2024.03.26マンションの評価額とは?種類や調べ方をわかりやすく解説

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マンションの評価額には、実勢価格や地価公示価格・都道府県基準地価、固定資産税評価額など様々な種類が存在します。
それぞれ価格水準や算出方法も異なる為、使用用途によって適切な評価額を用いる必要があります。

この記事では、マンション評価額の種類や計算方法、各種税金の求め方などについて解説しています。

マンションの評価額とは?

マンションの評価額とは、一定の算出ルールに基づき決定したマンションの価格のことです。
ルールに従って第三者が計算して求めた価格であり、売主様と買主様が協議して決定した実際の売買価格とは異なります。評価額は主に税金を計算する為に用いられることが多く、恣意性を排除する形で公平に計算されるのが特徴です。

実際の売買では、本来であれば5,000万円くらいするマンションを、親戚だからという理由で4,000万円という価格で売るということはあり得ます。

しかしながら、税金を徴収するという観点から考えると、売買価格をもとに税金を計算すると不都合が生じます。本来5,000万円の価値のあるマンションであれば、5,000万円を基準に税金を計算する必要があるでしょう。売買価格の4,000万円をベースに税金を計算すると、実際よりも税金が安くなってしまいます。

一定の算出ルールに基づいた価格があれば、税の公平性を担保でき、売買せずとも価格を把握できることから、評価額というものが存在するのです。

マンションの評価額の種類

ここでは、マンションの評価額の種類について解説します。
主な評価額は以下の通りです。

評価額の種類 評価額を使用するシーン
実勢価格 相場を把握するときに用います。
地価公示価格・都道府県基準地価 土地の取引の参考や公共用地の用地買収を行う際に用います。
固定資産税評価額 固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税を算出する為に用います。
相続税評価額 相続税や贈与税を算出する為に用います。
不動産鑑定評価額 適正な時価を把握したいときに用います。
火災保険評価額 火災保険の保険金額を決定する為に用います。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

実勢価格

実勢価格とは、いわゆる相場や時価と呼ばれる価格のことです。
標準的な不動産が、適切な条件で取引された場合の価格になります。

例えば、土地でいえば角地や不整形といった個性は考慮しておらず、標準的な土地を前提とした価格です。また、現実の不動産の売買では焦って安く売る「売り急ぎ」や、焦って高く買う「買い進み」といった特殊な事情を含む取引も存在します。
実勢価格は、このような特殊な事情は含まず、適切な条件で取引されることを前提とした価格です。

地価公示価格・都道府県基準地価

地価公示価格とは、国が行っている毎年1月1日時点の土地の評価額のことです。
都道府県基準地価(都道府県地価調査)とは、都道府県が行っている毎年7月1日時点の土地の評価額のことです。
いずれも土地の単価を示したものであり、時点が半年ずれているだけで価格水準は同じものとなります。

地価公示価格は、相続税路線価や固定資産税路線価のもとになる価格です。
相続税路線価や固定資産税路線価は、それぞれ相続税や固定資産税などの税金を計算する為に用いられる価格になります。後ほど詳しく説明します。

地価公示価格は、表向きは時価ということになっていますが、実勢価格とは乖離していることが多いです。都市部であれば、実勢価格は地価公示価格の1.5倍以上となっていることもよくあります。
郊外では、実勢価格が地価公示価格の0.9~1.1倍程度となっていることも多いです。

理由として、地価公示価格は税金の算出根拠のもとになる価格である為、実勢価格に一致させにくいという事情があります。
都市部の場合、地価上昇時は土地価格が大きく上がっていきますが、地価公示価格を実勢価格に追随させてしまうと税金が急激に上がり、納税者からの反発を受けてしまう懸念があります。
一方で、地価が下落時に地価公示価格を実勢価格に追随させてしまうと、市町村の税収が減ってしまう懸念が考えられます。

このように地価公示価格を実勢価格に追随させてしまうと、納税者にも税務当局にも不都合が生じることから、あまり大きく変動しないように評価しているのです。
その結果、地価公示価格と実勢価格とは乖離している状況にあります。

都道府県基準地価は、地価公示価格の評価地点が手薄な地域を補う為に存在します。
地価公示価格や都道府県基準地価は、公共用地として民有地を買収するときに参考にされる価格です。
地価公示価格の評価地点がほとんどない地域の場合、適切な価格を算出できず買収で不都合が生じる為、都道府県基準地価によって評価地点を補っています。

また、都道府県基準地価には、山林の評価地点がある点も地価公示価格との違いになります。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税を算出する為に用いられる価格です。

前述した地価公示価格や都道府県基準地価、相続税路線価は土地の評価額だけしかないのに対し、固定資産税評価額は土地評価額と建物評価額に分かれている点が特徴です。

マンションにかかる固定資産税や相続税については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却した時の固定資産税はどうすればいい?清算方法や注意点を解説

マンション相続の手続きとは?流れや相続税の計算、利用できる控除を解説

相続税評価額

相続税評価額とは、相続税や贈与税を算出する為に用いる評価額です。
マンションの相続税評価額は土地と建物でそれぞれ異なり、土地は相続税路線価に基づき計算され、建物は固定資産税評価額に基づいて計算されます。

なお、マンションの相続税評価額に関しては、2024年1月1日から新たな評価手法が導入されました。
従来、マンションの相続税評価額には、階数による差異はありませんでした。
しかし、実際のマンション価格は階数が高い程高くなるにも関わらず、税金に関しては階数によって差がないのは不合理といえます。

そこで、相続税評価額にも階数などの条件を加えて、適切に課税できるようにしたのが今回の改正趣旨となります。
新しいマンションの評価方法は、統計的な手法を用い、相続税評価額が時価の6割程度に調整されるように評価されます。

出典:国税庁「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」

出典:国税庁「No.4602 土地家屋の評価」

マンションを相続した際にかかる相続税については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション相続の手続きとは?流れや相続税の計算、利用できる控除を解説

不動産鑑定評価額

不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士と呼ばれる国家資格者による評価額のことです。
不動産の鑑定評価は不動産鑑定士による独占業務であり、不動産会社が行う査定という言葉とは使い分けています。

査定と鑑定評価の主な違いは、以下の3点です。

  • 依頼にかかる費用
  • 評価額の利用用途
  • 査定・鑑定を行う際の基準

一般的に不動産会社が行う査定は無料で依頼できますが、不動産鑑定士による鑑定評価を依頼する場合は30~50万円程度かかります。

また、不動産会社が行う査定は売却を前提としたときしか利用できませんが、不動産鑑定士による鑑定評価はあらゆる場面で利用することができます。
例えば、企業の合併において買い手側となる企業が売り手側の企業の保有している不動産の適正価格を知りたいといったときにも利用できます。

その他、不動産会社が行う査定は特に査定の基準は定められていませんが、不動産鑑定士による鑑定評価は国が定める鑑定評価基準に基づき査定しなければならない点も違いです。
鑑定評価はルールが厳格である為、恣意性が排除されており、税務署や裁判などで提出する証拠書類としても利用することができます。

参考:国土交通省「不動産鑑定評価基準」

火災保険評価額

火災保険評価額とは、火災保険の保険金額を決める際に使用される評価額です。火災保険は建物が対象ですので、火災保険評価額は建物の評価額です。

マンションの火災保険評価額は、保険会社が定めている建築費単価(マンションを建てるときの1坪(約3.3平米)あたりの建築費)に面積を乗じて求めることが一般的となっています。

マンション評価額の調べ方

次に、マンション評価額の調べ方について解説します。

実勢価格の調べ方

マンションの実勢価格は、土地価格と建物価格の合計額です。
マンション価格の相場が分かる主なサイトは、以下の2つが挙げられます。

  • 土地総合情報システム
  • レインズマーケットインフォメーション

土地総合情報システムは、国土交通省が運営しているシステムです。
取引当事者にアンケート調査した結果を、個人情報が分からない形で公表しています。

レインズマーケットインフォメーションは、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しているシステムです。
不動産会社が不動産流通機構に報告したデータを、個人情報が分からない形で公表しています。

土地の評価額である地価公示価格や都道府県基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価を参考に実勢価格を推測できると思われる方もいるでしょう。しかし、前述したように評価額では個々のマンションの状況などが考慮されていない為、推測値を算出することはできますが実際のマンションの実勢価格とは乖離してしまう点は把握しておきましょう。

路線価から実勢価格を推測する方法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

路線価から実勢価格は求められる?それぞれの違いや調べ方を紹介

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は、マンションの所有者であれば毎年送付されてくる固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書で調べることができます。
評価額もしくは価格と記載されている箇所の数値が固定資産税評価額です。

固定資産税納税通知書のなかには、土地の評価額に関して敷地全体の評価額が記載されている場合もあります。
敷地全体の評価額が記載されている場合には、その評価額に敷地権割合を乗じたものが対象マンションの土地の固定資産税評価額です。敷地権割合とは、土地の共有持分割合のことであり、登記簿謄本に記載されています。

固定資産評価証明書は、市町村で取得できる証明書になります。固定資産評価証明書の取得費用は、横浜市では300円、八王子市では200円と地域によっても異なりますが300円程度と考えておくと良いでしょう。

所有者以外の方は、土地だけなら固定資産税路線価から土地の固定資産税評価額を推測することができます。固定資産税路線価は、前年の地価公示価格の7割程度の水準で評価されています。
地価公示価格は、全国地価マップで調べることができます。
全国地価マップとは、一般財団法人資産評価システム研究センターが運営しているサイトです。

相続税評価額の調べ方

相続税評価額の調べ方について解説します。

土地評価額の求め方

土地の相続税評価額は、相続税路線価を用いて求めます。
相続税路線価は、地価公示価格の8割程度の水準で評価された土地の単価です。
相続税路線価については、国税庁の財産評価基準書というサイトで調べることができます。

概算で出す場合は、マンション全体の敷地に面している最も高い路線価に敷地全体の面積と敷地権割合を乗じて求めます。

実際に土地の相続税評価額は、形状によって細かい補正がなされたうえで求められます。
正確な相続税評価額が知りたい場合は、税理士へご相談ください。

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建物評価額の求め方

建物の相続税評価額は、建物の固定資産税評価額となります。
前述した通り、マンションの所有者であれば、建物の固定資産税評価額は固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書から求めることができます。

マンションの売却価格を知るには?

マンションの売却価格を知るには、不動産会社に査定を依頼する必要があります。
実勢価格はあくまでも相場ですので、個別の状況を加味した価格ではありません。
個別のマンションの価格は、日照条件や眺望、階数、築年数、周辺環境などの条件を加味することで決まります。

マンション売却の査定で見られるポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説

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まとめ

ここまで、マンションの評価額について解説してきました。
マンションの評価額には様々な種類がありますが、相場に該当するものは実勢価格です。
長谷工の仲介では、「売却何でも相談」を承っています。
マンションの評価額に関する疑問や相談についても承っていますので、お気軽にご相談いただけると幸いです。

※本記事の内容は2024年3月26日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)
不動産鑑定および宅建業の代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士、住宅ローンアドバイザー。大阪大学出身。
写真:竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)

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