家の売却や相続などをきっかけに、家の価値を把握しておきたいと考えている方もいるでしょう。
家の価値は自分でも調べられるので、調べ方を知っておくだけでも今後の売却などで役に立ちます。
とはいえ、家の価値の調べ方やそもそも価値とはなにかよく分からないという方も少なくありません。
この記事では、家の価値はどのように決まるのか、価値を調べる際に使われる指標や調べ方、調べる際の注意点について詳しく解説します。
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そもそも家の価値はなにで決まる?
家の価値とは、家の資産的な価値のことです。
簡単にいえば「今いくらなのか」という価格であり、同じ物件であっても新築時と築年数が経過してからでは価値が異なります。
家の場合、土地の価値と建物の価値の合計で決まります。
土地と建物の価値が資産価値全体にどれくらい影響するかは、一戸建てとマンションでは異なります。
一般的に一戸建ては土地の割合が大きく、マンションは建物の割合が大きくなるといわれています。
また、家の価値は下記のような要因で評価されます。
- 築年数や建物のデザイン
- 土地の広さや形状・立地
- 耐震性などの構造や設備の状態
- 周辺環境
土地の場合、経年により資産価値が大きく減少することはありません。
ただし、周辺環境の変化による需要の増減や広さ、形状などによって土地の価値は変わる為、年によって土地の価値が変わってくることもあります。
一方で、建物の場合は新築時の価値がもっとも高く、経年により価値が減少していきます。
さらに、デザインや内装設備の状態・構造といった要因でも建物の価値が変わります。
家の価値を調べる際に使われる主な指標
家の価値を調べる際に使われる主な指標は、以下の5つです。
指標 | 概要説明 |
---|---|
実勢価格 |
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地価公示価格 |
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都道府県基準地価 |
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路線価 |
|
固定資産評価額 |
|
上記の5つの指標は、土地の価格を表す評価額でもあります。
土地は「一物五価」とも呼ばれ、同じ土地でも5つの評価額がありますが、どの評価額で価値を調べるかは、調べる目的によっても異なってきます。
例えば、売却であれば市場価格である実勢価格、固定資産税なら固定資産税評価額というように、目的に合った評価額を利用することが大切です。
評価額については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
家の価値を調べる方法は?
家の価値を調べる方法には、下記の3つがあります。
- 自分で調べる
- 不動産会社に依頼する
- 不動産鑑定士に依頼する
それぞれ詳しくみていきましょう。
家の価値を自分で調べる方法
家の価値は自分でも調べることが可能です。
自分で調べられるようになっておけば、売却時など参考にしやすくなるでしょう。
ここでは、自分で調べる方法を6つ紹介します。
近隣住居の売り出し価格を見る
近隣の類似物件の売り出し価格を見ることで、おおよその価格を推測できます。
売り出し価格を見るには、次のような方法があります。
- 不動産会社のポータルサイトで確認する
- レインズマーケットインフォメーションを確認する
- 土地総合情報システムを確認する
不動産会社のチラシやポータルサイトに掲載されている物件を調べれば、類似物件を見つけることができます。
また、不動産流通機構が運営するレインズマーケットインフォメーションや国土交通省の土地総合情報システムでは、実際の成約価格を調べることが可能です。
地域や間取りなどから検索して、近隣の物件を調べていきましょう。
ただし、レインズマーケットインフォメーションと土地総合情報システムは、個人情報保護の為ピンポイントでの検索ができない点には注意が必要です。
大まかな範囲での価格情報となりますが、エリアの相場価格を調べる分には問題ありません。
上記のような方法で類似物件の価格が分かれば、取引事例比較法でおおよその価格を算出できます。
取引事例比較法とは、不動産会社の査定でも使われる代表的な算出方法です。具体的には、条件の近い物件の成約事例の平均単価から自分の不動産の価格を算出し、築年数などの補正を加えて算出します。
仮に、類似物件の成約価格が3,000万円(30坪)であれば、1坪あたりの単価は100万円となります。このとき、自分の物件の坪数が40坪であれば、40坪×100万円で4,000万円が目安の価格です。
そして、類似物件の築年数や階数・方位・駅距離・間取り・室内状況と自分の物件を比較してそれぞれ点数を付けます。
仮に、成約事例の点数が100点で自分の物件の点数が90点であれば、算出した4,000万円に90/100を乗じて3,600万円になるのです。
補正の仕方によって価格は大きく異なり、自分で適切に補正を加えるのは難しいですが、おおよその目安にはなるでしょう。
公示価格から実勢価格を推測する
公示価格とは、土地取引の目安となる価格として取引する方の事情に左右されない更地としての公正な価格のことです。
公示価格には、国土交通省が公表する地価公示価格と都道府県が公表する都道府県基準地価があります。
地価公示価格と都道府県基準地価の概要は以下の通りです。
公示価格の種類 | 概要説明 |
---|---|
地価公示価格 |
|
都道府県基準地価 |
|
公示地価と基準地価は調査する時期や対象が異なることから、基準地価は公示地価の補完としての性質を持つものです。
公示地価・基準地価は、国土交通省の土地総合情報システムや国土交通省地価公示・都道府県地価調査、自治体のホームページなどから確認できます。
公示地価で自分の土地の価格が分かれば、公示地価から実勢価格を算出すればおおよその土地の価格が分かります。
公示地価は実勢価格の9割程が目安の為、0.9で割り戻せば実勢価格を求めることが可能です。
公示地価・基準地価×面積÷0.9
例えば、公示地価が10万円、土地面積200平方メートルの場合は下記のようになります。
10万円×200平方メートル=2,000万円
2,000万円÷0.9=約2,200万円
上記の例では、実勢価格の目安は2,200万円です。
公示地価を使った計算では土地は算出できますが、家屋は算出できません。
家屋については、次に紹介する固定資産税評価額を利用した方法で算出すると良いでしょう。
固定資産税評価額から推測する
固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する基準となる価格です。
固定資産評価基準をもとに、自治体が土地や家屋など固定資産ごとに算出し決定しています。
決まった価格は、毎年5月頃に送付される固定資産税納税通知書で調べることが可能です。
また、自治体の窓口で固定資産税評価証明書を取得して確認することもできます。
固定資産税評価額は、実勢価格の7割程が目安です。
その為、固定資産税評価額を0.7で割り戻すことで、おおよその実勢価格を算出できます。
固定資産税評価額÷0.7
路線価から推測する
路線価とは、道路に面する土地単価のことです。
路線価には、相続税や贈与税を算出する為の「相続税路線価」と固定資産税評価額を算出する為の「固定資産税路線価」の2種類があります。
ここでは、相続税路線価のことを路線価として解説していきます。
路線価を調べる場合は、国税庁の「財産評価基準書」を利用します。
エリアを絞って検索すると対象地の路線価図が表示されるので、前面道路の路線価を調べましょう。
路線価が分かれば、路線価に面積と借地権割合を乗じます。
借地権割合は路線価にA~Gの記号で記載されているので、あわせて確認しましょう。
また、路線価が設定されていないエリアは倍率方式を用いることになります。
倍率方式では、該当するエリアに1.1などの倍率が記載されているので、固定資産税評価額に倍率を乗じて算出します。
路線価は実勢価格の8割程が目安なので、0.8で割り戻すことでおおよその実勢価格が分かります。
(路線価×面積×借地権割合)÷0.8
路線価から実勢価格を算出する方法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
路線価から実勢価格は求められる?それぞれの違いや調べ方を紹介
再調達価格から推測する
再調達価格とは、その建物と同じものを再現するのにかかると想定した費用のことです。
金融機関や保険会社が建物の価値を算出する際の指標としてよく利用されます。
再調達価格は、構造ごとによって設定されている再調達単価に延べ床面積を乗じることで算出できます。
再調達単価は、金融機関や保険会社によって単価は異なりますがおおよその目安は次の通りです。
構造 | 単価/平方メートル |
---|---|
木造・木造モルタル | 12万円~16万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート | 23万円~26万円 |
鉄筋コンクリート | 19万円~24万円 |
鉄骨 | 12万円~19万円 |
※平成元年以降のデータを参考に記載
また、再調達価格で算出した価格は新築時の価格となるので、ここから経年劣化による価値減少を考慮した補正を加えます。
一般的には、次の式で価格を算出できます。
再調達価格×(残存法定耐用年数÷法定耐用年数)
法定耐用年数とは、法律によって定められている資産がその機能・役割を果たせる年数のことです。
建物の場合は構造ごとに耐用年数が決められており、木造の場合は22年となります。
仮に、再調達価格が4,000万円の木造一戸建てで残りの耐用年数が12年であれば、4,000万円×(12年÷22年)で約2,200万円となるのです。
簡易査定を受ける
簡易査定とは、不動産会社の査定方法の一つです。
机上査定とも呼ばれ、築年数や面積・所在地などのデータのみで不動産の価値を算出します。
不動産会社により算出方法は異なりますが、類似物件の売却情報などから算出する方法が一般的です。
簡易査定であれば、インターネット上で築年数などの質問に答えて査定依頼すればメールなどで査定結果を受け取れるので簡単に不動産の価値を知ることができます。査定依頼から回答まで、2~3日で対応してくれる不動産会社も多いので、短期間で価格を知れるというメリットもあります。
ただし、簡易査定はデータのみで算出する為、周辺環境や家の状態・日当たりなどの個別の事情は反映できません。
その為、簡単に素早く自分の家の価格を知りたい場合にお勧めです。
長谷工の仲介では、無料で簡易査定を行っています。
簡単な入力で査定依頼できるので、大まかな自宅の価値を把握したい方はぜひ利用してみてください。
不動産会社に依頼する
不動産会社に依頼して訪問査定を受ける方法もあります。
訪問査定とは、不動産会社の担当者が現地を訪れて査定する方法です。
簡易査定がデータのみなのに対して、訪問査定であればデータに加えて家の状態や周辺環境などの個別の事情を反映でき査定の精度が高いというメリットがあります。また、実際に担当者と直接話ができるので、担当者の人柄なども確認できます。
訪問査定は、WEBサイトやメール・電話などで不動産会社に依頼することで受けられます。
ただし、訪問査定は担当者との日程調整や査定算出などに時間がかかる為、査定結果を得るのに1週間~1ヵ月程かかる点には注意しましょう。
数多くの不動産会社に訪問査定を依頼すると対応が大変になるので、簡易査定で不動産会社を絞って2~3社に訪問査定を依頼するのがお勧めです。
本格的に売却を進めたい場合は、訪問査定を受けるようにしましょう。
不動産会社の査定については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
一戸建て売却の査定価格はどう決まる?見られるポイントや査定のコツとは
マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説
不動産鑑定士に依頼する
不動産鑑定士とは、不動産の経済的価値を算出する専門家です。
国家資格を有しており、不動産の鑑定評価に関する法律に基づいて不動産を評価します。
一般的には、地価公示や路線価といった公的な評価額の評価を行いますが、個人や法人の不動産も評価してくれます。
不動産鑑定士の算出した評価額は、裁判所や税務署など公的な機関への証明としても有効です。相続や離婚時の財産分与、ゴルフ場やホテルといった特殊で高額な取引になる不動産、法人間での取引などで不動産鑑定士に依頼するケースが多いでしょう。
家の価値を調べる際の注意点
家の価値を調べる際には、調べ方に応じて注意しておきたいポイントがあります。
ここでは、「自分で調べる」「不動産会社に依頼する」「不動産鑑定士に依頼する」それぞれの注意点を解説します。
自分で調べる場合の注意点
自分で調べる場合、次の点に注意が必要です。
- 自分で調べた価格=売却額ではない
- マンションと一戸建てでは評価額が異なる
ここまで説明してきたように、公示地価などの公的な指標をもとにおおよその実勢価格を自分で算出することはできます。
しかし、計算した実勢価格が必ずしも自分の家の価値(売却価格)となるわけではありません。
そもそも、公的指標や近隣物件の取引事例から自分の家の価値を正確に自分で計算するのは容易ではありません。家ごとに築年数や立地・間取り・状態などは異なり、それらの補正を正確に加えることは難しいでしょう。
仮に、不動産会社に簡易査定を依頼しても、簡易査定額がそのまま売却額になるわけではありません。
売却額とは、売主様が希望する額ではなく買主様と売主様の合意で決まるものです。
買主様から値下げ交渉を受けた、なかなか売れずに売主様が値下げした・すぐに売りたいから相場より下げたなど、それぞれの事情を含めて最終的に決まります。
自分で調べた価格はあくまで参考程度に考えておくと良いでしょう。
また、一戸建てとマンションとでは同じ立地でも評価額が変わってきます。
土地の評価割合の高い一戸建て、建物の評価割合の高いマンションというように、評価額を決める要因は複雑です。
より正確な価格を知りたいなら、不動産会社に相談してみることをお勧めします。
自分で自宅の資産価値を調べる際の注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンションの資産価値を調べる方法は?ケース別に活用できる評価額を解説
不動産会社に依頼する場合の注意点
不動産会社に依頼して訪問査定を受ければ、家の詳細な状態を反映でき、より精度の高い査定を受けられます。
しかし、査定依頼する不動産会社によって査定額が異なる点には注意しましょう。
どのような基準で査定額を算出するかは、不動産会社ごとに異なります。
また、不動産会社によって得意な不動産も異なってきます。
例えば、自分の売りたい不動産がマンションであれば、マンションの売却が得意な不動産会社に依頼することで販売ノウハウや売却ルートに基づいた適切な査定価格を出してくれる可能性があるでしょう。
不動産会社に依頼する場合は、簡易査定の段階でできるだけ多くの不動産会社に依頼することが大切です。
簡易査定の結果や対応・不動産会社の実績や評判などから総合的に判断して、信頼できる不動産会社に訪問査定を依頼すると良いでしょう。
不動産鑑定士に依頼する場合の注意点
不動産鑑定士に依頼する場合は、依頼先や不動産によっても異なりますが、30~50万円程度かかります。
一般的な物件の売却であれば、不動産鑑定士に依頼する必要はありません。
不動産鑑定士に依頼して価値を評価してもらったほうが高く売れるのではと考える方もいますが、不動産鑑定士の評価が売却額に影響することはありません。
一方、不動産会社の査定は基本的に無料で受けられます。
最新の市場価格なども反映されており、より売却価格に近い査定もできるので、通常の売却であれば不動産会社の査定で十分でしょう。
まとめ
ここまで、家の価値の調べ方について紹介してきました。
家の価値を把握しておくことで、売却時に適正な価格を設定できるようになり、全体として満足のいく売却を目指しやすくなります。
家の価値は、自分で調べる・不動産会社に依頼する・不動産鑑定士に依頼するといった方法で調べられます。
売却に際して価値を知りたい場合は、不動産会社に依頼するのがお勧めです。
不動産会社であれば、家ごとの状態や最新市場を踏まえて適格な価値を算出してくれるでしょう。
長谷工の仲介では、売却から売却後まで売主様をしっかりサポートしています。
まずは、無料査定で家の価値を把握することから第一歩を踏み出してみると良いでしょう。
査定を受けた後の売却の流れについて知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
家の相続手続きの流れは?費用や注意点についても分かりやすく解説
家を売却する流れは?売却方法からかかる費用や税金、注意点までまとめてご紹介
※本記事の内容は2024年3月26日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。