態はどうか

道路の幅員に関しては、不動産会社が必ず役所調査にて確認を行います。
ただし、現地にて道路への接道状況が不明瞭な場合には、売主様に道路の接道に関して確認が行われることもあります。

また、道路からの高さも見られます。排水を考慮して0.5~1m程度高い土地に建っていると評価が高くなりやすいです。

周辺環境は充実しているか

周辺に食品スーパーがあり、最寄り駅にも近いなどの周辺環境の充実度も確認ポイントです。
前面道路の歩道の整備状況や閑静な環境か否かも、査定価格に影響を与えます。

一方で、目の前に墓地や下水処理場などの嫌悪施設がある場合には、マイナスの評価を受けることもあります。

騒音や臭気などはないか

騒音や臭気が発生している場合は、評価に影響する恐れがあります。
ただし、騒音に関しては、防音性の高い窓を使っており査定時に遮音性を説明できれば査定への影響を減らせる可能性があります。

一戸建て売却の査定を成功させるコツ

ここでは、一戸建ての査定を成功させるポイントについて紹介します。

必要な書類を用意しておく

査定時に一般的に必要とされる書類は、以下のような書類です。

必要書類 概要
登記識別情報通知書または登記済証(権利証) 購入の際、法務局から交付をされた売主様しか保有していない書類となります。売主様の本人確認を行う為に、必要な書類です。
本人確認書類 本人確認の際、免許証などの書類の提示を求める不動産会社もいます。
間取りが分かる図面 設計図書など間取りが分かる図面があれば、提示します。
確定測量図 全ての土地の境界が確定している際に発行される書類です。確定測量図は作成に時間がかかることから、すぐに売却できる状態であるかを確認する為に提示を求められることもあります。
建築確認申請書、建築確認済証、検査済証 売却時の重要事項説明にて、有無の記載を必要とする書類です。保有しているかどうかの確認が行われます。

事前に相場価格を調べておく

査定結果に対して、安過ぎるまたは高過ぎるといった判断をできるようにする為にも、事前に相場価格を調べておくことが望ましいです。

一戸建ての相場は、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」で調べることができます。

レインズマーケットインフォメーション

住宅ローンの残高を確認しておく

住宅ローンが残っている場合は、最新の返済予定表などにより正確な住宅ローンの残高を確認しておくことも必要です。

住宅ローンが残っている物件を売却する場合、ローン残債は売却額によって一括返済します。その為、一戸建てを売るには、原則として売却額は住宅ローン残債を上回っていることが必要となります。
査定結果を受けた際は、査定価格が住宅ローン残債を上回っているかを確認しましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼する

売却を目的とした場合の不動産会社に依頼する査定は、無料です。
1社の査定価格だけだと、その査定価格の妥当性が分かりにくい為、納得感を得る為にも査定は複数社に依頼することが望ましいといえます。

ただし、査定価格は3ヵ月程度の期間があれば売れると考えられる売却予想価格であり、その価格で確実に売却できることを保証するものではありません。あくまでも予想価格ですので、いたずらに何社も査定を依頼し高値を追求するよりも売却を仲介してもらうことを考えて、不動産会社が提供しているサービスなどをしっかり調べ、2~3社に絞ったうえで依頼することが適切です。
長谷工の仲介では無料査定を行っていますので、ぜひご利用ください。

長谷工の売却無料査定はこちら

査定価格だけで不動産会社を選ばない

査定結果を受けたら、査定価格だけでは不動産会社を選ばないこともコツです。
前述の通り、査定価格は、あくまでも予想価格に過ぎないことから、一番高い査定価格で売れるとは限りません。

むしろ、自分が必要としているサービスを提供している不動産会社を選ぶほうが、満足いく売却はできます。他社の高い査定価格は、売り出し価格を決める参考資料として活用するのが適切といえます。

なお、長谷工の仲介では、仲介バリューアップサポートを提供しています。
壁のリペア・仮測量・床のクリーニング・整理収納・荷物の一時預かりの5つから1つを選べるオプションサービスや、水回りのクリーニングなど売却を進めるうえでうれしいサポートが充実しています。
詳しくはこちらをご覧ください。

仲介バリューアップサポート

物件のアピールポイントをまとめておく

物件のアピールポイントをまとめておくことも適切です。
例えば、旧耐震基準(1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認申請を通過した建物)の家を売る場合、耐震診断結果報告書によって新耐震基準に適合していることを証明できればアピールポイントになります。

また、インスペクションを実施し、合格している場合には物件の管理状況や劣化状況を適切に伝えられるでしょう。
インスペクションとは、建物の専門家による簡易な建物状況調査のことです。
インスペクションについては、媒介契約を締結した後に実施するという選択肢もあります。

インスペクションについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

インスペクションのメリットは?流れや費用相場、検査項目などを解説

その他として、住んでみたことで分かったメリットもアピールポイントです。
例えば以下のような点が挙げられます。

【アピールポイント】
  • 小さな子供を遊ばせることができる公園が近くにある
  • 周囲に高い建物がない為、一日中日が差していて明るい
  • 前面道路の交通量が少なく、車庫入れがしやすい

査定時によく聞かれること・聞いておきたいこと

最後に、査定時によく聞かれること・聞いておきたいことについて解説します。

よく聞かれること

査定時に不動産会社の担当者からよく聞かれることは、以下のような内容です。

  • 売却の理由または目的
  • 本人確認
  • 土地の確定状況
  • 売却期限もしくは売却希望時期
  • 住宅ローン残高の金額
  • リフォームの実施状況
  • メンテナンスの実施状況
  • 損傷や不具合の箇所
  • 土地の使用履歴や地中障害物の有無の確認
  • インスペクションの実施の意向

不動産の売主様には、契約不適合責任と呼ばれる責任が課されます。
契約不適合責任とは、契約の目的とは異なるものを売ったとき、売却後に修繕や契約解除、損害賠償などを追及される恐れのある責任のことです。

損傷がある物件で契約不適合責任を回避する一つの方法としては、売買契約書に不具合の内容を記載し、買主様の了解を得たうえで契約不適合責任を免責するという手段があります。
不具合や損傷は最終的に買主様へ正直に伝える必要がある為、まずは不動産会社にもしっかりと伝えることが適切です。

契約不適合責任については、マンション売却向けの内容にはなりますがこちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。「契約不適合責任」がどのようなものか、対策方法などについてご紹介しています。

マンション売却における瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは?対策方法を解説

聞いておきたいこと

売主様が不動産会社の担当者に聞いておきたいこととしては、以下のような内容が挙げられます。

  • どれくらいの期間で売却できそうか
  • 気になる修繕部分の対処法はどのようにしたら良いか
  • 古い物件の場合には取り壊したほうが良いか、もしくはこのまま売れるか
  • 売却を依頼したらどのようなサービスを受けられるか
  • インスペクションは受けるべきか

このように査定時には、実際に売却を進めるにあたって、この不動産会社に依頼して問題ないかという点や、物件の状態を踏まえて懸念事項がないかという点を確認するようにしましょう。

まとめ

ここまで、一戸建て売却の査定について解説してきました。
一戸建ての売却査定では、主に建物の築年数や土地の立地条件によって価格が決まります。
不動産会社は査定価格だけでなく、提供しているサービスの内容も勘案して決めることが適切です。

長谷工の仲介では無料査定を行っています。
一戸建ての売却を予定している方は、ぜひご利用いただければと思います。

※本記事の内容は2023年11月20日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)
不動産鑑定および宅建業の代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士、住宅ローンアドバイザー。大阪大学出身。
写真:竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)

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