2024.08.19マンションの寿命は何年?目安や物件を見極めるポイントを解説

マンションの寿命は何年?目安や物件を見極めるポイントを解説画像

マンション購入を検討している方のなかには、マンションの寿命について気になる方もいるでしょう。マンションの寿命について調べていると、「法定耐用年数」という言葉がよく出てきますが、これは実際の寿命とは異なります。

この記事では、マンションの寿命に対する考え方や、寿命を左右する要素について解説します。また長く住めるマンションの見極め方や、築年数が古いマンションを売却するのに適したタイミングもご紹介しますので、マンション購入を計画している方だけでなく、マンション売却を予定している方もぜひ参考にしてください。

マンションの一般的な寿命はどれくらい?

マンションの寿命は、どれくらいと考えたら良いのでしょうか。
特に中古マンションの購入を検討する際は「あと何年住めるのだろう」と、年数を気にする方は少なくないでしょう。
ここでは、マンションの寿命と法定耐用年数との違いについて解説します。

平均寿命は築68年

建物の質や性能が向上していることもあり、以前と比べると建物全般の寿命は伸びています。建築された時期やメンテナンスの有無、補修の程度によっても異なる為、マンションの寿命を一概に何年ということは難しいでしょう。

これまでも、鉄筋コンクリート造の建物の消耗度合や平均寿命については研究されてきましたが、固定資産税台帳の滅失データをもとに建物の平均寿命を推定した研究結果によれば、コンクリート系の住宅の寿命は68年としています。
もちろんこの数字は一つの見解に過ぎず、鉄筋コンクリートの理論上の寿命は120年、外装を修繕してコンクリートの中性化を防ぐことで150年は住めるとの見解もあります。

参考:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新 による価値向上について」

法定耐用年数と建物の寿命は異なる

法定耐用年数とは、あくまでも法令で定められた年数であり、資産を減価償却できる期間です。つまり法令耐用年数は、実際の建物の寿命ではありません。

日本では自然に建物が倒壊するようなことはほぼなく、寿命を迎える前に補修や解体、建て替えをしています。
ちなみに法令耐用年数は構造や用途によって異なり、それぞれ以下の通りです。

構造・用途 細目 耐用年数
木造・合成樹脂造のもの 店舗用・住宅用のもの 22年
木骨モルタル造のもの 店舗用・住宅用のもの 20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 住宅用のもの 47年
れんが造・石造・ブロック造のもの 店舗用・住宅用・飲食店用のもの 38年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

マンションの寿命を左右する要素

マンションの寿命は年数だけではなく、他の要因も影響すると考えられます。
ここでは、マンションの寿命を左右する要素について解説します。

建物の構造や使用されている建材

マンションの寿命を左右する要素の一つとして、「その構造や使用されている建材」が考えられます。
木造のマンションはあまり見かけませんが、木造よりも鉄筋コンクリート造の建物のほうが寿命は長くなるでしょう。また以前に比べてコンクリートなどの建築材料の質が向上しており、建物の寿命を伸ばすことに貢献しています。

建物の周辺環境

マンションの立地や周辺環境も寿命を左右する要素といえます。

コンクリートの場合、湿度や温度、二酸化炭素によって内部で化学反応が起き、コンクリートの構造躯体である鉄筋や鉄骨に錆びを発生させます。コンクリートは非常に堅固な素材ですが、内部の鉄筋などが腐食してしまうと強度は弱くなります。

例えば、海の近くでは潮風による塩害もあります。また水分を多く含む風は、コンクリートを劣化させる要因になるでしょう。したがってマンションの立地によって、寿命が変わるといっても過言ではありません。

建物の管理・修繕体制

「管理や修繕体制」もマンションの寿命に影響する要素の一つです。

たとえ、構造躯体が寿命を迎えていなくても、日常のメンテナンスや定期点検が適正に実施されていない場合は、マンションの寿命に影響を及ぼす恐れがあります。例えば、共用部分の給排水管は個人での交換や修理が難しい為、配管点検が定期的に実施されているのか確認しましょう。

また修繕積立金が安すぎるのも考えものです。国土交通省のマンション総合調査(令和5年度)によれば、修繕積立金の平均額は約13,000円です。駐車場の有無や単棟型か団地型かで修繕積立金の平均額は多少異なりますが、年数に応じて維持管理や修繕に費用がかかる為、適正価格を設定していることも重要といえます。

参照:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び  「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて

参照:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」

建物の耐震性能

マンションの耐震性能は大きく分けて、旧耐震基準と新耐震基準があります。マンションの寿命に直接影響はしませんが、地震大国ともいえる日本では地震によるダメージは避けて通れません。その為、耐震性能はマンションの寿命を考えるうえで、非常に大事な要素といえます。

寿命が近い・寿命を迎えたマンションはどうなる?

寿命が近い、もしくは寿命を迎えたマンションは、どうなるのでしょうか。
基本的には、以下の3つのケースが考えられます。

建て替えられる

まず考えられるのは、マンションの建て替えです。

解体して新たにマンションを建て替えることになる為、解体費用や建築費用のほかに、仮住まいの費用がかかります。マンション自体が新しくなり、資産価値も高くなることが予想されますが、建て替えにかかる費用は区分所有者にとって大きな負担になるでしょう。

なお、建て替えを実行する為には管理組合の集会で特別決議を可決する必要があり、反対者が多ければ建て替えはできません。
マンションの建て替えには、現在は区分所有者の4/5以上の賛成が必要ですが、法務大臣の諮問機関である法制審議会で建て替え要件を見直す動きもあり、今後要件が緩和される予定です。

売却される

次に、デベロッパーなどにマンションを売却する方法が考えられます。
マンションを解体して売却するケースもあれば、解体せずに売却するケースもあり、引き渡し条件は契約によって異なります。解体してから引き渡す場合は、その解体費用を区分所有者が負担することになるので注意しましょう。

解体費用はマンションの高さや戸数、解体作業のしやすさによっても異なります。総戸数が多ければ、1世帯あたりの負担は軽くなります。マンションの解体費用の相場は、RCならば坪6~7万円ともいわれていますが、アスベストの有無によっても変わってきます。
売却した対価は区分所有者で割り振られますが、解体費用によっては手元にほとんど残らないケースも考えられる為、かかる費用はあらかじめ確認しておきましょう。

放置される

マンションの建て替えや売却は、区分所有者にとって金銭的負担がかかります。
話し合いを重ねても思うように進まないことが多く、建て替えも売却もされず、そのまま放置されることも少なくありません。この場合、そのままマンションに住み続けるのか、それとも住戸を売却するのか、各区分所有者が判断することになるでしょう。

【買主様向け】長く住めるマンションを見極めるポイント

マンションの購入を検討している方の為に、長く住めるマンションを見極めるポイントを5つご紹介します。

耐震基準を満たしているか

前述した通り、マンションの耐震基準は大きく分けて2つあります。

旧耐震基準だからといってすぐに倒壊するわけではありませんが、小さい地震であっても繰り返し揺れることで構造に負担がかかります。耐震性や寿命を重視するのであれば、現行の耐震基準を満たしているのか確認しましょう。

旧耐震基準と新耐震基準は、建築確認申請の時期で見分けられますが、マンションの完成時期ではありませんので注意しましょう。

旧耐震基準
  • 震度5強程度の揺れに対して倒壊しない基準
  • 1981年5月31日までの基準で建てられているマンション
新耐震基準
  • 震度6強~7程度の揺れに対して倒壊しない基準
  • 1981年6月1日以降の耐震基準を満たしているマンション
  • 1981年6月1日以降に建築確認申請をしているマンション

設備の状態はどうか

マンションは耐震性や構造躯体だけでなく、配管の施工方法も確認しましょう。
1960年から1970年代のマンションのなかには、配管をコンクリートに埋め込んでいるケースがあります。配管を交換する場合はそのコンクリートに穴を開ける・削るなどの工事が必要になり、床や壁も撤去することになり、あまり現実的な工事とはいえません。

給排水管は素材によっては錆びやすく、耐久性にも影響します。特に築年数が古いマンションを購入する際は、配管の施工状態や配管の素材に注意しましょう。

日々の管理や修繕の実施状況はどうか

マンションは「管理を買う」と表現されるように、管理体制は重要なポイントです。共用部分(廊下・階段・駐車場)や貯水槽の清潔さなど、管理や建物の周辺環境に応じた修繕履歴や修繕計画の有無などを確認しましょう。管理が行き届いているマンションは劣化が進む前に適切に修繕されていることが多く、建物自体も良い状態が保たれている傾向があります。

新築の場合は住宅性能評価を受けているか

新築マンションの場合は、住宅性能評価を受けているか確認してみると良いでしょう。
住宅性能評価とは、「住宅の品質確保の促進に関する法律」に基づいて専門機関の評価員が建物の性能を確認したことを意味します。新築物件は10分野のうち4分野が必須項目で、「耐震性」や「耐久性」、「維持管理や更新への配慮」、「省エネ性」などを等級や数値で評価付けされます。

また住宅性能評価書には、設計時の図面をもとに評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と現場検査と検査結果をまとめた「建設住宅性能評価書」があり、設計性能評価書があっても、建設住宅性能評価書がなければ意味がありません。2つとも揃っていることで、設計通りに施工されていることが証明できます。

中古の場合は「安心R住宅」に認定されているか

中古マンションの場合は、安心R住宅に認定されているかどうか確認してみると良いでしょう。
安心R住宅制度とは、一定の基準を満たす中古住宅に対して、国が認めた事業団体がマークを付与する仕組みです。「不安・汚い・わからない」など、敬遠されがちな中古住宅の流通促進を目的としています。中古住宅を購入する際の、一つの基準として参考にすると良いでしょう。

しかし以下の基準を満たしていたとしても、安心R住宅のマークの付与を受けていないこともあります。安心R住宅の特徴は、以下の通りです。

  • 新耐震基準などに適合している
  • 既存住宅売買瑕疵保険の検査基準に適合している
  • リフォームを実施、もしくはリフォーム実施の提案書が付いている
  • 管理規約や長期修繕計画がある
  • 建築当時の適法性などの情報を開示している

【買主様向け】築古マンションを選ぶメリット

築年数が古いことは、デメリットばかりではありません。
マンション購入を検討している方の為に、築年数が古いマンションを選ぶ主なメリットをご紹介します。

購入費用を抑えられる

築古マンションは築浅のマンションに比べて価格が安い傾向があり、購入費用を抑えられるのがメリットです。マンション購入には、引っ越し費用や登記費用といった諸費用もかかります。

予算内で希望するエリアに理想的な物件が見つからないと感じたら、築年数の条件を広げてみましょう。選択肢が多くなるので、希望するマンションが見つけやすくなります。

自分好みにリノベーション・リフォームしやすい

築古マンションは購入価格を抑えられる分、リフォームやリノベーションに費用をかけることができます。その為、自分好みのデザインや間取りに改修したい方に向いています。

また昨今では、リノベーションマンションも人気です。リノベーションマンションとは、内装や設備が新築のようにリノベーションされているマンションのことで、新築マンションに比べて価格を抑えられるのがメリットです。

リノベーションマンションのイメージがつかないという場合は、こちらのページで実際に見てみても良いでしょう。

長谷工の仲介お勧めのリフォーム済み&リノベーション物件を見る

リノベーションマンションのメリット・デメリットや購入時の注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

リノベーションマンションとは?購入のメリット・デメリット、新築との違いを解説

リノベーションマンション購入時の注意点は?後悔しない為のポイントを解説

【売主様向け】築古マンションを売却するタイミング

築年数が古いマンションは築浅のマンションに比べて、売却に苦労することがあります。
特に法定耐用年数を超えたマンションは資産価値が下がる傾向にある為、買い手が付きにくくなることが想定されます。
売りやすさを考慮するのであれば、法定耐用年数を基準に売却のタイミングを検討しましょう。

築30年や築50年のマンションの資産価値や売却する際のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

築30年のマンションは何年住める?売却のコツや売れない理由と対処法を解説

築50年のマンションでも売却できる?旧耐震物件の資産価値や特徴、買主様のメリットを解説

まとめ

マンションの構造や建材の質は向上しており、以前に比べると寿命は伸びています。
しかし管理体制やメンテナンスの状況によっては、マンションの寿命を左右することもあります。マンションを購入する際は、長く住めるマンションなのか見極めることが重要といえるでしょう。

一方で、マンションを売却する際は築年数が懸念要素になることもあります。
築年数が古いからといって売れないわけではありませんが、古くなればなるほど買主様が見つかるまでに時間がかかってしまいます。その為、売却を検討したタイミングで早めに不動産会社に相談のうえ売却を進めましょう。

長谷工の仲介では、購入から売却までトータルでサポートしています。
マンションの購入を検討している方は、下記ページに探したい「マンション名」や「地名」、「沿線名」を入力していただくことで、簡単にマンションを検索できます。

物件を探す

マンション売却を検討されている方は、まずは「売却何でも相談」や「無料査定」をご利用ください。

※本記事の内容は2024年8月19日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

満足度の高い売却は「長谷工の仲介」で。

「知人・親族にすすめたい」そんなお客さまが90.8%!満足度の高い売却は「長谷工の仲介」で。

売却の流れをチェック!

この記事の著者

桜木理恵
私鉄系不動産会社にて仲介営業を約8年、大手ハウスメーカーのグループ会社にてリフォーム営業を5年従事した経験を活かし、現在不動産Webライターとして活動。保有資格は宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士

関連のおすすめ記事