2025.3.11空き家バンクとは?メリット・デメリットや利用方法について解説

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空き家を売りたい・買いたい場合には、自治体が運営する空き家バンクの利用を検討する方法があります。

ただし、空き家バンクを利用する際は不動産会社による条件交渉や契約のサポートを受けられないなど注意点もあります。その為、利用するときの流れやデメリットを理解しておくことが大切です。

この記事では、空き家バンクの仕組みやメリット・デメリット、利用するときの流れなどを解説します。

空き家バンクとは?

空き家バンクとは、自治体が運営する空き家のマッチングシステムです。
WEBサイトや広報誌などで空き家情報を公開することで、空き家を売りたい方・貸したい方と買いたい方・借りたい方をつなぎます。
物件の登録や閲覧は無料で、自治体の運営するサイトにアクセスするだけで利用者は簡単に物件情報を検索可能です。

ただし、自治体が行うのは物件情報の公開・情報提供までで、問い合わせ後の交渉や契約は当事者間で行います。不動産の媒介は資格が必要な為、自治体では行えず、契約などに関しては自治体が介入せず当事者同士で進めることになるのです。

自治体によってはトラブル防止の為、提携する不動産会社を紹介してくれるケースがあります。紹介してもらった不動産会社が仲介に入る場合には仲介手数料を支払う必要がありますが、売買契約書の作成だけ依頼するといったケースもあります。
ただし、不動産会社の紹介やサポート内容は各空き家バンクや担当の不動産会社によって変わる為、事前に確認しておきましょう。

国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」

空き家バンクが注目されている理由

空き家バンクが注目されている背景には、空き家問題があります。
国土交通省によると、賃貸用や売却用を除いた長期不在などの空き家は2023年で385万戸と、1998年の182万戸から25年で2倍以上に増えています。さらに、2025年で420万戸、2030年では470万戸と今後ますます増加することも見込まれています。

空き家を放置していると、倒壊のリスクが高くなり近隣に被害を出す恐れがあるだけでなく、治安の悪化や景観を損なうなどの問題を引き起こしかねません。
こうした空き家問題は大きな社会問題であり、自治体でも空き家の活用を促せるよう対策を進めているのです。

とはいえ、田舎の空き家などは活用しようにも存在が分からないケースも少なくないでしょう。そこで、空き家問題の解消や空き家の情報を共有して活用しやすくする為に生まれたのが空き家バンクです。

空き家の現状については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

空き家問題の現状と解決策。所有する空き家はどうする?

出典:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」

空き家バンクと不動産仲介との違い

不動産仲介では、売主様・貸主様と契約した不動産会社が広告などを通じて買主様・借主様を見つけて契約を進めてくれます。
そもそも、不動産仲介は不動産会社が営利目的で行うので、契約成立に向けて積極的に広告活動を行うなどサポートが手厚くなります。

一方、空き家バンクは空き家問題の解消や移住による人口増加などを目的としており、営利目的ではありません。その為、自治体はあくまで物件の紹介までを行い、不動産会社のように積極的な広告活動や契約のサポートは行いません。

営利目的ではない為、不動産会社が取り扱わないような資産価値が低く需要の低い物件も取り扱っている点も特徴です。また、空き家バンク経由で契約が成立した場合は自治体から補助金や助成金を受けられるケースもあります。

空き家バンク制度を利用するメリット

空き家バンク制度を利用するメリットは以下の通りです。

売主様・貸主様側のメリット 買主様・借主様側のメリット
  • 物件情報を無料で掲載できる
  • 個人間取引の場合は仲介手数料がかからない
  • 補助金や助成金を受けられる可能性がある
  • 個人間取引の場合は仲介手数料がかからない
  • 補助金や助成金を受けられる可能性がある
  • 安い価格で不動産を手に入れられる
  • 市場に出ていない物件に出会える可能性がある

ここからは、各メリットについて詳しく解説していきます。

物件情報を無料で掲載できる

空き家バンクは無料で利用でき、物件情報の掲載に料金はかかりません。
自治体に申請し登録さえできれば、基本的にどのような物件でも掲載可能です。

例えば価値が低い物件を売却したい場合、不動産会社が取り扱ってくれず売り出すのが難しい場合もあるでしょう。郊外にある空き家の場合は不動産会社の対応エリア外といったケースも多いです。
そのような物件でも空き家バンクに掲載することで、広くアピールできるようになります。

個人間取引の場合は仲介手数料がかからない

不動産会社の仲介で契約した場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料の上限は以下の通りです。

  • 売買(売買価格が400万円以上の場合):売買金額×3%+6万円+消費税
  • 賃貸:家賃1ヵ月分(原則貸主様・借主様それぞれ0.5ヵ月分以内)

例えば、空き家を1,000万円で売却した場合、36万円(税抜)が仲介手数料の上限となり、売主様・買主様それぞれが媒介契約を締結した不動産会社に支払います。
なお、売買価格が800万円以下の場合、不動産会社は一律30万円(税抜)で請求可能です。

仲介手数料は、売買・賃貸契約において大きなコストの一つです。
しかし、同じ不動産売買でも仲介ではなく個人間取引であれば仲介手数料は発生しません。

ただし、空き家バンクを利用した場合でも契約時などで不動産会社を利用すると仲介手数料が発生します。また、個人間取引はトラブルも起きやすい為、仲介手数料を支払ってでも不動産会社を利用するほうが安心して取引できることは覚えておきましょう。

補助金や助成金を受け取れる可能性がある

空き家バンクは自治体が運営する制度の為、空き家の活用に関して様々な補助金・助成金を適用できる可能性があります。
自治体によって補助金の有無は異なりますが、空き家の購入やリフォーム・解体などで費用を負担してもらえるケースが多いでしょう。

例えば、大阪府富田林市では空き家バンクの活用で以下のような補助を行っています。

  • 売買契約成立時:所有者10万円/居住希望者20万円
  • 賃貸契約成立時:所有者・居住希望者にそれぞれ2万円
  • 売買契約が成立した空き家のリフォーム費用:居住希望者に対し、市内事業者によるリフォーム工事に係る経費の3分の1を補助(上限20万円)
  • 空き家バンクに登録した建物のインスペクション(建物状況調査)の費用:所有者に対し上限5万円の補助

出典:大阪府富田林市「富田林市空き家バンク制度活用促進補助制度」

また、奈良県宇陀市では空き家を活用して起業された方に以下のような補助金の交付が実施されています。

  • 条件:市内の空き家の購入・賃貸により空き家を活用して事業を行う事業者
  • 施設改修・設備改修:対象費用200万円まで
  • 家財道具処分費用:対象費用10万円まで
  • 家賃補助(12ヵ月分):対象費用18万円まで
  • 補助率:宇陀市民の場合は上記の2分の1まで、市外の場合は上記の3分の2まで

出典:奈良県宇陀市「宇陀市空き家空き店舗等活用事業者支援事業補助金」

補助金を活用することで、双方の費用負担を抑えやすくなります。特に、買主様・借主様が費用を抑えやすいことで契約意欲が高まりやすいのもメリットといえるでしょう。

補助金の有無や補助率・条件は自治体によって異なります。
年度によって内容も変わる為、自治体のホームページなどで最新情報を確認しましょう。

安い価格で不動産を手に入れられる

価格の安い物件を見つけられる点も、空き家バンクを利用するメリットの一つです。
特に、地方の場合は相場よりもさらに低い価格で物件が掲載されている可能性があります。
また、前述したような補助金も活用できれば、より費用を抑えて物件を購入できるでしょう。

市場に出ていない物件に出会える可能性がある

価値が低い物件や修繕費が負担できずに仲介での売却を諦めたといった、通常の仲介では出回らない物件も登録されています。
魅力的な古民家のような物件も少なくないので、買主様や借主様にとっては思わぬ掘り出し物に出会える可能性があるでしょう。

空き家バンク制度を利用するデメリット

空き家バンク制度にはデメリットもある為、デメリットまで理解したうえで利用するかを判断することが大切です。
空き家バンクのデメリットには、以下が挙げられます。

売主様・貸主様側のデメリット 買主様・借主様側のデメリット
  • 自分でトラブル対応をする必要がある
  • 契約締結まで時間がかかりやすい
  • 契約後のアフターサポートがない
  • 自分でトラブル対応をする必要がある
  • 契約後のアフターサポートがない
  • 詳細情報が掲載されていない物件もある

ここからは、各デメリットについて詳しく解説していきます。

自分でトラブル対応をする必要がある

前述した通り、基本的に空き家バンクを利用する場合は条件交渉や契約などを当事者間で進める必要があります。
不動産取引は、不動産だけでなく法律や税金など幅広い知識が必要となり、知識のない方が契約を進めるとトラブルになる恐れがあります。

売買時によくあるトラブルとしては、「売却金額で揉めた」「引き渡し後に告知されていない不具合が見つかった」などが挙げられます。
また、賃貸契約でよくあるトラブルとしては返却時の原状回復のための修繕費が挙げられるでしょう。特に築年数の古い家の場合、修繕費が高額になってしまう可能性がある為、入居時の動画や写真を保存しておき、自衛することが求められます。

仮にトラブルに発展した場合でも、自治体が解決に動いてくれるわけではなく当事者間で対応する必要がある為、注意が必要です。

不動産取引に関する知識がなく個人間取引に不安がある場合は不動産会社に仲介を依頼することをお勧めします。

契約締結まで時間がかかりやすい

空き家バンクに登録したからといってすぐに買主様・借主様が見つかるわけではありません。

前述したように、空き家バンクは積極的な広告活動がない為、買主様の目に留まりにくくなります。また、似たような空き家が多く掲載されているケースもあり、その場合は情報が埋もれることも考えられます。
その為、すぐに売りたい・貸したい場合は不動産会社に依頼したほうが良い可能性があります。

契約後のアフターサポートがない

不動産会社に売買・賃貸を依頼する場合、不動産会社による契約後のアフターサポートや売却・賃貸サポートを受けられるケースが多いものです。

例えば、売買であれば契約後も建物や設備の補償を受けられる、確定申告など税理面のサポートがあるなど手厚いサポートを用意しているケースも少なくありません。

しかし、空き家バンクで賃貸契約や個人間売買をすると契約後のサポートは受けられません。手厚いサポートを期待するなら、不動産会社に依頼したほうがメリットは大きいでしょう。

詳細情報が記載されていない物件もある

空き家バンクでは、空き家への不法侵入やいたずら防止の観点から物件の詳細情報を開示していないケースも少なくありません。
物件の詳細が分からない場合、直接現地に行って物件や周辺環境を確かめる必要があります。空き家には築年数の古い物件も多い為、修繕が必要な箇所や耐震基準などはしっかりチェックするようにしましょう。

不動産会社に仲介に入ってもらう場合には、不動産会社からアドバイスを受けることができますが、個人間で売買契約や賃貸契約を結ぶ場合、自分で元の持ち主に確認したり、実際に物件を確認したりする必要があります。
専門知識が必要になる部分でもある為、不安であれば不動産会社に仲介に入ってもらうことを検討すると良いでしょう。

空き家バンクに物件を登録する際の条件

空き家バンクに登録できる物件の条件は自治体によって異なりますが、代表的な条件としては、以下が挙げられます。

  • 空き家の所有者であることが明確なこと
  • 空き家であること
  • 固定資産税などを滞納していないこと
  • 一戸建てや店舗併用住宅であること
  • 空き家バンクを運営する自治体に物件があること
  • 建築基準法に違反していないこと
  • 不動産会社と媒介契約を締結していないこと

空き家バンクに空き家を登録する方が空き家の所有者であることを証明できるのは前提条件ともいえます。また、その自治体にある空き家でなければ利用できません。一般的には一戸建てか店舗併用住宅が対象となり、マンションや事務所では利用できないケースがほとんどです。

さらに空き家バンクを利用する場合は、並行して不動産会社と契約することができません。
つまり、空き家バンクで買い手を探しつつ、不動産会社に広告活動を行ってもらうことはできない為、どちらを利用したほうが希望通りに契約できるかは慎重に判断するようにしましょう。
なお、不動産会社との媒介契約を解除した後であれば、空き家バンクの利用は可能です。

空き家バンクの利用方法

ここでは、空き家バンクの利用方法を売主様・貸主様側と買主様・借主様側に分けて解説します。

売主様・貸主様側

売主様・貸主様が空き家バンクを利用する場合の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 必要書類の準備
  2. 申込書の提出
  3. 自治体による調査
  4. 空き家バンクへの登録
  5. 購入希望者・賃借希望者との交渉
  6. 契約手続き
  7. 決済・引き渡し

物件を空き家バンクに登録する際は、まず申請書や納税証明書などの必要書類を用意し、自治体に登録申請を行います。
申請後、自治体が物件を調査して問題がなければ、所有者や自治体・連携する不動産会社の担当者と話し合い、価格などの条件を決めて空き家バンクに情報が登録されます。
登録後、賃貸希望者や購入希望者から自治体に問い合わせがあれば登録者に引き継がれます。

そして、問い合わせ後の交渉や契約を進めていきます。
連携する不動産会社がある場合は、不動産会社を通してやり取りするケースもあります。
自治体によって登録までの流れや必要書類が異なるので、ホームページや窓口で確認しましょう。

買主様・借主様側

買主様・借主様側が空き家バンクを利用する場合の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 利用申請・登録
  2. 空き家バンクでの物件検索
  3. 問い合わせ
  4. 物件の内覧や売主様や貸主様との交渉
  5. 契約手続き
  6. 決済・引き渡し
  7. 入居

自治体によっては空き家バンクを利用する為に申請が必要なケースがあります。
申請が必要な場合は、申請書や本人確認書など必要書類を添えて申請しましょう。
申請が通れば公開されている物件情報を検索し、気になる物件があれば問い合わせます。
問い合わせ後は所有者と直接か連携する不動産会社を通して交渉を進めていきます。そして、双方の条件が合えば契約を進めることになります。

安心して空き家を売却するには?

ここまでご紹介してきた通り、空き家バンクを利用して空き家を売却するには条件交渉や売買契約を自分で進める必要があります。広告活動や売買契約のサポートをしてもらいたい場合は不動産会社に仲介や買取を依頼することをお勧めします。

仲介による売却

仲介による売却とは、不動産会社と媒介契約を締結して不動産会社に買主様を探してもらう売却方法です。
広告活動や契約手続きは不動産会社がサポートしてくれるので、不動産売却の知識がなくても安心して売却を進めることができます。
また、仲介であれば市場価格での売却が期待できる為、高値で売却できる可能性もあります。
ただし、買主様を見つける必要がある為、売却までに時間がかかる点には注意しましょう。

空き家を売却する流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

家を売却する流れは?売却方法からかかる費用や税金、注意点までまとめてご紹介

空き家を売却する方法は?かかる費用・税金や税制優遇について解説

不動産会社による直接買取

買取とは、不動産会社が直接不動産を購入する売却方法です。
仲介とは異なり、不動産会社の立ち位置は買主となります。
不動産会社が購入する為、広告などで買主様を見つける必要がなく短期間での売却が可能です。

また、仲介手数料や修繕費といったコストもかかりません。
しかし、買取は仲介よりも価格が下がる傾向がある点に注意が必要です。
価格が下がってもすぐに売却したい・相続した物件の売却で査定価格を相続人間で逐一共有する必要があるといったケースで検討すると良いでしょう。

古い家の売却や買取については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

古い家を売る方法とは?古い家の定義やかかる税金・費用、売却時のポイントを紹介

マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説

まとめ

空き家バンクであれば、建物の価値に関係なく物件を登録できます。
しかし、運営する自治体は交渉や契約には関与しない為、個人間取引によりトラブルが起きる恐れがある点に注意しましょう。
また、広告活動も行われない為、登録したからといってすぐに買主様や借主様が見つかるわけではありません。

その為、安心して売却を進めたい場合は空き家バンクを利用する前に不動産会社に仲介や買取を相談することをお勧めします。買取であれば、仲介では売却の難しい物件でも売却できる可能性があるので、両方を視野に入れることで売却の選択肢が広がります。

まずは、長谷工の仲介の無料査定からお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2025年3月11日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

逆瀬川 勇造(合同会社7pockets 代表社員)
明治学院大学卒。銀行、不動産会社勤務を経て独立。宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー。

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