2023.02.14家を売る理由とは?買主様への告知義務や理由を伝える際のポイントを解説

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これから家を売る方のなかには、他の売主がどのような理由で家を売っているのか気になる方もいるかと思います。

また、ネガティブな売却理由は買主様にどのように伝えるべきか悩ましいところです。
この記事では、家を売る代表的な理由や、買主様への告知義務や理由を伝える際のポイントについて解説します。

家を売る代表的な理由とは?

家を売る代表的な理由について解説します。

住み替え

マンションの売却理由で一般的に考えられるのは住み替えです。
子どもが電車通学で通う高校に進学して駅に近い物件に引越す必要性が出てきた、家族が増えて部屋数の多い間取りの物件に引越す必要性が出てきたなどの理由が挙げられます。

他にも、「子どもが独立して部屋が不要になり、もっとコンパクトな家に引越したくなった」など、家族構成の変化やライフステージの変化は、住み替えのきっかけとなることがよくあります。

マンションの住み替えに関しては、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

マンションを売却して住み替える方法とは?流れや費用、利用できる特例を紹介

老後の資産整理

老後の資産整理の一環としてマンションを売る方もいらっしゃいます。

理由としては、遺産を不動産として残すよりも現金として残すほうが、相続人が遺産を分けやすいからです。
相続では、配偶者が相続人となりますが、子供がいる場合は子供も相続の対象となります。
配偶者と子供で1/2ずつ相続することになりますが、例えば相続人が子供2人だけだった場合は、子供は親の遺産を50%ずつもらえる権利があります。

しかし、遺産が現金100万円、マンション3,000万円のようなケースでは、1人が現金100万円、もう1人がマンション3,000万円を引き継いでしまったら、2人の子供の間で大きく不平等が生じてしまいます。
こういった相続でのトラブルは、不動産が原因であることが多いです。

そこで、生前に3,000万円の価値があるマンションを売却しておけば、遺産は現金3,100万円となり、現金であれば1,550万円ずつ平等に分けることができます。

このような理由から、生前に不動産を売却することを検討している方もなかにはいらっしゃいます。
ただし相続後に子供が手続きして売却すれば、現金に換えて遺産を平等に分けることはできます。必ずしも生前に売る必要はないので、売却するかどうかは子供たちと相談しながら決めることが望ましいといえます。

相続した物件の売却

相続したマンションは、「不要だから」、「現金にして相続人同士で分けたいから」、「遠方にあって管理が難しいから」、「相続税の納税の為の現金が欲しいから」などの理由で売却されることも多いです。

前述でも説明した通り、遺産の中に不動産が入っていると、相続人同士で遺産を平等に分けにくくなります。その為、不要なマンションであれば、共有のままで売却し、現金を相続人で分けるのが合理的です。
このように不動産を現金に換えて分割することを「換価分割」と呼び、相続ではよく行われる分割方法となります。

ただし共有物件を売却するには、共有者全員の同意が必要です。また、相続物件を売却するには、売却前に名義変更も必要となります。
相続したマンションの売却については以下の記事で詳しく紹介していますので、ご覧ください。

マンション相続の手続きとは?流れや相続税の計算、利用できる控除を解説

転勤・転職による引越し

マンション売却では、転勤や転職による引越しもよくある理由の一つです。
特に転勤は急に決まることも多い為、早く売却したいと考える方もいます。

急いで売却する必要がある場合には、買い取りを利用するのも選択の一つです。
買い取りとは、再販を目的とした不動産会社に直接買い取ってもらう方法になります。短期間での売却が可能ですが、売却価格が市場価格よりも安くなってしまうケースもあります。

また、買取保証といった売り方もあります。
買取保証とは、一定期間仲介での売却を行い、期限内に売れなかったら最後は不動産会社が買い取るという売却方法です。
転勤の場合、急いで売りたいといっても1~2ヵ月程度の余裕があるケースは多いと思われます。その為、買い取りを選択する必要性は低いことから、買取保証を選択して仲介で売る可能性を残しておくことも望ましい対応です。

マンション買い取りについては以下の記事で詳しく紹介していますので、ご覧ください。

マンション売却は買い取りがお勧め?仲介との違いや向いている物件の特徴を解説

離婚による財産分与

マンションを売る理由の一つに離婚もあります。
離婚では、財産分与の為に売るケースや、ペアローンなどの債務関係を解消する為に売るケースが多いです。

マンションを夫婦で共有している場合には、共有物件の売却になる為、共有者全員の同意が必要となります。
離婚によるマンション売却については、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

離婚時にマンションを売却すべき?財産分与やローンがある場合の注意点を解説

家族の介護

家族の介護もマンション売却の理由になることがあります。
施設への入居費用を確保する為に売るケースや、介護がしやすい家に引越す為に売るケースが考えられます。

子育てや老後の資金確保

子育てや老後の資金確保の為にマンションを売るケースもあります。

子供の成長にともない教育費は継続的に発生する為、将来のことを考えた際に資金を確保しておこうと考える方は多いです。また、老後の生活費や老人ホームへの入居資金を蓄えておきたいと考える方もいます。

資金の確保はしておきたいが、環境を変えたくないといった方の場合は、リースバックも選択の一つです。
リースバックとは、住みながら今の家を売ることができる売却方法になります。
リースバックは、リースバック会社(主に不動産会社)に対して不動産を売り、その後、リースバック会社に家賃を支払うことで住み続けられるという仕組みです。
リースバックについては、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

リースバックとは?メリットや利用する場合の注意点を解説

ローンの返済が難しい

毎月のローンの返済が厳しいと感じたので売るというのも理由の一つです。
滞納が継続するとブラックリスト(信用情報機関の事故リスト)に名前が載ってしまう可能性がある為、ローン返済が苦しいと感じたら滞納する前に早めに売ることをお勧めします。

住宅ローン残債がある物件を売る場合、売却と同時に残債を一括返済して抵当権を抹消する必要があります。
抵当権とは、債権者(お金を貸す方)が土地や建物を担保にできる権利のことです。

住宅ローンが残っているマンションの売却については、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説

ローン残債があってもマンション売却できる?ケース別に対処方法を解説

家を売る理由を告知する義務はある?

家を売る理由を告知する義務はあるかどうかについて解説します。

告知義務がない場合

離婚や相続、ご近所トラブルなど、家を売る為の私的な理由は買主様に伝える義務はありません。
しかし、不動産会社にはある程度、理由を伝えておくと良いでしょう。
売却理由を買主様に「言うべきか、言わないべきか」迷っている場合は、不動産会社に相談をしたほうが安心して売却活動を進めることができます。

告知義務がある場合

理由とは別に、物件に瑕疵(かし:不具合のこと)があれば、売主様には告知義務があります。
理由は、売主様には、契約不適合責任と呼ばれる責任が課されるからです。
契約不適合責任とは、契約内容と異なるものを売ったときに、引き渡し後に買主様から修繕や契約解除、損害賠償といった内容を請求される可能性のある責任のことです。

契約不適合責任を回避するには、不具合を売買契約書に記載し、買主様の了解を得て売ることが大切です。
売買契約書に記載しておけば、不具合があっても契約書とは異なる内容のものを売ったことにはならない為、契約不適合責任は回避できることになります。
よって、売主様が知っている不具合は、正直に告知する必要があります。
告知すべき不具合には、以下の4種類があります。

 
瑕疵の種類 説明
物理的瑕疵 家の傾きや雨漏り、窓サッシからの雨水の浸入、土壌汚染、地中障害物等の不動産の物理的な欠陥のことです。
心理的瑕疵 物件で過去に発生した嫌悪される事象のことです。自殺や殺人事件、火災などが挙げられます。
法律的瑕疵 法律や条例等の制限によって自由な使用収益が阻害されているものを指します。
環境的瑕疵 物件を取り巻く周辺の環境にある嫌悪すべき事象のことです。周辺の騒音・異臭・振動がある施設や暴力団事務所などが挙げられます。

該当するか否かの判断が難しい場合は、査定を受ける際に不動産会社に相談したうえで買主様への告知内容を決めることをお勧めします。
マンション売却の査定については以下の記事で詳しく紹介していますので、ご覧ください。

マンション売却査定の不安を解消!査定の流れや査定でみられるポイントを徹底解説

家を売る理由を買主様に伝える際のポイント

家を売る理由を買主様に伝える際のポイントについて解説します。

家の老朽化や不具合は隠さず伝える

家の老朽化や不具合は隠さずに伝えましょう。
不動産会社に仲介を依頼すると、不動産会社から「付帯設備表」と「告知書」と呼ばれるアンケートシートの記載が求められます。

付帯設備表とは、設備の不具合と有無について記載する書面です。
告知書とは、物理的瑕疵以外にも心理的瑕疵や環境的瑕疵についても記載する書面になります。
基本的にはアンケートシートを埋める形で書いていけば、不具合を伝えられるようになっています。

メリットを一緒に伝える

売却活動では、購入希望者に家の中を見せる内覧を行い、そこで売主様は購入希望者様と会うことになります。
内覧の際は、売主様だからこそ知っているメリットをしっかり伝えられると良いでしょう。
例えば、駅から徒歩5分の物件でも、「目の前の公園をまっすぐ突き抜けたら3分で行けます。」といったメリットを伝えるのも一つです。

ネガティブな内容だけでなく、ポジティブな内容も伝えておくことで、購入を促すことができます。
マンション売却の内覧については、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介

不動産会社に相談して伝え方を工夫する

内覧時に購入希望者様から質問があった場合、答えるべき内容があれば回答する必要があります。
その為、回答方法は事前に不動産会社に相談しておくことが適切です。

例えば、「今まで、近所でのトラブルなどはありますか?」のようなことを聞かれた場合、実際にあった場合はある程度の内容や対処法などを伝えたほうが良いといえます。
他にも、線路に近い物件で騒音について尋ねられたら、実際に窓を開け閉めして体感してもらうと良いでしょう。
ただし、離婚や別居などの私的な売却理由は、聞かれても答える必要はありません。

理由によっては売却に影響することも

売却理由が例えば心理的瑕疵をともなう事故物件の場合、売却価格や売却期間に影響を及ぼすことがあります。
通常、仲介による売却は、売りに出してから売買契約を締結するまで3ヵ月程度の時間がかかりますが、事故物件の場合は買主様が見つかるまでにさらに時間がかかるといったこともありえます。

仲介での売却が困難な物件は、買い取りを検討しても良いでしょう。
長谷工の仲介では仲介だけでなく「直接買い取り」も行っています。
長谷工の買い取りは、買い取り価格に自信を持っており、売主様にとって確実かつ安心な取り引きを提供できます。
以下のページで買い取りサービスを紹介していますので、ご利用いただけると幸いです。

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まとめ

ここまで、家を売る理由について解説してきました。
売主様によってマンションの売却理由は様々ですが、離婚や相続などの私的な理由については告知義務はありません。一方で、雨漏りやシロアリの発生などの不具合については、告知する必要があります。

長谷工の仲介では、売主様のマンション売却サポートのみならず引越し後の不安も解消する充実したアフターサポートも行っています。
マンション売却の理由についても、無料で相談を承っています。
不安なことがあれば、「売却何でも相談」をご利用いただけると幸いです。

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※本記事の内容は2023年2月14日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)
不動産鑑定および宅建業の代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士、住宅ローンアドバイザー。大阪大学出身。
写真:竹内英二(株式会社グロープロフィット 代表取締役)

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