2026.06.18任意売却ができないケースとは?手遅れになる条件と対処法、売却後の残債についても解説

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この記事で分かることを1分で解説
  • 任意売却は債権者の合意を得て自宅を売却する方法で、競売よりも市場価格に近い金額で売却しやすい
  • 競売の開札期日が迫っている、債権者の同意が得られないというケースでは任意売却できない
  • 任意売却後に残った債務は分割返済が可能で、リースバックを使えば同じ家に住み続けられる

住宅ローンの返済が苦しく任意売却を検討されている方のなかには「自分の状況でも本当に売却できるのだろうか」と不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

任意売却を利用すれば、競売を回避し市場価格に近い金額で自宅を売却できますが、債権者の同意が得られない場合や競売の開札期日までに買主様が見つからない場合など、利用できないケースもあります。

この記事では、任意売却ができない代表的なケースや、手遅れにならない為に押さえておきたいポイント、よくある質問などを解説します。

任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった方が金融機関などの債権者の合意を得て自宅を売却する方法です。

通常、住宅ローンの残債が売却価格を上回る状態(オーバーローン)では抵当権が外れない為、マイホームの売却はできません。しかし、任意売却の手続きを行えば、債権者(金融機関)の同意を得て抵当権を解除してもらえます。抵当権とは、住宅ローンなどでお金を貸した金融機関がその担保として不動産に設定する権利です。売却後の残債は、無理のない範囲で分割返済していく形が一般的です。

任意売却の基礎知識や注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

任意売却とは?売却の流れや条件、メリット・注意点を解説

任意売却と競売の違い

任意売却と競売の違いは以下の通りです。

比較項目 任意売却 競売
売却価格 市場価格に近い金額 市場価格の5~7割程度
売却手続きの主体 売主様と不動産会社 裁判所
売主様のプライバシー保護 一般的な売却同様、情報公開の範囲を柔軟に決められる 競売情報が新聞やネットに公開される
立ち退き時期の柔軟性 買主様と話し合いで調整できる 落札者の指定する期日に従う必要がある
引っ越し費用の確保 売却代金から一部捻出できる場合がある 自己負担が原則

任意売却と競売の主な違いは、売主様が主体的に売却を進められるかどうかという点です。また、任意売却は通常の不動産売却と同じ流れで購入希望者を探す為、市場価格に近い金額での売却が見込めます。

一方、競売は裁判所が強制的に売却手続きを進める為、落札価格が市場価格の5~7割ほどに下がる傾向にあります。さらに、競売では物件情報が新聞やインターネットで公開され、近所に事情が知られてしまう恐れもあります。

競売については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

競売とは?流れや注意点、回避する方法について詳しく解説

任意売却ができないケース

任意売却は競売よりも有利な条件で売却できますが、全てのケースで利用できるわけではありません。ここでは、任意売却ができない代表的な5つのケースについて解説します。

競売の開札期日の前日までに売却できない

任意売却ができないケースでまず挙げられるのは、競売の開札期日までに売却が間に合わない場合です。

住宅ローンの滞納を続けると、裁判所から競売開始決定通知書が届きます。これは、債権者の申し立てに基づいて裁判所が競売の手続きを開始したことを知らせる書類です。

競売開始決定通知書が届いてから開札日までは、おおよそ4~6ヵ月ほどの猶予があります。ただし、買主様が決まっても売買契約や引き渡し手続きなどを行う必要がある為、遅くとも開札日の1ヵ月前までには買主様を見つけなければいけません。期日前日までに売却手続きが完了しなかった場合、競売がそのまま実行されてしまいます。

参照:一般社団法人全国任意売却協会「競売開始決定通知書とは?」

金融機関や保証会社から同意を得られない

任意売却は債権者の合意があってはじめて成立する為、金融機関や保証会社から同意が得られない場合も売却できません。
同意が得られない主な理由としては以下のケースが挙げられます。

  • 売却価格がローン残高を大きく下回り、債権者の回収が見込めない
  • 滞納や連絡の無視などが続き、債権者との信頼関係が崩れている
  • 物件に重大な欠陥があり買主様が見つかりにくい
  • 競売の開札日が間近に迫っている

特に、売却価格が残債を大幅に下回るケースでは、債権者にとって任意売却に応じるメリットが少なくなります。債権者からスムーズに同意を得る為にも、滞納が始まった段階で早めに相談し、誠実な対応を心がけましょう。

共有名義人や連帯保証人との合意形成ができない

共有名義の不動産を売却する為には、名義人全員の同意が必要となります。一人でも反対すれば手続きが進められません。例えば、離婚した元配偶者との共有名義になっており、相手の協力が得られないといったケースが考えられます。

また、複数の金融機関から借り入れがあり抵当権者が複数いる場合、配分の調整がまとまらなければ売却は成立しません。連帯保証人がいるケースでも、その方の同意なしに任意売却を進めることはできません。

不動産を差し押さえられている

固定資産税や住民税、健康保険料などの支払いを長期間滞納していると、自治体や国によって不動産が差し押さえられてしまいます。不動産が差し押さえられている状態では、原則として任意売却の手続きが進められません。売却を成立させる為には、滞納分を完納するか、自治体と交渉して差し押さえを解除してもらう必要があります。

しかし、滞納金額が高額な場合や自治体からの督促を何度も無視しているケースでは、解除に応じてもらえない恐れがあります。税金の滞納に心当たりがある方は、早めに自治体の窓口に相談してください。

差し押さえについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

差し押さえとは?原因や対象となる財産、回避する方法を解説

所有者の本人確認ができない

所有者の本人確認や意思確認ができない場合も任意売却は認められません。任意売却は一般的な不動産売却と同様、所有者本人の意思表示と本人確認書類の提出が必須です。

具体的には、以下の状況では手続きが進められません。

  • 認知症などで判断能力が失われており、売却の意思確認ができない
  • 所有者が行方不明で連絡が取れない
  • 所有者が亡くなったまま相続登記が済んでおらず相続人が確定していない

なお、判断能力が失われているケースでは、家庭裁判所に申し立て、本人に代わって売却手続きを進められる成年後見人を選任してもらう方法があります。選任には、ある程度の時間がかかる為、まずは弁護士や司法書士に相談してみましょう。

成年後見人の詳細については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

認知症になった親の不動産を売却するには?成年後見制度や売却の流れを解説

成年後見人が不動産売却するには?流れや必要書類、注意点を解説

手遅れになる前に!任意売却を成功させる為のコツ

続いて、限られた時間のなかで任意売却を成立させる為のコツを4つご紹介します。

債権者に早めに相談する

任意売却では、債権者である金融機関の同意を取りつける必要があります。買主様探しに加えて債権者との交渉や調整に時間がかかる為、一般的な売却活動よりも長い時間を要することが予想されます。

その為、なるべく早めに債権者へ相談することが重要です。例えば、住宅ローンの滞納が始まった段階で金融機関に事情を伝えておけば、返済方法の見直しや任意売却に関する案内を受けられることがあります。

経済的に苦しい状況であっても、債権者からの連絡に誠実に対応することで、任意売却の同意が得られやすくなるでしょう。

任意売却の実績のある不動産会社に依頼・変更する

債権者との交渉や複数の関係者との調整がともなう為、専門知識が求められます。したがって、任意売却の実績が豊富な不動産会社に依頼することも成功のコツとして挙げられます。

不動産会社を選ぶ際は、これまでに何件の任意売却を成立させてきたか、金融機関との交渉実績はあるかなどを担当者に尋ねてみましょう。

任意売却の一般的な流れと目安の期間は以下の通りです。

任意売却の流れ 目安期間
1.金融機関と今後の返済について相談する ローン滞納から1~2ヵ月程度
2.不動産会社に相談する 1~2週間
3.査定を受けて売却価格を決める 1ヵ月
4.債権者(金融機関)の同意を得て売却活動を行う 1~3ヵ月
5.売買契約を結ぶ 売却活動開始から1~3ヵ月
6.決済や引っ越しを行う 売買契約から1ヵ月

長谷工の仲介では、任意売却のご相談も承っております。
FP(ファイナンシャルプランナー)資格を保有する担当者が多数在籍しており、不動産だけでなく金融の知見を踏まえて、売主様の事情に最適なプランをご提案します。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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売却を依頼する不動産会社の選び方については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却の不動産会社の選び方は?判断基準や失敗しない為のポイントを解説

定期的に価格を見直す

残債を少しでも減らしたいと考えて価格を高めに設定していると、買主様が見つからないまま競売の開札日を迎えてしまう恐れがあります。価格を下げると残債が増えてしまいますが、競売にかけられて市場価格の5~7割程度で落札されるよりは残債を減らせる可能性が高くなります。

市場の反応が悪いと感じたら、希望価格にこだわりすぎず、不動産会社や金融機関と相談しながら売り出し価格を定期的に見直してみてください。

時間がない場合は買取を不動産会社に依頼する

時間に余裕がない場合は、買取の活用も検討しましょう。買取とは不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法で、最短数日~1ヵ月ほどで売却が完了します。

任意売却では、購入希望者が現れるまでに数ヵ月かかるのが一般的です。しかし、買取であれば債権者との交渉と並行して売却の話を進められる為、競売の開札日が迫っているケースでも間に合う場合もあります。

長谷工の仲介では、直接買取と買取保証(売却保証)の2つのサービスをご提供しています。買取保証では、一定期間内に売却できなかった場合に長谷工が買い取る仕組みをご用意しています。売却まで時間が限られている方はぜひご検討ください。

長谷工の仲介の売却保証・直接買取はこちら

買取の注意点や買取保証については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説

買取保証付き仲介とは?仲介との違いやメリット・注意点、売却の流れを解説

任意売却に関するよくある質問

次に、任意売却に関してお客様から特によく寄せられる質問をご紹介します。

任意売却後も残債がある場合は?

任意売却をしても残債がある場合は、債権者と交渉のうえで分割返済していくのが一般的です。

任意売却では市場価格に近い金額で売却できるとはいえ、残債を完済できるケースはほとんどありません。その場合、売却後も引き続き残った債務を返済していく必要があります。

ただし任意売却後は、交渉によって遅延損害金の減免や、将来利息の免除(無利息での分割返済)などに応じてくれるケースもあります。
債権者にとっても、自己破産などで回収できなくなるよりは、少しずつでも継続的に返済してもらうほうがメリットがある為、無理のない現実的な返済計画には前向きに応じてくれるでしょう。

引っ越し後の新居を見つける時間がない場合は?

新居を探す時間がない場合は、リースバックも検討してみてください。
リースバックとは、自宅を売却した後にその買主様と賃貸借契約を結び、同じ家に住み続ける方法です。引っ越しの必要がない為、子どもの転校やご近所との関係を心配せずに済みます。

長谷工の仲介では、リースバックによる売却にも対応しております。

長谷工のリースバックはこちら

リースバックについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

リースバックとは?仕組みやメリット・注意点を不動産のプロが解説

リースバックの買戻しは可能?買戻し価格や条件、諸費用をFP保有者が解説

任意売却にかかる費用は売却代金から捻出可能?

任意売却にかかる費用は、債権者との交渉次第で売却代金から差し引くことができるのが一般的です。
ただし、引っ越し費用については近年審査が厳しくなっており、全額自己負担となるケースも多い為、注意が必要です。

任意売却でかかる主な費用は次の通りです。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権抹消費用
  • 引っ越し費用

任意売却では、上記の費用を売却代金で充当できるよう債権者と交渉できる為、現金の持ち出しを抑えながら手続きを進められます。手元に少しでも多く現金を残しておきたい場合は、不動産会社の担当者に事前に相談しておきましょう。

長谷工の仲介によく寄せられる任意売却の相談内容

最後に、長谷工の仲介によく寄せられる任意売却に関する相談内容をご紹介します。

収入減少でローンを滞納してしまっている

「転職や病気、勤務先の業績悪化などで収入が減り、住宅ローンの返済が苦しくなってしまった」というご相談をよくいただきます。滞納が数ヵ月続き、金融機関からの督促状が届いて、慌ててお問い合わせくださる方も少なくありません。

当社では、まず現在の滞納状況やローン残高をお伺いしたうえで、任意売却を含めた最適な売却方法をご提案します。金融機関との交渉から売却活動、引き渡しまでを一貫してサポートしており、競売を回避しながら経済的・精神的な負担を抑えた解決が目指せます。

離婚にともない、ペアローンを解消したい

離婚を機に、ご夫婦で組んでいたペアローンを解消したいというご相談もよく寄せられます。ペアローンは夫婦それぞれが債務者となって住宅ローンを組む方法で、どちらか一方の意思だけでは売却を進められない点がデメリットです。

当社では、ご夫婦それぞれのご事情を丁寧にヒアリングしたうえで、売却方法や売却後の残債の取り扱いをご提案します。元配偶者との連絡が難しいケースでも間に立って調整を進めますので、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

任意売却は、住宅ローンの返済が困難になった方が競売を回避できる売却方法です。
競売に比べて市場価格に近い価格で売却できるメリットがある一方、債権者の同意が必要になる点や競売の開札期日までに売却手続きを完了する必要がある点など、気をつけるべきポイントもあります。
競売に進んでしまう前に任意売却を完了できるよう、滞納が始まった段階でなるべく早く実績豊富な不動産会社に相談することを心がけましょう。

長谷工の仲介では、任意売却やリースバックなど、売主様のご事情に合わせた売却プランをご提案しております。住宅ローンの返済でお悩みの方は、まずは無料査定からお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2026年6月18日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

杉山明熙
元不動産営業のWEBライター。
不動産営業を12年間経験し店長、営業部長として、売買仲介、賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に精通。
個人ブログにて不動産営業への転職のお手伝い、不動産営業のノウハウ、不動産投資のハウツーなどを発信。
不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランナー保有。
写真:杉山明熙

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