「亡くなった親の家を売却する際にどのような手続きが必要なのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
親の家を売却する場合、相続の手続きと通常の不動産売却を並行して進めることになる為、売却の全体像やかかる税金について把握しておくことが大切です。
この記事では、亡くなった親の家を売却する流れや税金、売却する際のポイントをご紹介します。
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亡くなった親の家を売却する流れ
亡くなった親の家を売却する場合、一般的には相続から売却完了まで約6ヵ月~1年程度かかり、状況によっては数年かかることもあります。以下の図では、売却するまでの一連の流れをまとめています。
ここからは、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
①不動産を相続する
まずは不動産を相続します。
親が亡くなった場合は誰が不動産を相続するかを決める必要がありますが、状況によって相続人(亡くなった方の財産を受け継ぐ方)の決め方が異なります。
ここからは、相続人の決め方について解説していきます。
遺言書をもとに決める
相続人と相続分(相続人が相続財産に対して持っている権利の割合)は遺言書の内容が優先される為、親が遺言書を残していた場合、それをもとに相続人と相続分が決まります。
ただし、遺言書が法的に有効かどうかの確認が必要です。
例えば、公証人が作成する公正証書遺言は最も有効な遺言書である一方、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合は形式や要件を満たしているかを確認しなければなりません。遺言書の内容が曖昧だと親族間のトラブルを招く恐れがあります。
また、遺言書は勝手に開封してはいけません。勝手に開封すると民法第1004条第1項により、5万円以下の過料が科せられる場合があります。さらに、勝手に開封したことにより、相続人間でトラブルに発展する恐れもあります。その為、遺言書を開封する際は弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
法定相続分に応じて決める
遺言書がない場合は、民法で定められた法定相続分にしたがって財産を分けることになります。法定相続人の順位と相続人ごとの法定相続分は以下の表を参考にしてください。
▼法定相続人の順位(配偶者は常に相続人)
| 順位 | 親族 |
|---|---|
| 第一順位 | 亡くなった方の子どもや孫、ひ孫 |
| 第二順位 | 亡くなった方の父母や祖父母 |
| 第三順位 | 亡くなった方の兄弟姉妹や甥、姪など |
▼法定相続分
| 法定相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者と子供が相続人の場合 | 配偶者:2分の1、子供(全員):2分の1 |
| 配偶者と親が相続人の場合 | 配偶者:3分の2、親(全員):3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 | 配偶者:4分の3、兄弟姉妹(全員):4分の1 |
もし複数の相続人がいる場合、不動産は共有名義(複数人で不動産を所有している状態)になる場合があります。共有名義の状態で売却する際は全員の同意が必要となります。
共有名義の不動産を売却する際の注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
共有名義のマンションを売却する方法は?売却までの流れや注意点を解説
共有名義とは?不動産における意味やメリット・注意点、解消方法を解説
遺産分割協議で決める
法定相続分に従い法定相続人が確定すれば、相続人同士で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議とは、相続財産をどのように相続するのかを決める話し合いです。遺産分割協議によって財産を分割する方法には、以下の4つがあります。
| 分割方法 | 概要説明 |
|---|---|
| 現物分割 |
|
| 代償分割 |
|
| 換価分割 |
|
| 共有分割 |
|
分割方法や相続分が決まったら、遺産分割協議書(遺産の分割方法や相続の割合などが記載された書類)を作成し、相続人全員が捺印します。
もし協議がまとまらない場合、家庭裁判所での調停や裁判に発展することもあります。
②相続登記(名義変更)をする
不動産の相続人が確定したら、不動産の名義を被相続人(亡くなった親)から相続人に変更する相続登記を行います。相続登記に必要な主な書類は以下の通りです。
- 遺言書
- 遺産分割協議書
- 登記申請書
- 本人確認書類
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産登記簿謄本
- 登記識別情報または権利証
- 登記原因証明情報
- 固定資産税納税証明書
- 亡くなった親の死亡証明書
なお、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続を知ってから3年以内に申請しなければなりません。未登記のまま放置すると過料が課される恐れがあります。
出典:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地!~」
相続の流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション相続の手続きとは?流れや相続税の計算、利用できる控除を解説
③不動産会社に査定を依頼する
相続登記が完了したら、不動産会社に査定を依頼しましょう。査定を依頼する際は、売却実績が豊富で査定価格に根拠のある説明をしてくれる不動産会社がお勧めです。
また査定時には、リフォーム歴や物件の不具合など、物件に関する情報を正直に伝えることが大切です。特に雨漏りやシロアリ被害、給排水管からの水漏れなどは、引き渡し後に問題が発覚すると買主様との間で大きなトラブルになる恐れがある為、必ず事前に伝えましょう。
査定で見られるポイントや注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンションの売却査定で見られるポイントとは?査定の流れや高く売るコツ、注意点を解説
一戸建て売却の査定価格はどう決まる?見られるポイントや査定のコツとは
長谷工の仲介では、豊富な売却実績のもと、不動産の無料査定を行っています。お気軽にお問い合わせください。
④不動産会社と媒介契約を締結する
査定結果に納得したら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。
専属専任媒介契約は1社のみに売却を依頼する契約です。個人間売買は禁止されており、自分で買主様を見つけても不動産会社を介して売買を行う必要がある為、仲介手数料が発生します。
ただし、不動産会社は媒介契約成立後5日以内に不動産情報を不動産流通標準情報システム(レインズ)に登録する義務があり、1週間に1度以上の頻度で売却活動の実施状況を報告する義務があります。
このように制約が多い分、専属専任媒介契約は不動産会社から手厚いサポートを受けられるというメリットがあります。
専任媒介契約も1社のみに売却を依頼する契約ですが、自分で買主様を見つけて売買を行う「自己発見取引」が認められている為、不動産会社を介さなければ手数料は不要です。
不動産会社は媒介契約成立後7日以内にレインズに情報を登録する義務があり、2週間に1度以上の頻度で売却活動の状況を報告しなければなりません。
このように、専任媒介契約では、売主様自身でも買主様を探しながら、不動産会社にも並行して売却をサポートしてもらえる為、自分のペースに合わせて効率的に売却を進められるでしょう。
一般媒介契約は複数の会社に売却を依頼できる契約です。
ただし、不動産会社にはレインズへの登録義務や売却活動の実施状況を報告する義務はありません。売主様自身で定期的に不動産会社と連絡を取り、売却状況を把握する必要がある点に注意しましょう。
媒介契約はそれぞれにメリットとデメリットがある為、担当者からの説明をしっかりと聞いて、自分に合った契約方法を選びましょう。
媒介契約の詳しい特徴やメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
媒介契約とは?3種類の違いやメリット、後悔しない為の選び方をご紹介
一般媒介契約とは?契約のメリットやデメリット、お勧めの方を解説
専任媒介契約とは?他の媒介契約との違いやメリット・注意点を分かりやすく解説
媒介とは?不動産取引における仲介との違いや媒介契約の種類について解説
⑤売却活動を行う
媒介契約を締結したら、不動産会社による売却活動が始まります。
不動産会社はインターネットやチラシ、新聞広告などで物件情報を広め、購入希望者が現れたら家の内覧を促します。
内覧前は家の中を整理する必要がありますが、相続した家の場合は、遺品整理や不用品の処分も進めておきましょう。また、内覧時は明るく丁寧に対応することが大切です。そして、物件の良さをアピールすれば早期売却や好条件での成約につながります。
水回りや手が届かない箇所の汚れが目立つ場合は、専門業者にハウスクリーニングを依頼することも検討しましょう。室内が多少古くても、水回りが綺麗だと好印象になります。
内覧の流れや注意点、ハウスクリーニングの相場については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション売却での内覧の流れは?事前準備やチェックすべきポイントもご紹介
マンションのハウスクリーニングの相場は?売却時に実施するメリットやポイントを解説
⑥買主様と売買契約を締結する
購入希望者と売買契約の条件に合意できれば、売買契約を締結します。売買契約は以下の流れで進みます。
- 重要事項説明書の読み合わせ
- 売買契約書の読み合わせ
- 重要事項説明書・売買契約書への捺印
- 手付金の受領
重要事項説明では、宅地建物取引士から物件の権利関係や法令上の制限などの説明を受けます。重要事項説明書に問題がなければ、売買契約書の読み合わせに進みます。売買契約書には、金額や面積、引き渡し日など売買契約で合意している内容が記載されています。
書類の読み合わせ時は、それぞれの書類の数字や条件に誤りがないかをしっかりと確認しましょう。また、違約金の予定額や手付解除の期限、引き継ぐ設備、損害賠償に関する定めなどが明確になっているかの確認も必要です。手付解除とは、手付金を相手方に支払うことで契約を解除できることです。手付解除を利用すれば、どのような理由でも契約を解除できる為、いつまで手付解除が可能かを決める必要があり、それを手付解除の期限といいます。
売買契約書への捺印が完了したら、買主様から手付金(一般的に売買価格の10%程度)を受け取り、売買契約の完了です。売買契約が完了した時点で、不動産会社に仲介手数料の50%を支払うことが多く、残りの仲介手数料は家の引き渡しと決済時に支払うのが一般的です。
売買契約書の詳しい記載内容や流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
⑦家の引き渡しと決済を行う
売買契約が無事完了したら、物件の引き渡しと決済を行います。
売主様と買主様、不動産会社の担当者、司法書士などが金融機関に集まり、手付金を差し引いた残金の支払いと固定資産税などの清算、所有権移転の手続きを進めます。
売主様は、買主様から残金を受領し、仲介手数料の残り50%を不動産会社に支払います。
その後、買主様に鍵や関連書類を引き渡せば、引き渡しと決済の完了です。引き渡し前に家の中を空にし、清掃しておくことも忘れないようにしましょう。
⑧相続税の申告を行う
家の引き渡しが完了すれば、相続税の申告を行います。
相続税の申告は、一般的に家の引き渡し後に行われることが多いですが、売却のタイミングによっては引き渡しの前に申告するケースもあります。
相続税の申告・納付期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。この期間内に相続税の申告書を作成して税務署に提出しなければなりません。
また、相続税を支払うタイミングは、相続人の資金状況やそのときの都合によって変わる為、自分に合ったタイミングで調整しましょう。
家の売却がスムーズに進めば、売却で得た資金を相続税に充てることができますが、売却のタイミングによっては難しいこともある為、万が一の為に事前に資金繰りの対策を練っておくことをお勧めします。
⑨確定申告を行う
家を売却した翌年の2月16日から3月15日の期間に確定申告を行います。
確定申告では、売却によって得た利益(譲渡所得)などを税務署に申告して、必要に応じて税金を納めます。
なお、売却による譲渡所得がマイナスになった場合、確定申告は不要です。
しかし、譲渡所得が発生したり、不動産売却に関する税金の特例を利用する場合は、確定申告を行う必要があります。相続した不動産の売却に活用できる特例もあるので、上手に活用しましょう。
確定申告の流れや申告書の書き方については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンションを売却したら確定申告が必要?流れや手順、必要書類について徹底解説
マンション売却の確定申告書の書き方は?手続きの流れも併せて解説
亡くなった親の家を売却する際にかかる税金
亡くなった親の家を売却する場合、相続から売却完了までに様々な税金が発生します。ここでは、その税金について詳しく解説します。
相続税
相続税は、遺産総額が基礎控除額を超える場合に課税される税金です。基礎控除額は以下の式で計算されます。
例えば、相続人が3人なら4,800万円となります。
相続税の税率は、遺産額に応じて10~55%まで段階的に上がりますが、基礎控除額とは別に一定の控除額を差し引きます。
例えば、課税対象額が1,000万円超えから3,000万円以下であれば15%をかけたあとに50万円を控除し、1億円超えから2億円以下であれば40%の税率をかけたあとに1,700万円を控除します。
ここからは、具体例を挙げながら相続税額を計算してみましょう。
【前提条件】
被相続人:A
法定相続人(3名):妻B、子C、子D
【遺産】
預金および株式:2,000万円
自宅(土地建物):5,000万円(小規模宅地の特例適用後)
生命保険金:2,000万円
遺産総額:9,000万円
【債務】
借入金:200万円
葬儀費用:100万円
実際の遺産総額=9,000万円-(200万円+100万円)=8,700万円
遺産分割協議の結果、以下の割合で遺産を分割した場合を想定します。
- 妻B:50%
- 子C:20%
- 子D:30%
- 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 課税遺産総額:8,700万円-4,800万円=3,900万円
- 妻B:3,900万円×1/2=1,950万円
- 子C:3,900万円×1/4=975万円
- 子D:3,900万円×1/4=975万円
- 妻B:1,950万円×15%-50万円=242.5万円
- 子C:975万円×10%=97.5万円
- 子D:975万円×10%=97.5万円
- 妻B:437.5万円×50%=218.75万円
- 子C:437.5万円×20%=87.5万円
- 子D:437.5万円×30%=131.25万円
1.亡くなった親のプラスの財産から借金などのマイナスの財産や葬式費用などを差し引く。そこから基礎控除額を引き、相続税計算のベースとなる課税遺産総額を算出する。
2.課税遺産総額を、法定相続分で各相続人が受け取ったと仮定して分ける。分けられた各金額に相続税の税率をかけ、仮の税額を計算する。全員分の仮の税額を合計して、相続税の総額を算出する。
相続税の速算表を用いて各相続人の相続税額を計算する。
3.遺言書や遺産分割協議で定めた各相続人の相続割合に応じて相続税の総額を割り振る。これが、各相続人が負担する基本的な相続税額となる。
4.各相続人の税額から、適用できる税額控除(配偶者の税額軽減や未成年者控除など)を差し引く。
5.税額控除を差し引いた金額が、最終的に各相続人が納める相続税額となる。
このように、相続税の計算は複雑な為、相続税が発生する可能性がある場合は税理士などの専門家に相談しましょう。
登録免許税
相続や不動産の名義変更を行う際にかかるのが登録免許税です。
登録免許税は固定資産税評価額をもとに算出します。固定資産税評価額は、市区町村から送付される固定資産税納税通知書や、役所で取得できる公課証明書・評価証明書で確認できます。
具体的には、以下の計算式で求められます。
相続登記の場合、税率は固定資産税評価額の0.4%です。
例えば、評価額2,000万円の不動産の場合は8万円の登録免許税がかかることになります。
一方、売却時の所有権移転登記の場合の税率は、土地が1.5%(令和8年3月31日まで)、建物が0.3%(令和9年3月31日まで)です。
印紙税
印紙税は不動産売買契約書に課される税金で、売却価格によって税額が変わります。
売却価格に応じた印紙税額は次の通りです。
| 売買価格 | 印紙税額(軽減後の税額) |
|---|---|
| 100万円を超え500万円以下のもの | 1,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下のもの | 5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 1万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下のもの | 3万円 |
| 1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 |
| 5億円を超え10億円以下のもの | 16万円 |
※平成26年4月1日〜令和9年3月31日までの間に作成される契約書については印紙税の軽減措置が適用されます。
出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
例えば、売買価格が3,000万円であれば1万円、7,000万円であれば3万円の印紙税が課されます。
印紙税は、契約書に収入印紙を貼り付けて消印することで納付します。
印紙を貼り忘れると本来の税額の3倍が追徴課税として課される恐れがある為、忘れないよう注意しましょう。
譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)
譲渡所得税は不動産売却で利益が出た場合に課される税金で、所得税・住民税・復興特別所得税の総称です。
計算式は以下の通りです。
譲渡収入金額とは売却価格のことで、取得費とは売却した物件を取得した際にかかった物件価格や仲介手数料などの費用です。譲渡費用とは売却時にかかった仲介手数料や印紙代、登記にかかった費用などを指します。
譲渡所得税は、上記で算出された譲渡所得に税率をかけて計算します。譲渡所得税の税率は、所有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得の2つに分けられます。
| 所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
例えば、自宅として4,000万円(諸費用込)で購入したマンションを親が亡くなったことにより8年後に8,000万円で売却したとします。その際に譲渡費用が200万円かかった場合は以下の計算式で算出します。
800万円(譲渡所得)×20.315%(長期譲渡所得)=162万5,200円(納税額)
売却により利益が出た場合、相続税の他に譲渡所得税が課税される場合がある為、注意しましょう。
譲渡所得の詳細や計算方法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
譲渡所得とは?不動産売却時の税金の計算から確定申告手続きまで詳しく解説
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税金の計算方法について解説
マンション売却時の減価償却とは?計算方法や譲渡所得税との関係について解説
税金のことはプロに相談するのがお勧めです。長谷工の仲介では、不動産のお悩みについて直接税理士にご相談いただける税務相談サービスを提供しています。
親の家を売却する際のポイント
ここからは、親の家を売却する際に押さえておくべきポイントを4点解説します。
周囲との境界を確定させておく
相続した家が一戸建ての場合、事前に土地の境界を確定させておきましょう。
境界が明確でないまま売却すると、引き渡し後に買主様と隣地所有者間でトラブルが発生する恐れがあります。例えば、隣人が自分の土地だと主張して敷地の一部を占有したり、境界付近の柵が壊れた際に費用負担で揉めたりするケースが考えられます。
境界の確定は、土地家屋調査士が在籍している測量会社に依頼しましょう。
隣地所有者の立ち会いのもとで境界を指示し、確定後は依頼主と全ての隣地所有者が捺印を行った境界確認書を法務局に提出することで境界を確定します。
境界を確定する為の確定測量については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
仲介以外の売却方法も検討する
売却時には、一般的な仲介だけでなく、状況に応じて不動産会社による買取や更地にして売却することも検討しましょう。
不動産会社による買取で売却する場合は仲介手数料がかからず、不動産会社が提示した価格などの条件に合意できればスムーズに現金化できるというメリットがあります。売却価格は仲介で売却する場合より安くなりますが、相続税の支払いに合わせて現金化したい方に適した売却方法です。
家が古く売れにくい場合は、解体して更地にして売却する方法も検討してみてください。
ただし、古いままの建物を利用したいという買主様もいる為、解体すべきかどうかは不動産会社の担当者に意見を聞いてから判断すると良いでしょう。
不動産会社による買取や解体については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
マンション買取とは?仲介との違いや注意点、向いているケース、業者の選び方について解説
家の解体費用の相場は?安く抑えるポイントや解体する際の注意点を解説
また、あらかじめ設定しておいた期間内に買主様が見つからなければ、不動産会社が物件を買い取る「買取保証付き仲介」という売却方法もあります。
買取保証付き仲介については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
買取保証付き仲介とは?仲介との違いやメリット・注意点、売却の流れを解説
家の購入金額が分かる書類を探す
親の家を売却する場合、家の購入金額を証明する書類を探しておきましょう。
前述した通り、譲渡所得税を算出する際には、家の購入金額を譲渡収入金額から差し引くことができますが、購入金額を証明する書類が見つからない場合、取得費は売却価格の5%という概算取得費で計算される為、税負担が重くなる恐れがあります。
購入金額を証明する主な書類には以下が挙げられます。
- 売買契約書
- 建築請負契約書
- 購入時の領収書
例えば、3,000万円(諸費用込み)で購入した家を4,000万円で売却するケースで、取得費の証明がある場合とない場合の譲渡所得を計算してみましょう。なお、譲渡費用は200万円とします。
▼取得費の証明がある場合
4,000万円【譲渡収入金額】-(3,000万円【取得費】+200万円【譲渡費用】)-3,000万円【3,000万円特別控除】=0円
▼取得費の証明がない場合
4,000万円【譲渡収入金額】-(200万円【概算取得費】+200万円【譲渡費用】)-3,000万円【3,000万円特別控除】=600万円
このように、取得費の証明があれば譲渡所得は0円ですが、証明がないと600万円もの譲渡所得が発生するという結果となりました。売却後の譲渡所得を抑える為にも、親が健在なうちにこれらの書類の所在を確認しておきましょう。
利用できる税金控除を確認する
税金の控除制度を活用することでも節税は可能です。
相続した家を売却する際に利用できる制度を見てみましょう。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」とは、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。売却益が3,000万円以下であれば譲渡所得を0円にできます。
この特例を適用することで、税金負担を大幅に軽減できる可能性がある為、親の家を売却した際は、要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
特例の主な条件は以下の通りです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったこと
- 相続から売却までの間に事業や貸付、居住の用に供されていないこと
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
- 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売ること
出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
ただし、この特例は期間が定められており、「平成28年(2016年)4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの間に売ること」も要件に含まれます。例えば、2022年6月に相続が開始された場合は、2025年12月31日までに売却すれば特例が受けられます。
3,000万円特別控除については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
居住用財産の3,000万円特別控除とは?適用要件や必要書類を解説
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」とは、相続税を納めた方が相続財産を売却する際、相続税の一部を取得費に加算できる特例です。
計算式は以下の通りです。
その者の相続税額×{その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の相続税評価価額÷(その者の取得財産の価額+その者の相続時精算課税適用財産の価額+その者の純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額)}
この特例の主な適用要件は以下の通りです。
- 相続や遺贈により財産を取得した者であること
- その財産を取得した方に相続税が課税されていること
- 相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
なお、この特例と空き家の3,000万円特別控除は併用できません。税理士などの専門家に相談してどちらが有利か見極めましょう。
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」とは、一定の要件を満たす低未利用土地を売却した場合に譲渡所得から100万円が控除される特例です。
低未利用土地とは、長期間にわたり居住用地にも業務用地にも使われておらず、周辺地域と比べて利用の程度が低い土地のことです。例えば、空き地のまま長期間放置されている土地や資材置き場として使っているだけの土地などが挙げられます。
売却価格が500万円以下という条件があるものの、その他の要件は比較的緩い為、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例よりも利用しやすい特例といえます。
この特例を利用した場合の譲渡所得の計算式は以下の通りです。
主な適用条件は以下の通りです。
- 売った土地等が、都市計画区域内にある低未利用土地等であること
- 売った年の1月1日において所有期間が5年を超えること
- 売った金額の合計が500万円以内であること
- 売却後にその低未利用土地等の利用がされること
出典:国税庁「No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」
相続した不動産を売却する際に利用できる税金特例については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
相続した不動産の売却にかかる税金は?税金の種類から税金負担を減らす方法まで徹底解説
まとめ
亡くなった親の家を売る際は、遺言書や法定相続、遺産分割協議などで相続分を決め、相続登記を行ったあとに不動産会社に売却を依頼する流れとなります。売却後は相続税の申告や確定申告を行い、適切なタイミングで税金を納めなければなりません。
相続した不動産の評価額や売却価格によって課税される金額が変わる為、売却時は不動産会社や税理士に相談することがお勧めです。利用できる税金控除も確認しながら売却活動を進めていきましょう。
家の売却を検討されている方は、ぜひ長谷工の仲介の無料査定へお気軽にお問い合わせください。
※本記事の内容は2025年5月21日現在のものであり、制度や法律については、今後改正・廃止となる場合がございます。



