2024.03.26家の売却でやってはいけないこと16選!売却準備段階・売却中・売却後のプロセスごとに詳しく解説

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長年暮らした愛着のある家を、納得して売りたいと思う方は多いでしょう。しかし、売却活動中に想定しないトラブルが発生することもある為、事前にトラブルになりやすいポイントを把握しておくことが大切です。

この記事では、家を売却するまでの流れと、準備段階・売却中・売却後のプロセスごとにやってはいけないことを紹介します。家を売却する予定がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

まずは、家を売却するまでの流れを把握しよう

家を売り出し、成約に至るまでは3ヵ月程度かかります。また条件やタイミングによっては6ヵ月から1年かかることもあるので、売却するときの流れを把握しておくことが大切です。

一般的な売却の流れを7つのステップで紹介すると、以下のようになります。

家を売却する流れ画像

まず、売却を相談するのに必要な書類を準備します。購入時の売買契約書や土地の測量図、間取図などです。全てが揃っていなくても査定は依頼できますが、売買契約時にも必要になる為、事前に書類の有無も確認しておきます。

書類がある程度整ったら、不動産会社へ査定を依頼します。査定には机上査定(簡易査定)と訪問査定がありますが、売却することが決まっているのであれば、より精度が高い訪問査定がお勧めです。

売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。1社に依頼するときは専任媒介契約(もしくは専属専任媒介契約)、複数社に依頼するときは一般媒介契約を選びます。

媒介契約締結後、不動産会社が購入希望者を募る為に物件情報の公開や広告の出稿といった売却活動を行います。その後、内覧希望者が現れたら売主様は不動産会社の担当者と一緒に内覧対応をします。

内覧を経て買主様と売主様で売買価格や引き渡し条件に折り合いがついたら、売買契約を締結します。
契約後、決済日に買主様は残代金を支払い、売主様は抵当権を抹消したうえで家を引き渡します。その為、売主様は少なくとも決済日の前日までには引っ越しを済ませておく必要があります。

家を売却したことで売却益が発生したときや税金の特例を利用するときは、翌年に確定申告を行います。

家を売却する流れは、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

家を売却する流れは?売却方法からかかる費用や税金、注意点までまとめてご紹介

家の売却準備段階でやってはいけないこと

家の売却準備段階で、やってはいけないことを7つ紹介します。

売却諸費用を把握せずに売却を進める

家の売却にかかる諸費用とは、仲介手数料や印紙税、登録免許税、司法書士への報酬などです。また、住宅ローンが残っている場合は、家を買主様に引き渡す前に住宅ローンを完済する必要があり、売買代金で足りない分は自己資金などで充当しなければなりません。

したがって決済日の直前になって焦ることがないように、売却にかかる諸費用を含めて資金計画を試算し、手元に残る金額を把握しておく必要があります。

マンションと一戸建ての売却にかかる費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却にかかる費用や手数料は?費用を抑える方法も紹介

一戸建て売却の基礎知識!売却までの流れや費用、成功させる為のポイントを紹介

金融機関に相談をせずに売却を進める

住宅ローン返済中でも、家の売却は可能です。しかし前述したように、売却時に住宅ローンを完済する必要がある為、事前に金融機関にローン完済と抵当権抹消手続きについて相談するのが基本です。

売却想定価格で完済が難しい場合は、自己資金や住み替えローンなどを利用して不足分を補うのが一般的でしょう。もし自己資金での充当や新規ローンの借入が難しいときは、任意売却という方法があります。

任意売却は金融機関の了承と協力が必要なうえ、必ずしも応じてもらえるとは限りません。住宅ローンの返済が難しい場合は、なるべく早くに相談することが大切です。
任意売却やローン返済中の家の売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

任意売却とは?売却の流れや条件、メリット・注意点を解説

ローン返済中の家は売却できる?売却方法や注意点を解説

自身の判断でリフォームや解体を行う

基本的に家を売却する為のリフォームは必要ありません。また家に資産価値がない場合は一戸建てとしてではなく、古家付き土地として売却することも可能です。

買主様は、購入後に自分好みにリフォームすることを想定していることが多く、リフォームの内容によっては無駄になることもあります。実際、国土交通省の調査で「既存(中古)住宅にした理由」について調査を行ったところマンション・一戸建てともに約3割の方が「リフォームで快適に住めると思ったから」と回答しています。

またリフォームや家の解体には高額な費用がかかりますが、その費用を売買代金に上乗せできるわけではありません。
その為、リフォームや家の解体を検討している場合は、まず不動産会社に相談してみましょう。

マンション売却時のリフォームについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却でリフォームは不要?売却価格などの面からその理由を徹底解説

出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査_報告書」

1社のみに査定を依頼する

不動産会社によって、家の査定額が異なることがある為、なるべく2〜3社以上に査定依頼し、適切な価格を把握するようにしましょう。

適正価格を知らずに売り出してしまうと、安売りしてしまうことになるかもしれません。また市場価格よりも高い価格を設定すると、売却までに時間がかかり、結局値下げせざるを得なくなる恐れもあります。

妥当な価格かどうか判断する為にも、不動産会社へ査定依頼する前に、ある程度相場価格を把握しておきましょう。

長谷工の仲介では、無料査定を受け付けています。まずはお気軽にご相談ください。

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家の相場の調べ方については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【2023年】マンション売却の相場を知るには?調査の仕方や確認すべきポイントについて

【2023年】一戸建ての売却相場はいくら?地域別・築年数別の相場や、調べる方法を解説

査定価格だけで不動産会社を決める

不動産会社によって査定額が異なることがありますが、査定額が高いという理由だけで依頼先を決めないようにしましょう。

査定額が高かったとしても、アフターサポートなどが充実してないこともあります。家の売却を依頼する場合は、サポート体制なども含めて総合的に決めることが大切です。

長谷工の仲介では、引き渡し後に判明した家の不具合について、10年間補修費用を保証するサービス(適用条件あり)や、日常的なトラブルが発生したときに24時間駆けつけるサービスを提供しています。

マンションを売却する際の業者選び方については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却業者の選び方は?売却の手段や確認すべきポイントを解説

「仲介」「買取」のメリット・デメリットを把握せずに進める

家を売却する主な方法には、仲介と買取があります。それぞれにメリットとデメリットがある為、特徴を把握したうえでどちらにするか決定しましょう。

仲介による売却は、不動産会社に仲介をしてもらいつつ買主様を見つけて売却する方法です。一般市場へ売り出す為、相場価格で売却しやすいのがメリットですが、売却までに3ヵ月から半年程度かかることを想定しておきましょう。

一方買取による売却は、不動産会社に直接売却する方法です。
買主様を探す必要がない為、不動産会社と交渉して条件が合えば短期間で売却できるのがメリットです。
ただし、不動産会社は買い取った不動産をリフォームしてから再販することを想定している為、売却価格が相場よりも安くなりやすい点には注意しましょう。

マンションの仲介と買取については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説

媒介契約ごとの特徴を理解せずに進めてしまう

売却の流れでも説明した通り、家の売却を不動産会社に依頼するときは、媒介契約を締結します。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれの特徴を理解したうえで選択するようにしましょう

それぞれの違いは以下の通りです。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数社との媒介契約 × ×
他社と契約した場合の通知義務 明示型は通知の義務あり
(明示型にしないこともできる)
他社への依頼不可 他社への依頼不可
自己発見取引(売主様が見つけた買主様と取引すること) ×
指定流通機構(レインズ)への登録 任意 義務
(7営業日以内)
義務
(5営業日以内)
営業活動の報告義務 任意 義務
(2週間に1回以上)
義務
(1週間に1回以上)
契約期間 法律上の規定なし 3ヵ月以内 3ヵ月以内

例えば、専任媒介契約を結ぶと2週間に1回以上の業務報告を受けられますが、一般媒介契約には不動産会社に業務報告の義務はありません。一般媒介契約の特徴を把握していないと売却活動を始めたのに「なかなか不動産会社から連絡が来ない」と感じるかもしれません。

媒介契約については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

一般媒介契約とは?契約のメリットや注意点を解説

専任媒介契約とは?他の媒介契約との違いやメリット・注意点を分かりやすく解説

家の売却中にやってはいけないこと

家の売却中にやってはいけないことを6つ紹介します。

不動産広告のルールを知らずに売りに出す

不動産広告には一定のルールがあり、宅地建物取引業法や不動産の表示に関する公正競争規約により定められています。

実際の家と異なる表示や誤認させるような表示は、誇大広告として禁止されています。もし不動産の公正競争規約に違反した場合は、度合いに応じて注意・警告・厳重警告・違約金課徴のいずれかのペナルティを受けることになります。

不動産の広告のルールは不動産会社が本来守るべきものですが、広告紙面に記載されている内容が事実と異なると感じた場合は、不動産会社に確認するようにしましょう。

売却活動を不動産会社に任せきりにする

売却活動は不動産会社に任せきりにせず、定期的に進捗を確認するようにしましょう。
特に一般媒介契約を締結した場合、不動産会社に業務報告の義務がない為、連絡がまったくないこともあります。その為、レインズへの登録を依頼している場合は登録証明書の提示を依頼したり、「〇週間に一度報告をください」と報告頻度を決めたりして売主様自身も進捗状況を把握できるように不動産会社と連携しておくと安心です。

瑕疵や不具合を隠す

売買契約書に記載した内容と異なる状態で家を引き渡した場合、売主様は契約不適合責任を問われる恐れがあります。こうしたリスクを避ける為にも、家に瑕疵や不具合がある場合は買主様に隠さず説明し、了承してもらったうえで売買契約を締結しましょう。

2020年4月1日の民法改正により、瑕疵担保責任は契約不適合責任に名称が変更になりました。瑕疵担保責任では損害賠償請求権と契約解除権のみでしたが、契約不適合責任では、追完請求権と代金減額請求権が追加されました。

例えば引き渡し後に雨漏りしていることが判明した場合、追完請求(修理をして引き渡すように請求されること)や損害賠償請求、契約解除請求される恐れがありますので注意しましょう。

契約不適合責任(瑕疵担保責任)については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却における瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは?対策方法を解説

内覧の準備を怠ってしまう

購入希望者の内覧日が決まったら、気持ちよく室内を見てもらう為に、事前に準備しておきましょう。
内覧前の準備の例としては以下の通りです。

  • 室内の整理整頓をする
  • 玄関や水回りなどを念入りに清掃しておく
  • 室内だけでなく庭やバルコニー、マンションの場合は共用廊下も綺麗にしておく
  • 事前に窓を開けて、換気をしておく
  • 寒すぎたり暑すぎたりすることがないように、エアコンなどで適温にしておく
  • 不具合や傷があれば内覧時に説明できるようにまとめておく

マンションの内覧の流れや事前準備については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介

価格交渉に応じない・安易に承諾してしまう

購入希望者から売買価格について、値下げ交渉されることは多々あることです。

価格交渉に応じず、好機を逃してしまうと成約までに時間を要することになりかねません。
しかし、安易に値下げに応じるのも考えものです。売却にかかる諸費用と住宅ローンの残債額を確認し、不動産会社にも相談したうえで無理のない範囲で返答するようにしましょう。

いずれにしても、あらかじめ応じられる価格の最低ラインを決めておき、スムーズに返答できるようにしておくと安心です。

売買契約書の内容を確認せずに契約してしまう

売買契約書に記載してある内容は、事前に確認しておきましょう。
売買契約書は売却する家を特定し、その詳細を買主様に説明する意味合いもありますが、売主様・買主様で取り決めた内容を記載する為の書面でもあります。
その為、特約や条項についても理解しておくことが重要です。

例えば買主様が住宅ローンの借り入れを予定している場合、通常ローン特約をつけて契約します。
ローン特約とは、買主様が住宅ローンの借り入れができなかったときは、定めた期日までであれば契約を解除できる特約です。

万が一買主様がローンの借入ができなかった場合、ローン特約によって契約が解除され、予定していた売買代金を受け取ることができなくなります。その為、売買契約書に「ローンが承認される時期」や「ローンが通らなかった場合の対応」などを記載してもらい、確認しておきましょう。

家の売却後にやってはいけないこと

家の売買契約締結後に、やってはいけないことを4つ紹介します。

手付解除期日以降に個人の都合で契約を破棄する

手付解除期日とは売買契約を解除できる期日です。
売買契約締結後、手付解除期日までであれば買主様は手付金を放棄することで契約を解除できます。売主様は買主様から受領した手付金を返還し、手付金と同額を支払うことで売買契約を解除できます。

つまり手付解除期日以降は、売主様の都合で契約を解除できなくなります。場合によっては損害賠償請求をされる恐れもあります。

手付金については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

不動産売却で発生する手付金とは?相場や手付解除時の対応方法について解説

引き渡し日までに清掃や各種手続きを済ませない

売主様は、遅くとも引き渡し日(決済日)の前日までに、引っ越しを完了しておく必要があります。例えば決済日に家財道具が残っている場合、債務不履行や履行遅滞と見なされ、契約解除や損害賠償請求をされる恐れがあります。

また、住宅ローンは決済日までに完済し、抵当権を抹消したうえで買主様に所有権を移転しなければなりません。期日に住宅ローンの残債を完済できない場合も、債務不履行になります。自己資金を充当してローンを完済する場合は、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

引き渡し日から逆算して、余裕を持って各種手続きを進められるようにスケジュールを立てておくことが大切です。

抵当権抹消については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

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確定申告をしない

不動産を売却して譲渡所得が発生したときは、翌年に確定申告して税金を納付する必要があります。
もし定められた期日までに納付しないと利息分として延滞税が課され、無申告に対しては無申告加算税がペナルティとして課されます。

確定申告については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

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利用できる税金控除を確認しない

不動産を売却して譲渡所得が発生した場合、条件によっては特例により減税できる可能性があります。なかには、損益が生じた場合に利用できる控除もある為、売却益が発生しない場合でも、利用できる特例や控除がないか確認するようにしておきましょう。

例えば居住用財産を売却したときで、一定の条件を満たす場合は、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。つまり譲渡所得が3,000万円以下であれば、譲渡所得税はかかりません。また譲渡所得が発生する場合でも、所有期間が5年を超えるときは、長期譲渡所得となり、短期譲渡所得よりも低い税率が適用になります。
一方で、売却による損益が生じた場合は、損益通算ができるという特例を利用できます。

ただし、いずれの特例も自動的に適用されるわけではなく、適用には確定申告が必要になりますので忘れずに申告しましょう。

不動産売却時に利用できる税金控除の特例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

不動産売却時にかかる税金の種類は?税金の計算方法や軽減方法を解説

マンション売却にかかる税金はいくら?計算方法や知っておきたい控除について徹底解説

まとめ

家を売却するときには、注意すべきことが多くあります。売却を進めるにあたって判断に悩むときは、信頼できる不動産会社に相談することをお勧めします。

長谷工の仲介では、売却に関する相談を無料で受け付けています。売却時にかかる諸費用や譲渡所得金額の計算が難しいと感じる場合は、「売却何でも相談」からお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2024年3月26日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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