生活費や子どもの学費・養育費が足りないなどの理由から、家の売却を検討している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、家を売る3つの方法や、売却にかかる費用、高く売る為のポイントなどをご紹介します。
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お金がないときに家を売る方法は?
家を売却する方法には大きく、仲介・買取・リースバックの3つの方法があります。それぞれの方法における売却までの目安期間と売却価格の目安は次の表の通りです。
仲介 | 買取 | リースバック | |
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売却までの目安期間 | 3ヵ月〜6ヵ月 | 1週間〜1ヵ月 | 1週間〜1ヵ月 |
売却価格の目安 | 市場相場に合わせた価格 | 市場相場の7割 | 市場相場の6割〜8割 |
以下、各売却方法の特徴を詳しく解説します。
仲介
仲介とは、売主様と買主様の間に不動産会社が入り、売買契約を成立させることです。
仲介で家を売却する場合の具体的な流れは次の通りです。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 売却活動を行う
- 買主様と売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行う
- 確定申告を行う
仲介で売却する為には、まずインターネットや電話から不動産会社に問い合わせて査定を依頼します。
査定価格や不動産会社のサービスなどを総合的に判断し、依頼先を決めたら媒介契約を締結します。媒介契約とは、買主様を見つけてもらう為の売却活動を不動産会社に依頼する契約です。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
次に、インターネット上への物件掲載やチラシ配布などで売却活動を行い、購入希望者が決定すれば売買契約に進みます。
売買契約では、まず物件の重要事項についての説明を受ける「重要事項説明」が行われ、売買金額や特約事項などが記載された「売買契約書」に署名押印をすることで、契約が締結されます。その際、買主様から売買価格の一部を「手付金」として売主様に支払われます。
その後、手付金を除いた残代金を受領して家を引き渡せば売却完了です。なお、売却によって利益が生じた場合や税金の特例を適用する場合は、売却をした翌年に確定申告を行う必要があります。
仲介で売却するメリットと注意点
仲介で売却する主なメリットや注意点は以下の通りです。
仲介で売却するメリット | 仲介で売却する際の注意点 |
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仲介で家を売るメリットは、買取やリースバックに比べて売却価格が高くなりやすい点です。不動産会社が広く広告活動を行ってくれる為、好条件で売却できる可能性が高まります。
一方、注意点は売却期間が読みづらいことです。買主様を探したり、買主様の住宅ローン手続きに時間がかかったりする為、多くの場合は買取やリースバックより時間がかかります。また、購入希望者に内覧してもらう手間がかかることもデメリットといえます。
仲介の流れや注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
一戸建て売却の基礎知識!売却までの流れや費用、成功させる為のポイントを紹介
家を売却する流れは?売却方法からかかる費用や税金、注意点までまとめてご紹介
マンション売却の流れは?注意点やかかる税金・費用、失敗事例についても紹介
買取
買取とは、不動産会社に家を買い取ってもらう売却方法です。不動産会社は、買い取った後にリフォームやリノベーションを施して付加価値を付けたうえで再度販売を行います。
買取で家を売却する流れは以下の通りです。
- 不動産会社に買取査定を依頼する
- 査定金額に合意すれば不動産会社と売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行う
- 確定申告を行う
買取で売却するメリットと注意点
買取で売却する主なメリットや注意点は以下の通りです。
買取で売却するメリット | 買取で売却する際の注意点 |
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買取のメリットは、仲介に比べて売却期間が短いことです。不動産会社が提示する買取価格に売主様が合意できれば売買契約に進める為、スピーディに手続きを進められます。
また、インターネットやチラシに物件情報が掲載されない為、近隣に知られることなく売却が可能です。
一方で買取の注意点は、仲介と比較して売却価格が低くなりやすいことです。不動産会社は再販目的で買い取る為、一般的に相場価格の7割程度の価格になります。また、老朽化が激しい家や再販売が難しいと不動産会社が判断した家は買い取ってもらえない恐れがあります。
買取のメリットや仲介との違いについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説
短期間で不動産を現金化したい!現金化する方法とそれぞれのポイントを解説
リースバック
リースバックとは、家をリースバック事業者に売却した後、その事業者と賃貸借契約を締結して売却した家に住み続ける方法です。家を購入するリースバック事業者には、不動産会社のほか、クレジットカードや住宅ローンを扱うファイナンス会社などがあります。
リースバックで売却する流れは以下の通りです。
- リースバック事業者に査定を依頼する
- 査定金額に合意すれば不動産会社と売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行う
- リースバック事業者と賃貸借契約を締結する
- 確定申告を行う
リースバックで売却するメリットと注意点
リースバックで売却する主なメリットや注意点は以下の通りです。
リースバックで売却するメリット | リースバックで売却する際の注意点 |
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リースバックの最大のメリットは、売却後も住み慣れた家に引き続き住めることです。引っ越しの費用や手間が省けるだけでなく、新生活に慣れるまでの精神的負担も軽減されます。また、将来的に買い戻しができる場合もあります。
ただし、買取と同様、仲介に比べて売却価格が低くなりやすい傾向にあります。リースバック事業者は最終的に再販で利益を得ることを目的としている為、買取後のリフォームや修繕にかかる費用を考慮した金額で買い取ります。
また、売主様は住宅ローンから解放されますが、その代わりに家賃を支払う必要があります。リースバック事業者との交渉次第では、相場より高い家賃になることも考えられます。
リースバックの注意点やよくあるトラブル例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
よくあるリースバックのトラブル事例とは?失敗しないためのコツを紹介
家を売るときにかかる主な費用・税金は?
家を売却すると当然売却利益を得られますが、売却時には税金や費用が発生します。
家の売却でかかる主な費用や税金は以下の通りです。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 譲渡所得税(住民税・所得税)
- 抵当権抹消費用
- 住宅ローンの返済手数料
それぞれ詳しく見ていきましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、仲介業務を行った不動産会社に支払う成功報酬のことです。仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法で以下の通りに定められています。
物件価格 | 仲介手数料の上限額 |
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800万円超 | 物件価格✕3%+6万円+消費税 |
800万円以下 | 最大で30万円+消費税 |
例えば、売却価格3,000万円で売却した場合にかかる仲介手数料は以下のように計算できます。
仲介手数料は成功報酬の為、売買契約が成立した後に支払われます。支払いのタイミングは、売買契約時に半額を、家の引き渡し時に残りの分を支払うのが一般的です。
仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却の仲介手数料とは?計算方法や支払いのタイミングを解説
マンション売却にかかる費用や手数料は?費用を抑える方法も紹介
印紙税
印紙税とは、法律で定められた課税文書に対して課される税金です。
不動産売却では売買契約書に印紙税が課されます。印紙税額は売買契約書に記載されている売却価格により変動します。
売買価格 | 印紙税額(軽減後の税額) |
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100万円を超え500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 16万円 |
※平成26年4月1日〜令和9年3月31日までの間に作成される契約書については印紙税の軽減措置が適用されます。
印紙税は売買契約のタイミングで納付するケースが一般的で、売買契約書に印紙を貼り付けし消印することで納付が完了します。もし印紙の貼り付けを怠った場合、通常支払うべき印紙税額の3倍が追徴課税として課される為注意が必要です。
出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
譲渡所得税(住民税・所得税)
譲渡所得税は、家を売却した際に譲渡所得(売却利益)が発生したときに課される税金の総称です。具体的には、以下の計算式で算出されます。
譲渡収入金額とは、売却価格のことです。また、取得費とは、売却した物件を取得した際にかかった物件価格や仲介手数料などの費用を指します。譲渡費用とは、売却時にかかった仲介手数料や印紙代、登記にかかった費用を指します。
この計算式で用いられる税率は、所有期間によって異なります。
所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得の税率が適用され、所有期間が5年以上の場合は長期譲渡所得の税率が適用されます。それぞれの詳しい税率は次の表の通りです。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税 | 合計税率 |
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短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 0.32% | 20.32% |
なお、家の売却により譲渡所得税が課された場合は、家を売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
譲渡所得税の計算や確定申告の手順は以下の記事で詳細に解説しています。
譲渡所得とは?不動産売却時の税金の計算から確定申告手続きまで詳しく解説
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説
マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説
抵当権抹消費用
住宅ローンが残っている家を売却する場合は、抵当権抹消費用もかかります。
抵当権抹消とは登記簿謄本に記載されている抵当権(住宅ローンを組む際に金融機関が不動産を担保に設定する権利)を削除する手続きです。抵当権抹消の手続きは住宅ローン完済のタイミングで行います。
抵当権を抹消しなければ、売却後に新たな所有者が融資を受ける際に不都合が生じるケースがある為、売却時には抵当権抹消が必要となります。
抵当権を抹消する際には、登録免許税と司法書士に依頼する場合は司法書士手数料がかかります。
抵当権の抹消にかかる登録免許税は、不動産1件につき1,000円です。土地と建物が一筆ずつでそれぞれに抵当権が設定されている場合、2,000円の登録免許税が必要になります。
抵当権抹消は司法書士に依頼することがほとんどです。2018年の調査によると、抵当権抹消にかかる司法書士手数料の全国平均は1万円~3.5万円程度となっています。
出典:日本司法書士連合会「報酬アンケート結果(平成30年1月実施)」
抵当権や抵当権抹消手続きの流れや費用については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
抵当権とは?設定や抹消手続きの流れ、行使された場合の対処法についても解説
抵当権抹消手続きの流れは?手続きが必要なタイミングやかかる費用を徹底解説
住宅ローンの返済手数料
住宅ローンが残っている場合は、金融機関へ支払う返済手数料も必要です。返済手数料は0円~3.3万円程度と金融機関によって異なる為、事前に金融機関に確認しましょう。
理想的な価格で家を売るには?
続いて、より理想的な条件で家を売却する為のポイントをご紹介します。
市場の状況を確認しておく
不動産会社に査定依頼を行う前に、自分自身でも不動産市場の状況を把握しておくことが大切です。
提示された査定額が適正かどうかを判断する為にも、売却価格の設定を不動産会社任せにせず、自分でも相場価格を把握しておきましょう。
また、仮に売却価格が高すぎると買主様が他の物件へ流れてしまいますし、安すぎると手元に残る金額が減ってしまうかもしれません。売却価格の設定で失敗しない為にも、自分で相場を調べることが重要です。
自分で相場を確認する場合は、主に以下の3つの情報をチェックすることである程度の相場感を把握できるでしょう。
- レインズ・マーケット・インフォメーション
- 不動産情報ライブラリ
- 不動産ポータルサイトや不動産会社のホームページ
レインズ・マーケット・インフォメーションとは、レインズ(全国の物件情報や過去の成約事例が掲載されているサイト)の情報をもとに実際の成約価格や日時などの取引情報が掲載されている不動産流通機構が運営するサイトです。不動産情報ライブラリは、不動産の取引情報や防災情報など不動産に関わる情報が掲載された国土交通省が運営するサイトです。
家の価値を調べる方法や注意点については下記記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンションの資産価値を調べる方法は?ケース別に活用できる評価額を解説
路線価から実勢価格は求められる?それぞれの違いや調べ方を紹介
査定価格で不動産会社を選ばないようにする
査定価格だけで不動産会社を決めてしまわないようにすることも重要なポイントです。
不動産査定には明確な基準がなく、不動産会社によって様々です。査定価格が高いからという理由だけで不動産会社を選ぶと、相場に見合わない価格だった場合に売れ残ってしまう恐れがあります。
その為、売却を依頼する不動産会社を選ぶ際は、査定価格以外に以下の点を意識しましょう。
- 不動産売却の実績が豊富な担当者か
- 担当者が周辺の販売状況を把握しているか
- 査定額の根拠について納得のいく説明をしてくれたか
- インターネット広告に力を入れているか
不動産会社の種類や選ぶ際のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却業者の選び方は?売却の手段や確認すべきポイントを解説
早めに売却する
家を好条件で売却する為には、できるだけ早く売却することが重要です。不動産は築年数が経過するにつれて市場価値が下がり、売れにくくなってしまいます。
以下のグラフは、不動産の種類別に築年数経過による資産価値の変化を示したものです。
※縦軸は新築時の資産価値を100%とした場合の価値の割合、横軸は築年数
このグラフを見ると、木造一戸建ての不動産は約10年で資産価値が新築時の50%まで下落しています。また、中古マンションの場合は約12年で30%の下落、約25年で50%まで下落することがわかります。
ただし、築年数が古くても物件の状態に応じて適切な方法で売却できれば、理想的な形で売却できる可能性が高まります。築古住宅を売却する方法としては、住宅瑕疵担保責任保険に加入したうえで売りに出す、空き家バンク制度を活用する、一戸建ての劣化が激しい場合は更地にして売り出すなどが考えられます。
早めに売り出すことを意識しつつ、その物件に合った方法で売却活動を進めましょう。
古い住宅の売却方法や注意点について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
マンション売却に築年数は影響する?築年数別に売却のポイントを解説
古い家を売る方法とは?古い家の定義やかかる税金・費用、売却時のポイントを紹介
需要が高い時期に合わせて売却する
需要が高まる時期に合わせて売り出すことも押さえておきたいポイントです。
一般的に、1年のなかで不動産需要が高まるのは、新生活がスタートする直前の1月~3月とされています。需要期に合わせて売却すれば、スムーズに買主様を見つけることができ、複数の買主様から購入希望の申し出があればより好条件で売却できる可能性も高まるでしょう。
また、周辺で類似物件が売り出されていないタイミングで売り出すのも効果的な方法です。さらに、最寄り駅の近くに新しい商業施設ができる、大規模な再開発が行われるなどのタイミングも売却に適しています。エリアの需要が高まれば、家が好条件で売れやすくなる為、再開発情報を確認するようにしましょう。
マンション売却にお勧めの時期やその理由については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却に適した時期は?売却にお勧めの時期やポイントを解説
売却後の資金を着実に残す為のコツ
最後に、売却後に資金をできるだけ手元に残しておく為のコツを解説します。
税制控除の特例を活用する
1つ目のコツは、税制控除の特例を活用して節税を意識することです。
税制控除の特例の一つとして挙げられるのが、3,000万円特別控除です。
この特例は、売却により発生した譲渡所得が3,000万円分控除される特例です。例えば、家の売却により2,000万円の譲渡所得が発生した場合、3,000万円特別控除を適用できれば譲渡所得が「2,000万円-3,000万円=▲1,000万円」となり譲渡所得を控除できます。結果的に、譲渡所得にかかる住民税・所得税などの負担を減らせます。
場合によっては、税制控除の特例を利用することで100万円以上の節税が可能です。どの特例が自分に適用されるのかを見極められるよう、あらかじめ税制控除について調べておきましょう。
不動産売却時に利用できる税制控除の特例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
不動産売却時にかかる税金の種類は?税金の計算方法や軽減方法を解説
不要なリフォームは行わない
不要なリフォームを行わずに売却することも、資金を着実に残す為のポイントです。
理由は、リフォーム代を売却価格に転嫁することが難しい点にあります。リフォームを行ったほうが高く売れる可能性はありますが、それでもリフォーム代を全て回収することは難しいでしょう。
また、リフォームのデザインや機能性が買主様の好みと合わない恐れもあります。デザインや機能性にはトレンドがある為、全ての方の好みに合わせることは難しいでしょう。
仮に売却時にリフォームを検討している場合は、不動産会社に費用や実施想定箇所を相談してから実施しましょう。
まとめ
家を売却する方法には、仲介・買取・リースバックの3つが挙げられます。お金がなくて家を売却する場合に少しでも好条件で家を売却する為には、自身で市場の状況を確認したり、需要が高い時期に合わせて売り出したりすることが重要です。
長谷工の仲介は、売却を検討されるお客様の状況に合わせた最適な売却プランを提案しています。仲介だけでなく買取やリースバックのご相談も承っております。売却査定は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
※本記事の内容は2024年11月15日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。