2025.1.8投資用マンションの売り時は?タイミングや高値で売るコツ、かかる税金について解説

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投資用マンションの所有者のなかには、売り時がわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

投資用マンションの売り時や高く売るコツを知っておくと、好条件で売却できる可能性が高まります。この記事では、投資用マンションの売り時や売却の流れ、高く売る為のコツをご紹介します。投資用マンションの売却を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

投資マンションの主な売却理由は?

まずは、投資用マンションを売却する方がよく挙げる売却の理由から見てみましょう。

相続マンションを現金化する為

親が所有していた投資用マンションを相続したものの、自分では活用しきれないという方もいるでしょう。このような理由で売却を検討するケースもあります。相続したマンションを現金化する主な理由には、以下の4つが挙げられます。

  • 相続した不動産を平等に分けるのが難しく、売却代金を相続人で分ける換価分割をする為
  • 相続税の支払いにあてる為
  • 別の投資物件を購入する為
  • 生活費にあてる為

投資用マンションを現金化することで、相続によるトラブルや税金の滞納を回避する狙いがあります。

資金調達の為

まとまった資金を調達する為に投資用マンションを売却するケースもあります。具体的には、売却で得た資金を家の買い替えや事業資金、子どもの教育費に充てるなどが考えられます。

赤字の状態が続いている為

投資用マンションの利益よりも維持費が上回り赤字になってしまいそうな場合に売却を検討するケースもあります。赤字が続くとローン返済が困難になることが考えられ、最悪の場合、金融機関による競売の恐れも出てきます。

  • 空室が続いて家賃収入を得られない
  • 高騰するメンテナンス費用や継続的な税金の支払いで維持が難しい
  • 入居促進の為のリフォームを行ったが空室が埋まらない
  • 競合物件の台頭により家賃を下げざるを得ない

このような事態が続くと、売却せざるを得ない状況となります。

管理が困難になった為

通常、マンションの管理業務は不動産会社に委託するのが一般的です。それでも不動産所有者には、賃料の設定や入居希望者の入居の可否判断、修繕対応などの手間がかかります。それらの対応が難しくなったり煩わしいと感じたりして売却するケースもあります。

投資用マンションの売り時はいつ?

続いて、投資用マンションの売却に適したタイミングをご紹介します。

金利が安い時期

投資用マンションの売り時の1つは、金利が低い時期です。
金利が低いとローンの返済額を抑えられる為、購入検討者が増えます。売れやすいだけでなく、高値での売却も期待できるでしょう。

日本では、かつてないほどの低金利が長期間続いてきましたが、2022年に日銀から発表された金融緩和政策の修正により、金利が上昇傾向にあります。将来的に投資用マンションを売却する可能性がある場合は、今後の金利の推移を注視しておくことが重要です。

所有期間が5年を超えたタイミング

所有期間が5年を超えたタイミングも投資用マンションの売り時の1つとなります。
マンションを売却して利益(譲渡所得)が発生すると、その利益に対して税金が課せられます。

その際、所有期間が5年を超えるマンションとそうでないマンションとでは、譲渡所得にかかる税率がおよそ2倍異なります。その為、税金面では所有期間が5年を超えてから売却するほうが税金負担を抑えられます。詳しい税率については後ほど詳しくご紹介します。

大規模修繕の実施前後

マンションの大規模修繕が行われる前後も売り時の1つです。
マンションの大規模修繕とは、経年により劣化した建物や設備などを12年〜15年ごとに修繕することを指します。

大規模修繕前に売却するメリットは、修繕積立金が増額する前に売り出せる点や、修繕工事中の内覧を避けられる点にあります。ただし、工事前の内覧の為、共用部分の綺麗さはアピールしにくいでしょう。

一方で大規模修繕後に売り出すと、共用部分の綺麗さをアピールできる点や、築年数が古くても修繕工事により買主様が抱く経年劣化による不安が解消されやすい点がメリットとなります。一方、大規模修繕後は修繕積立金が値上がりしやすい為、購入希望者から避けられる傾向にあります。

築20年を超えるとき

公益財団法人東日本不動産流通機が発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」によると、中古マンションは築26年〜30年を超えると成約価格が大きく下がります。その為、築26年を超える前に売却するほうが好条件で売却できる可能性が高まります。

出典:公益財団法人東日本不動産流通機「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」

減価償却が終了する前

建物の減価償却が終了する前も、投資用マンションの売却に適したタイミングです。

建物の減価償却とは、建物の取得原価を法定耐用年数の間に費用として配分する会計上の手続きのことです。例えば、鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年です。これは、鉄筋コンクリート造の建物は47年で資産価値がほぼゼロになることを表しており、建築費が4,700万円のマンションでは毎年100万円の減価償却費を経費として計上できることになります。

参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

減価償却できる期間は法定耐用年数の期間内と定められています。減価償却ができると経費として計上できる金額が増えて課税額を抑えられます。その為、購入希望者は減価償却費を計上できる期間内に購入したいと考えます。減価償却が終了する前に売り出すことで成約率も高まるでしょう。

不動産売却時の減価償却の計算方法や仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

建物の減価償却とは?不動産売却時の計算方法や仕組みについて解説

マンション売却時の減価償却とは?計算方法や譲渡所得税との関係について解説

価格が上昇しているとき

不動産価格が上昇しているタイミングで売り出せば、好条件で売却できる可能性が高まります。

国土交通省が公表している不動産価格指数(令和6年9月発表)によると、区分所有マンションの不動産価格指数の推移は以下の通りです。不動産価格指数とは、不動産の価格変動を長期的な視点で確認したいときに利用される指標の1つです。

不動産価格指数(令和6年9月発表)画像

引用:国土交通省「不動産価格指数(令和6年6月・令和6年第2四半期分)を公表」

このように、長期的にみるとマンションの不動産価格は上昇傾向が続いている状況であり、投資用マンションの売りどきであるといえます。
特に、引っ越しシーズンの直前が売却に向いているタイミングです。例えば、1月〜3月は新年度に向けた準備が始まる為、賃貸物件の需要が高まります。この時期に売り出せば、値引き交渉がされにくく好条件での売却が実現できるでしょう。

投資用マンションを売却する流れ​

ここからは、投資用マンションを売却する流れを8つのステップに分けて解説します。

投資用マンションを売却する流れ画像

STEP1:不動産会社に査定を依頼する

まず、売却価格の目安を知る為に、不動産会社に物件の査定を依頼します。
様々な意見を聞く為にも、複数社に査定を依頼すると良いでしょう。そして、提示された査定額や対応の質などを比較して媒介契約を締結する不動産会社を選ぶことが大切です。

長谷工の仲介では、豊富な売却実績をもとに投資用マンションの売却査定を行っています。投資用マンションの売却価格を知りたい方は、長谷工の仲介の無料売却査定からお問い合わせください。

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投資用マンションでは、投資採算性を重視する収益還元法によって査定が行われるケースが一般的です。収益還元法は、査定する不動産が将来生み出すと考えられる収益を計算し、そこから査定金額を算出するもので、直接還元法とDCF法の2つの種類があります。
参考として、以下でそれぞれの計算式と計算例をご紹介しています。

直接還元法

直接還元法とは、1年間で得られた純利益を還元利回りで割り戻して価格を算出する方法です。計算式は以下となります。

査定額(直接還元法)=年間家賃収入金額÷還元利回り

還元利回りとは不動産の収益性を表した利率のことで、物件価格を評価する際に用いられます。

事業用不動産の還元利回りは一般的に7%〜10%といわれています。例えば、年間120万円の家賃収入があり、還元利回りが8%と予想される場合は、以下の計算式となります。

120万円÷8%=1,500万円

このケースでは、マンションの資産価値は1,500万円という結果になりました。

DCF法

DCF法とは、不動産を所有している期間に生み出す純利益と将来売却した場合の価格を現在の価値に割り戻し、その合計を求めて不動産価値を算出する方法です。計算式は以下となります。

査定額(DCF法)=家賃収入÷(1+(割引率))^(累乗)

割引率とは、将来生み出される収益を現在受け取った場合の価値に割り戻す係数のことで、一般的に3%〜5%程度で計算されることが多いとされています。例えば、ローン金利が5%だった場合、1年後に100万円受け取れるとすると、現在は95万円となります。

DCF法によるシミュレーションを行ってみましょう。

【条件】

  • 1年間の家賃収入:120万円
  • 割引率:5%
  • 5年後の売却価格(想定):1,500万円

1年目:120万円÷(1+0.05)=114.28万円
2年目:120万円÷(1+0.05)^2=108.84万円
3年目:120万円÷(1+0.05)^3=103.66万円
4年目:120万円÷(1+0.05)^4=98.72万円
5年目:120万円÷(1+0.05)^5=94.02万円

上記の計算をもとに、5年間の家賃収入を現在価値に換算すると、合計で519.52万円となります。

次に、5年後の売却額を現在の価値に換算すると以下の通り算出されます。

1,500万円÷(1+0.05)^5=1,175.28万円

最後に、5年間の家賃収入と売却価格を合計します。

519.52万円+1,175.28万円=1,694.8万円

上記のDCF法によるシミュレーションでは、査定価格が1,694.8万円だと算出されました。

STEP2:不動産会社と媒介契約を締結する

次に、比較検討した不動産会社の中から、信頼できる不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ以下のように特徴が異なります。不動産会社と相談のうえ自分に合った媒介契約を選びましょう。

比較項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
他の不動産会社との契約可否 不可 不可
自分が見つけた買主様との取引可否 不可
不動産流通機構(レインズ)への登録義務 なし あり
(媒介契約から7日以内)
あり
(媒介契約から5日以内)
不動産会社からの営業活動報告義務 なし あり
(14日に1回以上)
あり
(7日に1回以上)
契約期間 制限なし 3ヵ月以内 3ヵ月以内

媒介契約の種類やそれぞれの特徴、注意点などは以下の記事を参考にしてみてください。

媒介契約とは?契約の種類と各契約のメリットや注意点をご紹介

一般媒介契約とは?契約のメリットや注意点を解説

専任媒介契約とは?他の媒介契約との違いやメリット・注意点を分かりやすく解説

媒介とは?不動産取引における仲介との違いや媒介契約の種類について解説

STEP3:売却活動をはじめる

不動産会社と媒介契約を締結したら、売却活動が始まります。
通常、マンション売却では購入希望者による内覧後に売却が決まりますが、投資用物件では賃貸中の入居者がいるケースがほとんどです。

入居者がいると内覧ができない為、購入希望者が購入に踏み切る為の判断材料として、レントロール・設備表・修繕履歴の開示や質疑応答などをメインに売却活動を行います。レントロールとは入居者の賃貸条件を一覧表にしたもので、家賃や敷金、契約期間などが記載されています。

また、入居前の室内写真があれば不動産会社に渡しておきましょう。写真により室内のイメージが湧くと、購入意欲の向上につながります。

STEP4:購入希望者と契約条件を交渉する

購入希望者から購入申込書を受領したら、契約条件を交渉して売却の是非を検討します。
値下げ交渉が入った場合は安易に値下げに応じるのではなく、不動産会社と慎重に相談しましょう。そのうえで、いくらまでなら値下げできるのか、売却後の資金計画を考慮して決めると良いでしょう。

STEP5:買主様と売買契約を締結する

購入希望者と条件面で折り合いがつけば、売買契約に進みます。

売買契約では、不動産会社による重要事項説明が行われます。
重要事項説明とは、不動産会社が買主様に向けて物件に関する重要な事項を説明することです。その後、売買契約書に署名捺印が行われ、契約が成立します。その際、契約が成立した証として買主様から手付金を受領します。

また、仲介で売却した場合、不動産会社に仲介手数料を支払います。その際、売買契約時に50%、マンションの引き渡し時に残りの50%を支払うことが一般的です。仲介手数料の計算式や目安は後ほど詳しく解説します。

STEP6:残代金の決済と物件の引き渡しを行う

売買契約書で定めた引き渡し日に、残代金(売買金額から手付金などを差し引いた代金)の受領や固定資産税・賃料の清算を行います。それと同時に、物件の鍵やその他の関係書類を買主様に引き渡す流れとなります。

すでに受領した当月分の賃料や固定資産税は、日割り計算を行うことが一般的です。
例えば、決済日が5月20日で賃借人から5月分・6月分の賃料を受け取っている場合、5月20日から5月31日までの日割り家賃と6月分の家賃は買主様に支払います。

また固定資産税は、課税期間(1月1日から12月31日)を基準にする場合と会計年度(4月1日から3月31日)を基準とする場合の2種類があり、関東では課税期間、関西では会計年度を基準に清算を行います。

マンションを売却した際の固定資産税の計算方法や清算方法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却した時の固定資産税はどうすればいい?清算方法や注意点を解説

STEP7:賃貸人に地位継承通知を行う

投資用マンションをオーナーチェンジ物件(賃借人がいる状態の物件)として売却する場合は賃貸人変更通知書(マンションのオーナーが変更したことを賃借人に知らせる通知書)を発行し、オーナーが変更することを入居者に知らせる地位継承通知を行うことが一般的です。

オーナーチェンジ物件の売却については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

オーナーチェンジ物件が売れない理由は?売却の流れや注意点、売れないときの対処法を解説

STEP8:必要に応じて確定申告をする

最後に、必要に応じて売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。

確定申告は、不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合に行います。また、税金の控除や特例を受ける場合も確定申告を行う必要があります。

譲渡所得が出たにもかかわらず申告をしなかった場合、無申告加算税の対象となり、本来納付すべきであった税額に対してペナルティが課されます。さらに、仮装隠蔽により確定申告をしなかった場合は重加算税の対象となり、より重いペナルティを課されることとなります。

マンション売却後の確定申告については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説

マンション売却の確定申告書の書き方は?手続きの流れも併せて解説

投資用マンションの売却にかかる費用​や税金

投資用マンションの売却に必要な費用と税金についても確認しておきましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社に成功報酬として支払う費用のことです。上限額は法律で決まっており、物件価格によっては以下のように計算されます。

売却価格 仲介手数料の計算式
400万円超 売却価格✕3%+6万円(+消費税)
200万円超〜400万円以下 売却価格✕4%+2万円(+消費税)
200万円以下 売却価格✕5%(+消費税)

仲介手数料の目安は以下を参考にしてください。

  • 売却価格が4,000万円の場合:138万6,000円
  • 売却価格が6,000万円の場合:204万6,000円
  • 売却価格が8,000万円の場合:270万6,000円

なお、令和6年7月1日からは仲介手数料の見直しが行われています。空き家の流通を促進する為、売却価格が800万円以下の宅地建物については30万円の1.1倍が仲介手数料の上限となりました。

参考:国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」

印紙税

投資用マンションの売買契約書には印紙税がかかります。
印紙税の金額は以下の通りです。

売買価格 印紙税額
1億円を超え5億円以下のもの 6万円
5,000万円を超え1億円以下のもの 3万円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 1万円
500万円を超え1,000万円以下のもの 5,000円
100万円を超え500万円以下のもの 1,000円

※上記は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される契約書について、印紙税税額の軽減が適用された場合の金額です

引用:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

抵当権抹消費用

投資用ローンを組んでいる場合、売却する為に残りのローンを一括返済して抵当権を抹消する必要があります。抵当権とは、金融機関が土地や建物を担保にできる権利のことです。

抵当権抹消に関連する費用には登録免許税と司法書士手数料の2つがあり、登録免許税は1つの不動産につき1,000円かかります。土地と建物の抵当権を抹消する場合、それぞれに1,000円の登録免許税が課される為、合計で2,000円となります。

抵当権の抹消は司法書士に手続きを依頼することも多く、その場合は司法書士手数料がかかります。日本司法書士連合会が発表した「報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)」によると、司法書士手数料は平均1万円〜3万5,000円程度となっています。

抵当権抹消手続きの流れや費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説

抵当権抹消登記申請書の書き方とは?流れや費用まで徹底解説

出典:法務局「登録免許税はどのように計算するのですか?」

出典:日本司法書士連合会「報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)」

譲渡所得税(住民税や所得税など)

前述した通り、投資用マンションの売却で利益(譲渡所得)が生じた場合は、譲渡所得税が発生します。また、不動産の保有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、それ以上の場合は長期譲渡所得となり、譲渡所得にかけられる税率が異なります。

譲渡所得の計算方法と短期譲渡所得・長期譲渡所得の税率は以下の通りです。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 復興特別所得税 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 0.315% 20.315%

実際に以下の条件で譲渡所得税をシミュレーションしてみましょう。

【前提条件】

  • 譲渡収入金額(売却価格):3,800万円
  • 譲渡費用(売却にかかった費用):133万円(仲介手数料132万円、印紙税1万円)
  • 取得費(不動産購入時にかかった費用):3,500万円
  • 所有期間:5年未満(短期譲渡所得)
  • 3,000万円特別控除(譲渡所得のうち3,000万円を控除できる特例)の適用あり

【計算】
譲渡所得={譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額}✕税率
={3,800万円-(3,500万円+133万円)✕39.63%(短期譲渡所得の税率)
=167万円✕39.63%
=約66.18万円

ここでは、所有期間が5年未満のケースでシミュレーションしました。
所有期間が5年を超えると譲渡所得167万円にかけられる税率が39.63%から20.315%となり、譲渡所得税が軽減される結果となります。

譲渡所得税の計算方法や確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

譲渡所得とは?不動産売却時の税金の計算から確定申告手続きまで詳しく解説

長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説

消費税

投資用マンションは売却した時点で建物価格に消費税が生じ、売主様が消費税課税業者であれば消費税を納税する義務があります。消費税課税業者とは消費税の納税義務がある事業者のことで、課税期間の売上高が1,000万円を超える事業者には消費税の納税義務があります。

マンション売却で消費税がかかるケースとかからないケースについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

マンション売却で消費税はかかる?課税される場合とされない場合について解説

投資用マンションを高く売るコツ

投資用マンションを好条件で売却したい場合には、ここでご紹介するポイントを押さえておきましょう。

最低売却価格を決めておく

1つ目は、「最低でもこの値段で売却する」という金額を決めておくことです。
例えば、3,000万円で売り出した物件の場合、最低売却価格を2,500万円と決めておき、それ以上の値下げ交渉には応じないといったケースが考えられます。
売却後の資金計画を明確に立てたうえで最低売却価格を決めておきましょう。

売却実績が豊富な不動産会社に依頼する

投資用マンションの売却を成功させるには、売却実績が豊富でかつ信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。特に、査定額に明確な根拠があるか、インターネット広告を活用した集客力が高いかなどを確認しましょう。信頼できる不動産会社に依頼することで、理想的な価格での売却が期待できます。

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入居者がいる状態で売る

投資用マンションは、入居者がいる状態で売却すると好条件で売れやすくなります。
その理由は、入居者がいるマンションを購入することで購入後に入居者を募集する手間や費用が省けるだけでなく、購入後すぐに家賃収入が得られる為です。

一方で、空室がある状態で売りに出すと下記のようなリスクが生じます。

  • 入居者が入るかわからず、購入希望者が収益価格を低く試算する傾向にある
  • 入居者が入るかわからないという理由で値引き交渉される恐れがある
  • 購入してもすぐに家賃収入が得られないので購入意欲が下がる恐れがある

このようなリスクを回避する為にも、なるべく入居者がいる状態で売却することをお勧めします。

外国人投資家に売ることも検討する

中国や台湾などアジア系の外国人投資家は、日本の物件を高利回りに感じる傾向にあります。少しでも好条件で売却したいと考えるのであれば、日本人だけでなく外国人投資家に売却することも検討してみましょう。

投資用マンションの売却で知っておきたいこと

投資用マンションの売却では、頭に入れておきたい2つの注意点があります。

居住用財産に関する税金控除は受けられない

投資用マンションは事業用不動産であり、「居住用財産の3000万円特別控除」や「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」といった税金控除は利用できません。

投資用マンションの売却で利用できる特例としては、「事業用の資産を買い換えたときの特例」や「取得費加算の特例(相続不動産の場合)」があります。事業用の資産を買い換えたときの特例とは、事業用不動産を売却してから一定期間内に次の不動産を購入した場合、売却時の譲渡所得税の一部を将来に繰り延べることができる特例です。

この特例では手元資金を多く残せるメリットがある反面、あくまで繰り延べである為、一定のタイミングで一気に税金の負担が発生するデメリットがあります。メリット・デメリットを考慮したうえで特例を利用しましょう。

また、取得費加算の特例とは、相続で取得した不動産を相続税申告期限から3年以内に売却した場合に、相続税額のうち一定金額を売却時の取得費(マンションを取得したときの費用)に加算できる制度です。取得費加算の特例の計算式は以下の通りです。

取得費に加算できる金額=相続不動産を売却した方が納めた相続税✕売却した相続不動産の相続税評価額÷相続税の課税対象金額

この制度により取得費が増えることで、売却時の譲渡所得税を抑える効果があります。

参考:国税庁「No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例」

参考:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

譲渡損失による損益通算に制限がある

投資用マンションを売却して損失が出た場合の損益通算には制限があることも知っておきましょう。

不動産投資による家賃収入は不動産所得といい、赤字が出ても給与所得などと相殺ができます。しかし、売却による収入・損失は譲渡所得の扱いになる為、所得の種類が違う給与所得などと相殺ができません。

投資用マンションが売れない場合の対処法

投資用マンションの売却活動を続けているにもかかわらず、なかなか売れないというケースもあるでしょう。最後に、投資用マンションが売れない場合の対処法について解説します。

空室対策を講じる

前述した通り、投資用マンションが空室の場合は売れにくくなってしまう為、空室対策を講じましょう。主な空室対策には以下のような方法があります。

  • 家賃や更新料、初期費用の減額
  • 室内のリフォーム
  • 入居条件の見直し
  • 人気設備の導入
  • 共用部分の清掃

空室対策には費用がかかってしまう方法もある為、資金繰りを考慮して行う必要があります。

売却価格を見直す

売却価格が相場に合っているかを見直し、適正な金額に修正して再度売り出したり、価格を下げることで売却できるというケースもあります。

価格を見直す際は期限とボーダーラインをあらかじめ決めておくことが大切です。そして、値下げをする場合は、小刻みに値下げしすぎないことを意識しましょう。また、価格を見直しても売れない場合は、価格以外の要因を考えてみたり、別の対処法を実施することも重要です。

不動産買取を利用する

投資用マンションの売却がうまくいかない場合は、不動産買取や買取保証などのサービスを検討してみましょう。

不動産買取は不動産会社が直接物件を買い取るサービスで、金額の折り合いが付けばすぐに売却できる点がメリットです。しかし、売却価格が相場より低くなる恐れがあります。
一方、買取保証とは、物件が一定期間売れなかった場合に事前に決めておいた金額で不動産会社に買い取ってもらうサービスです。買取保証は必ず現金化できる便利な制度ですが、不動産会社によっては、はじめから買い取ることを前提に仲介の売却活動に注力してくれないケースもあります。

不動産買取と買取保証にはそれぞれメリット・デメリットが存在する為、利用を検討する場合は不動産会社からの説明をしっかり聞くことが大切です。長谷工の仲介では、お客様の状況に合わせて不動産買取・買取保証サービスをご提案しています。売れるかどうか不安を感じている方は、長谷工の仲介の不動産買取・買取保証サービスの利用をぜひご検討ください。

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不動産会社を変える

売却がなかなかスムーズに進まない場合は、依頼している不動産会社を変更するのも対処法の一つです。
不動産会社には、住宅地の一戸建ての売却に強い会社や都市部のマンション売却に強い会社など、不動産会社の営業力や得意な分野にはそれぞれ違いがあります。
投資用マンションの売却に強い不動産会社を選べば、売却活動が好転する可能性があるでしょう。

アンダーローンになるまで待つ

ローン残債が売却価格を上回っている為に抵当権を抹消できず、マンションを売却できないケースもあります。運用を継続して返済を進めることでローン残債が売却価格を下回れば、金融機関に抵当権を抹消してもらえる為、売却の可能性が高まります。

まとめ

投資用マンションの売り時には、金利が安い時期や所有期間が5年を超えたタイミング、入居者が住んでいるとき、不動産価格が上昇しているときなどが挙げられます。
投資用マンションを売却する場合は、そうしたタイミングを押さえつつ、投資用マンションの売却実績が豊富な不動産会社に依頼することが重要です。

長谷工の仲介は投資用マンションの状況に応じて、独自の提案力で売却活動をサポートいたします。満足のいく売却を実現する為にも、まずは長谷工の仲介の無料査定にお気軽にお問い合わせください。

※本記事の内容は2025年1月8日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。

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この記事の著者

杉山明熙
元不動産営業のWEBライター。
不動産営業を12年間経験し店長、営業部長として、売買仲介、賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に精通。
個人ブログにて不動産営業への転職のお手伝い、不動産営業のノウハウ、不動産投資のハウツーなどを発信。
不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランナー保有。
写真:杉山明熙

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