2025.10.16借地権付きの建物・土地は売却できる?方法や相場、手続きの流れを分かりやすく解説

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この記事で分かることを1分で解説
  • 借地権は、土地を借りてその土地に建物を建てる権利
  • 借地権には、旧法と新法の2種類がある
  • 借地権の売却方法には、地主への売却、第三者への売却、底地権と併せた売却などがある
  • 地主との交渉が進まない場合は、借地非訟も視野に入れる

借地権付きの家をお持ちの方や、土地を借りている方で借地権を売却できるか気になっている方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、借地権の基本的な内容から借地権付きの家を売却する方法、相場、手続きの流れやかかる費用まで分かりやすく解説します。
将来的に借地権の売却を考えている方はこの記事の内容を参考にしてください。

借地権とは?借地権は売却できる?

借地権画像

借地権とは、建物の所有目的で土地を借りる権利のことです。
地主に地代を支払うことで、土地を借り建物を建設・所有できます。
なお、借地権は建物の所有が前提となり、駐車場など土地に建物を建設しない場合は借地権に該当しません。

土地の権利には、「所有権」と「借地権」があります。
所有権が自分にある土地は、建物を建てるなどの活用や売却が自由にできます。
一方、借地権の場合、地代を払って土地を借りている状態であり、あくまで土地の所有者は貸主(地主)です。

借地権付きの土地に建てた建物のことを「借地権付き建物」、地主が持つ土地の権利を「底地権」と呼びます。
つまり、借地権付き建物では、借主が建物の所有権と借地権、地主が土地の権利(底地権)を保有する形となります。
このように権利関係が複雑になる為、土地と建物の両方を所有する一般的な売却に比べて売却が難しくなります。

地上権と賃借権の違い

借地権は、借地借家法で「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義されています。
つまり、借地権とは「地上権」か「賃借権」のいずれかになるということです。

引用:e-GOV法令検索「借地借家法第二条」

地上権と賃借権の違いを簡単にまとめると以下の通りです。

地上権 賃借権
登記の義務 あり なし(建物のみ)
抵当権の設定可否 設定可能 建物のみ設定可能
売却時の地主の許可 不要
※実務上では許可を得ることが多い
必要
地代の支払い義務 義務はなし(契約内容によっては支払いの義務あり) 支払いの義務がある
存続期間※ 民法:存続期間の上限なし
※建物の所有を目的としない場合

借地借家法:最低30年
※建物の所有を目的とする場合
民法:50年以下
※建物の所有を目的としない場合

借地借家法:最低30年
※建物の所有を目的とする場合

出典:e-GOV法令検索「新民法第六百四条(賃貸借の存続期間)」

出典:e-GOV法令検索「借地借家法第三条(借地権の存続期間)」

地上権とは、土地を借りて利用する権利のことですが、賃借権よりも借主の権利が強いという特徴があります。
地上権は、「物を直接的かつ排他的に支配できる権利」である物権の1つです。
その為、地上権で土地を借りた場合、建物の建て替えや売却など土地の直接的な利用だけでなく土地の貸し出しも地主の許可なく自由に行えます。
また、第三者に対して権利を主張することも可能です。

一方、賃借権は、あくまで借りるだけの権利です。
借りた土地に建物を建てることはできますが、地主の許可がなければ建てた建物を勝手に売却したり土地を貸したりすることはできません。

なお、地上権は地主に不利な契約の為、地上権が設定されるケースはほとんどありません。
この記事でも、賃借権付きの不動産であることを前提に解説していきます。

借地権の種類

借地権の種類画像

借地権の種類には、旧法と新法の大きく2つがあります。
現行の借地権は、平成4年8月1日に施行された「借地借家法」の借地権です。
それ以前に交わした借地権は、旧法の「借地法」が適用されます。
新法と旧法では契約期間などに違いがある為、どちらの借地権なのかを理解しておくことが重要です。

以下では、旧法と新法の借地権をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

旧法借地権

旧法の借地法は大正時代に制定された法律です。
旧法の借地権の存続期間(契約期間)と更新後の契約期間は以下のようになります。

構造 非堅固建物(木造など) 堅固建物(鉄骨造・鉄筋コンクリートなど)
存続期間 期間の定めがある:20年以上
期間の定めがない:30年
期間の定めがある:30年以上
期間の定めがない:60年
更新後の期間 期間の定めがある:20年以上
期間の定めがない:20年
期間の定めがある:30年以上
期間の定めがない:30年

存続期間・契約後の期間は、物件の種類と契約の定めのある・なしによって異なります。
期間の定めがある場合でも、設定期間が規定の期間よりも短いと「期間の定めがない」に該当する点にも注意しましょう。

旧法の大きな特徴が、借主の権利が強いという点です。
地主は正当な理由がなければ更新を拒否できないようになっており、借主は半永久的に土地を借り続けることも可能です。
その為、土地がなかなか返還されないなどのトラブルも珍しくありませんでした。
また、昔の契約条件のままの為、地代が現代の相場と比べ安いケースが多いのも特徴です。

なお、旧法・新法ともに地主の許可を得ることで建物の再建築が可能です。
再建築にともない借地権の残存期間も延長されます。
仮に、地主の承諾が得られない場合は、建物の再建築請求権を行使し裁判所に申し立てることで承諾に代わる許可を得ることが可能です。

新法借地権①普通借地権

旧法では借主の権利が強いことから、借主と貸主の公平性を保つ為に改正され施工されたのが、新法の借地借家法です。
新法の借地借家法では、借地権はさらに「普通借地権」と「定期借地権」に分かれます。

普通借地権の存続期間・更新後の期間は、以下の通りです。

存続期間 30年以上
更新後の期間 1回目:20年以上
2回目以降:10年

旧法では、建物の構造によって存続期間が異なっていますが、新法では建物の種類による区別はありません。

普通借地権と定期借地権の大きな違いが、更新の有無です。
普通借地権は、契約終了後も更新して契約を続行でき、地主が更新を拒絶するには正当な理由が必要になります。
また、契約を解除する場合でも、地主は立退料の支払いや建物の買取請求を受けるなど、借主に有利な契約といえます。

出典:e-Gov法令検索「借地借家法第三条~第四条」

新法借地権②定期借地権

定期借地権は、さらに「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用借地権」に分かれ、それぞれ存続期間などの定めが異なります。
種類ごとの違いは以下の通りです。

種類 一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権 事業用借地権
存続期間 50年以上 30年以上 10年以上50年未満
土地の利用制限 用途制限なし 用途制限なし 事業用建物所有に限る(居住用は不可)
手続き方法 公正証書などの書面 口頭でも可能 公正証書
期間満了時 原則建物を取り壊して土地を返還 以下のいずれか
・建物を地主が買い取る
・建物を収去せず土地を返還する
・継続して借家として住まうことができる
原則建物を取り壊して土地を返還

定期借地権の大きな特徴が更新できない点です。
定期借地権はどの種類であっても、契約終了後に更新することはできません。

契約終了後は土地を返還する必要があり、引き続き土地を利用したい場合は新たに契約を結び直す必要があるのです。
契約期間が終了すれば確実に土地が返還されるので、次の土地活用の予定がある場合などは定期借地権が適しています。

出典:e-Gov法令検索「借地借家法第二十二条~第二十四条」

出典:国土交通省「定期借地権の解説」

借地権の売却方法

借地権付の不動産を売却するには、地主に許可が必要です。
まずは、地主に売却の意向を確認しましょう。
そのうえで、以下のような方法で売却を検討できます。

  • 地主に借地権を売却する
  • 個人の買主様に売却する
  • 不動産会社に売却する
  • 等価交換をした後に売却する
  • 底地権と併せて売却する

ここでは、借地権の売却方法を見ていきましょう。

地主に借地権を売却する

比較的シンプルな売却方法が、地主に借地権を売却する方法です。
借地権は、借主が地主から権利を買っている形になる為、地主に売却できます。
地主への売却であれば、第三者の買主様を探す必要もなく複雑な手間をかけずに売却できます。
地主にとっても、借地権を買い取ることで土地の所有権を全て自分のものにでき、自由に活用しやすくなるメリットがある為、買い取ってくれる可能性も高いでしょう。

地主に借地権を売却する場合、建物付きで売却する、もしくは建物を解体して土地のみで売却することになります。
建物付きの場合、建物の価格が高い・安いなどのように意見が割れて交渉に時間がかかる恐れがあります。
一方、解体が必要な場合は、売主様が解体費用を負担するケースも多い為注意しましょう。

個人の買主様に売却する

地主の許可が得られれば、第三者の個人に売却可能です。
第三者に売却する場合、建物付きで買い取ってもらうのが一般的であり、地主に売却するよりも高値で売却しやすいというメリットがあります。

ただし、地主に許可を得る際に「譲渡承諾料」がかかるのが一般的です。
承諾料については、後ほど詳しく説明しますが、借地権価格の10%ほどが目安となります。
また、借地権付きの不動産は、購入後に建て替えや売却などに制限がかかる為、買主様が見つかりにくい点にも注意しましょう。

不動産会社に売却する

個人の買主様ではなく不動産会社に売却する(直接買取)方法もあります。
プロである不動産会社であれば、借地権の取り扱いや地主との交渉にも慣れている為、個人に売却するよりもスムーズな売却が期待できます。

また、買取であれば売主様自身で売却活動を行う必要がない為、内覧などの手間もかからず短期間での売却も可能です。
不動産会社に売却する場合は、契約不適合責任が免責され未測量でも売却できる点もメリットといえるでしょう。

しかし、買取の場合は不動産会社が再販を前提としているケースが多い為、相場よりも低い価格での売却になるのが一般的です。
また、全ての不動産会社が買取に対応しているわけではなく、不動産の状況によっては買い取ってもらえない恐れもあります。

買取については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説

等価交換をした後に売却する

等価交換とは、価値の等しいもの同士を交換することをいいます。
借地権の場合、同等価値の底地権と等価交換して、所有権として売却できます。
これは、ある程度広さのある土地を地主が所有する場合、地主の底地権の一部と借地権を等価で交換する方法です。

例えば、200坪の土地があり、借地権の一部と底地権の一部を等価交換して、借主と地主がそれぞれ100坪ずつの所有権を持つケースが考えられます。

等価交換によって、借主自身は土地の所有権を有する為、自由に売却ができるようになります。
地主にとっても、借地権のある土地を所有するよりも所有権のある土地に変えるほうが土地を活用しやすくなるメリットがあります。

ただし、等価交換することでもともと借地権のある土地面積よりも、交換後に所有する土地は小さくなるのが一般的です。
また、正確な測量や比率の交渉・分筆登記など手間がかかる点にも注意しましょう。

測量については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

確定測量とは?測量の目的や流れ、費用・注意点についても解説

底地権と併せて売却する

借地権と地主の所有する底地権をセットで売却するという方法もあります。
借地権と底地権のセットであれば、買主様は所有権を持てるので借地権のみで売却するよりもスムーズな売却が可能です。

しかし、この方法は地主の協力が不可欠であり交渉が難航する恐れがあります。
底地権とセットで売却するには、地主に借地権を譲ってもらうか、地主と一緒に売却することになります。
とはいえ、どちらにしても地主にとっては財産を手放すことになる為、簡単には了承してくれないこともあるでしょう。
仮に、合意してくれた場合でも、売却後の取り分で揉めるケースが少なくありません。

借地権の評価額と売却相場

借地権の設定されている土地は設定されていない土地よりも制限がかかることから、評価額は下がります。
借地権の評価額は以下の計算式で算出できます。

借地権の評価額=土地の評価額×借地権割合

借地権割合とは、土地の評価額に占める借地権の割合です。
国税庁によって地域ごとに定められており、土地によって異なりますが60〜70%が多いでしょう。例えば、土地の価格が1,000万円・借地権割合が70%なら、借地価格は700万円となります。
借地権割合は、国税庁のホームページの路線価図で確認できるのでチェックすると良いでしょう。

評価額については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションの資産価値を調べる方法は?ケース別に活用できる評価額を解説

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出典:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」

また、借地権の売却価格は売却方法によっても異なります。
主な売却方法別の相場の目安は以下の通りです。

売却方法 評価額・売却相場の目安
地主に売却する 更地価格の50~70%ほど
個人の買主に売却する 更地価格の60~70%ほど
不動産会社に売却する 更地価格の50%ほど

以下で詳しく見ていきましょう。

地主に売却する場合

地主に売却する場合、価格は地主との交渉によって決まります。
とはいえ、安く購入したい地主と高く売りたい売主様では利益が相反するので、どちらが交渉を持ちかけるかでも価格が大きく異なります。

地主側から購入を申し出た場合、更地価格の60〜70%が目安となり、さらに引っ越し費用などが考慮されると価格が高くなる可能性があります。
一方、売主様から交渉を持ちかけた場合は更地価格の50%ほどに下がるのが一般的です。
ただし、地主側がそもそも購入に前向きでないと価格がより下がる、売却ができない恐れもあるので注意しましょう。

なお、地主に売却する場合は、第三者に売却する場合に必要な譲渡承諾料は不要です。
諸費用を抑え、短期間で売却しやすい点は地主に売却するメリットといえるでしょう。

個人の買主に売却する場合

第三者の個人に売却する場合の相場の目安は、更地価格の60〜70%ほどです。
個人の買主様へ売却する場合は、市場価格での売却ができる為、地主や不動産会社への売却に比べて価格は高くなる傾向があります。
とはいえ、前述した通り借地権は買主様の購入後の制限も多いことから買い手が付きにくい点には注意しましょう。

不動産会社に売却する場合

不動産会社に買い取ってもらう場合の相場の目安は、更地価格の50%ほどです。

前述した通り、不動産会社は買取再販での利益を前提としており、再販時の価格から利益や経費を差し引く為、個人への売却相場よりもさらに価格が下がります。また、借地権の設定された土地は買主様が見つからないリスクがある点も買取価格が下がる要因です。

ただし、不動産会社への売却は確実に早く売却でき、トラブルも避けやすいメリットがあります。

借地権を売却するときの手続きの流れ

ここでは、不動産会社に依頼して売却する場合の流れを解説します。
大まかな流れは以下の通りです。

  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  3. 地主と売却や建て替えの承諾について交渉する
  4. 売却活動を行い、買主様と売買契約を結ぶ
  5. 地主から借地権譲渡承諾書を受け取る
  6. 借地権を引き渡す

以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1、不動産会社に査定を依頼する

まずは、不動産会社に相談・査定依頼します。
借地権の売却は地主との交渉などが必要になる為、借地権売却の経験が豊富な不動産会社を選ぶことをお勧めします。

また、借地権は査定価格にも影響する点は覚えておきましょう。
借地権は売却に地主の許可が必要になる為、明確な相場がありません。
目安として固定資産税評価額などを参考にできますが、借地権は通常の不動産よりも制限を受けるので土地の評価額が低くなることもあります。

借地権の査定価格は不動産会社によっても大きく異なる為、複数の不動産会社の査定を比較すると良いでしょう。

その他、不動産査定で見られるポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

一戸建て売却の査定価格はどう決まる?見られるポイントや査定のコツとは

マンションの売却査定で見られるポイントとは?査定の流れや高く売るコツ、注意点を解説

長谷工の仲介では、土地の無料査定を受け付けています。借地権の売却を検討している方はぜひご利用ください。

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2、不動産会社と媒介契約を結ぶ

売却を依頼する不動産会社を決めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には、以下の3種類があります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社と契約できる方法です。
一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約は不動産会社1社のみとしか契約できません。
借地権の売却では、地主との交渉が必要になるので1社のみと契約する専任媒介契約か専属専任媒介契約が適しています。
それぞれメリット・デメリットが異なるので、売却の目的に合わせて選ぶと良いでしょう。

各媒介契約の特徴については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

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専任媒介契約とは?他の媒介契約との違いやメリット・注意点を分かりやすく解説

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3、地主と売却や建て替えの承諾について交渉する

売却を進めるには地主の承諾を得る必要がある為、地主との交渉を行います。
一般的には、不動産会社の担当者に交渉を一任するケースが多いでしょう。

売却の承諾が得られた場合、前述した通り地主に対して「譲渡承諾料」を支払うのが一般的です。
建物の建て替えの場合も地主の許可が必要となり、許可を得られた場合は「建て替え承諾料」を支払うのが一般的です。
建て替え承諾料は地主との交渉や契約内容にもよりますが、更地価格の3%ほどが目安となります。

4、売却活動を行い、買主様と売買契約を結ぶ

地主の承諾を得たら売却活動を行い、買主様が見つかれば売買契約を結びます。
買主様が地主以外の第三者である場合、売買契約時に地主の承諾書が必要となるので地主に作成を依頼しておきましょう。
また、借地権の売却では売却後に買主様と地主間でトラブルにならないように、買主様と地主で以下のような点を確認してもらうことが重要です。

  • 借地期間
  • 地代の取り決め
  • 買主様がローンを組む場合の承諾について

5、地主から借地権譲渡承諾書を受け取る

借地権譲渡承諾書とは、第三者への借地権の譲渡を認める書類のことです。
地主からこの書類を受け取ることで、正式な契約となります。

売買契約と同時に地主の承諾書を受け取るのが一般的です。仮に、売買契約後に地主からの承諾書を受け取る場合には、「地主からの承諾書を受け取ること」を条件とした停止条件付契約としたほうが安全です。

6、借地権を引き渡す

契約成立後、買主様の決済と土地・建物の引き渡しを行います。
建物ごと引き渡す場合は、建物の所有権移転登記も必要ですが、所有権移転登記は基本的に買主様が行います。

借地権の売却は、交渉など複雑な手続きが必要です。
基本的には不動産会社がサポートしてくれるので、アドバイスをもらいながら進めると良いでしょう。

長谷工の仲介では、借地権の売却に関する無料相談を受け付けています。
売却の手続きについて、詳細に知りたい方はぜひ以下よりお問い合わせください。

売却何でも相談はこちら

借地権の売却でよくあるトラブル事例

借地権の売却ではトラブルになるケースもあるので、どのようなトラブルがあるのかを理解しておくことも大切です。
ここでは、借地権の売却でよくあるトラブル事例を見ていきましょう。

地主の承諾が得られない

借地権を売却するには地主の承諾が必要ですが、交渉しても承諾が得られないケースもあります。
承諾が得られない理由としては、新しい借地人への不安や地主側が将来借地権を解消したいと考えていることなどが挙げられます。

地主が売却に前向きでないと、交渉がこじれてしまい売却価格が下がる、売却する為に裁判手続きが必要になるといったリスクがある点には注意しましょう。

建物の解体費用を誰が負担するかで揉める

借地権の売却では、買主様が建物の解体を求める、地主が解体を条件に承諾するといったことで解体が必要になるケースもあります。

しかし、建物を解体する場合、解体費用を売主様、買主様、地主の誰が負担するかで揉めやすいので注意が必要です。
また、解体の範囲を巡ってトラブルになるケースもある為、事前に解体費の負担者や解体の範囲をしっかりと話し合い契約書に明記するようにしましょう。

解体費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

家の解体費用の相場は?安く抑えるポイントや解体する際の注意点を解説

相続時にスムーズに売却できなかった

借地権は相続の対象となり、借地人が死亡した場合相続人が借地権を引き継ぎます。
この場合、借地権を相続することに対して地主の承諾は不要ですが、相続後には相続登記が必要になり、登記を行わなければ借地権の売却はできません。

しかし、相続人が複数人いるケースでは、誰が相続するかで揉めて相続登記ができず、売却をスムーズに進められないケースもあります。
仮に、共同で相続した場合、売却するには所有者全員の承諾が必要です。
誰か一人でも売却に反対すると売却ができなくなり、さらなるトラブルに発展するケースもあるので注意しましょう。

借地権を売却するときのポイント

ここでは、借地権を売却する際のポイントを2つご紹介します。

知見のある不動産会社に相談して進める

借地権の売却は、地主の許可が得られるかが大きなポイントになります。
売却が地主にとってどれだけメリットになるかなどを説得できる交渉力や提案力が、不動産会社には求められます。

また、手続きや買主様へのアプローチも通常の売却とは異なってくるので、借地権売却の知見や経験がある不動産会社であるかが重要です。
借地権売却に知見のある不動産会社であれば、安心して不動産売却を進められるでしょう。

交渉が進まない場合は借地非訟も視野に入れる

借地権を売却する際には地主の許可が必要ですが、許可が得られないケースも少なくありません。

そのような場合は、借地非訟を申し立てることで売却を進められる可能性があります。借地非訟とは、地主の代わりに裁判所に売却を認めてもらう方法です。借地非訟を裁判所に申し立てると、売却の理由や譲渡先が地主に不利益がないかなどが調査されます。
調査の結果、売却が認められると地主に代わり裁判所が売買の許可を出してくれます。

ただし、借地非訟を申し立てると、地主との関係が悪化する恐れがあります。
場合によっては売却後に買主様と地主の関係性にも影響しかねないので、慎重に検討することが重要です。借地非訟は最後の手段として考え、できるだけ交渉で売却を進めることが望ましいでしょう。

また、売却ではなく契約終了にともなう建物買取請求権の行使を検討するのも一つの手です。
通常、借地契約が満了すると建物を解体し更地で返還します。
対して、建物買取請求権では建物を解体せずに、地主に買い取ってもらうことが可能です。
買取請求権を行使することで、建物の解体費用がかからないだけでなく建物を買い取ってもらえるので、借地権を売却できなくても利益を得て借地権を手放すことができます。

しかし、建物の買取は時価が原則となる為、価格を自由に設定できるわけではありません。
また、定期借地契約や期間終了前では行使できず、普通借地契約の期間終了でも契約書に記載がないと請求権を巡って裁判手続きが必要になる恐れがある点にも注意しましょう。

借地権を売却する際にかかる主な税金・費用

借地権の売却では様々な税金や費用もかかる為、あらかじめ諸費用を把握して資金計画を立てることも大切です。
ここでは、借地権を売却する際にかかる主な税金・費用を見ていきましょう。

譲渡承諾料

譲渡承諾料とは、借地権の売却を許可してくれたことに対して支払うお金で「名義書換料」「名義変更料」とも呼ばれます。
個人の買主様や不動産会社に売却する際には、譲渡承諾料が必要になるのが一般的です。
譲渡承諾料は、借地権の評価額である借地権価格の10%ほどが目安です。
例えば、借地の評価額が700万円なら譲渡承諾料の目安は70万円となります。

仲介手数料

不動産会社の仲介で個人の買主様に売却する場合、売買契約成立時に不動産会社に仲介手数料を支払います。
仲介手数料は売却価格に応じて異なり、上限が以下のように定められています。

売却価格 仲介手数料の上限(税抜)
200万円以下 売却価格×5%
200万円超〜400万円以下 売却価格×4%+2万円
400万円超 売却価格×3%+6万円

例えば、売却価格が1,000万円なら36万円(税抜)が仲介手数料の上限です。
なお、売却価格が800万円以下の場合、不動産会社は了承を得ることで一律30万円(税抜)の仲介手数料を請求できます。

仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

不動産売却の仲介手数料とは?計算方法や支払い時期についてご紹介

出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」

登記費用

借地権の売却では以下のような不動産登記が必要です。

  • 建物の所有権移転登記
  • 借地権の所有権移転登記
  • (住宅ローンを完済する場合)抵当権抹消登記
  • (相続した土地の場合)相続登記

それぞれの登記に対して、手数料の役割となる登録免許税が必要です。
また、登記手続きを司法書士に依頼する場合は、別途司法書士報酬が発生します。
登記の種類別の費用の目安は以下の通りです。

登記の種類 費用の目安
建物の所有権移転登記
  • 登録免許税:不動産の価額×2%
  • 司法書士報酬の目安:5~7万円ほど
借地権の所有権移転登記
  • 登録免許税:不動産の価額×2%
  • 司法書士報酬の目安:5~7万円ほど
抵当権抹消登記
  • 不動産1個につき1,000円
  • 司法書士報酬の目安:1~2万円ほど
相続登記
  • 登録免許税:不動産の価額×0.4%
  • 司法書士報酬の目安:4~8万円ほど

ただし、売却での所有権移転登記の費用は買主様が負担するのが一般的です。
とはいえ、どちらが負担するかでトラブルになるケースもあるので、事前に負担者を確認しておくようにしましょう。

所有権移転登記については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

所有権移転登記とは?費用や必要書類、手続きの流れについて分かりやすく解説

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

出典:日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」

譲渡所得税

借地権の売却で利益(譲渡所得)が出た場合、利益に対して所得税・住民税が課税されます。
これらは総称して譲渡所得税と呼ばれます。

譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

譲渡収入金額(売却価格)から、購入時にかかった費用である取得費、売却時の費用である譲渡費用を差し引いた価格が譲渡所得となります。
ここからさらに特例による控除を差し引き、譲渡所得税の税率をかけることで税額を計算できます。
ただし、譲渡所得税の税率は所有期間が5年を境に異なる為、注意が必要です。

借地権の所有期間 区分 所得税 住民税
5年超 長期譲渡所得 15% 5%
5年以下 短期譲渡所得 30% 9%

なお、2037年までは上記の所得税に復興特別所得税が上乗せで徴収される為、合計税率は短期譲渡所得で39.63%、長期譲渡所得で20.315%となります。

例えば、1,000万円で購入し所有期間10年で1,500万円で売却(売却時の諸費用200万円)した場合、譲渡所得は300万円です。
さらに、長期譲渡所得の税率で課税されるので譲渡所得税は約61万円(300万円×20.315%)となります。

ただし、譲渡所得では以下のような特例を適用することで節税が可能です。

  • 3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 譲渡損失の特例

適用する特例によって節税効果は異なるので、事前にシミュレーションしたうえで検討するようにしましょう。

譲渡所得や特例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

譲渡所得とは?不動産売却時の税金の計算から確定申告手続きまで詳しく解説

長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説

3000万円特別控除とは?適用条件や計算方法について解説

出典:国税庁「土地や建物を売ったとき」

出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

出典:国税庁「No.3379 「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けるための申告手続と添付書類等」

出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

印紙税

印紙税とは課税対象文書を作成した場合にかかる税金です。
借地権の売却では、売買契約書が印紙税の対象となるので収入印紙を添付して納税が必要になります。
印紙税の税額は、売買契約書に記載された売却価格に応じて以下のように異なります。

契約金額 印紙税額
(2027年3月31日まで軽減税率が適用)
1万円未満 非課税
1万円以上〜50万円以下 200円
50万円超〜100万円以下 500円
100万円超〜500万円以下 1,000円
500万円超〜1,000万円以下 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 1万円
5,000万円超〜1億円以下 3万円
1億円超〜5億円以下 6万円
5億円超〜10億円以下 16万円
10億円超〜50億円以下 32万円
50億円超 48万円

出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

まとめ

借地権であっても、地主の許可を得ることで売却が可能です。
しかし、地主との交渉が必要となる為、一般的な不動産に比べ売却のハードルは高くなります。また、譲渡承諾料をはじめとして各種税金・費用などもかかるので、売却の流れや費用を抑えたうえで売却を検討するようにしましょう。

売却を検討しているなら、借地権売却の知見が豊富な不動産会社に相談しながら進めることをお勧めします。
長谷工の仲介では、借地権付き不動産の売却に関する相談も受け付けています。まずは、「売却何でも相談」から売却の第一歩を踏み出すと良いでしょう。

※本記事の内容は2025年10月16日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

逆瀬川 勇造(合同会社7pockets 代表社員)
明治学院大学卒。銀行、不動産会社勤務を経て独立。宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー。

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