2024.08.191LDKのマンションは売れない?その理由とスムーズに売るコツをご紹介

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1LDKマンションは、ターゲット層が狭いなどの理由で売れにくいといわれています。
しかし、1LDKマンションであってもコツを押さえることで十分売却できる可能性はあります。

この記事では、1LDKマンションが売れないといわれている理由やスムーズに売却するコツなどについて解説しています。

1LDKマンションは売れにくい?

「1LDKマンションは売れにくい」という噂を耳にした方もいるでしょうが、実際はどうなのでしょうか。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表している「首都圏における中古マンションの間取り別成約状況(2022年)」は以下の通りです。

中古マンションの間取り別成約件数「首都圏」
ワンルーム 1DK・LDK 2DK・LDK 3DK・LDK 4DK・LDK 5DK・LDK以上
件数 1,654 6,050 9,757 15,797 2,062 61
割合 4.7% 17.1% 27.6% 44.6% 5.8% 0.2%
価格(万円) 1,643 3,682 5,015 4,476 4,259 4,007

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「年報マーケットウォッチ2022年・年度」

中古マンションで人気の間取りとされているのは3LDKと2LDKで全体の72.2%を占めていますが、それに次ぐのが1LDKです。
4LDK、5LDKのシェアが合計でも6.0%ということを考えれば、1LDKも十分なシェアを有しているといえるでしょう。

つまり、1LDKは3LDK・2LDKに比べれば売れにくいものの、4LDK・5LDKに比べて売れやすいともいえます。

1LDKマンションが売れないといわれる3つの理由

ここでは、1LDKマンションが売れないといわれる3つの理由を解説します。

ターゲット層が狭い

1LDKマンションが売れにくいといわれる理由として、メインとなるターゲット層が狭いことが挙げられます。

「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、新築マンションの契約世帯主の平均年齢は39.2歳です。
割合で見ても30〜34歳が27.8%、35〜39歳が20.0%と全体のほぼ半数を占めています。
また、契約世帯主をライフステージで区分した場合、子どもあり世帯が35.0%と最も高く、次いで夫婦のみ世帯が30.9%、シングル世帯が19.1%と並んでいます。
このことから、マンションの購入層は30代・ファミリー世帯が多いということが分かります。

ファミリー世帯は、一般的に子ども部屋を確保しやすい間取りや、育児しやすい広い部屋を求める傾向があります。しかし、1LDKはLDKとは別に居室が1つしかない為、ファミリー層の求める間取りとして候補に上がりにくくなります。

1LDKマンションのターゲットとなるのは、主に以下のような層といわれています。

  • 若者夫婦
  • 若い単身者
  • 高齢夫婦

上記調査の契約世帯主年齢では、20代は15.8%、60歳以上は8.1%と30〜40代合計の67.2%に比べてシェアは大きくありません。

このように、1LDKマンションはターゲット層が限られる為、2LDK・3LDKと比較して売れにくいといわれるのです。

出典:2023年首都圏新築マンション契約者動向調査/(株)リクルート調べ

1LDKに住む層は賃貸派も多い

1LDKマンションの主なターゲット層の一つである若い世帯(20代)は、一般的に住居を購入するより賃貸する傾向にあるというのも、売れにくいといわれる理由の一つでしょう。

厚生労働省の令和2年版厚生労働白書「世帯類型ごとの持家比率の比較(家計を支える者の年齢階級別・2018年)」によると、各年齢層の持ち家比率配下のとおりです。

世帯類型ごとの持家比率の比較(家計を支える者の年齢階級別・2018年)

30歳未満の核家族世帯における持ち家比率が19.2%に対し、30~39歳で48.1%、40~49歳で68.0%、50~59歳で76.5%と年齢が高くなるほど持ち家比率が高くなっていることが分かります。

このように、1LDKマンションのターゲット層である若い世帯(20代)のなかには、持ち家以外の手段を検討している層がいることから、ターゲット層がさらに狭まってくるという点も売れにくい理由として考えられます。

出典・引用:厚生労働省「令和2年版厚生労働白書『世帯類型ごとの持家比率の比較(家計を支える者の年齢階級別・2018年)』」

将来売りづらいイメージを持たれている

上記で説明したような理由から、1LDKマンションは売れにくいというイメージを持っている方も少なくありません。買主様がこのイメージを持っていることで、「将来売却できないのでは?」という買い控えにつながっている恐れもあります。

前述した通り、実際には1LDKマンションであっても十分売却可能です。
また、1LDKマンションは賃貸ニーズを狙った投資家からの人気が高い物件でもあります。
とはいえ、マンションを購入する多くの方は、投資としての購入(投資家への売却や自身の投資目的)をイメージしていないものです。

このように、将来売れない事態を避けようする買主様が一定数いることも1LDKマンションが売れにくい理由となります。

1LDKマンションをスムーズに売るコツ

1LDKマンションを売却する場合、コツを押さえておくことでスムーズに売却できる可能性があります
ここでは、5つのコツをご紹介します。

ターゲット層を絞る

1つ目のコツは、1LDKマンションのターゲットに合わせて適切なアピールをすることです。

1LDKマンションの主なターゲット層は前述しましたが、より具体的にすると以下のようなターゲットが挙げられます。

  • 新婚夫婦
  • 30代単身者
  • DINKs
  • 高齢夫婦
  • 投資家

子どものいない新婚夫婦やある程度資金に余裕のある30代単身者は、1LDKマンションに適しています。
近年はDINKs(ディンクス)と呼ばれる子どもを持たない選択をした共働き夫婦も増えています。DINKsは、夫婦のみの生活であり資金にも余裕があるケースも多いので、購入してくれる可能性が高くなります。

また、子どもが独立しコンパクトな生活を検討している高齢夫婦や投資家もターゲットに挙げられます。

ただし、同じ1LDKマンションのターゲットであっても、それぞれのニーズは異なります。
広告に物件情報を記載する際には、ターゲットに合わせたアピールポイントを記載することが重要です。
ターゲット層別にアピールしたいポイントを整理すると以下のようになります。

ターゲット層の例 アピールポイントの例
新婚夫婦
  • 利便性の高さ
  • 価格の安さ
  • 周辺の子育て環境の良さ
30代単身者
  • 利便性の高さ
  • 設備やセキュリティが充実している
DINKs
  • 利便性の高さ
  • 設備やセキュリティが充実している
高齢夫婦
  • バリアフリーが整っている
  • 静かな環境で生活できる
  • 近隣の病院や買い物施設、散歩できる公園
投資家
  • 賃貸ニーズの高い立地や設備
  • 周辺環境の将来性

ターゲットをより具体的に絞りそのニーズに適したアピールをすることで、買主様にも響きやすくなるでしょう。

相場価格を参考に売り出し価格を決める

1LDKマンションに限らず、売り出し価格を相場よりも高く設定してしまうと、買主様から避けられやすくなります。

しかし、最初から相場よりも低くする必要はありません。
前述した間取り別の成約状況でも分かるように、1LDKは2LDK・3LDKには劣るとはいえ、一定のシェアがあるものです。
相場よりも低く売り出せばすぐに売却できる可能性も高くなりますが、売却額によってはローンが返済できない・新居の資金計画が崩れるといった不都合が生じかねないでしょう。

売却を急いでいないのであれば、相場に対して適正な価格で売り出すことをお勧めします。
相場を把握する主な方法は、以下の通りです。

不動産情報ライブラリーやレインズマーケットインフォメーションでは、過去の成約情報を確認できるので類似物件の売却価格を調べる際に活用できます。

ただし、類似物件であっても自分の不動産とは価格が大きく異なるケースも珍しくありません。
これから売り出すにあたって正確な自宅の価格を知りたい、現在の売り出し価格が適正かどうかを知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼することをお勧めします。

長谷工の仲介では、無料査定を受け付けています。
詳しくはこちらのお問い合わせフォームをご利用ください。

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部屋の印象を高める為の工夫をする

スムーズに売却するには、物件に対する買主様の印象を良くすることも重要です。
物件情報に載せる写真や内覧時の物件内の状態が良ければ、問い合わせや購入につながりやすくなります。
部屋の印象を高める為の工夫には、以下のような方法が挙げられます。

  • ハウスクリーニングの実施
  • ホームステージングの実施
  • 部屋の整理整頓

ハウスクリーニングを実施することで、通常の掃除よりも部屋を綺麗にすることが可能です。
特に、水回りは買主様も重点的にチェックするポイントなので、水回りだけハウスクリーニングを検討してみても良いでしょう。

ホームステージングとは、家具や照明・小物などで部屋を装飾してモデルルームのように演出することです。
普通の部屋よりも室内を素敵に演出できる為、内覧で買主様に好印象を与えられる可能性が高くなります。
不動産会社のなかには、プロによるホームステージングをサポートしてくれるケースもあるので検討してみると良いでしょう。

また、1LDKマンションの場合、部屋が狭いことを懸念している買主様もいます。その為、少しでも部屋を広く見せる工夫も必要です。
上記のような工夫とともに部屋を整理整頓してスッキリとさせることで、広い空間を演出しやすくなるでしょう。

マンションのハウスクリーニングについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションのハウスクリーニングの相場は?売却時に実施するメリットやポイントを解説

内覧や問い合わせは丁寧に対応する

1LDKマンションは3LDKマンションに比べて成約割合が高くないことから、それだけ問い合わせ・内覧数も少ないことが予測されます。
その為、1件1件の問い合わせや内覧に丁寧に対応することが重要です。

内覧対応では、以下のようなことを意識すると良いでしょう。

  • 柔軟にスケジュールを調整する
  • 内覧準備を念入りにしておく
  • 内覧当日は丁寧な対応を心がける
  • オンラインなどの内覧方法も検討する

内覧時には、内覧希望者が気持ちよく内覧できるように準備・対応し、日程や内覧方法などの要望にもできるだけ応えられるようにすることが大切です。
また、内覧希望者の質問には真摯に応えるようにして、少しでも内覧希望者の不安や懸念が解消されるように対応しましょう。

内覧の流れや準備については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介

マンションの売却に強い不動産会社に依頼する

不動産会社によって得意な不動産の種類が異なります。
マンション売却を依頼するなら、マンション売却に強い不動産会社に依頼することが重要です。
不動産会社を選ぶ際には、以下のようなポイントを押さえて選ぶと良いでしょう。

  • 1LDKマンションの売却実績が豊富にある
  • 査定価格の根拠まで説明してくれる
  • 売却に関するサポートが充実している
  • 複数の売却方法に対応している

査定額だけで選ぶのではなく、その根拠やデメリットまで説明してくれるかは重要です。
また、不動産会社によって売却サポートの内容は異なるので、利用できるサービスもチェックするようにしましょう。
不動産の売却方法には仲介だけでなく買取もあります。
買取まで視野に入れられる不動産会社であれば、より売却の可能性を高められるでしょう。

長谷工の仲介では、ホームステージングやプロのカメラマン撮影など早期売却の為のサービスが充実しています。
まずは、売却何でも相談で気軽にご相談ください。

「仲介バリューアップサポート」はこちら

「ホームステージング」はこちら

「売却何でも相談」はこちら

不動産会社の選び方や媒介契約については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却業者の選び方は?売却の手段や確認すべきポイントを解説

媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

1LDKマンションが売れないときの対処法

1LDKマンションがなかなか売れない場合は、以下のような対処法を検討すると良いでしょう。

売り出し価格を下げる

市場相場よりも売り出し価格を下げると売却につながる可能性が高くなります。

ただし、相場よりも極端に売り出し価格が低いと「事故物件では」というように買主様に懸念を抱かれてしまう恐れがあるので注意が必要です。
また、価格が下がることで売却後の資金計画に影響が出るケースもあります。
こうした点から、価格を下げる場合は、不動産会社と相談したうえで価格を決めることをお勧めします。

そのうえで、仮に売却損が出た場合は損益通算の特例の適用を検討するようにしましょう。
適用条件を満たして「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除」や「特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除」の特例を適用することで、損失分を給与所得などの所得と損益通算できます。これにより、結果的に所得税や住民税の減額ができる為、損失分をカバーしやすくなるでしょう。

参考:国税庁「居住用財産の譲渡に関する特例措置」

税金控除については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却にかかる税金はいくら?計算方法や知っておきたい控除について徹底解説

マンション買取を利用する

前述した通り、マンションを売却する方法には、仲介だけでなく買取という方法もあります。
仲介は、不動産会社に仲介してもらい買主様を探す売却方法です。
一般的に売却というと仲介を指します。
一方、買取は不動産会社が直接不動産を買い取る売却方法です。
仲介では買主様が第三者であるのに対して、買取では買主が不動産会社という違いがあります。

買取は、不動産会社との条件に合意できれば売却できる為、短期間でも売却できるというメリットがあります。
また、仲介ではないので仲介手数料も発生しません。
不動産会社は買取後のリフォームなどを実施するので事前のリフォームが不要であり、さらに内覧対応も必要ないという点もメリットといえるでしょう。

ただし、買取は仲介よりも売却額が低くなるのが一般的という点には注意が必要です。
仲介での売却がスムーズに進まない、売却したい期限が決まっているという場合は、検討してみると良いでしょう。

マンション買取については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説

賃貸物件として貸し出す

売却ではなく賃貸として貸し出すという方法もあります。
1LDKは単身者などからの賃貸ニーズが高い物件でもあるので、売却は難しくても賃貸なら契約者が見つかる可能性があるでしょう。

賃貸として貸し出せば、毎月の家賃収入を得られます。
家賃収入で固定資産税や管理費・修繕積立金などを賄うことができ、さらに手元に収入として残せる可能性もあるでしょう。
賃貸であればマンションの所有権を持っている為、将来マンションにまた住む・子どもに相続させるといった選択肢を残すことも可能です。

しかし、他人に貸し出す為、入居者の使用状況が悪ければ物件が劣化する、入居者と契約に関するトラブルが発生するといったデメリットもある点は覚えておきましょう。
また、賃貸ニーズがあるかはマンションの状況や立地によっても変わってくるので、事前に賃貸ニーズについて調査したうえで検討することも大切です。

住まないマンションを賃貸として貸し出すメリットや注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

住まないマンションは売却する?賃貸に出す?それぞれのメリットや注意点を解説

まとめ

ここまで、1LDKマンションが売れない理由や売る為のコツについて解説してきました。1LDKマンションでも売却は可能ですが、3LDKと比較すると売れにくい物件です。

売却する際には、ターゲットを絞る・マンション売却に強い不動産会社を選ぶといったコツを押さえておくようにしましょう。
また、仲介で売れない場合も視野に入れて買取にも対応してくれる不動産会社を選んでおくことが大切です。

長谷工の仲介は、早期売却に向けたサポートが充実しています。
また、仲介だけでなく買取も選ぶことができるので、1LDKマンションの売却を検討しているなら、ぜひ長谷工の仲介にお問い合わせください。

※本記事の内容は2024年8月19日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

逆瀬川 勇造(合同会社7pockets 代表社員)
明治学院大学卒。銀行、不動産会社勤務を経て独立。宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー。

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